sinkで出来ていたことが出来ていない
漫画家としての作者の実力はここで記述するまでも無い程に圧倒的なのは周知の事実である。しかし、この作品においては、その実力を発揮しきれていない。サスペンスにも関わらずコマ割りが細かくテンポ良く進むため、サスペンスが必要な箇所でなんてこと無い日常の様に進んでいってしまう。ましてや大ゴマにする必要の無い箇所で大ゴマにしてしまっている。絵の造形も不気味な雰囲気が失われギャグのキャラ造形になっている為、ここでもサスペンスが失われる。sinkで出来ていたことが何故出来ていないのだろうか?
親のコネだけで広告会社に入社した主人公が、フィギュアスケーターの万年二位の女の子を競艇選手にデビューさせて、社会を動かしていく話。
全体としては面白かったが、三田先生特有の気の強い女キャラの噛ませ化によって最初は存在感のあった上司がどんどん影が薄くなっていく点や、裏切り者の伏線を未回収のまま、終わるなど、気になるところがちょこちょことあった。
主人公の成長譚という側面ではとても楽しめた。