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ピラっと本を開いただけで、「ああ、この漫画はスゴい。超カッコイイ」と思わせてくれる描き手が、ごくまれにこの世界に降ってくる。才能というのはとても残酷なものだなあ、と思う。
自分にとって、魚喃キリコはそういう存在です。
透明感がありながら、独特の手触りと血が匂うような痛みがあって、それでいて、読んでいるとザワザワと脳の快楽神経を刺激してくる。
魚喃キリコにしか描くことのできなかった、特別な世界です。
(あ、「魚喃」は「ナナナン」と読みます。念為。本当に独特だよなあ)
一コマ一コマに描かれた線と面が、まるで長沢節のデッサン画のように素晴らしい…と言えば、もちろんそれは褒めすぎなのですが、あの「香り」をチラッとでも感じさせる漫画ってだけで、とんでもないことだと思うんですよ。
日本の漫画家には「セツ・モードセミナーに通っていた人」という一群があって、バロン吉元御大を別格にすれば、魚喃キリコこそその最良の成果ではないか、と勝手に思っているのですが、彼女がセツに通っていたかどうかは不明なのです。絶対行っていたと思うんだけど、どうなんだろう…。
魚喃キリコのあの名作が祥伝社から復活!!※本書は1997年にマガジンハウスから同タイトルで発売されたものと同じ内容になります。