音楽が繋いでくれる。
読みながらレコード店の前を通るけど、怖気付いて入ることなく終わった時代をがあったなと思い出した。 独特の世界観で、ゆるめの雰囲気で個人的には絵が特に好きです。 作品の空気感が伝わってくる細かい描写(部屋やレコード店の間取り図は見入ってしまったし、物語を更に奥深く想像できて楽しかった。)は音楽って良いなぁとも思わせてくれた。 レコードと共に持ち主にも歴史があって、それがもちろん現代に紡がれてて、、じんわりと温かい気持ちになりました。
イギリスが舞台なのかなと思いきや、ショートストーリーがふんわり繋がっていそうな形で世界狭しと様々な国が登場する作品でした。
一貫して音楽というものに対する希望の見出し方であったり、抑圧されていた時代の背景や、自由がないと感じるからこそ渇望される自由の象徴として音楽が描かれていたりする。
海賊ラジオだったり密輸されるレコードやTV放送だったり、著者の古き良き時代への想いというか憧れというかが感じられる。
余談ですが、音楽の「形」を扱う作品を読んでいて思い出したのは、御茶ノ水にあった貸レコード屋だった「ジャニス」の閉店がありました。
音楽を聴くのはCDですらなく音源はデジタルの時代にとっくになってしまったわけで、ラジオで音楽を聴くだなんて不自由だなぁと今はきっと思われるのだろうなーとしみじみ。
祖父の遺したレコードの秘密、禁制のポップ音楽を扱う地下レコード店、近未来のダイナーにおかれた古びたジュークボックス。レコードに込められた記憶と想いを辿る短篇集。