名無し
1年以上前
かわぐちかいじ先生の作品の登場人物は
野生的なタイプと理知的なタイプがライバルとして
登場するパターンが多いような印象がある。
泥臭いタイプとスマートなタイプ、ともいえるかも。
「沈黙の艦隊」とか「ジバング」「バッテリー」など。
「獣のように」では
兄貴分の竜三が野生的タイプ、弟分の健次が理知的タイプ。
供に認め合い、馴れ合ってもいるような面もあるが、
互いの違いを理解しており尊重している感じ。
相手に、自分には無い物があることを認識しているというか。
そして竜三は健次を気遣い、
健次は竜三を慕い尊敬しつつも恐れつつ、
それでも近づき超えたいと思っているように感じた。
ビリヤードは基本的に相手を排除して生き残る競技だと思う。
対戦相手がともに勝利者になることはない。
どちらかはポケットに落とされる。
そして実力勝負ではあるがそれだけで落とされるほうが
決まるわけではない。
時により運や流れやその他の要素も絡んでくる。
しかしどちらかは確実に落とされる。
獣のようにでは、野生と理知のどちらが勝って
どちらが優れているかという結論が描かれているかと
言えば、描かれているようで描かれていないと思う。
それはビリヤードが確実に勝者と敗者が決まりながら
どこか強弱とか優劣が決まったとは言い難い競技で
あることと、ヤクザ社会との類似のようにも感じる。
どちらかが落とされることも。