くらまし屋稼業

骨太な時代劇、されどスタイリッシュで現代的 #1巻応援

くらまし屋稼業 ユウダイ 今村翔吾
兎来栄寿
兎来栄寿

魅力溢れる主人公が、バッサバッサと悪党を斬り倒していく。正に時代劇の真骨頂と爽快感がここにあります。 本作の主人公・堤平九郎が営むのは表向きは飴屋、しかし真の姿は「くらまし屋」。高額な報酬と引き換えに人間を「くらます」ことを生業としています。手練れが跋扈する江戸の街でそんな芸当を可能にするのは驚くべき彼の設定。現代的に言えば「チート」とも表現できるその部分はぜひ読んで確かめてみてください。男の子はこういうの大好きなんですよ。 また、本作は『Driving Doctor 黒咲』でも秀逸だった、ユウダイさんの画力の高さが非常に光ります。男は格好良く、女の子はかわいい。そして、江戸の街の風景や小道具までが非常に写実的に描かれていて目だけでも楽しめます。 ヒロインの七瀬はかわいいだけではなく頭も切れて参謀役となっているところも非常に魅力的です。派手な殺陣もありつつ、頭脳的にピンチを切り開いていくシーンもあり、抑揚のついたエンターテインメントとして楽しめます。 非常に上質な時代物で、このまま実写化されてもまったくおかしくないなと思える作品です。

るろうに剣心―明治剣客浪漫譚― モノクロ版

青春時代の思い出

るろうに剣心―明治剣客浪漫譚― モノクロ版 和月伸宏
六文銭
六文銭

続編の北海道編もある程度巻数たまってきたので、いっちょ全編通しで読んでみようかと改めて読みなおしてみました。 連載開始がもう28年かと思うとビビるのですが、それでも色褪せない魅力と、絵も古く感じないのは圧巻の一言。 名作中の名作なので内容というよりは、好きな点をいくつか。 全28巻のうち大きくは以下の構成。 ーーー 東京編 (1~6巻) 京都編 (7巻~17巻) 人誅編 (18巻~28巻) ーーー こうして通して読むと、剣心は常に人斬りだった過去の何かと闘っていますね。 東京編では、エピソード的に過去の敵だった人間たちと、京都編は人斬りの後継者だった志々雄、人誅編は過去の因縁。 幕末から明治にかけての激動の時代は、その後自分自身何冊か時代小説を読んでから、改めてるろ剣を読むとまた違った印象をうけます。 過去に囚われた敵キャラたちに、小学生時代では なんでこんな昔のことにこだわっているんだろ? ぐらいだったのですが、今だったらよくわかる。そういう時代だったんだなと敵キャラにも未練を超えた執念を感じさせてくれる。(しかし、縁、おめーはダメだ。あと雷十太。) 大人になった今、もう一度読み直すと、そういう面で敵の魅力がグッとまして見えます。 土方歳三的な負けても生き様をみせてくれる感じ。 ここがスゴク素敵です。 次に、これは内容というよりは本編のおまけである制作秘話。 本作には話と話の幕間に、さらっと登場人物の制作秘話がのっていて(電子版では割愛されるかと思ったが載ってて良かった!)これがすっごい面白いんです! 「〇〇のキャラにインスパイアうけて」 (たいてい、ゲームのサムライスピリッツ) とか、言うわなければ気づかないことまで言ってくれるし、あまつさえ 「もろパクリです」 という暴露とともに、謝罪までする始末。 小さい頃は、あ、そんなことまで言うんだと妙な新規感を覚えていたのですが、この歳になると更に尊敬の念がでる。 仮に影響うけたとしても、自分のものとしちゃうズルさが大人にあると思うのですが、それをしない潔さ。 これも本作、というか著者さんの魅力ですね。 いずれにせよ、王道なバトル展開は、昔と変わらず面白く青春時代を思い出させてくれます。