初めて読んだときは、興奮して寝付けなったくらいです。主人公・鯉太郎は大相撲巡業のイベントで力士をふっ飛ばし、それがきっかけで空流部屋入り。実直ながら激情家の鯉太郎は兄弟子たちに反発するも、やがてうちとけて新弟子検査へ。そこであるエリート力士との間に因縁が生まれ、それを引きずって初土俵である夏場所の前相撲を迎える、と序盤の流れはこんな感じ。それと並行して鯉太郎の父で、角界を追われた大関・火竜の悲劇が語られています。この親子関係の描き方がていねいで、導線としても非常に効いているのですね。鯉太郎の性格や生い立ち、そして目指すところまでがこの描写を通してストレートに伝わり、一気に感情移入できてしまう。また悪役もとことん悪党ぽく描かれていて心底イヤな奴と思わせてくれる。鯉太郎の私生活の余計な描写も省いてまさに電車道の一直線ストーリー。ひねりはあってもすかしはなし。掛け値なしに燃えます!

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