ケモノクニ 土屋計
ケモノクニ感想
ジャンプ+で隔週連載中。
高校生の性や恋、友情に関するものすごく繊細な部分を直接的な言葉に頼らずとても丁寧に描いている作品。
よくある高校生の青春ものかと思ったらもっともっと深いところまで連れていってくれる。
高校3年4月、太一は小学校からの幼馴染だがあまり話さなくなった人気者のトーマと、彼のことが好きな小動物系女子の双葉と同じクラスになり、変わりたいと願う双葉に協力することにしたのだが努力は空回り人間関係は複雑に絡み始める。
1話目からもしや、という布石が思春期の人間関係の中に丁寧に散りばめられていて、読み飛ばしてしまいそうな仕草や視線の中に恋心が織り込まれているから一コマも見逃せない。
男と女、男と男、女と女、恋と憧れと友情と混ざり合い交錯する。
この漫画の会話って実はすごくて、限りなくリアルな話し言葉になっているのがたまらない。
他の漫画だと今井哲也『ハックス!』や、ヤマシタトモコ作品に感じられる。
「んー・・」「「・・えっと・・あの・・あのね・・」
のような、呼吸の間やスッと言葉が出てこないときの感じを出すので、人によっては間延びして感じられたりだるくなる人もいるかもしれない。
でも僕は好きだ。
人と人の間、つまり「人間」の関係性をこれでもかと丁寧に描いている。
言葉にならない、できない感情を丹念にすくってくれる。
社会に蔓延る様々な生きづらさを高校生たちに背負わせてるが、そこに救いを見せてくれそうで期待してしまう。
終盤に近づいてきたようではあるが、どのように収束するのか楽しみだ。