サイファー

当時の子どもたちは耐えられたのか…!?

サイファー かとうひろし
みど丸
みど丸

自分はリアルタイムの世代ではないのですが、人から「恐ろしい漫画がある」と言われて読みました。何が恐ろしいかと言うと本作はコロコロコミックで連載されていたということ! 超能力者サイファーとして目覚めた少年イッキが立ち向かうのは人間の脅威であるモンスター、ガイ魔。 このガイ魔が毎回かなり怖い。身近な人物に擬態したり無関係の人間を操ったりと、メンタルをゴリゴリに削る戦法を取ってきます。イッキのガイ魔との初戦は壮絶以外の何物でもない…。 怖いだけでなくグロさもバッチリ兼ね備えています。人間が真っ二つになったり首が飛んだりドロっと溶けたり…残酷描写はかなり気合が入っていて、当時のコロコロこれがOKだったのかという驚きがありました。 ちょっとネタバレになってしまいますがクライマックスもガイ魔のボスを倒してめでたしめでたし…とはいかないのが恐ろしい。最終ページがこれほどビターなコロコロのマンガ、自分は他に知りません。 あらゆる面から幼少期に読んでいたら自分はトラウマ間違いなしでした。大人になった今読んでも怖い。 マンガ図書館Zなどで全話公開されていますので、未読の方はぜひ震えてほしいです。 https://www.mangaz.com/book/detail/44531

しにものがかり

怖さだけじゃない新機軸の"学校の怪談"マンガ #1巻応援

しにものがかり 荊木吠人
sogor25
sogor25

四辻中学校の1年C組には「しにもの係」という係が存在する。活動時間は放課後の4時44分から7時まで、"危険だから"2人1組の行動が原則、そしてよほどのことがない限り「しにもの」の数を"減らしてはいけない"。これは入学早々に「しにもの係」に任命された柴生賢征と同じ係の不二見空子、そして四辻中学校に巣食う数多の「しにもの」たちの物語。 タイトルやあらすじからも察せる通りホラー要素満載の作品。昔あったアニメ『学校の怪談』にも近いような雰囲気なんだけど、この作品は「しにもの」に生徒が襲われて終わるような物語でもなければ、逆に「しにもの」を退治していく物語でもない。あくまで柴生たちは「しにもの係」で、学校にいる「しにもの」たちを世話したり管理したりする役割。テーマとしてはオカルト寄りだけど、いろんな切り口の解釈を盛り込むことにより単純な怖さだけじゃない、様々な角度の面白さがある作品。 …ただし、「しにもの」を世話する係があるということは、世話をしなければ問題のある「しにもの」もいるということ。それが何を意味するのかは、読んでみてのお楽しみ…。 1巻まで読了。

ソレミテ~それでも霊が見てみたい~

霊が見えないという幸・不幸と、笑い・恐怖。

ソレミテ~それでも霊が見てみたい~ 石黒正数 小野寺浩二
名無し

オカルト大好きだが霊を見た事が無い漫画家二人(♂)と 編集者二人(♀)と、その他のゲスト参加の人達が 「それでも霊が見てみたい!」 「霊が見れたら連載終了で!」 と有名心霊スポットを実際に訪れる実録体験レポート漫画。 実際に、かなり怖そうな場所に体を張って突撃しています。 この手の実録体験レポなどだと良くあるのが、 ワイドショーみたいにヤラセをするとか、 針小棒大に話を膨らませるとか、 少年マガジンのMMRみたいに牽強付会に こじつけをしまくって壮大なストーリーを毎回演出するとか。 ソレミテは、そういうことはしていません。 ソレミテは、かなり真面目で嘘をつかない漫画のようです。 その結果として、恐怖体験レポというよりは とても面白い実録コメディになっています(笑)。 一話のなかに恐怖体験が一つも無かったりします。 というか 「このままだと霊を見るまえに連載終了になってしまう」 という恐怖を登場人物が味わうことになったりしています。 それらを読んでいる自分の感想としては 「あ~アフタヌーン・ショーとかの製作スタッフって、  こういう現実に耐え切れなくてヤラセをやっちゃったのかな」 とシミジミ思ったりしました。 そういう意味で、メチャクチャ面白い漫画でした(笑) 霊的な存在には面白半分な気持ちで触れてはいけないはずで、 そういう面からの評価をすれば、この手の心霊レポ漫画って 不謹慎すぎる内容になりがちだと思うのですが、 ソレミテは取り組み方はとても真面目です。 ・犯罪行為をしない  (立入禁止区域への侵入等) ・地元住民とトラブルをおこさない ・常軌を逸した行動をしない  (霊を出すために墓石を蹴る等) というルールを課しています。 とはいえ数回の連載を終えて全く霊と出会えなかったので ギリギリのラインで霊を挑発する行動に出たりしましたが、 それすらも結果的には霊的存在に対する不謹慎な行動ではなく むしろ有名俳優の某M氏に対して謝れ、と言いたくなるような 秀逸なギャグになっていたりします。 (しかもそのギャグは漫画のために狙ってやったのではなく、  本当に天然行動で生まれたマジネタみたいだった) まさに恐怖と笑いは紙一重、というコメディの一面を リアルに産み出してレポートにしています。 私自身も怖い話は好きだけれど霊感ゼロで、 霊をみたことがありません。 けれども、祟られたり憑りつかれるとか絶対にイヤなので、 こういう行動はマネ出来ませんね。 そういう意味では、それをやって漫画にしてくれた 小野寺先生、石黒先生には感謝です。 しかしここまでの結果?になると、むしろ 「つまり霊魂とか実際にはいないってことだよね」 というオカルト否定論に繋がりそうで、 オカルト好きには逆風を浴びせる漫画といえるかも しれませんが、これは恐らく両先生が 私以上に霊感ゼロだからなんだろうな~ それじゃしょうがないよな~と、あくまでもこれは 両先生の霊感の無さによるものだと思うことにしました。 自分よりも霊感が無い人もいるみたいで少し嬉しく感じました。 あと第二巻の第十二夜話に、 霊能者が語る霊感の鍛え方が書いてありましたが、 これだけはマジに怖かったです。 マンガ内でもコメントとして書いてありますが、 勇気のある方はお試しアレ。自己責任で。

絶叫劇場

これは著者が歩んだ道の通過点のひとつでしかないのだ…

絶叫劇場 谷間夢路
nyae
nyae

可憐でthe少女漫画な絵柄に対し、容赦のないグロ描写。キャラクターの独特なテンション、一貫性があるんだかないんだかわからないストーリー。作者の頭はちょっとオカシイとしか思えない。 これを読んで「なんだこりゃ、アハハ」と笑うことはとても簡単だ。 しかし著者が生前に生み出した作品の数と幅の広さを知ると、これは長い漫画家人生のほんの一作に過ぎないんだな、これだけ読んでとやかく言うのは愚かしいな、とやけに厳かな気持ちになってしまった。だって15歳で貸本劇画でデビュー(Wikipedia参照)って…それだけで凄いじゃないか。 いろんな点でホラー漫画とは、短編集とはこういうものだという固定観念をぶっ壊してくれました。谷間先生はもう亡くなっているので、現代でもそういう作家に出会ってみたいものです。 固定観念がぶっ壊れたというのは、全ての短編において主人公の少女は別人であるはずなのに、ボブヘアに小柄なセーラー服、不自然に逆だった前髪と、風貌が全く同じであるということ。何か意味があるのか…?と最後まで読んでみたものの、何もなかった。そういう「なぜ?」というところがたくさんあるのにそのまま貫いていたので、それでもいいんだなという気付きになったということです。 「動脈切れてないわ…」じゃあないんだよ(とやかく言ってしまった)

MAYA ~真夜中の少女~

90年代の少年マガジンらしさが詰まったオカルティックな漫画

MAYA ~真夜中の少女~ 本島幸久
くまぞう
くまぞう

90年代の週刊少年マガジンで連載されていた、未来予知能力を持つ少女が主人公のサイコサスペンス。周りの人の死が見えてしまうということで、それを防ごうとあれこれ手を打つのですが救える命もあれば、救えない命もあったりで、なかなか考えさせられるところもある作品でした。 心霊現象、都市伝説、怪談などオカルティックな要素だけでなく、わかりやすいお色気シーンとか、ちょっとしたラブコメ展開とか、ドキュメンタリー風のお話、気合の入ったヤンキーが出てきたりと、少年マガジンのエッセンスが随所に詰まってます。 何と言っても主人公・深月真夜のキャラクターが良かったですねえ。ほとんどのシーンで思いつめた暗い顔をしてたり、絶望した表情ばかりなんですけど、その憂いを秘めた顔が良いのです。わたるクンと出会ってからは徐々に明るくなり、その容姿だけでなく性格も含めて回を追うごとに魅力的なヒロインになっていったと思います。 あと、3巻に登場した鷹音クンの回とか印象的でした。「カルネアデスの板」の回とか印象的で、よく覚えてる人も多いのでは。 ちなみに単行本未収録となってしまった「サイコパス編」はもう内容を思い出せないのだけど、それほどの問題ある話だったのか気になる所ですね。

井戸端は憑かれやすい

ほんのり効いたBLがいい心霊ギャグ4コマ

井戸端は憑かれやすい 竹屋まり子
天沢聖司
天沢聖司

めちゃくちゃ好きでたまに読み返したくなる優しくて笑える心霊4コマ。BL好きにはたまらないコメディだと思います! 神社なんて継ぎたくない不良の御守(みもり)には、ものすごく霊に憑かれやすい可愛い系の幼馴染・井戸端がいる。 神社なんて継ぎたくないわりに、幼い頃から怪異に襲われている井戸端を毎日助け続けて来たために能力はガンガン鍛え上げられている。 バシバシ殴って霊を祓う姿が、どう見てもイジメにしか見えないことが悩みだったが、ハグすることでも祓えると判明。すると今度は当然ながらBL疑惑が浮上して…というあらすじ。 動物霊に憑かれた井戸端が可愛く見えてしまったり、普段の言動から「束縛系オラオラヤンデレサイコボーイズラブ」と誤解されてしまったり、ほんのりBLが効いたギャグが面白い! 「眉唾」で御守の唾を井戸端に…は、オカルトとBLを上手く使ってていいなぁと思った。 また、男子たちだけじゃなくて、女子も「エロいことを考えると霊が逃げる」などで笑わせてくれるところが良い。 あと別にオタクじゃないキャラがオタク文化に精通してる様子をみせるところがすごい好き(グッズのトレードの掲示板の文章とか、息子&娘大好き御守パパが「(息子のフィギュアを作る)いい原型師が見つからない」って言ったり) 実は御守の妹が呪いの人形で御守と井戸端を結びつけていた…という、予想外の展開にはすごい笑ったけど、それをただのギャグで終わらせるのではなく、2人の曖昧な関係にきちんと決着をつけてハッピーエンドを迎えたのがよかったです。 作中に登場した霊感がないひとでも霊視できるようになる「狐の窓」は、思わず真似してしまいました。 https://comic.pixiv.net/works/4102