この一冊で売野機子にハマりました!
売野先生の作品は初めて読みましたが、収録されている作品全てどれも傑作です。 表題作の「薔薇だって書けるよ」も素晴らしいですが特に僕の心に残ったのが「日曜日に自殺」です。アーティストが作品に込めたメッセージがどのようにして人々の記憶に残り次の時代、そしてまだ生まれてきていない子供たちに受け継がれていくのかを非常にわかりやすいメタファーを使いながら詩的に表現しています。ラストのコマを見た時には本当に胸を打たれ、自分はきちんと彼らのメッセージを受け取り実行しているだろうか?と真剣に考えてしまいました。 また、同人時代の作品「晴田の犯行」(この作品も非常に完成度が高いです)も収録されているので、先生がアマチュアからプロとしてデビューするまでの軌跡を追うという意味でも価値のある一冊だと思います。 装丁も素晴らしいので、可能であれば電子版ではなく紙の本で手にとって欲しいです。
ルポルタージュで知られる売野機子の短編集。
どれも良い。文句なしの短編集。ただ個人的には表題作の印象がなんといっても強い。
主人公が一緒に暮らしているのは、欠点はあるけど、可愛らしい妻。けれども日常生活のことがあまりにもできない! 主人公の苛々は徐々に溜まり、家に帰るのもイヤになる。
そんなある日、突然それまでできなかった家事などを妻ができるようになる。主人公はそのことをとても喜ぶが……
物語にのめりこんで、心が冷えて、救われる。美しい短編。