KADOKAWAマンガの感想・レビュー2722件<<2122232425>>作品タイトルは、誰が口にした言葉なのか。わたしが誰だかわかりましたか? やまもとりえstarstarstarstarstar_borderゆゆゆ癇癪を起こしやすかった我が子。 子育てに夫婦ともに疲れ始めた頃、夫はカルトに傾倒し始めた。 離婚して、シングルマザーとして、中学生の子供を育てている主人公。 主人公は、それぞれのご家庭に少しはありそうな要素がギュギュッと詰め込まれた設定。 離婚したことで、周りの人々がいう言葉が嫌味に覚える。 離婚したことで、年齢に引けを取りつつもお母さんでなく女としての気持ちも揺れ動く。 等身大の、身近にいそうな女性設定。 子どもは手が離れ始める年齢のせいか、主人公はあまり子供を構ってあげられていないように見える。 反抗期だから、構ってあげても大変なんだろうか。 サトルくんなのに、学校が同じだった人に「親がカルトにハマったカトルくん」なんて呼ばれて辛い思いをしているとは、きっと言われるまで気づかないんだろう。 自分の悩み、子どもが抱えている悩み、人付き合い。 生活していると浮上してくる様々な悩みが平行して描かれる。 そして、表題。 誰が口にした言葉なのか。 みんな「わたしが誰だかわかりましたか?」と聞いてきていそうな気がしてくる。 なんなら、主人公も言ってそうな気がしてくる。 最終章で、仕掛けがわかったあとに残る疑問は、主人公が「わたし」の正体に気づいていたかどうか。 わかっているとにおわせる章タイトルや行動だけど、正解を掴んだかどうかは語られない。 読者は「わたし」の正体を知ることができるのに、彼女が、かつてやりとりしていた相手が本当は誰か知っているかどうかは、わからない。 あとがきの前のピアスの写真が、誰かを愛する「女」であること、あったことを想起させて、なんとなく好きだ。 このコミックが出された「シリーズ 立ち行かないわたしたち」はコミックエッセイとセミフィクションのシリーズとあるのだけど、なるほどねと思ってしまった。 たしかにうまく行かないことはあるし、完全なノンフィクションのように劇的なスッキリとしたラストでもない。 モニャモニャしてしまう。 こういうのが、レタスクラブ読者に共感を呼びやすい内容と展開なのだろうか。 とはいえ、どうなったらスッキリとする展開なのかと言われると、悩ましい…。狼領主のお嬢様がついに完結!番外編があるようです!!狼領主のお嬢様 柑奈まち 守野伊音 SUZ名無し狼領主のお嬢様、完結しましたねー!分冊版で追っていましたが、単行本6巻は番外編やら描き下ろしが充実しているようで迷います… https://comic-mangashelf.com/rouryousyunoojosama-muryou 次にくるマンガ大賞2023 Webマンガ部門1位気になってる人が男じゃなかった 新井すみこstarstarstarstarstar_borderゆゆゆ男だと思っていた推しが女で、さらに隣の席で。 挙げ句に音楽の趣味まで合って。 女同士だから百合でいいのか。 いや恋愛感情を超えた友情? 「友情」なんて、そんな言葉でおさまらない「何か」のような気もする。 「何か」が何だと言われると、「青春」? なんかちがうな、なんだろう。 恋愛なのか友情なのか青春なのか、うまく表現できないけども、二人の何気ないはずの日々に起こる、ちょっとした、でも当事者にはビッグイベントの数々。 「わー、いいね!すごくいい!!」と言って、バンバン机を叩きながら読みたくなるそんなお話。 黄緑と黒のイラストが独特な雰囲気をもたらしていて、さらに良いです。 美しい作品だなと思いました日出処の天子(完全版) 山岸凉子starstarstarstarstarあいざっく子供の頃に呼んだのですが、その時は 「厩戸皇子はきれいだなぁ」とか、BL漫画だ!くらいにしか思いませんでした。 しかし、歳を重ねて何度も読み返すうちに、 まず作者の歴史への明るさに関心しました。 史実に基づいている部分も多いので、結構勉強になります。 また、絵がとても綺麗で、 蘇我蝦夷の前でだけ子供っぽくふるまってしまう皇子の可愛らしさや、 身分や性別を超えて思い合う二人が美しく描かれていて、 美しい作品だなと思います。 BLが好きな人にも、そうでない人にもおすすめしたい作品です。 元コスプレイヤーのメイクスキルで切り抜けました地味で目立たない私は、今日で終わりにします。 住吉文子 大森蜜柑 れいたstarstarstarstarstar_borderママ子※ネタバレを含むクチコミです。登山の魅力が隅々まで山を渡る -三多摩大岳部録- 空木哲生starstarstarstarstaralankたまたま自身が関東在住のため、出てくる山々はトライしたことがあったり憧れがあったりするところが多く楽しく読めました。共感ポイントも多々あり、久しぶりに山に登りたくなりました。副部長のメガネのフチがテープで止められてるのがなんともありそうな描写で、くすぐられます。そして何より絵がキレイ。山頂からの朝日の表現は、まるでその場にいるような豊かさがあります。ウヒョ〜〜!こういうの大好き!!! #推しを3行で推す偽りのマリィゴールド サスケstarstarstarstarstar天沢聖司※ネタバレを含むクチコミです。 空を見上げることも忘れてしまう様な日常の中で銀河の死なない子供たちへ 施川ユウキstarstarstarstarstarPom 滅亡した星で、死なない子供姿のパイとマッキ。 そこに現れた命尽きることが分かっている人間の女の子、ミラ。 もし仮に、自分が後少しの命で、永遠の命をもらうことができると知っていても、与えられた命を全うする方を選ぶだろうと思う。 パイとマッキは永遠に子供でミラだけ、歳を重ねていく中で、死ぬと分かっている中で、だからあらゆる瞬間が愛おしいって言葉はかなりグッときました。 そうだよな、日々に忙殺されると本当色々忘れがちになる。 でも、ミラだけじゃない、パイとマッキもミラと出会うことで変化していく心情。 パイとマッキの選択は、正解だったと言えるこの先を歩んで欲しいなと願わざるを得なかった。 マッキの決断かっこよかったなぁ。猫のいる印刷会社 #1巻応援ようこそ!しまや出版癒し課へ にごたろ しまや出版兎来栄寿しまや出版さんにはその昔本を作る際に大変お世話になっておりました。が、まさかこんなことになっているとは寡聞にして存じませんでした。 マンガ部分も3〜4割ほどありますが、本書の大部分はかわいい社員(社猫)たちの写真で埋められています。だがそれがいい。 しまや出版さんは、平成22年2月22日から猫を正式に癒し課の社員として登用し始めたそうです。2023年現在はリモートを合わせると8匹の社猫が在籍しているとか。 びっくりするほどふつくしい美猫で主任のユキさん(アクキーも作られているそう)。 容器大好きで鳥さんに話しかけるあずきちゃん。 人見知りだけどご飯の時は一番元気なしるこちゃん。 人にも猫にもフレンドリーな小顔のサクレくん。 迷い猫としてやってきたまよくん。 美少年の黒猫でジジみたいと言われるおはぎくん。 テレワーカーのきなりくんとちくわくん。 ノートパソコンの上に陣取って座ったり、ウォーターサーバーから上手に水をサーブしたり、個性豊かな社猫たちのさまざまな活躍(?)ぶりに癒されます。 私たちが払っていた印刷代が、かわいい猫社員たちのご飯代や寝床代になっていたなんて……最高じゃあないですか。 猫を保護する時は顔を見ずに冷えていたら温めてあげる、動物病院に連れて行く時は洗濯ネットに入れておくと暴れても安全に診れるなど知っておくと役に立つかもしれない幕間コラムも。 実際に、癒し課の面々の仕事ぶりによって他の社員も来客者も、あるいはSNSなどを通して世界中の人に癒しが振り撒かれているようで素晴らしいなと思います。 あとがきで社長の小早川さんは ″日本には360万の企業があると言われています そのうちの0.1%の会社が、2匹の野良猫を社猫として採用すれば、 それだけで7千匹近い猫が保護されます″ と述べます。 もちろん、小早川さんがその後に続けて述べるように現実的にはご飯やトイレや病気、あるいは猫アレルギーの方への対応など手間暇や金銭面も含めて大変な部分はあると思いますが、興味のある方はぜひ行って欲しい取り組みです。衣装が素敵捨てられた皇妃 Yuna iNA iNAstarstarstar_borderstar_borderstar_bordermotomi※ネタバレを含むクチコミです。 ひんやりツルリ、特殊な好意をお持ちです押して駄目なら押してみろ! 廣瀬アユムstarstarstarstarstarママ子男の子に興味がないのに、蛇にヒートアップして蕩けた顔見せてしまう。 押せ押せの清楚系ヒロインと毎回押し負けてしまうヘタレ系先生の、かわいいやりとりが毎回たまりません。 食欲を効率よく満たしてるだけなのに、悩んで結局・・・エロいー。 急にアップになったり緩急が好きです。 正直ヘビとか爬虫類は得意ではないけれど、このお話はそれをも忘れさせてくれるぐらい良かったです。好きなことを仕事にする自由と責任、それで生きていける幸せ冒険者の服、作ります! すけおstarstarstarstarstar_borderママ子憧れのデザイナーとして就職が決まった矢先、事故で異世界転生。 異世界に飛んできたって服が作りたい!! 服と言っても転生前とは利用の仕方が違う。 ミサンガから始まり、冒険者の服を作ることの大変さ大切さ、命のやり取りがそこにあることを実感して効能性能の検証していく。 周囲の人に恵まれ転移先でも好きなことして生きていくことが出きれば、幸せに暮らせるかしら。どの時代も女性の美に対しての執着は狂気La maquilleuse 堀江宏樹 みやのはるstarstarstarstarstar_borderママ子現代のフランスから中世のフランスへ 見知らぬ土地で髪結いのレオナールと出会い、現代の化粧や技術や知恵を活かして困難な状況を解決していく主人公。 思っていたより、ファンタジーの要素が少ないからチートなぐらい知識を持っていても違和感あまりなかった。 下手に引き伸ばさず、いい終わり方だと思います。 科学的な観点と歴史が融合した内容で楽しめました。 思い出したら、謎が解ける殺戮の天使 名束くだん 真田まことstarstarstarstarstarママ子入りはアニメからでした、ゲームのほうがいいとのお声もあるようですが私はそんなに違和感なく読むことができました。 登場人物はそれぞれ闇を抱えているけど、その闇すらも綺麗に描かれています。 傍からみたら羨ましい一面でも、本人はコンプレックスだったり悩んでいる。そんな誰でも心の隅に抱えている感情をとても上手に表現していると思います 内容はサイコホラーですが、ザックとレイの展開もいい。 それなりに巻数あるけど、緊張感があり展開が気になって続け読めます!高校の先輩後輩から長年のお付き合いと変化ネコ×ネコ たつもとみおstarstarstarstarstarるる※ネタバレを含むクチコミです。ギャルになる勇気 #1巻応援30歳喪女、平成ギャルになる。 山口しずか兎来栄寿本当はなりたい自分像があるのに、さまざまな理由でそれを押し込めている人は世の中にたくさんいるでしょう。 恥ずかしいから。 変わる勇気が出ないから。 家族や友人に反対されるから。 理想はあっても自分には無理だから。 本作の主人公・彩も、そんな悩みを抱えて生きてきた30歳の地味なOL。本当は高校生の頃からギャルのきらきら感に憧れていたものの、さまざまな理由からそれを諦めてきて、30歳になろうという瞬間にも友達も恋人もおらず本当にやりたいことも見つからないという状況。そんな彼女が、平成にタイムスリップしてギャルとして人生をやり直していくという筋書きです。 少女マンガのキーワードのひとつが「変身」ですが、本作もまさに変身を望み遂げていく物語となっています。そして、その変身に際しての彩の等身大の葛藤がリアルで、読んでいて共感する人も多いだろうと感じる部分です。 「バカにされてると感じるのは 行動してこなかった自分が 悪いって知ってるからだ」 といっモノローグなど、とても鋭利です。 すんなり変われるわけではない。でも、自分より歳上でギャルを楽しんでいる人に出会うなど他のギャルに助けられ勇気をもらいながら、遂に変わることができた瞬間のカタルシスがしっかり描かれています。ギャルに限らず、本当はなりたい自分を押し込めている人に変わるための勇気を灯してくれる物語です。 そして特筆すべきは、ギャル周りの描写。 筆者自身も高騰している昔のギャル雑誌をフリマサイトで買うくらいギャルが大好きでショップ店員だった時代もあるそうで、実体験がふんだんに反映された内容となっています。読むと、いろいろなギャル文化やメイクテクニックも学ぶことができます。 「ギャルってすごいよな… 何も考えないでしゃべってそうなのに なんで空気がよくなるんだろう」 は本当に頷く部分で、ギャルの底抜けに明るくポジティブなところ、無限にフレンドリーなところ、中毒性のある不思議な語彙力、欲望に忠実で刹那的なところ、ざっくばらんだけど優しくて仲間想いなところ、ストレートな物言いなどは私も好きです。 「心にギャルを飼おう」という幕間のメンタルコントロールマンガも秀逸。ギャルの最強マインドがあれば何だって乗り切れますからね。現代社会の荒波をギャルで武装して乗り越えて行きましょう。 ねこと優しさの町ねことじいちゃん ねこまき(ミューズワーク)starstarstarstarstar野愛ねことおじいさんとおばあさんだらけの町。郵便屋さんがのんびり配達して、おじいさんがのんびりお散歩して、ねこはどっしり構えている。 柔らかい色合いと優しげなおじいさんの表情にもっちりした猫。どこを見ても癒される。 何が起こるでもない、ゆっくりした日常。ねこと一緒にお散歩するおじいさんも、ねこは嫌いと言いながらお刺身をくれてやるおじいさんもみんな優しくてみんなのんびり。 こんな町で暮らしたいし、こんな生活をおくりたい。 急いだりはしゃいだり泣いたりするのに疲れたら読みたくなる作品です。重いけど。。マイ・ブロークン・マリコ 平庫ワカstarstarstarstar_borderstar_bordermotomi暴行とネグレクトなどの虐待、性暴力の二次被害、トラウマの再演、トラウマティックボンディングなど、読んでいて痛ましいです。 でも、親友を自死でなくした主人公が親友を想って、いてもたってもいられずに走り出したのを最終話まで見届けると、悲しいけれど前に進めるような気持ちになれました。 最後の感想は二分しそうな気がします。淡く儚い余韻を残す短編集 #1巻応援酔いとゆくすえ ~酒村ゆっけ、小説コミカライズ短編集~ 夜の羊雲 酒村ゆっけ、sogor25――その人魚には海で命を落としてしまう人間の魂を歌で救済するという役目がありました。 ある日、その役目を果たそうとした人魚は本来死ぬはずだった男を助けてしまい、 その後、恐ろしい魔女と取引をして、自身を人間に変えてもらいます。 しかし、その人魚が“心を奪われていた”相手は助けた男ではなく、 彼が船から落とした1本のお酒でした――(『酒に溺れた人魚姫、海の仲間を食い散らかす』) 他にも、ガサツでだらしない女性に飼われている“ネコ”や百貨店に売られている“口紅”、さらには繁華街にあるファーストフード店の“牛丼”など、様々な視点から描かれる短編たち。 そのどれもがほんのりとした温かみを宿し、だけどひとしずくの切なさを秘めている、そんな淡く儚い余韻を残す物語を束ねた短編集です。 ロリータファッション目覚める、 でも食べることが好きロリータ飯 岡野く仔starstarstarstarstar_borderママ子ロリータは甘いものしか食べない(イメージを崩さないため)。 頭では思っていても体は正直、おなかが反応してしまう。 可愛い服を着て、がっつり飯をほおばる顔の幸せそうなこと。読んでるとおなかがすいてきます(笑)。 マイノリティーな趣味を持つと世間様からいろいろと言われますが、誰に何を言われようと今の自分を自分が好きで、 そのままの自分を好きになってくれる相手がいるなんて幸運! お互いにもう少し歩み寄れれば・・・嫁のメシがマズすぎる 別れたほうがいいですか? 土井真希starstarstarstarstar_borderママ子食って大事だなと改めて感じた 最初は幸せだった結婚生活。 なんとなくズレを感じていたけど、ご飯がまず過ぎて食べられず小遣いも少なく外食できず倒れるまで我慢してた旦那。 最初はヒステリーな奥さんだなと思ったけど、周囲の雑音や毒親のトラウマ、脅迫観念からどんどん自分を追い詰めていく嫁さん。 読んでいくと、胸の内が語られそれぞれの印象が変わる作品でした。独特の日常、始まりが重たいが意外と春あかね高校定時制夜間部 heisokuさいろく序盤はカオスな環境と突飛なキャラ達ばかりでどうなるんだコレと思ってたけど、それぞれが夜間部で過ごす日々から目を離せなくなっていった。 テンポも独特で、正直絵も見づらい方ではあるものの、日常系にはマッチしているかもしれない。 『ご飯は私を裏切らない』を先に読んでいて気に入ってたのだけど、本作はキャラが多い分1冊にまとまりきっていない感じが少しあるかな。 コンビニの人々ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~ ハシモト 松駒starstarstarstarstar_borderゆゆゆTwitterでバズって、漫画化もされた、コンビニで働く人々のお話の漫画です。 読み放題で10巻目をなんとなく読んでみたら、漫画の世界と現実の世界がリンクしたところでした。 こうやってバズったんですね。 コンビニ店員しているとあるあるネタと、それを奇想天外対応する仁井君。 だけのお話と思いきや、いろんな濃い店員の方々が登場していて、楽しく、それからコンビニバイトをしていた昔を思い出して、少し辛い気持ちで読めます。 原作の松駒先生もおもしろいので、18巻も続いているんだろうなあと思いました。 あの頃より業務量が増えていて、ほんと大変ですねコンビニ店員‥ 先日、レジの支払い(現金)が自動になったコンビニで、「レジ違算から開放されたのですか?!」と思いつつ「すごいですね」と思わず言ったのを思い出しました。恐竜もひとも町も優しい恐竜はじめました クラナガstarstarstarstarstar_border野愛この町で暮らしたい、恐竜と暮らしたいと読んだら必ず思うはずです。 なぜか恐竜が次々と見つかるようになった町で、優しいひとたちが優しい恐竜と幸せに暮らすお話です。 ちょっと遠出してみたり、お仕事したり、お隣さんとご挨拶したり、何気ない日常の中にかわいらしい恐竜がいるだけで多幸感がましましになります。 寝ぼけてる姿も小松菜食べてる姿もすべてが愛おしい、それを見守る白亜町の人々も愛おしいです。 恐竜と暮らすなんて現実ではありえないことですが、穏やかで優しい時間が流れる白亜町はすぐ近くにありそうな気がします。 私たちは恐竜と暮らせないけれど、優しい町の優しい漫画を読んでちょっと優しくなりましょう。ちょっと幸せになりましょう。<<2122232425>>
癇癪を起こしやすかった我が子。 子育てに夫婦ともに疲れ始めた頃、夫はカルトに傾倒し始めた。 離婚して、シングルマザーとして、中学生の子供を育てている主人公。 主人公は、それぞれのご家庭に少しはありそうな要素がギュギュッと詰め込まれた設定。 離婚したことで、周りの人々がいう言葉が嫌味に覚える。 離婚したことで、年齢に引けを取りつつもお母さんでなく女としての気持ちも揺れ動く。 等身大の、身近にいそうな女性設定。 子どもは手が離れ始める年齢のせいか、主人公はあまり子供を構ってあげられていないように見える。 反抗期だから、構ってあげても大変なんだろうか。 サトルくんなのに、学校が同じだった人に「親がカルトにハマったカトルくん」なんて呼ばれて辛い思いをしているとは、きっと言われるまで気づかないんだろう。 自分の悩み、子どもが抱えている悩み、人付き合い。 生活していると浮上してくる様々な悩みが平行して描かれる。 そして、表題。 誰が口にした言葉なのか。 みんな「わたしが誰だかわかりましたか?」と聞いてきていそうな気がしてくる。 なんなら、主人公も言ってそうな気がしてくる。 最終章で、仕掛けがわかったあとに残る疑問は、主人公が「わたし」の正体に気づいていたかどうか。 わかっているとにおわせる章タイトルや行動だけど、正解を掴んだかどうかは語られない。 読者は「わたし」の正体を知ることができるのに、彼女が、かつてやりとりしていた相手が本当は誰か知っているかどうかは、わからない。 あとがきの前のピアスの写真が、誰かを愛する「女」であること、あったことを想起させて、なんとなく好きだ。 このコミックが出された「シリーズ 立ち行かないわたしたち」はコミックエッセイとセミフィクションのシリーズとあるのだけど、なるほどねと思ってしまった。 たしかにうまく行かないことはあるし、完全なノンフィクションのように劇的なスッキリとしたラストでもない。 モニャモニャしてしまう。 こういうのが、レタスクラブ読者に共感を呼びやすい内容と展開なのだろうか。 とはいえ、どうなったらスッキリとする展開なのかと言われると、悩ましい…。