アンカル アレハンドロ・ホドロフスキー メビウス
『アンカル』ついに映画になる…のか?
広大な宇宙の彷徨、発達した科学、自己精神世界への言及、哲学的な問い…。メビウス、ホドロフスキーの黄金コンビが手がけた本作はSFのジャンルでいうと「スペースオペラ」に当てはまります。
BD(バンドデシネ)でもよく見かける定番のジャンルです。
定番ではあるのですがやはり『アンカル』の絵と物語のクオリティは一線を画しています。
私立探偵ジョン・ディフールと謎を秘めた「アンカル」をめぐる冒険活劇がホドロフスキーの豊かなスペクタクルとメビウスの達者な筆致で描き出されていくと、途中で読むのをやめるのは難しいです。人間の想像力って無限なんだなと思い知らされます。
他にことばを絞り出すのが難しいくらい、端的に言って作品としての完成度が高すぎる。
よくもわるくもBDといえばSF・哲学的・アーティスティックというのが一種のステレオタイプとして今でも通用しています。
実際にはそれはBDの一側面に過ぎないのですが、この『アンカル』のような作品が存在しているために強固なイメージとして定着したのは間違いないように思います。
BDの世界に触れるとなったときに避けては通れない傑作のひとつであることは、これまでもこれからも変わらないでしょう。