リアルだけどリアルであってほしくない
ウシジマくんの真鍋昌平先生。 独特のいや〜な空気感と不思議なテンポはもちろん健在で、本作はテーマが日陰の中の隅っこのほうって感じ。 相変わらずすごく生々しく見えてある意味気持ち悪い感じが残る。 ただ、暗いだけではなく、救われるとまではいかないかもしれないけど光明の兆しがほんの少し見える。そんな短篇が詰まっている。 完成度の高い話ばかりでもあり、どこともつかない結末がふわっとしている点も含めてヴィレヴァンで人気出そう(disではないよ)
『闇金ウシジマくん』とともに歩んだ短篇集『闇金ウシジマくん』と歩いた15年。もうひとつの真鍋昌平がここにある。ドルヲタとアイドルの愛のつながりを激しくぶつけた「アガペー」、地方都市の若者の鬱屈と衝動を切り取った「ショッピングモール」、震災以降、移住者と故郷の在り方を静かに綴る「おなじ風景」、さらに都会のカルマに埋もれていく女性を描く新作を含む4篇を収録。取材を通じて筆者が感じ取った、まさに「魂を救う」傑作短篇集!!
どうだろう。自意識をこじらせたような人達が沢山出てくるので、とても身につまされる。人と人が互いにずれを感じながら、見下したり、利用したり、それでも一緒にいて何とかやっている。それが救いといえば救いかもしれない。分かりやすい救いはない。思い詰めていることを、一笑に付された時、怒るのか、「ああ、考え過ぎだった」と気付いて少し前向きになれるのか。暗く静かな気分になりたい時に読む。