はしっこアンサンブル

早く教えて欲しかった漫画…!苦くて熱いジュブナイル

はしっこアンサンブル 木尾士目
たか
たか

元合唱部としては絶対読まねばと思いつつ積ん読していたこの作品。んも〜〜!!ただただ最高でした。 主人公・藤吉晃(あきら)は声が低すぎることがコンプレックスな工業高校の1年生。彼と同じ1年生には合唱部を作ろうとする「並の精神力ではない」凄みを感じさせる男・木村仁がいて、毎日毎日昇降口で1人で歌っている。 理論的な発声・和音の知識を持つ仁は作中で少年探偵の「コ○ン」と呼ばれるけど、実際その精神力の強さは弱虫ペダルの坂道くんのよう。 なんというか…物事に本気の人間だけが見せる狂気じみた強いハートが仁の魅力で、彼を見ているとあっという間に作品に引き込まれていきました。 仁が主人公の名前を聞いて「三善晃みたいだね」と言った合唱部ジョークにはファミレスで読んでて噴きました!(曲集「生きる」大好きです…!) 工業高校の授業、個性的な友人、家庭環境、人体・歌唱の理論的な解説。 あらゆる要素がまさにハーモニーを作り出していて読み応えがあります。 1巻を読みながら2巻をポチって読破しましたが、2巻は予想だにしない壮絶な展開で圧倒されました…。 でも何より、その重い展開を合唱曲が理論と精神両面から救いをたらすという構成が最高でした!! 今度合唱部の同期と会うときは人数分用意して配ります。 (画像は1巻より)

着たい服がある

これは服の話だけではとどまらないもっと誰にでも当てはまるあなたの物語。

着たい服がある 常喜寝太郎
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

世間体。キャラクター。あなたはこうあるべき。そんなもんクソくらえ! 生きたいように生きることの難しさ。 しがらみに絡めとられ身動きができなくなっている人にこそ読んで欲しい。 背が高く、クールな見た目で周囲から思われるようなキャラクターを自然と演じてきてしまった主人公が、バイトのヘルプに来た人の世間体度外視の服装を見てハッとする。 着たい服を着て良いんだ、と。 かねてから好きだったロリータファッションに思い切って袖を通してみると・・。 ズシンッ!と脳髄に響いた。 誰より自分を肯定しなきゃいけないのは自分だったのだ。 そしてそれが何より難しい。 多様性の時代に突入したとはいえ、他人と違うことをするのが怖いと思う人は多いだろう、特に同調圧力が強い日本では。 なぜ、やりたいこと、表現したいことを抑え込み、息を潜め、自らの欲求を見て見ないふりして、日常を過ごさなくてはいけないのか。 自分の欲求に素直に生きた方が100倍気持ちがいいのではないか。 他人に迷惑をかけるわけでもなし・・。 しかし、世間にどう見られてしまうのか・・。 こういった悩み、葛藤を丁寧に描き、「自分らしく生きたいように生きる」大切さを分からせてくれる素晴らしい漫画だ。 まだ1巻なのでこれから、さらにどのように向き合っていくのかが楽しみだ。