BLUE GIANT SUPREME

ジャズは深くて難しくてカッコいい

BLUE GIANT SUPREME 石塚真一 NUMBER8
さいろく
さいろく

まず主人公のダイはすごくすごく熱がある。 周りのメンバーもそれぞれ真っ直ぐで、熱量が高い。 で、出会うその他のジャズやる人達も同様に熱い。 向き先は少し違えども、ジャズに対する熱量の高い人達を描いているんだけど、やり続けるとどういう葛藤があるのか想像もつかない。 ※もちろんコレだけが正解じゃないし特殊なんだけど 前作「ブルージャイアント」で感動と、落胆に近い憤りとを感じた人がほとんどだと思う。シュプリームではさすがに同じことにはならないと信じたい(今でもアレは本当にハッキリ憶えてるぐらいツラく、「ふざけんなーー」と口に出たぐらい熱中というか没入していた) 前作からそうだけど、途中途中で後にダイのことを語る人々(恐らくインタビューを受けている)が出てくる。 そこからは当然、未来がある程度想像できるワードがいくつも含まれており、それを踏まえて読む事でまた口角が上がってしまうのを抑えきれずに先を楽しみにして待とうと思えるそんな漫画。 ジャズが苦手であろうとわからなかろうとそんな事はどうでもいいぐらいに、五感を揺さぶってくるすごい漫画なので絶対読んだほうがいいし出来ればネタバレは見ないほうがいい。 ググると「ブルージャイアント ひどい」が一番上にサジェストされて笑ったけど、シュプリームがなかったら本当にただひどかったかもしれない。 ただ、ひどかった(と私含む多くの読者が思っている)のは本当に後半の、割と最後の方の展開の一部でしかなく、それは本当に衝撃的だったけど、その衝撃が大きい人ほどこの作品をちゃんと読んだ人であるのは間違いない。 大好きなので是非多くの人に読んでもらいたい。

ラプソディ・イン・レッド

届かぬ想いを88鍵に乗せて #1巻応援

ラプソディ・イン・レッド あみだむく
兎来栄寿
兎来栄寿

先日、『最果てのセレナード』を読んだ友人が「ピアノが出てくるマンガが面白い確率は78%くらいで異常に高い」ということを言っていて、極めて同感でした。 思うに、ピアノとマンガは似ています。 ヴァイオリンを全く弾いたことがない人は多くても、幼稚園や保育園、学校などに置いてあったピアノを鳴らしてみた経験が一度もない人は少ないのではないでしょうか。また、マンガはキャラクターの落書きくらいはしたことがある人が多いでしょうし、描くまでにはいたらなくとも、全く読んだことがない人はほとんどいないでしょう。万民共通の体験として、理解・共感できるのは強いです。 そして、肝心なのはピアノもマンガも独力で表現可能な幅が極めて広いということです。オーケストラや映画などのようにたくさんの人の手でなければなし得ない形態もありますが、ソロピアノや個人制作のマンガなどはそれらにも劣らないレベルの表現が可能です。幅が広いということは、そこにあらゆる想いや感情を乗せることができるということで、物語との相性が非常に良いということです。 想いや感情、努力や研鑽の集大成に心を奪われ揺さぶられ、人生を変えられ、苦悩や葛藤を経ながら表現に向き合い、時に挫折し時に再起し、喜びも怒りも哀しみも楽しさもすべてを乗せて世に送り出し、それによってまた誰かの人生を変えて行く……そんな瞬間が切り取られて描かれるからこそ、ピアニストや漫画家を描いた作品には面白いものが自然と多くなっているのかもしれません。 ということで、この『ラプソディ・イン・レッド』もまた名作として名を連ねていくことが期待されるピアノマンガです。 とにかく、第1話を読んだ時点で今までのあみだむくさんの作品の中でも一番面白く、凄まじい熱量を感じました。血の繋がらない母親と暮らし、周囲からは問題児のレッテルを張られ、鬱屈としている主人公・寅雄。彼の心の叫びが聞こえてくる1話でした。「音」と書いて「こえ」と読ませ、自分の「音」を伝えて世界と繋がりたいと渇望する寅雄の感情の起伏が、非常に強く荒々しく描かれています。 言葉とは便利なものですが、時に言葉では伝わらない想いもあります。逆に、言葉に頼らず想いを通わせる瞬間というのは非常に美しいものです。寅雄は、自分の想いを言葉以外で伝える手段としてピアノに出逢い、そしてその願望を成して行きます。その姿には昂らずにいられません。 未経験でありながら曲を聴いただけでコピーできる桁違いのセンスと、しかも膨大な努力することに全く躊躇がない精神力を持っており、音符すらまともに読めない素人でありながら恐ろしいほどの速度で成長して行くであろうことにワクワクします。 芸術の世界といえば変人がつきものですが、濃いサブキャラたちも続々と登場して物語を盛り上げていきます。今後も非常に楽しみです。

BLUE GIANT

音が聞こえる漫画と話題だそうです

BLUE GIANT 石塚真一
ゆゆゆ
ゆゆゆ

「BECK」といい、「デトロイト・メタル・シティ」といい、音楽漫画は、漫画なのに頭の中で音が聞こえてくる瞬間がたしかに楽しいですね。 アニメ映画化とのことで、広告がたくさんうたれているっぽい本作。 映画あらすじを先に見たせいか、一巻で高校生活を終えて、その後はジャズプレーヤーの日々が紡がれるのかと思ったら違いました。 ジャズにはまったからといって、一人でひたすら練習なんて、早々にできません。 良い意味で馬鹿です。 なりふり構わない、というか、気にしてもいない。そういう人がものすごい人物になるんでしょう。 巻末にある、未来の知り合いからの「あの人を語る」は、先を読んでないのに未来を想像させてくれて、なかなかジーンとしました。 音が聞こえる漫画は良いと冒頭で書きましたが、最初のころはサックスの音がバカでかかったようなので、音が聞こえない漫画で良かったと思いました。 想像の音しか聞こえないので、音量しかり、詳細が描写されたときは「あ、そうだったの?」というビックリ展開にもなっていて良かったです。 今なら4巻まで無料で読めるみたいなので、映画化記念にあなたもどうぞ。