作中の個人の動機付けに対して、納得することが出来るのは良い物語だと勝手に思っているのですが、この作品の登場人物たちが抱えている事情は、読者に対してとても強い印象を与えてくれます。主人公の小野君、荒井さん、神田さん、佐川さん…。それぞれが抱える、蝶に対する背景が明かされる度に、読者はただただ圧倒されます。
設定の素晴らしさが語られることが多い作品ですが、それに負けず劣らず登場人物も魅力的であり、このサーガを紡いでくれた安堂先生、掲載してくれたコミックリュウ編集部、そして転生を遂げさせてくれたアワーズ編集部に感謝しています。
漫画を好きでもこの作品を知らないという人が多くて、でも勧めて読むと本当に面白くてびっくりする、ということが自分の経験でもう十指に余るくらいあって、理屈は良いからとりあえず読んでくれ、とまあ鬱陶しいくらい言い続けてる作品です。
この投稿で、一人でも多くの人にこの作品を知って貰えれば幸いです。

読みたい

試しに一巻読みました!
読みやすいし設定も面白い。
個人の動機付けに対して納得、わかります。
過去にこういうことがあって動機はこうで〜の部分が納得できないと設定だけが浮いて感情移入できないと思います。
蝶を管理する組織に集まる人間たちの動機、まだ主人公だけですが他のメンバーも色々ありそう!
読み進めてみます〜!

読んでいただきありがとうございますm(__)m
ちょうど今週、続編にあたる「特蝶」も発売なんでそちらも是非。続編ですけどバタフライ~から16年ほど前にさかのぼります。

魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春

長い時を経て #1巻応援

魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春
ナベテツ
ナベテツ

原作小説を読んだのは中学生の頃、近所の図書館で借りたことがきっかけでした。30年後にこの作品がコミカライズされると聞かされたら、少年はどんな感想を抱いたのでしょうか。 ドラクエなどのRPGに多大な影響を与えたウィザードリィ。死亡したキャラの蘇生に失敗すると灰になり消滅してしまうというシビアな設定が、この世界を伝える物語のタイトルとなり、やがてコミックへと転生を遂げました。 版権の都合で、ウィザードリィの固有名詞は一切使えず、アイテムや呪文、固有のモンスター名などは全て変わっています(ガディは原作よりだいぶおっとりしてる気もします)し、気を抜くと先の展開のネタばらしをしてしまいそうになりますし、ここでもなるべく注意をして言葉を選びたいと思います。 昭和~平成のファンタジーのコミックも好きなタイトルはあります。ただ、令和に描かれるとやはり迫力が違うなあと感心しますし、(物語を既に知っているとはいえ)迷宮での冒険がどのように描かれるのか、展開を楽しみにしています。ペース的に、原作を描ききるには相応の話数が必要だとは思います(稲田先生はかなり丁寧にストーリーを紡いでいますし、連載の継続の一助にでもなれば、との思いでこの口コミを投稿しています)。 魅力的なキャラはこれからも沢山登場しますし、日本のファンタジーの金字塔として語り継がれるベニー松山さんの傑作を、1人でも多くの人に知って貰えれば(原作小説、紙だと高騰してるんですよねえ。電子で簡単に買えるんでまあ良い時代になったなあと思います)。 続編の「風よ、龍に届いているか」や外伝の「不死王」もコミカライズされて欲しいもんだと、古いオタクは願ってます(不死王はKindleで100円ですからほんと良い時代です。一応紙でも持ってます)。

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還

幻獣達の物語

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
ナベテツ
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ジョニー・ライデンという名前を知ったのは、テレビのガンプラのCMでした。アニメには出ない、設定先行のキャラであり、知名度と実像が一致しない、謎めいた呪文のような存在でした。 ガンダムを下敷きにしたアンソロジーなどでその姿を描かれることがあり、短編は幾つか持っていますが、26巻ものサーガになるとは思ってもみませんでした(沖一さんの短編集が佳作であると思います)。 一年戦争の最中、エースパイロットを集めたジオンのキマイラ大隊。多くの謎を残したまま闇に消えた「幻獣」。エース達を率いたジョニーに関しても、様々な噂が錯綜しており、それが様々なジョニー像の由縁であると作中で語られます(この辺がアークさんの作劇の巧みなところだと思います)。 作中はZZから逆シャアの間の時期であり、他の 作品で語られて来なかった空白の時代でした。制約のある中、過去作の登場人物やMSを絡め、先行作品へのオマージュやアークさんの過去の作品との関連性もあり、宇宙世紀に描かれた新たな歴史の一篇として、この作品の完結を祝いたいと思います。宇宙世紀の物語を知らない人にはちと勧め辛い作品ではありますが、戦闘シーンの格好良さも含め、ガンダム好きに勧めたい名作です。

がんばりょんかぁ、マサコちゃん

誠実な官僚と陥穽 #1巻応援

がんばりょんかぁ、マサコちゃん
ナベテツ
ナベテツ

以前に赤木雅子さんと相沢冬樹さんのノンフィクションを読んでおり、連載が始まったと知った時、単行本を楽しみにしていました(確か6月くらいに発売予定が出たので、伸びたのにやきもきしていました) 流石に森友事件を知らない人はいないと思いますが、幸福な夫婦を襲った不幸な事件であることは、論を俟たないところです。 赤木さんという人は、官僚として誠実に職務を果たそうとした人でした。本来の官僚というのは全体への奉仕者であり、特定の人間への利益を優先させるようなことを許容することは自己の存在を否定する事になります。己の職務が犯罪へと繋がるとなれば、官僚でなくとも耐え難いことでしょう。まして、仕事にプライドを持つ人であれば、その苦痛からの解放のために「最後の手段」を用いてしまったことへ何か言うことは出来ないと想像します。 ただ、遺された家族は違います。誠実に生きた人生に何が起きたのか、その事を知り、故人の名誉や尊厳を取り返す権利があります。たとえそれが権力者にとって不都合な出来事であったとしても。 この物語は、遺された妻の戦いの物語です。これからどれほど険しい旅路が待つのか、読者はただ見守るとしかできません。でもささやかながら、マサコちゃんへエールを送れればと思います。

1978年のまんが虫

まだサブカルという言葉も無い時代に#1巻応援

1978年のまんが虫
ナベテツ
ナベテツ

若くして成功を収めた作家に対して、その才能を讃えたり、羨望の眼差しで見つめても、その労苦へと想像力の翼を伸ばすことは難しいのではないかと思います。 作品がヒットして経済的な成功を得たとしても、その裏でどのような苦労を抱えたり葛藤を抱いているのか、受け手が知ることは叶いません。勿論、クリエイターに己の事情を明かす義務は存在しませんし、秘すべき事柄であるのかもしれません。 ただ、どれほどの才能を持っていても、彼ら彼女らも人間です。嬉しいことがあれば喜び、悲しいことには涙する。そんな素顔が垣間見えることが、漫画家マンガというジャンルの魅力の一つなのではないかと思います。 この作品は細野不二彦先生(作中では細納不二夫)がデビューに至る迄の物語です。進路に迷い、不確かな未来への夢と現実との間に揺れるその様は、多くの人々と変わらない、等身大の青年の姿です。 一人の青年の青春譜は、その時代を瑞々しく描いており、当時の世相を知ることが出来る一級品の資料としての価値もあると断言します(ヤマトからガンダムへの間を知ることが出来る作品を、自分は寡聞にして知りません)。 同級生の天才達(河森正治さんと美樹本晴彦さん)やトップランナー(高千穂遥さんや宮武一貴さん達)との交流は、自分の知らなかったことでしたし、日本のサブカルの歴史のページとして広く知られ、読まれて欲しいと願う作品でした。長々と書いてきましたが、シンプルに面白い作品なので、まずは試し読みから是非。

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破門

破門

映画製作の出資金詐欺に巻き込まれてしまったイケイケヤクザの桑原&建設コンサルタント二宮。奪われた金を取り戻すためーー厄病神コンビが大阪を駆ける!直木賞受賞作!『疫病神シリーズ』の最高傑作を堂々コミカライズ!

GOAT HEAD

GOAT HEAD

たった0.2ミクロンのゴートウイルスは人の体内で増殖、身体から溢れ出てきたウイルスは互いに融合してデカくなり人々を襲う!ウイルスによって一変した世界で、灘組の用心棒の九頭と詐欺担当の五味は殺された組長の仇を取るため、ウイルスに立ち向かうことに!?ウイルス×バディ×バイオレンスアクション!

水の箱庭

水の箱庭

クリオネ1匹、3980円。普通の冷蔵庫で飼えるんです。ただし意外な条件が……。朝霞水紀は自宅の不審火と共に消えた兄を追うように、アクアリストとして熱帯魚店で働き始める。知られざる多様な水の生きものを扱う現場では悪戦苦闘の毎日が待っていた――。静かなる水槽ブームを牽引する“水の庭師”が、美しきアクアの世界をご案内!

雪女幻想

雪女幻想

「私はただずっと添い遂げられる男性(ひと)を探しているだけなのに」…「あれは人ではないものだったのではないか」… とある海辺の町に住む青年・将(すすむ)は、降りしきる雪の日に、どこからともなく現れた1人の女と出逢う。彼女の名は、雪(ゆき)───。働き者で器量良しの雪を嫁に迎えた将は幸せな日々を送っていた。しかし、家の前で不審な男を見かけた日から、雪への疑念が生まれ………?

Silent Blue

Silent Blue

水を描く新鋭・安堂維子里の最新作! 「隕石落下によって出来た湖・二十日湖(はつかこ)が抱く、20年前の真実。」湖にねむる“街”と“記憶”。隕石が落下した街に、20日間雨が降り注ぎ出来た湖・二十日湖(はつかこ)。そのほとりで移動カフェを営むあおこは、沈んだ街に住んでいたが、隕石落下前の記憶がない。記憶を探し求め、湖に潜るあおこと、彼女が出会う人々。ある物を捨てにきた女子高生、20年ぶりに戻ってきた警察官…。そして、隕石落下を疑う保険会社の調査員。あおこがすくいあげる彼らの想いと、その先にある幼い頃の自分―――。心に優しくあたたかな波紋広がる静かに深い記憶の物語。

妖精消失

妖精消失

クローンを研究する青年がある日、妖精を目撃してしまう。青年にしか見えない妖精たち。この目撃が世界を揺るがす事件へとつながっていく…。初の作品集「世界の合言葉は水」が「このまんががすごい!2011」をはじめ数多くの書評に取り上げられ話題となった注目の作家、安堂維子里の連作。

世界の合言葉は水 安堂維子里作品集

世界の合言葉は水 安堂維子里作品集

「水」をキーワードに、日常の中にひそむファンタジックな要素を掬い上げた佳品。「おぼん」「私たちはまだ途中」「Fusion」「なんて哀しい星」「塩害の季節」「海のお天気」「ぎゅう」「メルトイズム」「季・節・水」珠玉の短編の数々を集めた作品集。COMICリュウ新人賞を受賞した注目の作家、安堂維子里の初コミックス。

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