これを読んでからずっとファン
ビーム連載当時に友達からすすめられて読み始めて、志村貴子先生のファンになったきっかけの作品です。 トランスジェンダーを扱った長編作のなかでも名作に入ると思う。 この可愛らしい表紙からはあまり想像できないほど、パートによっては読むのが辛くなるような部分もありました。それでも登場人物たちは年齢を重ねながら、色んな人と出会い、各々で視野を広げていくうちに「こっちが心配しなくてももう大丈夫だな」といった感じで手元から離れてくような感覚にもなりました。 ここからは細かい個人的な好みの話ですけど、主人公にとりんの姉・まほちゃんの彼氏の瀬谷くんがほんとイイです。まほちゃんが弟にはちょっときつく当たりがちで気が強いのに対し、瀬谷くんのイケメンなのに控えめで押しが弱い感じがたまらないんです。とにかく性格がいい。 もうひとりは千葉さん。千葉さんはたぶん放浪息子読者のなかでもかなり人気が高いキャラクターのはず。可愛くて強くてでも不器用で、そして可愛い。 もしこれから読むという方は瀬谷くんと千葉さんに注目してみてほしい。
「女になりたい」「男になりたい」
生きてきて一度は思ったことがあるそんな気持ちを、小学生のころから燻らせるふたりの男女が主人公。
またふたりの周囲の人たちもひとくせふたくせもある個性的なキャラクターが多いのに、登場人物の生活感や現実味が、隣町にいるのではないかと考えてしまうほどリアル。
題材としてはすこし特殊だけれども、こんな子いるよね、と思えるような作品でした。