いちご100% モノクロ版

誰派?で初めて議論した作品

いちご100% モノクロ版 河下水希
六文銭
六文銭

懐かしさのあまり再読。 いつ読んでも青春時代の甘酸っぱさを思い出します。 誰派で、喧々諤々の議論のはてに絶縁までした奴がいたなぁと思い返すと、今思えばそれだけお熱を出したのは後にも先にも本作だったと痛感します。 この手の作品は主人公ハーレムものになって、女性キャラがあれよあれよと増えていきますが、それでも本作に登場する女性キャラはみんな違ってみんな魅力的です。 元気いっぱいのどストレート「北大路 さつき」 放っておけない妹キャラ「南戸 唯」 毒舌ツンデレ後輩「外村 美鈴」 ひたすら妄想ドジっ子「向井 こずえ」 そして絶対的なヒロインとして君臨する「東城 綾」と「西野つかさ」 こうして、書くと東西南北になって、東條と西野は東西。 すなわち天下分け目の関ヶ原ですね。 ちなみに、私は東城派でした。 なので、当時、最終回はショックでしたよ。 関ヶ原同様、東軍じゃないのかよ、と。 単純に黒髪ロングが好きなのもありますが、 一途に思い続けているのに、ちょっとそれっぽくなっている時もあったのに、最後の最後でこれか~とショックを受けました。 ん十年経った今。 大人になって酸いも甘いも色々経験して、再度読み直したら・・・まぁ、多少ダメージは・・・ 否! やっぱりショックでした! 受け入れられない! そして、全然、成長していない!! 報われないヒロインが推しだと、なんとも悲しい気持ちになりますね。 ロスとはちょっと違う、 あの後一人でどうなっちゃうんだろう とか想像すると切なすぎる!  でもね、だからこそ、俺たちの「東城綾」は、いつまでも輝き続けていると思うんです。 あんな奴のかわりに、俺たちがついているんだと思えるんです。 そう思えば、すこし救われる気がします。 などと、訳のわからないキモイ感想をもちました! なんにせよ、ハーレムものとして最後、濁さず、誤魔化さず、ビシッと決めたのは好感触です。 どんな選択であれ、読者としては主人公の決断をみたいと思うので。 ずっと青春を思い出させてくれる作品だと思います。 60になっても同じように思えたらいいなぁ。

皇の器

話題のやつはやっぱりすごい! #読切応援

皇の器 織部匡
天沢聖司
天沢聖司

サムネだけ見て「おっ、BLか?」と思ったら双子の皇子をめぐるガチガチにドシリアスな中華風歴史物語でした。普段ラブコメにしかクチコミ書かないと決めてるのに、すごいクオリティだったので思わず書いてしまいました。 https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496545162575 未来のシーンから始まって、どちらが玉座についたのかわかる状態で物語が読める構成が好き。 明確に才能に優劣のついてしまった双子というシンプルでわかりやすい設定でありながら、画力が抜群に高くてしかも服装からなにから描写がむちゃくそ丁寧なので説得力と物語の奥行きが半端ない。 特に最後の朝服図がカラーの演出がものすごくかっこいい…世界史の教科書に載ってそうなくらいリアル。 なんというか「ストーリーは少年マンガらしくシンプルで、画力は月刊青年誌並みの描き込み」という、作品の全体のバランスの取り方がすごい。 青年誌に載ってるとしたらなんとなくアフタヌーンよりはハルタっぽいなーと思った。 これで話も複雑だったら「少年」要素が薄くなってジャンプラの読者にこんなにウケてないんじゃないかなと思います。 作者の歴史愛がビンビン伝わってくるいいお話でした。 早く連載作品が読んでみたい! #読切応援

怪奇まんが道

メンツが豪華すぎるしエピソードはどれも珠玉!!

怪奇まんが道 あだちつよし 宮﨑克
かしこ
かしこ

生い立ち〜ホラー漫画家になるまでの道のりをインタビューして漫画化したものです。本人が描いた自伝ではありませんが、宮崎克の取材力とあだちつよしの漫画力によって本人が描くよりも読み応えのある伝記物になっています! 以下、ひとこと感想メモです。 【1巻】 古賀新一…手塚治虫も登場するし本家マンガ道と同じくらいウルッとしました。 日野日出志…何を思いながら「蔵六の奇病」を描いたかの話が読めてよかった。 伊藤潤二…漫画家になる前は歯科技工士だったことも、デビュー作が「富江」だったことも知らなかった! 犬木加奈子…普通の主婦がホラー漫画の女王と呼ばれるまでになったのは文字通り人生をかけてたからだったんだなぁ…。 【2巻】 御茶漬海苔…編集長に言われた一言が衝撃的すぎる。今だったら大問題になってると思う。 諸星大二郎…本人のインタビューもあるけど諸星大二郎だけ編集者の証言で構成されてる部分が多いので、インタビューでも寡黙だったんだろうなって思った(笑) 外薗昌也…霊感があることも含めてホラー漫画家のイメージそのままの人だと思った。 近藤ようこ…高橋留美子と同級生なことは有名だけど、本人から語られる話を読んだことがなかったのでとても貴重だった。今も交流があるんだなぁ。

封神演義

唯一無二「フジリュー」というセンス

封神演義 藤崎竜
六文銭
六文銭

まず、皆思うのが、巻数を重ねるごとに 「絵柄変わってない?」 ということだと思います。 最初のほうはシュッとしているのに、だんだん靴とかガンダムみたいになっていきます。 本題。 小さい頃どハマリして再読。 今でも、最後にかけて畳かける摩訶不思議な展開は、ドラッグやっているかのような中毒性があります。(ドラッグやったことないけど。) 中国の古典怪奇小説『封神演義』を原作としながら、作者の類稀なるセンスによって大胆にアレンジしたところが、本作の魅力だと思います。 SF、ファンタジー、ギャグ、バトルの要素を取り入れつつ、ちょいちょい美形キャラも出して…といった上質な少年漫画として仕上がってます。 自分自身、『史記』における『キングダム』同様、 有名原作を「忠実」に再現したから面白いわけではないと常々思っているんですね。 同じ題材でも、ストーリーの構成や演出、登場人物のキャラ付けなど、作家によって異なりますよね。 そこが、ポイントなのだとしたら、作者のもつ独創的発想と幻想的なデザインに、摩訶不思議な古典小説が、見事にマッチしたからでしょう。 本作がここまでヒットしたのは、そこにあると改めて思いました。 余談ですが、何年たってもスープーシャンは可愛いっすね。