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マフィアに両腕を奪われた男が鉄の義手を身に着けて復讐に挑む!というキャッチーな設定に目を惹かれて読みました。鋼鉄の義手を持った殺し屋なんて断然カッコイイキャラですよね。
ところが『鉄の旋律』はハイテク義手を華麗に操り仇を成敗…という流れにはなりません。
まずこの義手はメカニカルな機構は一切ないハリボテで、動力源になるのは主人公タクヤの念力(超能力)です。
復讐の念が強すぎて制御不能となった義手は、マフィアのボス、エディの周囲の人間を次々に惨殺していきます。地面を這いずる鉄の腕がご丁寧にも相手の腕をちぎり取っていくようすはさながらホラー映画のよう。タクヤ自信も無秩序に犯罪を重ねる自身の潜在意識に精神を追い詰められていきます。
そこには勧善懲悪の「スカッと感」はありません。
復讐のカタルシスをテーマにした作品は昨今特に目立つ気がしますが、本作は人間の復讐心そのものの恐ろしさと、そこに囚われることの虚しさを描いているように思います。
クライマックスの場面で何の因果か憎きエディに命を救われる段になり、タクヤの心境は変化します。復讐を遂げられなかった自分への恨み言を叫びながら再度義手を操ろうとしますが、その動きは緩慢なものになっている…ように見えるのです。
マフィアの私刑にあい、両腕を失った男、壇タクヤ!復讐にもえたタクヤは、念力で動く義手を手に入れた。だが、彼の意識下にひそむ強い憎悪は、彼の意図とは別に義手をあやつっていくのだった!短編二作を併録。
マフィアの私刑にあい、両腕を失った男、壇タクヤ!復讐にもえたタクヤは、念力で動く義手を手に入れた。だが、彼の意識下にひそむ強い憎悪は、彼の意図とは別に義手をあやつっていくのだった!短編二作を併録。