諍い・ハーレム

こんな"異世界転生"アリですか!? #1巻応援

諍い・ハーレム シギサワカヤ
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主人公のプログラマーの男は、お盆休みの帰省中にイノシシに轢かれて死んでしまい、その結果、自身が開発に携わるゲーム「ファイナル・ドラゴン」の世界に転生してしまいます。 開発途中なだけあって、キャラクターの姿がダミーの画像だったり、転生直後に出会ったヒーラーの女性の名前が仮で付けられた「田中」だったりと世界観はどうにも締まらない感じ。 それでもなんとかこの世界で幸せに生きることを望んでいた主人公なのですが、様々なトラブルに襲われながら、“勇者ルート”としてこの世界を救う冒険の旅へと巻き込まれていくという物語です。 この作品、主人公の名前が「ルート権限」の"ルート"から来ていたり、道中で見かけたバグをデバッガーの如く修正して回ったりと、ゲームネタが多く盛り込まれている作品です。 いろんな種類のバグが現れては主人公にトラブルをもたらす、その様子も転生モノとしての目新しさを感じさせる作品なのですが、それ以上にタイトルにもある"ハーレム"の要素が1話の途中から強烈に打ち出され、作品の世界観は一気にアダルトな方向、シギサワカヤ作品の世界観に引き込まれます。 ファンタジーの世界にバグなどのゲームの要素、そして主人公を取り巻く愛憎劇と様々な要素が混じり合った唯一無二の世界観の作品です。 1巻まで読了
アエカナル

悪意の介在しない"たった2人だけ"の日常 #1巻応援

アエカナル 笹倉綾人
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サラリーマンの定井光臣は自らの命を絶つために山の奥深くに足を踏み入れていました。 彼がしめ縄の巻かれた大樹の側を死に場所に選んだそのとき、高い木の枝に縄を掛けようとする少女を発見します。 「彼女が首を括ろうとしている」と咄嗟に思った彼はその少女を助けようとしますが、実はその少女は単に干し芋を作ろうとしていただけでした。 ただしその少女・アエカは自分のことおただの人間ではなく、その土地の山の神に嫁入りしたため800年間生き続けている"八百比丘尼"(やおびくに)だというのです。 この作品はそんな2人の出会いから始まる異類婚姻譚のような物語です。 『ホーキーベカコン』を描かれていた笹倉綾人さんの新作。 仕事の多忙さに疲れて死を決意した定井でしたが、天真爛漫で朗らかなアエカに接するうちにいつしか生きることに対し希望を見出していきます。 一方のアエカも、山の神が去り、元いた村も滅び、150年もの間たった1人で過ごしていて、久々に接する人間であり、謎多き彼女にも優しさを見せる定井に徐々に絆されていく様子が描かれています。 作中で描かれていく、悪意の介在しないたった2人だけの日常は何気ない日々ながら心に染み入るものがあります。 ただこの作品、2人の日々を描くにはやや変則的な導入をしていて、それが今後の物語にどう関わってくるのかも気になるところです。 1巻まで読了
おしえて! BLソムリエお兄さん

ただのBLでは満足できなくなった方もそうでない方も #1巻応援

おしえて! BLソムリエお兄さん 下瀬川ひなる
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物書きを目指しているがなかなか結果を出すことができていない苦学生の又来。 彼がバイトしている古書店で「BLヅラしてないBLが読みたい」という女学生を相手にしていると、謎の男が声を掛けてきます。 彼は「一般向け作品でありながら同性愛を匂わせている作品」通称"匂い系"の作品を布教する"匂い系ソムリエお兄さん"を名乗り、女学生に夏目漱石の『こゝろ』を薦めてきます。 その後も彼は又来の行く先々にどこからともなく現れて"匂い系"の作品を薦めて回ります。 この作品、一般文学作品をBLと拡大解釈して布教してくるというかなりの変化球の設定のように見えるのですが、ただ単にお兄さんが自分の解釈で話しているのではなく、書籍や文献などから引用して説明しているので、その論には不思議と説得力があります。 また、彼に毎度相対することになる又来という存在も絶妙で、彼は物書きを目指しているだけあって文学に対する造詣が深く、お兄さんのBL解釈に対してあくまで一般的な視点からの反論を試みます。 これにより、作品自体の盛り上がりが生まれるとともに、紹介されている作品への理解が深まり、文学紹介マンガとしての側面も感じられるようになっています。 紹介されている作品も、内容まで詳しく知らなくてもタイトルは知っているような作品を取り上げていて、純粋なコメディとしても充分に楽しめる作品です。 1巻まで読了
カワイイなんて聞いてない!!

ストレスフリーで感じられるギャップ男子の魅力 #1巻応援

カワイイなんて聞いてない!! 春藤なかば
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少女マンガの"かわいい年下男子"が大好きな女子高生の河原まどか。 ただ現実の彼女は、実家の食堂の手伝いもあり、なかなか新しい出会いがありません。 そんな折、その実家の食堂に1つ年下の男子・志倉百喜がバイトとしてやってくるところから物語が始まります。 初対面のまどかに対する志倉の態度はとても悪く、第一印象は最悪。 しかし、志倉のその態度が“ただ女性を警戒していただけ”ということが判明し、それと同時に彼の可愛らしい素顔が顔を出してきます。 この作品、出会った瞬間の印象は最悪だった無愛想なイケメン男子のかわいい内面が徐々に見えてくるというギャップが魅力の作品ですが、志倉が無愛想だった理由が序盤に説明されて、それによって彼の本来の性格の良さがすぐに読者に伝わる作りになっています。 また、志倉が女性を警戒する理由についても特に暗い過去があるような描かれ方をしておらず、作品に対して余計なストレスを感じることなく、純粋に志倉のキャラクターのギャップ、そしてまどかとの関係性の変化を楽しむことができる作品です。 1巻まで読了
私とこわれた吸血鬼

"こわれた"吸血鬼と幼馴染の女子大生の倒錯した感情 #1巻応援

私とこわれた吸血鬼 厘のミキ
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主人公の山景樹(やまかげ いつき)は中学生の頃に両親が蒸発し、双子の弟妹との生活を支えるため大学に通いながら家事代行のバイトを何本も掛け持つという多忙な生活を送っていました。 そんな彼女の心の支えとなっていたのが、幼い頃に出会ったようちゃんという男の子。 山の上の立派な洋館に住んでいたその子は仲良くなった後すぐに引っ越してしまい、その時に彼から「必ず迎えに行くから待ってて」約束をしていました。 ある日、そのようちゃんが暮らしていた洋館に偶然足を踏み入れることになった樹は、そこでようちゃんと思わぬ形で再会を果たします。 というのもようちゃんの正体は実は吸血鬼で、引っ越すと言っていたその時から10年余りの期間、ある理由から洋館の地下で監禁をされていたのです。 ようちゃんのことをずっと心の支えにして生きてきた樹でしたが、彼が吸血鬼だという事実、そして監禁で心身ともにボロボロになっている姿を見て驚きを隠せないといった様子です。 一方のようちゃんの方はかつて樹と別れる前に、薔薇のトゲで指先に怪我をした樹の家を舐めてしまったことがあり、その結果"吸血鬼の本能"による樹への執着心が高まってしまっています そんなお互い異なる理由、しかも自分の思いとは関係ない理由で惹かれ合っている二人の物語は、ホラーのような雰囲気がありつつもどこか官能的な独特な雰囲気を醸し出しています。 1巻まで読了
わたしは壁になりたい

恋愛感情はないけど"夫婦愛"はそこにある結婚生活 #1巻応援

わたしは壁になりたい 白野ほなみ
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親の紹介によるお見合いで出会い、結婚することになった花園岳郎太と園田ゆり子。 傍から見ると仲睦まじい新婚に見える2人ですが、実はこの夫婦にはそれぞれに秘密がありました。 夫の岳郎太は幼馴染にずっと片思いをしているゲイの男性、そして妻のゆり子は、BLを嗜んではいますが自身の中には恋愛感情を持たないアセクシャルの女性。 そんな二人の"偽装結婚"の様子を描いた作品です。 タイトルを見るとゲイである夫の岳郎太のことを腐女子の目線で見るゆり子の物語のように見えますが、実際にはそうではありません ゆり子はBL好きではありますが、岳郎太のことを BLの登場人物と同一視はしておらず、共に生きていくパートナーとして相手のことを知ろうと努めます。 また夫の岳郎太のほうも、ゆり子が恋愛感情を持たないとはどういうことなのか、興味本位ではなく、ゆり子のことを理解するために対話をしていきます。 それぞれがセクシャルマイノリティと呼ばれる存在であり、自分のことを理解してもらえないという悩みを抱えながら生きてきた2人。 そんな2人だからこそ相手をゲイやアセクシャルと言う言葉でくくらずに相手を個人として理解しようとする、その結果、間に恋愛感情はないのですが2人は文字通り"夫婦"になっていく、そんな様子を描こうとしている作品ではないかと思います。 もちろん、岳郎太とゆり子、それぞれのバックグラウンドについても丁寧に描かれていて、どちらか1人を主人公として見ても十分に面白い作品になっています。 特にアセクシャルの女性のメインに描いている作品というのはこれまでほとんどないように思うので、アセクシャルという存在に触れたことがないかにとってはそれだけで新鮮に読める作品なのではないかと思います。 1巻まで読了
“かわいい”はキミのもの

クールな女子の秘密にときめくラブコメ #1巻応援

“かわいい”はキミのもの いうのす
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主人公の田丸君は背が低くて童顔という見た目からクラスでは可愛いキャラとしていじられていました。 今日も同級生の男子に頭にリボンをつけられて、女子からも可愛いと言われる始末だったのですが、その日の放課後たまたま誰もいない教室に入ったら、クラスの中でもクールでかっこいいとゆう評判の女子、森永さんが鏡の前でこっそりリボンをつけている場面に遭遇します。 そんな偶然から森永さんの秘密を知ってしまった田丸君の事を描いたラブコメ作品です 森永さんの方は周りからの印象に反して可愛いものに憧れているような様子があり、それを周りには知られたくないのか田丸君だけに共有しようとします。 森永さんのモノローグはほとんど描かれていないため、可愛い部分も見せつつどこかミステリアスさも残っている、そんなキャラクターになっています。 一方の田丸君はそんな森永さんのことが気になり始めますが、クラスでのクールな雰囲気はそのままなのになぜか自分にだけ可愛い姿を見せようとしてくる森永さんにただ振り回されるばかりで、結果として森永さんと田丸くんどちらも可愛いラブコメ作品に仕上がっています。 1巻まで読了
好きなことして生きていく

物語の全体像が見えた時、タイトルの真の意味が解る #1巻応援

好きなことして生きていく 大峰大影
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家で引き籠もり「架空の日本を舞台に犯罪行為を競うオンラインゲーム」の実況プレイを配信するという日々を送っている20歳の女性・天咲皐月。 ある日彼女は、自身の住む街で起こる連続殺人の被害者と彼女がゲーム内で殺したキャラクターに共通点があることに気付きます。 と言っても、彼女が「ゲーム内で殺した」キャラクターは数百人。現実の殺人事件の件数はせいぜい数人なので、その中の偶然の一致だと思っていた皐月でしたが、現実の殺人事件の件数が増えていく中で、彼女は殺された人物にある法則性を見つける、という導入の作品です このまま、皐月がこの事件の詳細について探っていく…という作品になるのかと思いきや、物語が思わぬ方向に進んでいきます。実は、この作品の本質はゲームと殺人事件との関係ではなく、主人公の皐月の過去、そしてこの事件を受けた彼女の「好きなことして生きる」日常を守るためのこれからの行動にあります。1話ではまだそこまで見えてこないのですが、1巻を通して読むと、物語の全体像、そして、1話だけではなく、1巻全体がこの物語の導入だということがわかります。 ちなみに、この作品は集英社の「少年ジャンプ+」で連載されているのですが、現在のところ単行本は電子書籍のみで刊行されている作品です。あまり知られていないのですが、少年ジャンプ+の連載作には最初から電子書籍のみで単行本を展開している作品がいくつかあります。書店に並ぶことはない作品ですが、『純情戦隊ヴァージニアス』や『夜ヲ東二』など、この作品を含めて面白い作品ばかりなので、是非チェックしてみて頂ければと思います。 1巻まで読了
交換漫画日記

"交換漫画"を通して変化する2人の青春 #1巻応援

交換漫画日記 町田とし子
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放課後、誰もいない教室でマンガを見せ合う女子高生のアイコとユーカ。 2人は1つのノートにマンガを交互に描き進めていく"交換漫画"を描いていました。 でも、バトルマンガが好きなアイコに対しラブストーリーを差し込みたがるユーカ。 2人の描きたいものはなかなか噛み合いませんが、意見を言い合うのも楽しい、そんな2人だけの大切な時間を過ごしていました。 そんな2人が ふとしたきっかけでスクールカーストの上位にいるような同級生の女子・大沢と関わりをもつようになり、2人の関係に徐々に変化が現れ始めます。 2人はクラスの中でも少し浮いてる と自分たちでも言ってしまうくらいで、良くも悪くもずっと"2人だけの世界"の中にいます。 それが、大沢たちとの関わりが増えて、自分たちの外の世界に触れるようになり、マンガを描くことへのモチベーションや描きたい内容、そしてお互いに対する思いなどが少しずつ変化していきます。 この、「簡単に壊れるわけではないけど同じ場所にずっと留まってもいない」2人の関係性それが、不穏な感じもありつつどこか微笑ましくもある、瑞々しい青春の1ページとして描かれます。 町田さんの繊細な絵柄も雰囲気にすごくマッチしていて、作品の瑞々しさを一層印象深いものにしています。 また、1巻の最後に収録されている話は2人ではなく大沢の視点から描かれています。これにより2人の世界の中と外という物語だったところにこれまでとは違った視点が加わり、2人と大沢との関わりにも新たな意味が付与されることで、より多層的な物語になっています。 1巻まで読了
ワケあり男女のシークレットデイズ

話が進むたび"ワケあり"が増えていく社会人ラブコメ #1巻応援

ワケあり男女のシークレットデイズ むしろ
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主人公の瀬島あかりは2.5次元俳優のオタクですが、そのことを会社では隠しながら働いていました。 しかも「彼氏と電話する」という口実で昼休みにランチの誘いを断って会社を抜け出し、近くの公園で推しの俳優の配信番組を見るという始末。 そんな彼女はある日、いつもの公園で配信に夢中になるあまり、お昼ご飯をカラスに食べられてしまいます。金欠で新しくお昼を買う事もできず困っているところ、見知らぬ男性に助けられます その際に会社を抜け出して推しの配信を見ていることを彼に話してしまうのですが、その日の午後にあかりは、さっき助けてくれた男性、風間律が今日から異動により自分の同僚になると人物だったいうこを知ります。 こんな感じで秘密を共有することになったあかりと律なのですが、そのまま社会人ラブコメのような展開に入っていくのかと思いきや、さらに驚きの展開が繰り返されていき、かなりコメディ寄りの作品であることがわかってきます。 加えて、あかりがオタクであること以外にも会社の同僚に秘密にしないといけないことが出てきて、さらに作品のドタバタ感が増していきます。 もちろん2人の関係性の進展もちゃんと描かれており、楽しめるポイントのたくさんある作品です。 1巻まで読了

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