監禁嬢

過去と向き合うという地獄

監禁嬢 河野那歩也
野愛
野愛

あなたは今までどれだけの人を傷つけましたか? と問われて、正確な数字を答えられる人はきっといないはず。 傷つけたことすら気づいてないことも、忘れてしまったこともたくさんあるはず。 そんな過去が今の自分をぶち壊しにきたら、どうする? 愛する妻と子どもと暮らす、平凡な高校教師・岩野。 ある日突然、カコと名乗る女に監禁され日常が奪われていく。 カコの正体と目的を突き止めるべく、岩野は自らの過去と向き合っていく。 過去に交際していた女性達と会うたびに、蓋をしていた記憶が開いていく。 人は誰しも思い出したくない過去はある。 傷つけたり傷ついたりした記憶ほど忘れたいものないので、その傷をひとつひとつ突きつけられるなんて拷問だよ…と岩野に同情してしまうほど。 黒歴史と笑い飛ばせない過去くらい、人にはあるものでしょう。それによって現在進行形で傷ついている人がいたとしたら、どう生きていけばいいのでしょうか。 カコの正体と目的を知り、岩野が出した答えが妥当な気がした。正解ではない気がするけど、人は生きてかないといけないし。 すっきりしないくらいがちょうどいい。過去は消えないものだから。

出禁探偵 ~クララが来たりて謎を解く???~

多分「夢」「日常」を問う?ポンコツ迷探偵コメディ

出禁探偵 ~クララが来たりて謎を解く???~ 屋乃啓人
名無し

名探偵はカッコいい。 次々と出会う難事件を颯爽とスマートに解決する。 しかし現実の日常では、滅多に難事件はおこらない。 事件がなければ名探偵の出番はない。 それだからか、探偵物の名作小説やドラマ漫画は数多くあるが、 「そんなに殺人事件に連続して遭遇するわけないだろ」とか 「むりやり密室や完全犯罪にしているだろ」 とファンからツッコまれたりもする作品も多い。 現実の探偵さんは浮気調査などの地味な仕事が殆どだとも聞くし、 名探偵が存在し活躍する世界は「夢」であり「非日常」 なのかもしれない。 だからこそ中二病的に名探偵に憧れる人はいる。(と思う) この漫画は、そんな自称・名探偵で実質は迷探偵の 中二病的な夢が一杯で、勇み足やから騒ぎが得意で、 しかも結構開き直るし責任転嫁もする、という 見た目は綺麗だが中身はポンコツな女子高生・クララが、 祖父の残した喫茶店をただ平和に守りたいと思っている、 平凡な日常を好む男子高校生・コウタが店長の喫茶店に 「迷惑だから出禁!」と言われつつも、やってくる、 というコメディ。 全二巻のうちのまだ一巻しか読んでいないが、 コメディ漫画として凄く面白い。 自称・名探偵の女子高生の ポンコツゆえの強引で的確な外しっぷりと、 それにつきあわされて喫茶店としては実害も被っている 高校生店長の悲哀が凄い。 ただ、読んでいて「あれ、これ伏線だろ?」 という点がけっこうアチコチに描かれているように思った。 恐らくだが「夢」とは何か、「日常」とは何か、という伏線。 多分、店長・コウタにも店員・副島さんにも常連・和嶋さんにも、 第一巻では明らかにされていない部分がある感じがする。 そしてそれは自称・名探偵の出禁探偵の女子高生にも。 と、読みながら推理しました(笑)。 二巻も読みたいのだけれども、近所の本屋には見当たらない。 何故だ(いや、出版社と本屋の判断だろうけれども) 面白いんだから出版社さんには重版してほしいのだが。

龍宮殿

「龍宮殿」読んでみた

龍宮殿 松永豊和
かしこ
かしこ

松永豊和の漫画を初めて読みました。恥ずかしながら最近まで存在を知らなかったのですが、マンバの書き込みでバクネヤングが面白いというのを見かけて気になりました。先に手に入ったのが龍宮殿だったのでこちらから読んでみた次第です。失礼になっちゃうけど…知識も期待もゼロの状態で読んだので、読み進めていくごとに「お、思っていたより面白いぞ…!」となりました。傑作というにはあと少し何か物足りないような気がしますが、また読みたい作品であるのは間違いないです。 タイトルと表紙で「あ〜男の子が竜宮城に行くんだろうな」というのは分かっていましたが、深海の遊郭「龍宮殿」ではメスは人間の姿で産まれるけど、オスは頭が魚の形をしている魚人の姿で産まれて、ある事情でオスは産まれたらすぐに殺されることになっている…という事が判明してから一気に面白くなりました。ちなみに主人公兄弟がうさぎの着ぐるみを着てますがストーリーとあまり関係なかったです。 作者さんがホームページで公開してくださってるので、次は「パペラキュウ」を読んでみようかな。自伝小説?「邪宗まんが道」も気になったので早速kindleもダウンロードしました。