サラセニア 九駄礁太
リアルだけどリアルであってほしくない
アガペー 真鍋昌平
ウシジマくんの真鍋昌平先生。
独特のいや〜な空気感と不思議なテンポはもちろん健在で、本作はテーマが日陰の中の隅っこのほうって感じ。
相変わらずすごく生々しく見えてある意味気持ち悪い感じが残る。
ただ、暗いだけではなく、救われるとまではいかないかもしれないけど光明の兆しがほんの少し見える。そんな短篇が詰まっている。
完成度の高い話ばかりでもあり、どこともつかない結末がふわっとしている点も含めてヴィレヴァンで人気出そう(disではないよ)
どうだろう。自意識をこじらせたような人達が沢山出てくるので、とても身につまされる。人と人が互いにずれを感じながら、見下したり、利用したり、それでも一緒にいて何とかやっている。それが救いといえば救いかもしれない。分かりやすい救いはない。思い詰めていることを、一笑に付された時、怒るのか、「ああ、考え過ぎだった」と気付いて少し前向きになれるのか。暗く静かな気分になりたい時に読む。