ダンゲロスで好きな能力
金玉が爆発する能力
全ての男を憎んだ瞬間、少女は魔人へと覚醒した――。この先、DANGEROUS(ダンゲロス)!命の保証なし!!――“魔人”と呼ばれる異能力者たちが存在する、とある世界。私立希望崎(きぼうさき)学園・通称「戦闘破壊学園ダンゲロス」では、対立する二つのグループの抗争が激化していた。“邪賢王(じゃけんのう)ヒロシマ”率いる、暴力で学園を支配する「番長グループ」“ド正義卓也(どせいぎ・たくや)”を擁する、魔人校則の遵守により治安を保つ「生徒会」いま、前代未聞の「ダンゲロス・ハルマゲドン」が勃発する――!
能力バトルという要素は、少年マンガにおいてはもはや“不可欠”といってもよいものとなっております。『ジョジョ』のスタンドしかり、『BLEACH』の斬魄刀しかり…枚挙に暇がありません。この能力バトルにおける「キャラクター個人だけがもつ特殊能力」というのは、エンターテイメントを大きく変え、よりキャラクターを掘り下げることができるようになったのです。キャラ立ちを考えれば、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』の八犬士もそれぞれ特殊能力を持つべきなんですよ! 『戦闘破壊学園ダンゲロス』は超人的な能力を持った魔人たちが、希望崎学園、通称ダンゲロスを舞台に、生徒会派・番長派の二大勢力に分かれて戦いを繰り広げるという物語です。普通の人間から突然変異的に生じる魔人。魔人となった者は人間を上回る身体能力と、それぞれ個別の特殊能力をもっています。大元はネット上で行われたウォー・シミュレーションゲームで、それを題材にまず小説が生まれ、その後、このマンガ版がうまれました。 はじめがウォー・シミュレーションゲームのユーザー投稿でキャラクターが応募されたこともありますが、他のどの作品とくらべても特殊能力が馬鹿馬鹿しいものばかり。たとえば、原作者・架神恭介の名前を冠したキャラクターの特殊能力は以下の通りです。「サドンデスソース (中略)視界に入るカレーの辛さをお子様カレーから激辛カレーまで自由に変じることができる!!(中略)度を過ぎた辛さのカレーは劇薬と何ら変わりなく架神の能力は事実上カレーを猛毒へと変える力でもあるのだ」。こんなあまりにも特殊な特殊能力をもった魔人たちが知略の限りを尽くすのです。 山田風太郎の「そりゃさすがにどうよ」なエロ忍法対決を彷彿とさせる、第3巻の戦いもすごい。番長側の鏡子のもつ超絶ビッチな能力「半径2メートルの性器を鏡に映し出し、それを鏡を通して直接愛撫できる能力(能力名:ビチビチビッチ)」というなんとも恐ろしい能力をつかって、生徒会側の刺客4人と対決するのです。これは、まさしく山田風太郎ではないでしょうか!この戦いに割って入ってきた“転校生”の能力が「木曜スペシャル」…どのような効果かは、実際呼んでみたほうが良いでしょう。 生徒会VS番長。そこに強力な転校生が…。といえば、やはり菊地秀行の『魔人学園』はじめとする「転校生シリーズ」が思い出されます。「こまけぇこたぁいいんだよ」と、あらゆる理屈をねじ伏せるのパワー、ケレン味としかいえない魅力、これを表す言葉は「バロック」以外には見当たりません。 菊地秀行×山田風太郎×ジョジョという男の子の大好きなものを、全部ミキサーにかけて一つにしてしまったような、冒涜的な面白さを是非味わってください。