寂しくもあり優しくもある…ロボットと人間の話にコメントする
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鍵つきテラリウム

目を奪われる美しい色彩の終末世界で

鍵つきテラリウム 平沢ゆうな
兎来栄寿
兎来栄寿

平沢ゆうなさんと言えば『僕が私になるために』という実録性別適合手術エッセイマンガが非常に面白くためになったのですが、それからいくつかの短編を経て始まった待望の連載が『白百合は朱に染まらない』、そしてこの『鍵つきテラリウム』です。 『鍵つきテラリウム』は、(コミックスにも掲載されている)webで掲載された0話にあたるフルカラーのプロローグを初めて読んだ時、そこに描かれていた美しいポストアポカリプスのコロニーの風景に一瞬で心奪われました。元々、私は廃墟萌えの性質があり終末世界系は大好きですし、特に人の手によって造られた建造物が崩壊してそこに草花が生い茂っている感じも大好物。それはもう堪りません。 更に、人間とロボット的なテーマも入ってきて心の奥底まで優しく、時に切なく響き渡るストーリー。それらが生み出すハーモニーは非常に上質で心地良いものでした。ずっとこの世界に浸っていたいと思える稀有な作品です。平沢ゆうなさんのカラー背景がとても良く単行本の店舗購入特典各種も素晴らしいので、ずっと描いてて頂きたいと願ってしまいます。 『少女終末旅行』、たつき監督作品、ニーアオートマタなどが好きな方にもオススメしたい一冊。

宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

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