名無し
1年以上前
かつてビリヤード・ブームがあった。 バブルの時代の象徴的なオシャレというか トレンディというか。 プール・バー(ビリヤード場)がアチコチに できた時代があった。 映画の「ハスラーⅡ」や「道頓堀川」なんてのもあったし。 残念ながらビリヤードはメジャーな娯楽になり 世間に定着するまでにはいたらず、 むしろバブル時代の蜃気楼と化している感もあるが。 ヤクザもバブルの時には地上げだなんだと話題になった。 この漫画では、目的のために球を弾く、避ける、落とす、 などのビリヤードの競技性が絶妙にヤクザの生き方と クロスしてなんともいえない味わいになっている。 バブルの時代の狂熱と、その後の凋落を 今となっては暗示的に象徴し感じさせる漫画、 それが「獣のように」だ。 途中からはビリヤード色が薄くなって ヤクザ漫画になるけれど、それはそれで ヤクザという男の行き方「色気」が メチャクチャに弾けまくる。 まさにビリヤードでセットアップから 球を弾くゲーム・スタートの興奮のように。 いまとなってはともに絶滅危惧種になりつつある 「ビリヤード」と「ヤクザ」が、 省みると、バブルとその後の時代を舞台に 絶妙に偶然に?マッチングした かわぐちかいじ適でいて奇跡的な ビリヤード・ヤクザ漫画だ。