この上手い話の構成にやられてしまった人は多いんじゃないでしょうか。
三十路引きこもりの男が床に後頭部をぶつけた拍子に、天国と地獄、両方を繋ぐゲートが部屋の中に出現してしまい、社会的に何も役に立っていなかった男が突然価値を持ち始め、悪魔と天使たちによって取り合われる、そんなコメディ、かと思いきや…。
後半は、完全に作者さんの掌の上でした。
誰もが望まれて生まれてきたわけではないけど、環境やいろんなことが上手くいかなかったとはいえ、少なくともこの主人公は望まれ、幸せを願われていた。
衝動的に裸足で街へ飛び出し疾走するシーンの良さよ。
これからあがくわけです、無駄になったとしても、傷ついたとしても、自分の人生を取り戻すために。
いい読切でした。
32歳ひきこもり無職のシンタロウはある日、自宅でゲーム中に興奮しすぎて後頭部を打ってしまう。するとその衝撃で次元に亀裂が発生。部屋が天国と地獄に通じてしまう。そしてお互いに人間界への干渉を狙っていた天使と悪魔達がシンタロウを利用すべく誘惑合戦を始め…!?