ゆゆゆ
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2024/07/26
剣と魔法のファンタジー世界を侵略しよう
地球の征服を目前にした悪の秘密結社は、地球以外の人類が住める星を求め、ついに剣と魔法のファンタジー世界へ。 選ばれた下っ端隊員は、女幹部からやたら愛されている、生き抜くしぶとさは一人前な「戦闘員六号」&サポート用美少女アンドロイド。 悪行を為せば得られるポイントと引き換えに、ハイテク機器を剣と魔法の世界へ持ち込み、あっという間に制圧!! なんてうまい話はなかった。 悪の秘密結社なので、相手が嫌がる悪いことをしたらポイントが貯まる。 「悪行ポイント」のおかげで、助平な行為も正当な行い。 局部を徐々に露出してキャーッからの、スカート捲り、セクシーポーズ撮影、さらにはお姫様の寝室に侵入して何やってるのよ!! 戦闘員六号は、そんな悪行でポイントをちまちま貯めて貯めて貯めて、貯めたのに、なんでそんなことに使っちゃうんだ?!?! 暁なつめ先生による他の作品「この素晴らしい世界に祝福を!」と比べると、少年誌お色気枠のようなシーンが多い。 悪行ポイントが貯まるから、仕方ない。 ただ、戦闘員六号だからこの展開になるのか、秘密結社キサラギだからか。。 科学の使徒であるアンドロイドのアリスが、魔法を科学的に解明し、神や悪霊を信じない様子もまたおもしろい。 暁なつめ先生が生み出すキャラクターやコメディと感動が合わさったストーリーはとても好きなのだけど、この作品も同じようにおもしろくて好きだ。 ゲスだけど、やるときはやる男っていうのが良い。 本作だと悪の秘密結社の戦闘員という、ゲスくても許される属性付き!
ゆゆゆ
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2024/07/10
ガール・ミーツ・シカ物語『しかのこ のこのこ こしたんたん』
恋愛漫画かバトル漫画が始まりそうな、かわいらしい女の子たちだけど、これはギャグ漫画。 理不尽系コメディと、ほのぼの系と、こち亀系のオチが混ざっていて、フルコースを味わっている気分を楽しめる。 「何を見せられているんだ…?」と、フリーズしそうなほど、フルコース。 登場するのは、清純派かつ高校デビュー元ヤンキーの「虎視虎子(こし とらこ)」、勝手につけられた愛称は「こしたん」。 そして、虎子の真の正体を鹿の角パワーで見破る、鹿と人のハイブリッド「鹿乃子のこ(しかのこ のこ)」、愛称は「のこたん」。 鹿の角が生えた女子高生・のこたんは非常に不可思議な存在、でも周りは彼女の不可思議さに疑問を抱かない。 他作品でいうと、『ジャングルはいつもハレのちグゥ』に登場する、グゥのよう。 読んでいると、のこたんの不可思議さばかり見てしまうけど、そもそもあの鹿の角がおかしいような、おかしくないような。 悩み始めると、自分も謎の力に汚染されて、疑問を抱かないようになってしまっているのでは、とおかしな妄想をしてしまう。いや、そもそも、そんなことを考えるのがおかしいのであって、鹿の角は普通なのでは?? ギャグ・コメディ枠にあって、またまた〜と読み始めたら、ものすごくコメディで、何かがとっても崩壊しそう。
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2024/07/09
ネタバレ
みちるちゃん無双
インスタントカメラの商品名をもじっただけでなく、作品の内容まで伝えちゃうところに、すばらしきセンスを感じる。 そう、写らないのである。 みちるちゃんがどんなに望んでも、写らないのである。 なぜなら、「このへん?」と幽霊などが居そうなところを触った場合、もしそこに居たら触れられた幽霊は成仏しちゃうのである。 なんなら、素手で触れなくても、モノ経由で当たっても成仏しちゃうのである。 それどころか、歌ですら祓ってしまうのである。 みちるちゃん、強すぎる。 憑かれやすすぎる黒桐くんを前にすると、頼もしすぎる。 ただし、大活躍のみちるちゃん本人は視えていないのが、つらすぎる。 さらにみちるちゃんの亡くなったお父さんもけっこう近くにいるのに、近づいたら成仏させられてしまうから、お父さんはみちるちゃんに近づけないの、悲しすぎる。 そっとかげながら見守るしかない。 お父さん、脳はでてるけど、愛を感じた。 それから、浄化の力が半端ないみちるちゃんといると、体質以外普通の人の黒桐くんは、普通の人になれるのが素敵だ。 みちるちゃんの心霊写真を撮りたい願望は満たされていないけど、そこのところも二人と関係としていいなと思う。お父さんは大反対かもしれないけど。
ゆゆゆ
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2024/07/08
怖い話とあったので、どんな幽霊が出てくる怖い話かと思いきや。
そういう方向ではなかった。 幽霊は出てくるけど、ちょっと違う。 清朝時代の、台湾の女性たちが描かれている。 そこから生まれた、悲しい運命の女性たちとその物語。 当時の女性たちは悪霊になったほうが自由で、できることも多いのでは、と主人公が思ってしまうほど、女性が許されていることは少ない。 さらに見知らぬ男に誘拐されかけて暴れても「娘の躾している、こいつは〜〜」といえば、周りはすんなりと納得する。 大きくなって結婚するとしても、持参金をたくさんもらえば、嫁入り道具は高価なものを用意しなければいけない。 ほとんどの人が貧乏な時代、酷な制度だ。 結婚したらしたで、妻は男を産めと期待され、もひ生んだのが女ならば、男でなかったことへの悲しみに加え、この子も自分と同じような人生を歩むのかと絶望に暮れる。 どうやって男を産むかという民間信仰もコラムに書かれているのだけど、書かれた方法の多いこと、多いこと。 そんな時代なので、女の子が生まれたら親が殺してしまうことも多々あったらしい。 その結果、女が少なく、結婚できない男が増えた。 そこで発明されたのが、幼女を家に迎えて育て、息子の嫁にするという方法。光源氏もびっくり。 というように、作中でも説明されているとはいえ、背景知識がたくさん必要なので、予備知識がない私は2周目でようやく話を追いながら読むことができた。 こわいというより、悲しい話だなと思った。 たしかに、幽霊は出てくるのだけど。
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2024/07/01
地味な女性が主人公で、“白雪姫”がいわゆるザマァ役かと思いきや
あざとい、ぶりっ子、若さと顔だけ、マウントとりがち、彼女が気に入った人以外の敵。 彼女を批判する言葉は他にもいくらでも出せる気がする。 それでもターゲットとした男性からは恐ろしく好かれる、ある意味要領が良い女性。 「白雪姫」こと、白雪愛莉が主人公である。 『みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?』というタイトルは、悪役側のセリフではない。 イケメン&ハイスペック男性に選ばれしオンナになりたい愛莉。 加えて、羨望や褒め言葉などはすべて自分に集めたいという、こじれた性格をしている。 なので、イケメン&ハイスペックを求めて、男を取っ替え引っ替え。 アクセサリーのように、取っ替え引っ替え。 より貢いでくれる男を求めて取っ替え引っ替え。 しかし、選ぶ男は誰も彼もダメ男。 そこはだめだろうという要素を、ぶち抜く勢いで踏み抜いたダメ男。 あまりの男を見る目のなさに憐れみが出てくるけども、次の男への切り替えも非常にあっさりしていて、憐れむ隙を与えない。 そして変わらず、イケメンが現れたら値踏みしつつ、男受けする性格を演じ、落とそうと画策する。 いやあ、非常に良い性格をした、したたかな姫である。若さが保たれるうちは、王国も安泰ですね。 ちなみに、地味女性のほうを主人公にしてもお話ができそうなほど、ステキなキャラクター設定。 日本酒&せんべろ&御曹司をテーマに、一つ読んでみたい。
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2024/06/25
あるいは、姉(主人公)推しの妹による復讐劇
婚約者の第二王子どころか、両親までも主人公に対する扱いがひどかったので、妹もひどい奴では…と疑ってしまった。 すごく良い子だった。 この両親、この家庭環境でどうして!と言いたくなるほど、優しく、思いやりのある良い子だった。 作中の言い方を借りれば「光」。 玉にキズは、姉に関すること(姉はだいたいひどい目にあっている)になると、穏やかさを失うこと。 姉推しの妹。そして若干ヤンデレ。 主人公の姉は、スパルタ教育と努力の末、「歴代最高の聖女」になった人。 がんばればがんばるほど邪険にされる、ひどい環境のなかでも妹の存在が心の支えになっている。 ほとんど一緒に過ごしていないのに、お互いを思いやる気持ちは他の人と比べ物にならない。 なので、この漫画の最初の見どころは隣国に売られた前後のシーンだと思う。 子を売る親、婚約者を売る第二王子、絶望するなか誰にも連絡を取らせてもらえない姉、何も知らされないまま姉と離れ離れになってしまう妹。 さらにまだ追加でひどい要素はあるのだけど、それは本編にてご確認ください。 隣国での待遇が出身国より良いという、よくありそうな展開なのだけど、隣国は隣国でなにやら事情がありそうで… 思わず最新刊まで一気に読んでしまった。 チートのような主人公のシンデレラストーリーといっていいのかな。おもしろいです。
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2024/06/23
勇者様のお父様は身長2メートルほど。
そして、ドラゴンをパンチで倒すことができます。 勇者様のお母様は魔法を使えるとのこと。 お水を出すだけかと思いきや、どうやらこちらも規格外。 彼らと並ぶと平々凡々にみえる勇者様は、本当はどれほどのお力を備えていらっしゃるのでしょう。 しかし、全世界の人々の希望であることを忘れ、勇者という座にあぐらをかいた態度、色欲に溺れるさまを、ともに旅立ったはずの幼馴染によってご両親へ報告されてしまいます。 信じられない息子の行動を聞いたご両親は、情けないやらなんやら、お詫び行脚に廻ることにします。 そう、タイトルの「どうも、勇者の父です。~この度は愚息がご迷惑を掛けて、申し訳ありません。~」回収です。 ついでに、息子を一発殴り、愛の拳を与える予定のようです。 ご両親のお詫び行脚は、ご両親の圧倒的な力(勇者ではない)が描かれています。 強すぎる力は、そこにあるだけでコメディです。 彼らはいたって真面目なのに、規格外すぎてコメディになってしまうのです。 あと、お詫び行脚に加えて、人助けもします。 なお、出落ちのような存在感を放つお父様ですが、なかなか紳士です。 お母様がメロメロな理由もよくわかります。
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2024/06/20
ネタバレ
鬱展開の復讐小説からジャンルを変えて、どちらへ向かわれるのでしょう。
最近は「転生」でなく、「憑依」が流行りになったのかしら。 「夢も希望もない復讐を描く小説」という鬱展開が舞台に加えて、最初の犠牲者。 そんなキャラクターになってしまった主人公。 自分の意志を持ってから一ヶ月、慌てて小説の主人公ルカを大事に扱うところからストーリーは始まる。 小説と異なる展開や同じ展開、色々あるものの、小説と違うルカは、どうにもあやしい。 鬱展開小説と違い、大人びていて、どうにもあやしい。 ルカを一族へ迎えに来た、独身主義者のリューディガーも、周りの反応を聞くと、なんだか本来のキャラクターと違うような。 気にしていくと、この人も違うような。あの人は同じか? 主人公視点、主人公の考え、主人公が知っている鬱小説の展開にひっぱられるので、どこまで正しいのか、よくわからない。 唯一わかるのは、ルカもリューディガーも主人公に好意を持っているということ。 原作の小説では描かれていないだけか、変わってしまったかわからない。 とはいえ、主人公が甥っ子に懸想し始めても困惑するし、平民が貴族の彼へ「あなた、私のこと好きなんでしょ!!」と、早々に問い詰めたらドン引きしてしまうので、このくらい鈍感な方が良さそうだ。
ゆゆゆ
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2024/06/18
ネタバレ
どこかズレてしまって、このような展開に
3巻まで読みながらも、何度か読むのを止めようと思った。 でも第0話で描かれた関係性が少し不思議で、続きを読んでみたくなった。 もしかしたら、廃校寸前の中学校を舞台にした女の子ふたりの青春物語が生まれる世界線もあったのかもしれない。 どこにも逃げ場がないかんじがする中学時代。 なにかしらトラブルを持つ、生徒と先生。 何にもない田舎だから生まれた流れと言わせしめるような、全ての悪を「田舎」のせいにする子どもたち。 そして、周りは囃し立て、その流れからもう誰も逃れられず、普通の人たちが、もっとひどいことをしてしまう、させてしまう。 現実の殺人事件でもこの状況があったような。 我が子がいじめられっ子でなく、いじめっ子でよかったと思う保護者もなんだかリアル。 そして、ドロドロの空気感と展開をホラーな方向へ変えていく、壊れた人たち。 爽やかな青春と卒業式とは、正反対。血まみれの日々。 血で血を洗うような憎しみは、行くところまで行かないと終わらない。 雪はその血をも消していく。 読みながら、こいつは同情してやるかとまで思った先生。彼女の夢は潰えたというのが悲しく、気がついたら同情していた。