双葉社マンガの感想・レビュー930件<<3536373839>>『シートン動物記』をマンガ化シートン 谷口ジロー 今泉吉晴地獄の田中『シートン動物記』で知られるナチュラリストのアーネスト・シートンの著作をマンガ化した作品。 1巻の『狼王ロボ』は『私の知る野生動物』のロボ - カランポーの王 2巻の『少年とオオヤマネコ』は『動物英雄伝 』の 少年と大山猫 3巻の『サンドヒル・スタッグ』は『サンドヒル牡鹿の足跡』 4巻の『タラク山の熊王』は『タラク山の熊王』 がそれぞれ元になっているシートン動物記だと思われる。 どれもシートンが動物や自然と交流をしてナチュラリストとしての成長していく姿が描かれている。それと同時にシートンが都会や街での生活にいかに馴染めないかというのも描かれていて、特に『サンドヒル・スタッグ』であったロンドンでの学生時代の話は極貧もあいまってなかなか悲惨。 シートンが対峙する動物は山や森の主的なのが多く、シートンがただ動物を保護したり観察したりして愛したいという側面と、狩人としてそれを倒したいという側面が葛藤を起こして、それが自然や動物への深い理解に繋がっていくところが面白かった。忍びの者シリーズ西岸良平名作集 西岸良平starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男自作の手裏剣で相手を倒して行くのだが、相手が一方的な悪人ではなく、主人公から喧嘩売ったりと、正義の味方の感じはない。 途中で仲間になるガンマンもそんな感じで、個人的な恨みをはらしているだけにしか見えない 西岸良平は鬱屈した精神状態の青年を書くが上手いと思う。蜃気郎シリーズは無茶苦茶いいな西岸良平名作集 西岸良平starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男裏社会では「悪の帝王」と呼ばれる怪人「蜃気郎」が芸術的な犯罪を計画して実行するのだが、その際に犯罪に利用した人物や関係者に対して「蜃気郎」が協力者への謝礼という形でなんかしら報いるので、みんなが幸福になる良い短編集 「街角のブルース」/「二つの顔の女」/「復活の日」が特に好みだ。 西岸良平は「三丁目の夕日」のイメージが強くて、今まであんまり読んでいなかったけど「西岸良平名作集」を読んで他のも読みたいって気になった 谷口ジローの文体坊っちゃんの時代 谷口ジロー 関川夏央影絵が趣味小説を言い表すのに文体という言葉があるが、これは小説にかぎったことではなくて映画にも漫画にも文体はある。ここでいう文体というのは単に文章の持つ調子のようなものではない。作者がどのように世界を見ているか、という問題としての文体である。つまり、どういうふうに書かれるかというよりは、何が書かれるかということに直結してくる。 してみると映画の場合の文体は、カメラが何を映すかというになってくる。映画というのは製作者の役割が分業されていて、たとえば脚本と監督がちがう場合がほとんどである。それでいて、その映画は誰がつくったものなのかということになると、そこには監督の名前がくる。それは当然で、映画の文体を握っているのが監督だからである。監督は脚本通りに撮影を進めていくが、そこで何をカメラに映させるかのすべては監督にかかっている。 漫画の場合の文体は言わずもがな、何が描かれているかである。ようするに、谷口ジローの漫画を読む私たちは谷口ジローの目を通してそこに描かれる世界を見ることになる。ところで谷口ジローはいまや日本を飛び越えて世界に愛される作家であるが、世界は谷口ジローの何に魅せられているのか。漫画作家としては珍しく谷口ジローは原作をおくことが多い。つまり、世界の谷口ファンはストーリーに魅せられているのではない、谷口ジローの世界の捉え方、すなわち文体に魅せられているのだ。 『宇井真白物語』吉沢緑時 漫画アクション2017年 No.16宇井真白物語 吉沢緑時名前はまだない「HKT48 栄光のラビリンス,」という携帯カードゲームとのコラボ企画。宇井真白さんがコラボイベントで勝ち抜いて漫画アクションでグラビア&漫画化されたようです。 吉沢緑時先生が宇井真白さんに取材をして、HKTに2期生に応募した経緯を漫画化しています。インタビューしている最中に登場したであろう子供っぽいセクシーさがちょくちょく出てきて面白かったです。 アイドルはあまり知らないのですが、彼女の人となりがなんとなくわかったのもよかったです。『すてきな休日』ゴトウユキコ 漫画アクション2017年 No.16すてきな休日 ゴトウユキコ地獄の田中漫画アクションの創刊50周年記念読み切り。朝から晩まで仕事漬けで家族との時間をあまり持てていないお父さんが娘を動物園に連れていく話。 娘のふくみに「お父さん」と呼んでもらえないモヤモヤ、動物が嫌いなのに動物園にふくみを連れて行かないといけないイライラ、ふくみとどう接していいかわからない不安などが、お父さんの中で渦巻いている様子が等身大でいい。 最後、「お父さん」と呼んでもらえない問題は喧嘩の末進展するのだが、あまりにも唐突な展開に驚きながらも、ふくみのたどたどしさが可愛かった。 動物が出てくるけど「ウシハル」的なエロさもダークさもないのでとても読みやすかった。スクールデイズみたいな惨劇が起こりそうな予感間くんは選べない 板倉梓名無しモテない童貞サラリーマンだったのにトントン拍子に話が進みすぎて笑う。 最終的にバッドエンドになりそう。 2巻で徐々に追い詰められてきた間くんは選べない 板倉梓くるみ割り人魚※ネタバレを含むクチコミです。赤羽に行きたくなる・・・増補改訂版 東京都北区赤羽 清野とおるまーらーめん山田孝之でドラマ化もしているまんがでしたが、今までよんでいませんでしたが、「その「おこだわり」、俺にもくれ」や「ゴハンスキー」など清野とおる漫画を読んでいるうちに清野とおるワールドにハマっていき」ついに読みました。 絵はハッキリ言って下手ですが、そこが味があるというか、、、。どの話も実体験を基にしているのでリアルで面白いです。いちいち出てくるキャラクターが強烈な個性を放っている人ばかりで、赤羽は日本なのかとすら思ってしまいます。漫画に写真が使われているのも珍しいです。居酒屋ちからやペイティさんは特に強烈すぎます。 ゆるく、気張らずに読めるのも良いです。 夏休みになったら、是非赤羽に行って変なもの、人をさがしてみたいです。 奴隷区新シリーズ!大奴隷区 君と1億3千万の奴隷 オオイシヒロト 岡田伸一まーくん映画化もした奴隷区が新シリーズスタートしました。今回の舞台は高校で学校ならではの勝負が期待できます。 前作同様グロや裏切りの連発でハラハラ、わくわくが止まらないです。 まだ1巻しか出ていないですが、今後の展開がかなり期待できそうです。 絵は苦手鈴木先生 武富健治名無し絵が苦手で読んでいない人はけっこういると思う。私もその一人で、濃いタッチがなんとなく好きじゃなくて、なかなか手が出せなかった漫画です。とりあえず読んでみて、内容も濃いなぁ…と思いました。 実写化されたドラマでは良い意味で、わかりやすく見やすい演出がされていたのかな。主役の鈴木先生を長谷川博己さんが演じたのはかなり神的なキャスティングだったし、映像も原作もそれぞれ面白いですが、原作の方が濃い目です。じっくり読みたい漫画ですね。未完ながら読み応えのあるSTARSHIP ADVENTURE Star Field が収録されている2001+5~星野之宣スペース・ファンタジア作品集~ 星野之宣なまこデラックスSTARSHIP ADVENTURE Star Fieldが収録されている。スーパーアクションで連載していたようだが休刊してしまい未完になってしまった作品。アーサーワールドの1〜3話とさそり座の赤い星1話の合計4話が収録されている。 1万年以上前のものと思われる2つの宇宙船が火星-木製間小惑星帯から発見され、1つは星々を滅ぼそうとする悪の宇宙船、もう一つが星を守ろうとした宇宙船で、間違って悪の宇宙船を起動させてしまい本国に通信を許してしまった…っていうスペースファンタジーの王道的な内容。宇宙船での戦いが緻密ながら迫力のある描かれ方をしていて面白い。 だからこそ未完なのが惜しいが、それでも面白いことには変わりがないのでSFファンには読んでもらいたい作品。アーサーワールドで一応一区切りになっているので、そこまでモヤモヤしないというのもある。 『2001夜物語』の番外編「夜の大海の中で」も収録されている。番外編ながらこれだけ読んでも面白かった。なんやかんやで楽しそうにギャンブルにどハマりしている女子四人のマンガぎゃんぷりん 押切蓮介名無しギャンブルという沼にどっぷりハマっている女の子たちを描いたマンガ。 1巻ではパチンコ、次に出る2巻では競馬に移るのかしら(1巻の終わり方から察するに。) 玄人同士の熱い戦いや技の応酬みたいなのは期待してはいけない。 おもしろおかしいギャンブル中毒者たちが見どころ。ちなみにミスミソウネタが多い。 ぎゃんぷりんのモデルだという一点突破ギャンブラーズのコラムが収録されていたが、そちらも非常に面白かった。 6巻-未来-は5巻のアフターストーリーorange 高野苺リョーコ※ネタバレを含むクチコミです。ラブコメの脇役的なキャラを主役にした恋愛オムニバスきっと可愛い女の子だから 柳本光晴マンドリン松本「響~小説家になる方法~」「女の子が死ぬ話」の柳本光晴の恋愛オムニバス。クラスでぼっちのオタク少女とか31歳女教師とか恋愛経験のない文芸部部長とか成績の悪いギャルとか、ラブコメだとヒロインの脇を固める系の女の子をメインに扱っているのが特徴だとか。 ラブコメながら柳本光晴的な展開は健在で、裏表がある(素直になれないとも言う)けど直情的で時として暴力に訴えることも辞さない子が、いろんなシチュエーションで恋をする。個人的に好きだったのは一番最後の話で成績の悪いギャルの受験に付き合って1年間一緒に図書室で勉強をした秀才くんとの恋の話かな。一番練られている気がした。大友克洋処女短編集ショート・ピース 大友克洋地獄の田中処女短編集だが最初の作品ばかりを集めたというわけではない。 巻末に収録されている大友克洋作品集によると76年〜78年の作品が多い。デビューは74年で童夢が始まるのが80年、AKIRAが82年だからそれよりちょっと前って感じ。 『宇宙パトロール・シゲマ』『大麻峡』なんかは冴えない大学生?が集まっておバカなことをするっていうコメディタッチ。『School-boy on good time』とか『任侠シネマ』は高校生の切なさを少し感じる青春系。『NOTHIN WILL BE AS IT WAS』はサイコホラー感のある感じとかなり幅が広いし、どれもそれぞれいい味わいがあって面白い。 個人的に一番好きだった『夢の蒼穹』は前線で今にも敵兵に殺されそうになっている兵士とサラリーマンを夢で行き来する話だった。 現在も双葉社から発売されているようなので手に入りやすい 人情味のある話がまとまっている、大友克洋の短編集さよならにっぽん 大友克洋地獄の田中大友克洋といえば『AKIRA』『童夢』の超能力とか近未来SFっていう印象が強かったけど、「さよならにっぽん」はそういうSF要素はない。 収録されているのは『East of The Sun, West of The Moon』『さよならにっぽん』『聖者が街にやって来る』『A荘殺人事件』の4作品で、『A荘殺人事件』だけがミステリー調で他は人情味溢れるいい話。だから、大友克洋=AKIRAって期待するとちょっと外れるかも。少なくともでかいクジラがNYを押しつぶす話ではない。 ただ、『East of The Sun, West of The Moon』『さよならにっぽん』『聖者が街にやって来る』の3つは大友克洋の初期に、社会の闇の部分とか退廃的な人間とかを多く描いていた頃よりももっとライトに読みやすくなって、じんわりと心に残るとてもいい短編だと思う。 『さよならにっぽん』が1〜5まである連作。『East of The Sun, West of The Moon』と『聖者が街にやって来る』は内容的なつながりはないけど登場人物がかぶる。『聖者が街にやって来る』が一番好きだな。 『A荘殺人事件』はカツ丼が出て来るから『GOOD WEATHER』って短編の『カツ丼』と繋がっているのかもしれない。 値段もそんなに高くないからおすすめ。翔と菜穂の幸せを願うスレorange 高野苺チハ※ネタバレを含むクチコミです。池田エライザ×吉沢亮で6月からドラマ配信ぼくは麻理のなか 押見修造地獄の田中ドラマ版『ぼくは麻理のなか』が、6月5日からフジテレビオンデマンドで配信されらしい。 全然知らなかったからマジかって驚いてる。 そして麻理が池田エライザだったらそりゃコンビニで見かけるだけで幸せになれるわって納得感がありました。 http://www.cinra.net/news/20170511-bokuhamarinonaka 『盃〜誌上最強の火曜日戦線〜』吉沢緑時 漫画アクション2017年vol.10盃〜誌上最強の火曜日戦線〜 吉沢緑時堀尾漫画アクションとヤングチャンピオンが2誌共同で『あしたのジロー』を連載することになった経緯というか誕生秘話を吉沢緑時が漫画にしている。 誕生秘話といっても、ヤクザとして描かれた編集長二人がタマ取ってこいって副編って命令してあわや抗争に発展するのでは?的なギャグ漫画 わかるのは、両編集長のいがみ合いはなさそうだなってことかな笑 死ぬ女の子と生きていく女の子の話女の子が死ぬ話 柳本光晴名前はまだない死ぬ女の子と、生きていく女の子の二人が主人公かなと思う。 タイトル見てわかってはいたけどすっきりといい話っていうのではない。救いようのない話だし。 死んでしまう遥が最後まで他人の思い出の中で生き続けようとしたところは、強さを感じて好きだったな。 比較的よくあるような青春ラブストーリーと思いきや女の子が死ぬ話 柳本光晴鳥人間「響〜小説家になる方法〜」作者による作品。 ド直球すぎるタイトル。そしてぱっと見、ある意味王道ともいえる内容だけど、全体の構成がよくできていてなかなか読み応えがある。 新しい高校生活に大きな期待を抱く元気な少女・千穂がイケメン男子・和哉とその幼馴染の余命幾ばくもない少女・遥と出会って仲良くなってあれこれあるラブストーリー。と、これだけ書くといたって普通。 普通の青春ラブストーリーならもっと3人の交流が描かれそうなものだけれど、ちょっと普通ではなく、タイトルにもあるようにあまりにも唐突に遥は亡くなってしまう。 その後、場面は十数年後に急転換。いくつか謎を残しつつも暖かさの漂う余韻で終わる。 普通であればここでおしまいだと思うが次の章で亡くなる1か月前の遥の病室に再度場面が急転換。このとき何があったのか?という前章で現れた謎が解かれつつ、遥の強い決意が描かれる。 3人のそれぞれの想いと読者の思いが絡まって、きっと人それぞれ思うところが湧いてくるんだろうなーと思える作品だった。 結構ドスンとくる内容。でも1巻完結でとても綺麗にまとまっているし読んでみてほしい。 ハードボイルド探偵漫画いえばこれかな事件屋稼業 谷口ジロー 関川夏央starstarstarstarstarマンガトリツカレ男一話完結で、ハードボイルドな話もあればコメディとかいろんなタイプの話があるんだがどれも面白い。 主人公の深町丈太郎も良いんだけど、周りにいる黒崎、後藤田、森山、東条、杉本、フグの立ち泳ぎ、ジョーが無茶苦茶良い。 特に黒崎は本当に名言しか言わない エブリスタ原作ということで火傷少女 里見有 貫徹名無しモバゲー小説(現:エブリスタ)にかつて入り浸っていたので気になって読んでみた こういうグロテスクさに懐かしさを感じながらも結構面白かった http://estar.jp/_novel_view?w=23709552<<3536373839>>
『シートン動物記』で知られるナチュラリストのアーネスト・シートンの著作をマンガ化した作品。 1巻の『狼王ロボ』は『私の知る野生動物』のロボ - カランポーの王 2巻の『少年とオオヤマネコ』は『動物英雄伝 』の 少年と大山猫 3巻の『サンドヒル・スタッグ』は『サンドヒル牡鹿の足跡』 4巻の『タラク山の熊王』は『タラク山の熊王』 がそれぞれ元になっているシートン動物記だと思われる。 どれもシートンが動物や自然と交流をしてナチュラリストとしての成長していく姿が描かれている。それと同時にシートンが都会や街での生活にいかに馴染めないかというのも描かれていて、特に『サンドヒル・スタッグ』であったロンドンでの学生時代の話は極貧もあいまってなかなか悲惨。 シートンが対峙する動物は山や森の主的なのが多く、シートンがただ動物を保護したり観察したりして愛したいという側面と、狩人としてそれを倒したいという側面が葛藤を起こして、それが自然や動物への深い理解に繋がっていくところが面白かった。