血の繋がらない13歳の義妹に翻弄される30歳の男
母を亡くし、恋人に裏切られ、仕事を失って、人生どん底になったら、自分を捨てたはずの父親が迎えに来た。血の繋がらない13歳の妹と一緒に。最初は主人公のことを拒絶していた妹だったが、次第に2人は惹かれ合っていくようになる…。私のつたない説明だとエロ漫画みたいな展開を想像させてしまうかもしれませんが全然そんなんじゃないです。でもすごく人間的な生々しさがあります。 今回久しぶりに読み返して気づいたのはセリフが少ないということですね。説明的なセリフがない。モノローグがない。絵だけで魅せてるシーンが多いんですが、その絵もシンプルです。でも魅せ方が上手いので、兄妹の恋愛という重量感があるストーリーでも大味にならずに、些細な心の動きに集中しながら読み進めることが出来ます。2人が惹かれ合ったりするきっかけが一つの場面だけじゃなくて、心情の変化の重なりによってそうなってるので自然なんです。 ラストもいいんですよね〜。6年後を舞台にした第2章を描いて欲しいです。
年の差がある義理の妹と、大人の兄のラブストーリー。非現実的な設定を、この作者は圧倒的にリアルな、鋭い切れ味で突きつける。ヒロインの魅力と、主人公の葛藤、二人を取り巻く他人の目、全てがどうしようもなくリアルで救いがない。
13歳の少女「初穂」の描写の緻密さは、この作品の最大の魅力だ。艶やかな唇、周囲の目と抗う強さ、少女ゆえの脆さ。めっっっちゃくちゃ可愛い。守ってあげたい、自分のものにしたい、めっちゃわかる。
全てを失った主人公「一」が抱く恋慕の情、背徳感、葛藤は、一巻を読み終える頃にはもはや他人事ではなくなっている。しかし同時に他人である我々は、彼らが行き着く未来は破滅への道であることを予期してしまう。どうにか幸せになりたいなあ、そう祈りながら次刊を待つ。