預言者ピッピ
もしかしてAIが発達したらこうなるんじゃね?
預言者ピッピ 地下沢中也
かしこ
かしこ
マトグロッソさんのインタビューで預言者ピッピの続きについて触れられていたので久しぶりに読みたくなりました! https://manba.co.jp/manba_magazines/25517 自然災害を予知する為に作られたロボットのピッピ。災害に対するあらゆるデータをインプットし予測の実験を繰り返すことで大地震の発生を3ヶ月前に予知することにも成功していました。ピッピを作り出した科学博士の息子タカオは「ピッピが願ったから多くの人を助けられたんだ!」とまるで兄のように慕っていましたが、交通事故によりピッピの目の前で亡くなってしまいます。自分の予測に反した出来事が起きたことで一時的に活動を停止してしまいますが、再起動したピッピの中にはなんとタカオの人格が生まれていたのです。そしてピッピは自然災害の予知以外にも自分の能力を使いたいとデータの入力制限の解除を求めてきて…。 AIが発達した社会はこうなるんじゃないかと予知していたかのような内容です。読んでいて最初は人知を超えた力を持ったピッピのことを畏怖しますが、だんだんとそれに振り回される人間の集団心理の方が恐ろしく感じられるようになります。ピッピがデータの入力制限の解除をすることに反対していた博士の「人間には迷う自由、間違う自由がある」という言葉に今は共感するけど、今よりAIが発達するであろう10年後の自分が全然違うことを感じたらどうしよう。
女神の標的
戦後の金塊争奪サスペンス #1巻応援
女神の標的
兎来栄寿
兎来栄寿
『がんばれ元気』、『お〜い!竜馬』、『あずみ』などでお馴染みの、小山ゆうさん最新作。『颯汰の国』を挟んで、『雄飛』と同じ昭和の物語が新たに紡がれています。 本作は1953年の戦後間もない時代が舞台。大衆演劇の花形役を務める主人公の春子が、日本軍の大佐であった父が隠した日本再建のための金塊を巡る争奪戦に巻き込まれていくサスペンスです。 男剣士を凛々しく演じる美しく強い春子は、恩義のある座長のもとで何も知らず暮らしていましたが、ある日を境にその日常が崩れていってしまいます。ただ、戦後という時代もあり、ただやられるばかりではなく暴力に対し時に立ち向かって反撃していく姿もあり痛快です。 鴻鵠の志で金塊を隠した春子の父に対して、本当に存在するのかどうかも解らない「女神」(作中で金塊の隠語と語られる)を巡って、多くの人々が醜悪な争いを起こしていくさまは何とも言えません。 そしてまた、もし金塊が時の総理の下に首尾よく回っていったとしてもそれが正しく使われるかどうかは別の問題として存在するのもまた無常感を覚えさせられます。仮に総理が高潔な志で差配を行おうとしても、さまざまな思惑や柵が絡んだ政界でどこまで理想通りに事を運べるのか。栓なきことと解りながらも、考えてしまいます。 ともあれ、さまざまな勢力が互いに画策し合い息もつかせぬ展開で、誰を信用できて誰が信用できないのかも解らない春子の緊迫感がそのまま伝わってくるようです。 小山ゆうさんももう76歳ですが、筆に翳りは見えません。池上遼一さんも今月で80歳を迎えますが、皆さんお元気でい続けて欲しいです。
iメンター すべては遺伝子に支配された
遺伝子とAIに支配された世界
iメンター すべては遺伝子に支配された
六文銭
六文銭
自分の遺伝子に応じて、適職や配偶者までも 「iメンター」 と呼ばれるAIツールのようなものが判断してくれる世界。 しかも精度が高いからほぼ合っているという感じで、人類は無駄な努力というものがなく(例えば、野球選手になれる特性がなければ野球をしないとか)、効率的に人生を送れるというもの。 近未来では、わりとこうなりそうな感じで読んでてワクワクした。 しかも、1話完結のオムニバス形式ですが、徐々につながっていく感じはゾクゾクしました。 余談ですが、昔何かの本で、 パンドラの箱の中身にあった、すべての災いの正体は「自分の未来」 という解釈をした本があって、それを思い出しました。 つまり、将来自分がどうなって、いつ何で死ぬかを知ること以上の絶望はないという解釈だったのですが、確かに、どうなるかわからないから可能性にかけて頑張れるというのありますよね。 だから本作のように、生まれながらにして将来が決まってしまう世界は、絶望しないのかな?とか考えてしまった。 登場人物、意外と穏便に過ごしているので。 いずれにせよ、SFジャンルとして考えさせられる作品で、3巻完結なのも読みやすくて良い作品でした。
よげんしゃぴっぴ
預言者ピッピ1
預言者ピッピ2
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