狂気変態百合に初恋、正面突破。
高校に入学したばかりの塚本は、三年の岡崎先輩が吉田先輩に裸にされ、弄ばれているのを目撃する。何とかしなきゃ……と思う以上に、塚本は同じ女子である岡崎先輩に、初めての欲情を覚える。 状況に介入を始める塚本。しかし次第に明らかになる、危ない執着と救いようの無い変態性。思いもよらない事実にゾッとさせられる。 しかしこの状況に塚本は、最初の衝動のまま、純粋な初恋で立ち向かう。歪んだ危険な思考に対して、あくまでも「私を見て!」と言う塚本。そこにあるのは、美しい恋ではない。人と向き合う事の困難さと、それを強い想いで突破しようとする、苦しく見苦しく息苦しく、そして切実な恋だ。
しおやさんの絵柄ってどちらかというとコメディ向きだと勝手に思っているのですが、その絵柄でかつ細かいギャグを挟みつつエロ含めてのドラマチックな百合展開、緩急の付き方が凄くて引き込まれる。最初、絵柄でちょっと油断させておいて唐突なイジメの過激シーン、そして後半になるにつれて関係性がどんどん変化して見える構成も素晴らしく、圧巻の約300ページ。
前作『アオとハル』と比較するとギャグ要素を少なめにして、登場人物の心情描写に重点を置いた内容。それだけに導入部分を越えたら読者に隙を作らせず、一気に怒涛の展開に引き込まれる。
『アオとハル』が好きな方ならもちろん、読後感だと『にいちゃん』も近い感覚があるので、そいうった作品が好きな方なら是非読んでみてほしい。
全1巻読了