百木田家の古書暮らし

三姉妹と看板建築 #1巻応援

百木田家の古書暮らし 冬目景
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

この建物見たことある気がする……三姉妹の住む古書店兼住宅を見て思う。 しかし少しネットで探ってみても、同じ建物はヒットしない。……そう「看板建築」って言うんだったな。店舗部分だけ洋風にした家屋。ネットには良い感じの古建築の写真がいくつかあるが、同じ物は見つけられなかった。幻だったのだろうか……。 三省堂の店舗が建て替えになると聞いた。また少し変わる風景。思い出の中でうろ覚えになる街の姿。そんな場所で、慣れない古書店業に右往左往する次女、彼女を支える長女と三女の三姉妹。リアリティを感じられる範疇での三人の冒険譚は時にのんびり、時にスリリングで楽しい。古書店業の業務も興味深い。 隣の同業者の従業員と何か縁のある次女、昔の恋を忘れられない長女。そしてDV男と離れられない同級生が好きな三女の想いは、殊の外強烈だ。恋と古書店サバイバル、さらにお隣の秘めた思惑が不穏さを醸し、気持ちがざわつく第1巻。 そして古書の町である神保町は、出版社・カレー、そして古い建築のある場所。この作品には街並みがそのまま描かれて、雰囲気も良いし、行ったことのある人は盛り上がれる事請け合い。 私が知っている"ような気がする"建物で、三姉妹が生活している事を空想する。本の中に"変わらない"神保町とイキイキと動く「空想の」彼女達を封じ込めた、と考えると、虚実入り混じった記憶のバグを泳ぐ様な不思議な感覚があった。

終わりのセラフ

吸血鬼を滅ぼす

終わりのセラフ 鏡貴也 山本ヤマト 降矢大輔
Nano
Nano

ある日突然、未知のウイルスによって世界は滅びた。 生き残ったのは子供だけ。 彼らは地の底から来た吸血鬼によって支配されていた。 8歳の時、優一郎は親に殺されかけ、孤児院へと連れてこられた。 同い年のミカエラをはじめとする、新しい家族。 しかし突如致死性のウイルスが蔓延、大人たちが倒れていく中、地下にいた吸血鬼たちに優一郎たちは保護される。 それから4年後、吸血鬼たちに支配されながらも、ミカエラは脱出の計画を練っていた。 優一郎は家族たちとともに逃げ出そうとするも、吸血鬼の罠にはまり全滅、隙をついて優一郎のみ脱出に成功する。 そこは、世界は、滅んでなどいなかった。 優一郎たちは吸血鬼にずっと嘘の話を聞かされていたのだった。 そこに吸血鬼殲滅部隊を名乗る軍人グレンが現れる。 優一郎は彼に拾われ、吸血鬼たちへの復讐を誓う。 フェリド様めっっっちゃ好き……ずるいやろあんなん…… ストーリーというか構成というか、厚みあるのにすごく読みやすい。 画が綺麗だし、するすると読める。 フェリド様が良すぎてそれだけで読む価値がある。 自分のツイート検索したら7年位前あらぶってて笑いました。 フェリド様を宜しくお願いします。

CYBORGじいちゃんG

自分にとっての小畑健はこれ

CYBORGじいちゃんG 小畑健
六文銭
六文銭

自分にとっての小畑健先生はこれなんですよね。 初めて読んだ時、ギャグの勢い(今読むと古き良き昭和のかほりがしますが・・・)絵柄の綺麗さもあってすごい好きでした。 その後『人形草紙あやつり左近』『ヒカルの碁』そして『DEATH NOTE』と、原作つきではじめてから、本作のようなギャグが薄くシリアス寄りで、ちょっと違和感を感じてました。 最初にみたものを親と思う、刷り込みのようなものです。(全然違う) 絵は相変わらずキレイなんですけどね。 ただ、今思うと、この美しい絵柄は濃厚なストーリー漫画のほうがマッチしますね。ギャグ漫画だともったいない感じがします。 何がもったいないかは、ちょっと筆舌に尽くしがたいのですが。 さて、その内容なんですが・・・これもタイトル通りです。 農家やっているおじいちゃんがサイボーグになって、家族を巻き込んでわちゃわちゃする話です。 サイボーグなんで、ミサイルだしたり、高速で動いたり、もうなんでもあり。 内容も、孫の授業参観いったり、銭湯いったりの日常っぽいものとか、同じく発明家のライバル社礼頭(しゃれこうべ)と対決したりとか基本1話完結形式。 子供ながらに、この勢いだけのギャグ展開好きでした。 今になって再度読み返すと、そこも、もちろんいいのですが、目につくのは若い女性キャラの妖艶さ。 小畑健先生の女性って妙に色っぽいですよね。 本作も、ふんだんに登場します。 1話だけ登場する女性キャラだけでなく、学校の先生とか、特に、ばぁちゃんの若い頃。(2巻表紙になってます) すごく良くて、これだけでも読む価値のある眼福だったりします。 89年連載なのに、絵柄に全く古臭さを感じない、才能をビシビシ感じさせてくれる初期作だと思います。 余談ですが、ヤングばーちゃんは、るろうに剣心の高荷恵のデザイン上のモチーフだそうです。(るろうに剣心4巻制作秘話より) ちょっと似ているかもしれない。。。

D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~

懐かしの人生初「桂正和」作品

D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~ 桂正和
六文銭
六文銭

当時学校で桂正和を読んでいるとエロいみたいな風潮があって、小学生でウブだった私は、ジャンプを買ってもこれだけは読まないように頑張っていました。 ページをめくってて本作がでてくると慌てて数ページ飛ばして違う作品に移動する。 テレビのエロシーンがでるとチャンネルを変えるようなものをイメージしてもらえれば、大体あってます。 ・・・今思うと意味不明な努力なのですが、最終的には、魅力に抗えずなんだか悪いことしているような背徳感を感じながら、影でこそこそ読んでいた思い出深い作品です。 「少年」ジャンプなのに結構際どい描写をしており、 さすが俺たちの桂正和!と神格化し、同時に、そこにしびれて憧れておりました。 さて本作の内容なのですが、タイムトラベル×SF×バトル×ラブコメといった属性で、自分としては初めてタイムトラベルものの味わい深さを実感した作品。 エロばかり強調してましたが、内容もしっかり面白いんです。 未来は、人口増加が問題で2人以上の子供をつくったら死刑になるほど深刻な状況。 そんな中、何人もの女性を虜にして1人で100人以上も子孫を残したプレイボーイのDNAをもった男がいたことが判明。 ただ、判明したときには彼はすでに死亡していた。 問題は100人以上いるという彼の子孫。 同じようにプレイボーイ気質であることは予想できたため、大元である男のもとにDNA操作をしに未来からやってきたという流れ。 その男が子供をつくるまえにDNAをいじって、プレイボーイじゃなくさせてしまおうって魂胆である。 そのプレイボーイのDNAをもった大元の男が主人公の桃生純太で、DNA操作をしに未来からやってきたのが、ヒロインの葵かりんである。 ちょっと運命入ったボーイミーツガールである。 ところが、現代の純太はプレイボーイどころか、もてない・さえない男で、かりんも不思議に思うが個人情報が対象と一致したことからDNA操作を実行する。 が、その際に使用した弾丸が実は誤ったもので、これが原因で逆に彼のプレイボーイのDNAを目覚めさせてしまったという展開。 つまり、プレイボーイをなおすために未来からやってきてDNA操作をしたから、プレイボーイができてしまったというタイムパラドックスが起きる。 基本路線はこんな感じで、プレイボーイの能力を使って女の子を虜にしたり、それが他の男の嫉妬を買ってすったもんだあったり、なぜかパワーアップ(超サイヤ人みたいになる)して、サイキック能力なんかも出てバトル展開がはじまったりと色々飽きさせない展開が続きます。 とまぁ、ここまでだったら普通の漫画なのですが、やはり桂正和は一味違います。 特に最終巻の怒涛の展開は、個人的に我が漫画史上で忘れられないほどの名シーンの連続です。 黒幕、つまりDNA操作で間違って撃ったと思ったのが、実はとある陰謀で罠にはめられただけという真実。 その陰謀とDNA操作の狙い、かりんと純太の本当の関係、そして最後、タイムトラベルにつきものの別れ・・・すべてがつながった時、えもいわれぬ感動が押し寄せます。 ネタバレになるので詳細は割愛しますが、全5巻と1日で読めると思いますので、ぜひ読んでいただきたい。 5巻だと打ち切りだったのかもしれませんが、自分はそんな風には感じず、むしろキレイに終わった作品だと思います。 逆に、人気がなかったのだとしたら隠れた名作だと言える作品です。

國我政宗の呪難

冷静な主人公が濃厚な設定で術バトル!

國我政宗の呪難 弓庭史路
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

まずシンプルな感想ですが、面白かったです!! 術者や妖魔、穢れというものが存在する80年代な日本っぽいところが舞台。 帝都大学防災研究所特異災害研究室技術職員の國我政宗のもとへある日、来訪者があり、とある大事件の助力を秘密裏に求めてきたが…。 https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496885813673 シンプルな感想とは裏腹に、重厚で詰まった世界観や設定で魅せてくれました。 正直こういうタイプの漫画が好きな人は、何か画面内でことが起きていなくても会話の内容でワクワクするはず。 読切でしたが、「この設定でこの先もっと読ませてくれよ!」と思ってしまいます。 才能や家系、力を持つ者はその力を行使しなければいけないような種類の哲学が受け付けず実家から離れる系主人公で冷めてる感じめちゃくちゃ好きです。 そして嫌々ながらも仕方なく力を貸す幼馴染みたいな腐れ縁的な存在。 ド派手な見開きもあるし、満足感高いです。 あえて言えば、読切のサイズ感じゃないかな、というところでしょうか。 料理番組でいうところの、冒頭で揃えた材料で料理作って番組終わるけど、材料余りまくってる感じ。 なんとなく、良い意味で『亜人』に影響受けてるのかな?と思いました。