かぜのたにのなうしか
風の谷のナウシカ
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「火の7日間」とよばれる戦争によって、巨大文明が崩壊してから千年。荒れた大地に腐海という死の森が広がっていた。主人公・ナウシカのいる風の谷が、恐ろしい巨神兵を使い腐海を焼き払おうとするクシャナたちに侵略された。腐海の森と共に生きようとするナウシカと、腐海を焼き払おうとする人々。だが、その腐海には、秘密があって……。 月刊アニメージュに掲載された、映画『風の谷のナウシカ』の原作コミックス。 映画のもとになったストーリーは、このコミックスのおよそ2巻目まで。原作では、映画では語られなかったナウシカの活躍を知ることができます。宮崎駿が描く独特の世界が広がる、何度読んでも感動する超大作!

孤立する宮崎駿

漫画史というものを俯瞰してみるにあたり、その位置づけにいつも困り果ててしまう漫画家がふたりいる。ひとりは楳図かずお。彼はいったいどこから来て、どこへ行ったのだろうか。唯一、遠い縁戚として認められそうなのは『洗礼』を平成の世に蘇らせた岡崎京子の『ヘルタースケルター』のみ。彼の漫画は漫画と呼ぶには、どうもしっくりこなくて、『楳図かずお』と、カッコ付きの固有名詞をあてはめたほうが相応しいような気がする。そして、もうひとりが宮崎駿だ。 コミック版の『風の谷のナウシカ』は、どう考えてみても、漫画史において一章を丸々割いてでも語られなければならない。にもかかわらず、その位置づけにどうしても困り果ててしまうのだ。一応、縁戚としては宮崎駿自身も大いに影響を受けたと語る諸星大二郎がいる。あるいは宮崎駿とは相互に影響を受け合い、ついに娘にはナウシカと名付けてしまったメビウス(=ジャン・ジロー)がいるが、諸星大二郎はあきらかに手塚治虫の系譜からうまれているし(しかし、宮崎駿はどこから?)、日本の漫画が大いに影響を受けているのは宮崎駿ではなくメビウス(=ジャン・ジロー)のほうだ。比較的近年では、黒田硫黄を筆頭に、小田ひで次、五十嵐大介らの一派が宮崎駿の縁戚であるかのように語られているが、おそらく彼らは漫画というよりは映画から霊言を受けて漫画を描こうとしている。大友克洋が革命をもたらした記号からカメラのレンズへの変遷のような影響の受け方ではなく、映画ならではのカットの問題、このカットがいかに繋がって、いかに繋がらないかをコマの問題に援用しようとしているように見受けられる。小田ひで次の漫画では、唐突に拳銃を構えるコマがよく挿入されるが、この唐突さはまるで北野武の映画のようだ。 北野武は映画を4コマ漫画の連続のように捉えているというが、なるほどと思う。パン1、パン2、パン3、パン4、と、そのたびに何が動く。この変化そのものが重視されていて、まるで肉のない骨関節だけのヘビが連なっているかのようなザラザラした印象を受ける。たけしが血を浴びたりしても、次のカットではいつのまにか着替えていて、血がないなんてこともザラである。つまり、動き、変化の連なりが、ある種の質感をとどめておくことをしない。 それを思うに、宮崎駿はきわめて質感を重視しようとする作家なのではないか。漫画においても映画においても、物語を繋ぐための変化を描くのではなく、いつもそこにとどまっている質感を描こうとしている気がしてならない。たとえば、風や空気の質感がメーヴェの飛ぶことで描かれ、土や大地の質感がトリウマの駆けることで描かれる。とりわけ印象的なのが、森の人たちのからだを覆っているスーツの表面の質感だ。おそらく腐海の植物から作ったと思われるあのスーツの質感が物語の内容以上に脳裏にこびりついて離れないのだ。

影絵が趣味
影絵が趣味

黄昏の世界の生命賛歌

あまりにも有名なアニメ映画の原作にあたる、宮崎駿先生の漫画作品。映画上映後も連載が続いたこの漫画は、主人公ナウシカが世界の秘密に到達するまでを、緻密に活き活きと描いています。 映画版と内容が違うので、ちょっと世界観を整理します。 ----- 栄華を極めた人類文明は千年前、「火の七日間」と呼ばれる破滅的戦争と、突如として現れた毒を吐く森「腐海」により、多くの人命と住む土地を失い、技術も途絶えました。 千年の内に三回の、腐海の爆発的拡大「大海嘯」と、その後の土地を巡る戦争で、人類文明は黄昏の時を迎えます。 大海嘯に沈んだ古の大国エフタルの残存部族は、北のトルメキア王国の実質的支配下に置かれました。風の谷や工房都市ペジテも、そんな部族の一つです。 南には宗教国家の土鬼(ドルク)があり、首都のシュワにある「墓所」には、火の七日間や腐海に連なるロストテクノロジーが眠ると目されてきました。トルメキアは墓所を入手しようと土鬼に侵攻。さらに、ペジテで発見された生物兵器「巨神兵」の奪取を目論み、第四皇女クシャナを派遣します。 風の谷の族長の娘・ナウシカは、ペジテとトルメキアの巨神兵を巡る諍いに巻き込まれ、そのまま土鬼へ侵攻するクシャナの軍に従軍します。土鬼による蟲を操る作戦を止めた時に、ナウシカは大いなる蟲・王蟲の友愛に触れ、彼らの「南の森を救う」という声を聞きます。 ナウシカの奮闘虚しく、繰り返される愚行。王蟲への友愛と人類への絶望から、森の一部になろうとするナウシカでしたが、王蟲と愛する人間に生かされます。 探求の行軍を続けるナウシカが辿り着く、世界の深淵とは……。 ----- ナウシカの行動力の源泉は「すべての命への愛情」。常に彼女は生命の生きる意志を尊重して、生命を愚弄する存在に抗います。 まるで再生医療や遺伝子工学の危険性への警鐘のように私達に響く、ナウシカの怒りと生命賛歌、そして世界の秘密を、震えながら共有したい。 (画像は2巻79ページより。映画版とは、この台詞を言っている人が違うのが、おわかりいただけるだろうか?)

あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
解剖医ハンター
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注目の新人たちのデビュー作!18世紀英国に、ブラックジャックのような異端の医者が存在した!盗掘死体の解剖を重ねたことから『ジキル博士とハイド氏』、世界中の動物を収集すべくの振る舞いから『ドリトル先生』のモデルともされるジョン・ハンター。今では「近代外科医学の父」とも呼ばれるが、その生涯は異端とされ、当時の正統な医学界からは白眼視され続けた奇人であり、また、ダーウィンより70年も前に進化論を見抜いたという近代精神の巨人である。そんな実在の人物を、原作&作画・二人の新鋭が波乱万丈のコミックに仕上げた。

好きかもしれない。
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新入生の春木(はるき)は笑顔が優しい部長の畑山(はたけやま)に憧れ、天文同好会へ入部v ある日、居眠りしていた畑山に思わずキスしようとしたのを、 副部長の望田(もちだ)に見られてしまった!! 望田は無愛想でちょっと怖い先輩。同好会の中に恋人がいるはずなのに、なぜか突然春木にキスしてきて!? 誰かが誰かに恋してる!! 男子7人の恋物語v

ののちゃん
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1999年公開のスタジオジブリのアニメ映画「ホーホケキョ となりの山田くん」の原作マンガ「となりの山田くん」の続編。朝日新聞1997年4月1日から1999年1月31日掲載分を収録。

しゅなのたび
シュナの旅
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谷あいの貧しい小国の後継者シュナは、実りの種をたずさえはるか西方にあるという豊穣の地を目指す……。宮崎駿がチベット民話を題材に描く絵物語。

麦の伝説と生命の尊厳

国家の礎である、主食の「麦」をもたらした王家の冒険譚なのだが、その語り出しは奇妙だ。 「昔話のような、未来の話のような……」と語られる物語は、確かに読み進めていっても、いつの話だか判然としないのだ。 この物語世界には、主人公シュナの国にも彼の旅路にも、豊かな場所が出てこない。一番賑わっている奴隷市場も、建物が朽ちている。一方、崖の向こうの神人の国は、途絶えたはずの生物・不自然に豊かな農地・人造人間・空飛ぶ月と、極端なオーバーテクノロジーが見て取れる。 高度な文明を独占する神のような存在は、例えば『風の谷のナウシカ』でも描かれているが、そこではそれは、正義かどうかに関わらず、高慢な存在とナウシカに喝破されている。 『シュナの旅』の主人公シュナは、ナウシカほど強くはない。しかし彼は苦しい旅の末に、奴隷の身分から救った少女テアと共に、人間の生きる糧と尊厳を取り戻してゆく。 人間の生命力と勇気がテクノロジーを乗り越える希望と、それを支える愛……『シュナの旅』とは、非人道的なテクノロジーへの警告と生命への敬意を力強く表明する、「未来」への寓話なのである。 宮崎駿先生の優しい色調のカラー漫画として、文庫サイズで手軽に楽しめる一冊でもある。 (2021.8.22改稿:ちょっとネタバレがあったので、一部削除と変更を加えました)

あうしぃ@カワイイマンガ
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怒りやよろこび、不安――人の心のイメージが“旗”になって見える少年・聖(ひじり)。ところがなぜか同居中の腹違いの兄・日高(ひだか)の旗だけが見えない。「僕のことどう思ってるの?」超ブラコン・聖の想いをよそに、惚れっぽくて冷めやすい日高はいつも違う恋人(オトコ)をふたりの家に連れ込んで…!? ちょっぴり不思議なスイートホーム・ライフ。

ゆうやけこうえん
ゆうやけ公園
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のどかな「ゆうやけこうえん」でひとり気儘に暮らす、ホームレスの中年男性。今日も彼のそばをいろんな人がいろんな事情を抱えて行き交う。妻の闘病を支える偏屈な夫、子離れできない母親、失踪した兄を探す男性――。人生の岐路。それぞれがささやかな、それでも新しい一歩を踏み出していく。何気ない日常のささやかなドラマをハートウォーミングに描く、名手・近藤ようこによる珠玉の連作短編漫画。

くつずれせんせん
靴ずれ戦線
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時は第二次世界大戦、ソ連とドイツの戦いのなか、ロシアの魔女ワーシェンカとお目付けナージャのコンビがあっちをうろうろ、こっちをうろうろと転戦する。お化けと戦争が交錯するローリングストーンな変てこ戦記! 「COMICリュウ」で連載されたメカコラム『螺子の囁き』も収録。

いぬけのいちぞく
犬家の一族
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猫田一金五郎と怪人2001面相が対決する表題の「犬家の一族」、未来で違法な自然食を取締まる冷食捜査官シリーズ、由緒正しい学園SF物「クレープを二度食えば」、作者の生立ちからこの世界に係わるまでの「あしたのために」を収録した短編漫画集

ポジティブ先生 石黒正数短編集(2)
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今話題の石黒正数、徳間書店から2冊目の短篇集。「少年ガンガン」に掲載された表題作を始め、『それ町』の主人公・嵐山歩鳥が初登場した記念すべき作品『夜は赤い目の世界』、悪の秘密結社を石黒流に描いた『デーモンナイツ』、正義のヒーロー勢ぞろいの『ジャスティスジャスト』などなど…計7~8作品を収録。口絵カラーも充実で、描き下ろしカラーもアリ。巻末に石黒本人による作品解説付き。石黒ファンなら絶対に見逃せない充実の内容でお届けします!!!

のろいやしまい
のろい屋しまい
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魔法使いのヨヨさんとネネさんがひらく「のろい屋」が引き起こす、不条理な事件の数々を抜群の画力で描くスーパーコメディ。

むぼうきゃぷてん
無謀キャプテン
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ここに復活!主人公堀田戌傑は自らの意志で墓穴を掘る男。彼は言う。「自分の墓穴くらい自分で掘れなくてどうする!?」男ならば、たとえそれが自分の墓穴であっても掘らねばならない時がある。それをとびこえてこそ真の男ではないのか。かつてのコミックスには未収録だった、第0話も今回は同時収録。

嘉納治五郎先生でさえ助走をつけて殴るレベル

男とは馬鹿な生き物。 馬鹿な生き物だからこそ生き様が浪漫を生む。 だが、わざと馬鹿にならなきゃ男ではない、 というものではない。 ところがもともと馬鹿だから(ギャグ漫画だし) 「自分の墓穴は自分で掘るのが男だ」 という馬鹿な考えを男の生き様と信じて、 自ら墓穴を掘りまくる馬鹿がいた。 掘田戊傑(ほった ぼけつ)。 彼は強豪高校との対決から逃げた柔道部の身代わりとして 柔道ドシロウトなのに僅か数日後に迫った柔道対決に無謀にも臨む。 普通の漫画ならばここから主人公の埋もれた才能が開花するとか、 地獄の特訓の成果や謎の老師の助言で必殺技を会得するとか、 愛と勇気がなにもかもを超えて奇跡を起こすとか、 突然の天変地異が起こって全てが灰燼と化すとか、 そんな結末になるものなんだけれど・・ 「男とは」「男たるものは」を追及した主人公を待っている結末。 その結末には涙するしかない。 スポーツ漫画では、従来のセオリーを揺るがす新技や理論が 一つや二つは登場するもの。 思わずナルホドと思い、試してみたくなるような。 なかには本物の真理論もあれば、ただ漫画を面白くするためだけの こじつけだったり、誤解やウソッパチだったり、 「作者、実はこのスポーツを舐めてるだろ」というものだったり 色々とある。 それがスポーツ・ギャグ漫画ともなれば、 少々のトンデモ理論が登場しても普通は驚かないが、 よりによって柔道を指導する先生に向かって 「受身では勝てない!」と反論するのだ。馬鹿だから。 墓穴を掘る男だから。 けれどこの言葉、一周まわって考えると 「そうかもしれない」と思ってしまうのが困ったもの。 いや、明らかに大間違いなんですけれどね。 まあ一発投げられて死ぬほど痛い目にあえば 普通は前言撤回する程度の屁理屈。 けれど「自ら墓穴を掘る男」堀田戊傑は 撤回せずに投げられまくりドンドンと 墓穴を深く掘り続けて行く。 通常のスポーツ漫画ではありえない方向へ、 通常のスポーツ・ギャグ漫画ですらもありえない方向へ、 そして結末へと・・ ある意味で比類する漫画が見当たらないほど面白いのだけれど 柔道の創始者・嘉納治五郎先生が読んだら血の涙を流すだろうお話。 全二巻で第一巻・第二巻がそれぞれ第一部・第二部になっています。 上述の内容は第一部のみについてです。 第二部はもはや解説不能なレベルに突入してしまうので 感想は控えさせていただきす(笑)。

名無し