toyoneko
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2022/01/07
際限なきエスカレーション…!
「おさなづま」は,原作:森高夕次(コージィ城倉),作画:あきやまひでき(現在は「アキヤマヒデキ」)がアクションに連載していた漫画です その内容は,表紙や,タイトルからは,全く想像もできないようなものです すなわち,この作品のストーリーは,天才漫画家ハタイチコ先生(16歳のおさなづま)が,ダンナ(37歳)から虐待されながらも,その才能を遺憾なく発揮し,傑作漫画「めぐみのピアノ」(「めぐピ」)を描き,その「めぐピ」が売れに売れて売れまくるという,ただそれだけのものです しかし,この「売れに売れて売れまくる」という部分がこの作品の何よりの魅力! ハタ先生は,苦難とかスランプにぶち当たることなく(ただし初期はダンナの妨害とかあります),その才能を延々と発揮しづつけ,めぐピは際限なく売れ続けます 売れまくる様子がどんどんエスカレートしていく様は,単純に楽しく,ストレスなしでずっと読み続けられます アニメ化にあたっての視聴率推移とかも派手すぎて最高でした ある意味で「なろう」に通ずるものがあるかもしれません 全10巻がKindle Unlimitedで読めますので,読んだことない方は是非ご一読を! …先ほど「ストレスなし」と書きましたが,ダンナの存在は,ある意味ストレスかもしれません しかし,これは物語構成上,どうしても必要不可欠な部分。何となく予想はつくと思いますが,ぜひ最後までお読みいただければと思います
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2021/12/05
加速していく不穏な物語 #1巻応援
「るなしい」は,意志強ナツ子先生の新刊です。今のところ,既刊は1巻のみ。 掲載誌はなんと小説現代。 意志強先生の過去作は,「魔術師A」と,あとは「りゅうのすけくん」だけ読んだことがありました。 http://leedcafe.com/webcomic/exmanga019a/ どちらも面白いのですが,エロ比重が大きすぎて,正直自分の中で持て余していたところ, 本作は,(少なくとも1巻の時点では)直接的な描写はなく,比較的読みやすい作品になっています。 主人公の「るな」は,学校内でいじめをうけている,もっさりした感じのメガネ女子高生。 彼女は,広報委員会に所属しており,その中では「オタサーの姫」的な扱いを受けています。 一方で,彼女は,学校内で,処女の血がしみ込んだモグサを売って, 希望者にお灸をする(しかも有料)という,やや怪しげな活動にも手を出している人物。 そんな彼女が,ふとしたことから背の高いイケメンと仲良くなって…というところからストーリーが始まります。 …こう書くと,なんだかラブストーリーが始まりそうですが, 意志強先生のお話ですので,そうではなく, 中心になっていくのは「やや怪しげな活動」の部分です。 るなの「おばば」は, るなを「神の子」とするリアルな「信者ビジネス」を営んでおり, その考え方は,ほぼカルトです。 悩みがある者を焚き付け,家族と切り離し, 奇跡を見せて,取り込んでいく…。 もちろんガッチリお金をとる。 るな自身も,そのことを充分に把握したうえで, これに加担し,背の高いイケメン(ケンショー君)を取り込んでいく…。 破滅が確定している結末に向けて, 不穏さばかりが増していく物語。 オバケが出てくるわけでもないのにホラー感は強く, ゾクゾクするような読み味であり,きっと名作になるであろうと予感させてくれる作品です。
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2021/11/29
作中作を整理
本田鹿の子の本棚は遂に6巻が発売,さらに水洗戦記タケルの1巻も発売とのことで, 本田鹿の子の本棚の作中作につき,作者名+タイトル名を整理してみました(コミック版準拠)。 誤記があったらご容赦を。 1巻(暗黒文学少女篇) 1 恋田 敬「女に火をつける男」 2 帝都 正樹「ミニモン」 3 男谷 一発「目覚まし時計」 4 男谷 一発「空手家」 5 尼ケ崎 三太夫「グレープフルーツ太郎」 6 アダム 竹中「愛欲和尚」 7 阿修羅木 鉄「カードバトラー カケル」 8 迫水 力「ブリジット・キャンベルVS異世界の化物」 9 望月 睦睦「柚木さん」 10 奥 くるる「糖女房」 11 北小路 大門「爆発物処理班」 12 蠅沢 遥「ぼくのデス子 13才の少女」 2巻(天魔大戦篇) 1 アダム 竹中「ゴエモン&ガンタンク」 2 鈍色 空「抗徹巨人 ダギオス」 3 角田 偽史「猿の手 編」 4 角田 偽史「猿の手 編」 5 田中丸 大砲「ジパング」 6 右国 虫太郎「シロアリ飯」 7 間 翔間「超能力少年 紀岡」 8 不帰 離人「神隠しのサイコ」 9 佐世保 海路「漫画家 内田拳紫郎 インタビュー」 10 松平 只輝「猫カフェ」 11 宍戸 獅子丸「男のデスゲーム」 12 テロメア 未明「星霜の人」 3巻(大乱戦クラッシュファミリーズ篇」 1 ガトー・イーグルトン「豚肉の下に侍る者達」 2 邪画 曲「おつかいは はじめてか?」 3 マスクド 乱世「マッドプロレス20XX」 4 遊星 静止「セカイ系」 5 羽多田 オパオパ「ミユっちとチカ公」 6 伊東 篁「人手抄」 7 籾 しだく「肩こり人間」 8 金 五衰「黒氏緋花伝」 9 夕張 ゆばり「飲尿バー エリュシオン」 10 青黴 麒麟児「神感染 ファイナルボクササイズ」 11 立花 キャップ「ナチュラルマン」 12 ガトー・イーグルトン「便所姫」 4巻(続刊未定篇) 1 富良野 富士男「書を捨てよ 風呂にいこう」 2 魔儀羅 憑一「キンバリー中止計画」 3 宙船 宙魚「オーメガ星の有害図書」 4 日野 百頭女「妖怪たちの戦後史」 5 男谷 一発「死にぎわ」 6 青白鬼 脳細坊「ゆで理論殺人事件」 7 叫 童景「水憑き」 8 叫 童景「湯の花」 9 アミーゴ寺﨑「幼馴染考」 10 天秤棒 ぬらぬら「うみがなる」 11 下山 蓋然「観測者を見る猫」 12 羽多田 オパオパ「続・耳なし芳一&続・平家物語」 13 下呂 茜「メシマズヒロイン」 14 中田 終末時計「核まんが道」 5巻(鳳凰の帰還篇) 1 羽羽羽 麗「シャーマニックストレンジャー」 2 鈍色 空「勇気発進 ギザハート」 3 中島 だいなも「擬人化メシ」 4 颶風 二郎三郎「疾風伝説バレンタイン」 5 笠原 刑部「飯島アニマ」 6 迅電 車輔「バスターロード」 7 稲村 天変「弩級異伝 毛利」 8 松村 アガルタ「第一章」 9 チャフフレア 後藤「脳内ラヴサバイヴ」 10 小金井 ゴルドマン「水着回」 11 松平 只輝「サイコパス」 12 ジェヴォーダン 団十郎「偉大な飛躍」 13 宇宙卵 玉子「ニラ玉節考」 14 古血 ナムチ「ムエタイ人面瘡」 15 菅江 旅人「沼田稲穂」 6巻(十五撰相篇) 1 ヤヌス・ブラックウッド「収穫の環」 2 特別篇 3 後藤 孫六「三ノ輪大量殺人事件」 4 タイタス たらお「デリバリー 上に乗る者」 5 朝比奈 世阿弥「大麻男 胎蔵」 6 間 翔間「結晶ジカン」 7 李家 彦太郎「糞世界転記 アキオ」 8 李家 彦太郎「龍班」 9 苫前 銀熊童子「サムライ トロッコ道」 10 黒川 冷蔵「Go tо ヘル」 11 タイタス たらお「チーズマン」 12 平等院 アドレナリン「セカイ系 ハイボルテージ」 13 肉厚 ヒラメ「暴力ヒロイン 対 フィジカルモンスター」 14 喉仏 ごくり「ドキッ☆男だらけの創成期」 15 犀の角 独歩「エターナったフリーゲームの世界に転生しちゃった!?」 作者ごとに整理すると,男谷一発の作品が三作品。これがもっとも多いです。 しかし,二作品が掲載された作者も意外と多いです。 ガトー・イーグルトンは「狂王ガルザーシリーズ」の作者で,あわせて二作品。 松平只輝は「きらくにやろうぜ」シリーズの作者で,あわせて二作品。 角田偽史は,「猿の手」の通常版と新装版で,あわせて二作品。 叫童景は,「陰日本奇譚ツアー」から二作品。 アダム竹中は,「ネゴシエーター」シリーズから二作品。 それ以外にも,さらっと二作品掲載された作者がいます。 鈍色空は,なんといいますか,ダイナミックプロ的な作品が二作品。 羽多田オパオパは,芳一ネタで二作品。 タイタスたらおは,反町会長ネタで二作品。 間翔間は,超能力ネタで二作品。 あと,李家彦太郎も二作品。たぶん作者(佐藤先生)自身が元ネタ。 意外と,作者ごとの作風があるんですね…。
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2021/11/27
「オバサン文学」の傑作
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齋藤なずな先生は,ビッグコミック等で作品を発表している作家です。 代表作は「恋愛烈伝」など。 …などと書いてますが,私が齋藤先生を知ったのはごく最近で, マンバのこの書き込みで知りました。 https://manba.co.jp/topics/16647/comments/171559 ほうこれはどんな作家なのだろうと思って, とりあえず「齋藤なずな作品集」のうち一つである, 「迷路のない町」という短編集を読んだところ,大変な衝撃を受けました。 傑作!! 「迷路のない町」は,中年女性とか中年男性を主人公にして, ちょっとした日常の出来事を描く短編集です。 そこで主として描かれるのは,老いとか,加齢とか, コンプレックスとか,人間の心の弱さであり, それが鮮烈に切り取られて描写されます。 「中年ならではの心境」を,解像度高く描き出す作者の力量は, ちょっと只事ではありません。 特に,中年女性が主人公の作品群が凄い。 「彼岸花」「ごはさんで願いましては…」「花いちもんめ」「鴨居」あたりはどれも大傑作。 「ごはさんで~」のうち,「電気店の店頭にあるテレビにうつった自分の姿をみて, 自己イメージと現実の違いに気づいてしまうシーン」(添付)なんて, 本当に絶妙な切り取り方です。 私は,この作品集は, 他に類をみない,「オバサン文学」の傑作だと思っています。 「迷路のない町」は,kindle unlimitedに収録されていますので, 読んだことがない方は,ぜひご一読を。 なお,齋藤先生の作品はほかにもいろいろkindle unlimitedに収録されています。 そのほかに,数年前に発行された「夕暮れへ」という作品集もあります。 ほとんどが再録ですが,「トラワレノヒト」「ぼっち死の館」は新作です。 前者は老人介護文学,後者は老人団地をテーマにした作品で, いずれも大傑作なので,この2作品のためだけに購入しても全然大丈夫です。 最新の作品集は「初期傑作短編集 ダリア」。 幻のデビュー作ほか,初期作品を収録した短編集とのことです(まだ読んでない)。 さらに,齋藤先生は,「ぼっち死の館」を今でも不定期連載中。 https://bigcomicbros.net/8276/ 70歳をこえてなおも現役で活躍中。応援してきたいです。
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2021/11/14
「ダンゲロス」シリーズ第3弾。バカと下品のオンパレード!
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「ダンゲロス」シリーズには「戦闘破壊学園ダンゲロス」「飛行迷宮学園ダンゲロス」「ダンゲロス1969」があり,もともとは架神恭介先生による小説です(その小説のもとになったTRPGっぽいものもあるらしいのですがよくわからないので説明省略)。 基本的には超人たちの能力バトルなのですが(なお能力者は「魔人」と呼ばれます。),能力は本当に異常なものばかり。 たとえば漫画版「戦闘破壊学園」1話に登場する女の子の能力名は「災玉」。男にのみ感染するウィルスを作り出す能力で,感染した男はありとあらゆる性病を発症したうえに精液を吐き散らしながら金玉が爆散して絶命するという,狂気に満ちた能力です。 そんな「戦闘破壊学園ダンゲロス」を漫画化したのは,今となってはジャンプ作家の横田卓馬先生。 シンプルながらも魅力的な絵柄と,原作をうまく整理したストーリー,そして何より,迫力ある演出が加えられたことで,最高の作品になりました。 さて,ここで紹介するのが,シリーズ第3弾「ダンゲロス1969」。 舞台は,1968年~1969年。過激化する学生運動の中で,「魔人」学生と,「魔人」警察/公安が入り乱れ,抗争を繰り広げるというストーリーです。 それまでのシリーズと比べてもさらにバカかつ下品になった「魔人」能力のため,これはもう絶対漫画化不可能だろうと思われた作品です。 特に警察側がヤバくて,常に下半身丸出しで精液で敵の動きを封ずる奴とか,常にうんこを食べている奴とか,オナホール刑事とか,触手生物(名前は「姦崎姦〔かんざきれいぷ〕)とか,異常な奴しかいませんでした。 そもそも「戦闘破壊学園」と「飛行迷宮学園」の原作小説は講談社から出版されてるのに,この作品だけ,作者の自費出版です(キンドル版のみ)。 ところが!この作品も商業作品として漫画化されました。 漫画化したのは,「戦闘破壊学園」と同じく横田先生。 横田先生は,「戦闘破壊学園」同様,原作の魅力を充分に引き出しつつ,一方で,その絵柄によって,癖のありすぎる「魔人」能力を,ちょっとマイルドな印象に仕上げることで,ぎりぎり商業出版に耐えられるようにしてくれました(画像参照)。 なお,小説版の表紙は武富健治先生が書いてます。武富先生が漫画版を描いた場合は,商業出版の範疇を超えた可能性がありそうです。 ヤバすぎる能力を持った魔人たちが次々あらわれ,学生と警察/公安の戦いは過激化していき,物語はどんどん盛り上がっていったのですが,しかしやはり,読者を選ぶ作品ではありました。 何しろ1巻ラストのヒキが,精液で敵の動きを封ずる「魔人」公安vs女子小学生のおしっこを操る能力を持った「魔人」学生の戦いが始まる!というものでしたから。 安田講堂決戦開始の直前で,漫画版の連載は終了してしまいました(打ち切り)。 コミックは全5巻。原作のうち三分の二強までが消化されました。 ある意味で一番盛り上がる聖百合超特急(リリアンエクスプレス)は描かれたものの,まさにこれから最終決戦!というところでの連載終了でした。 「革命の構造」の秘密は明らかにされておらず,「転校生」も戦いの舞台にはあらわれていません。 無念…実に無念です。 とはいえ,横田先生のツイッターをみると,いつか続きを描きたいとのことです。 https://twitter.com/kyooteta/status/1202790198771208192 いつか,どこかで,この作品の続きを読める日を待ち続けたいです。