機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男

大人になったガノタ達へ

機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男 福井晴敏 矢立肇 富野由悠季 葛木ヒヨン
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

宇宙世紀0080年1月1日、連邦とジオン公国の間に終戦協定が結ばれた……とのことで、1月1日は(ガノタ的には)一年戦争終戦記念日です……という書き出しで以前、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のクチコミを書きました。 https://manba.co.jp/topics/20337 一年戦争から続く宇宙世紀サーガを通して登場する人物に、ブライト・ノアが挙げられます。ここからはそのブライトさんを主人公にした珍しいマンガ『機動戦士ガンダムUC 虹に乗れなかった男』をご紹介します。 一年戦争時に若干19歳でホワイトベースの艦長に就任。それ以来エゥーゴ、ロンド・ベルといった非主流の部隊(しかも割と反抗的な)で、戦艦の艦長を務めてきたブライトさん。 彼はシャアの反乱を阻止した後、地球連邦軍の高官と思しき「声」に尋問を受ける。二人の人物を人質に取られ、シャアの反乱で見た物を曲げて証言するよう迫られながら、彼はこれまでに出会ってきた「ニュータイプ」達の事を考える。 ブライトさんの胸中として、一貫して後悔の念が綴られる。若く感受性豊かで繊細なニュータイプのアムロ・レイ、カミーユ・ビダン、ジュドー・アーシタに対して、何もしてやれなかった……そしてその後悔は、シャア・アズナブルに対しても、そして息子のハサウェイ・ノアに対しても向けられる。 父親のように導いてやりたかったけれども、叶わなかった。思いを汲んで接したかったけれども、余裕がなかった。ひとつもうまくいかないという悲しみには、子供と接して来た身として共感する。 子育ても人間関係も、失策に気付くのはいつも後からなんだ……『閃光のハサウェイ』での、息子がやらかした事を知ったら、ブライトさんはまた同じ失望をすると思うと、切ないなぁと思うのです。 私達と等身大の、平凡な大人・ブライトさんの悲しみと、それでもなんとか自分の道を見出す姿に少しの希望をもらう、とても「大人な」ガンダムマンガ。カッコいいMSを求める事から卒業した大人の皆さんにオススメします。

日本三國

崩壊した日本の再統一をして何を目指すのか?

日本三國 松木いっか
六文銭
六文銭

久しぶりに新作を読んで うおお! ってなりました。 というのも、自分は ・歴史、特に戦国時代が好き ・軍師的なポジションの人間(策略巡らす人間)が好き ・今の日本やばくね?という謎の不安 という3点が自分の中にあって、これが本作によって見事に表現されていたからです。 さて、その内容はといいますと、 第4次産業の敗北、教育の低下、それによって日本は衰退。 核戦争が起き、日本に難民があふれ、それによってコロナ以上の感染症が広がる。 貧富の格差も相まって、民衆の間で暴動がおき日本は滅亡。 結果、3つの国に分離してしまう。 この時点でめちゃくちゃおもしろくなる予感がありませんか? 少なくとも私は冒頭で、やられました。 主人公は、3つに分離した日本国の1つ「大和」出身で、 知識もあり弁も立つことから軍師として、日本の統一を目指すという話。 主人公がこれを目指した動機も・・・ホント胸アツなんでぜひ読んで欲しいですっ。 かわぐちかいじの「太陽の黙示録」を彷彿とさせますが、 こっちは諸外国による侵入とかあるのか、まだ不明ですね。 題材としては凄まじく広がりがあってイヤでも期待してしまうので、 逆に怖いです。 とにもかくにも続きが楽しみになったのはホント久しぶりで、はやく2話が読みたいです。 最後に、余談ですが 日本が崩壊して三国に分離 とか荒唐無稽のように聞こえるかもしれませんが、ホントにそうでしょうか? 本作の冒頭にあったように、データ✕AIの第4次産業の敗北、教育水準の低下、結果、日本が衰退していくというのは、あながち間違いではない(可能性としてありうる)のではないかと考えます。 もはや日本が誇れる産業はロクになく、高齢化対策ばかりで未来への投資(主に大学などの高等教育機関への投資)が少ないのが今の日本です。 私は、このマンガが日本を再統一し、そして世界と何でどう戦っていくのかまで明示して欲しい。 そしてこれを若い人が読んで危機意識を与えかつ未来への道標になるような作品になって欲しいです。 本作こそ今この国に必要なマンガだと、個人的に思います。