私が少年のころ、まわりはオカルトに満ちていたように感じます。「オーメン」「ゾンビ」「エクソシスト」「サスペリア」「マニトウ」という映画を劇場で見た記憶がありますし、江戸川乱歩や横溝正史の小説が手に届くところにありました。また、テレビでは夏になると「あなたの知らない世界」を昼間から放送していましたし、漫画も日野日出志に楳図かずお、つのだじろう、古賀新一のホラー作品をよく読んだものです。こうして挙げてみると壮観ですね。ただ、本作はここにあげた中でも別格。恐怖というより得体のしれない未知の世界を教えてくれた存在でもあるのです。主人公は女子中学生。この黒井ミサという主人公が魔女という噂通りの魔性を備えた女。気に入らないものには容赦なく、死かそれと同等のことで罪を償うことになるという妖しげなダークヒロイン。加えて魔術や呪文、黒ミサなど世界の闇を教えてくれる訳ですから、思春期の精神には蠱惑的でした。今読んでもそのころの刺激的な出会いを思い出してしまう貴重な作品です。
黒魔術を操る美少女・黒井ミサ。「エコエコアザラク」の呪文が響く時、街で、教室で、何かが起こる……。オカルトミステリーの金字塔がついに登場!