あうしぃ@カワイイマンガ
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2020/10/02
迸る「体液」作家・江島絵理! #1巻応援
『対ありでした』の内容については前のクチコミを見ていただくとして、ここでは本作の作者・江島絵理先生の過去作を引き合いにして、本作の魅力を別角度から見たいと思います。 まず『対ありでした』の1巻表紙、カワイイ女子の「涙」が印象的です。結んだ口、溢れる大粒の涙。強い感情がもう、そこにはある。 江島絵理先生の前作『柚子森さん』でも、小学生女子の柚子森さんの「涙」が、印象的でした。女子高生の主人公・みみかに惚れられる柚子森さんは、普段はクールです。いつもテンパっている年上のみみかを、表情を崩さずにリードする役割。 そんな柚子森さんが、遂に涙を流す時というのは、感極まった想いと怒りが溢れる瞬間でした。思わずもらい泣くような、強い感情の大粒の涙。 一方みみかは、柚子森さんの前では常に紅潮しながら、汗をかいている。そして柚子森さんに気持ちをぶつける時、やはり大粒の涙を流す。二人の流す、ここぞという時の「体液」に、心を持っていかれるのです。 さらに前前作『少女決戦オルギア』では、例えば殺される間際の女子高生の、震えと共に汗・涙。今際の際に流れる体液が表現する恐怖に、同調してしまう……それは殺す側の主人公・水巻舞子の、汗ひとつかかないクールさとの対比で強調される。 さらに致命傷の傷から噴き出す血液は、瞬く間に怪物となって、敗者を喰らい尽くす。死の刹那の、黒い奔流。 ここぞという所、極まった瞬間に迸る体液の生々しさに魅せられる、江島絵理先生の創る画面。 『対ありでした』でもそれは、遺憾なく発揮されます。皆の憧れのお嬢様「白百合さま」は、普段は汗などかかない。湿度0%のさらっさら。それが人知れずアケコンに向かう時……汗をかき、負ければ涙し、噛んで血すら吐き……熱すぎる感情剥き出しの、度を越したゲーマーが湿度100%で表現されます。 そこにはやはり、熱く飛び交う、過剰な感情表現としての「体液」があるのです。 そんな白百合さまを、たまたま見てしまった主人公の綾。お嬢様を目指して格ゲーを捨てた綾に、その姿はどう映るか。綾は白百合さまに心動かされるのか、白百合さまに煽られて、体液を迸らせる時は来るのか……。 ○○○○○ 『対ありでした』を楽しまれた方は、江島絵理先生の「体液」と熱い感情のある旧作も、どうぞご覧下さい! 少女決戦オルギア https://manba.co.jp/boards/17564 柚子森さん https://manba.co.jp/boards/73510
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2020/09/26
スパルタ料理指南から恋は生まれるか
晴れて都会の大学デビューの稲葉すずな。一人暮らしを始めるも、彼女は全く料理が出来ない!テキトーな生活で大変な事になりそうな所を、隣の部屋の瀬戸晴海に救われる。飯ウマ男子の瀬戸君に、稲葉さんは料理を教わり始めるが、彼はめっちゃスパルタで……。 ○○○○○ この作品、私はマンガParkのアプリで知りましたが、掲載誌は白泉社の『AneLaLa』。『LaLa』の増刊とのことで、大学生や社会人、そこを見据える高校生が対象なのかな? 家を出て一人暮らしって、切実ですよねぇ。高校出るまで料理なんてした事ないっていう、稲葉さんみたいな人いっぱいいると思う。そういう人にはこの作品、切実に刺さるはず。その上、私のようにいい歳まで自活を回避してきた人にも、恐々読ませてしまうものがある。 「この漫画読んで、わたし最近、料理始めました!」(あうしぃさん・40代男性) 瀬戸君はスパルタなのですが、真剣で生活を大切にする人。稲葉さんは彼を尊敬し、厳しい教えについて行くうち、少しずつ、料理は上達していきます。 稲葉さんも真剣で、今まで切り捨ててきた「生活」を、丁寧にしようという努力には好感が持てます。さらに結構食いしん坊の稲葉さん。意外と料理、上手くなるかも……?彼女の着実な成長に、ちょくちょく感動させられます。果たして瀬戸君が、彼女を認める時は来るのか? そして実は最初に「タイプじゃないから」と瀬戸君に言い渡されてしまった稲葉さん。このまま何もない、ただの隣人として……?さあ、どうでしょう?
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2020/09/25
女子が好きな女子を好きな女子 #1巻応援
女子が好きで、「運命の人」を探すために超巨大女子校に入学した南山ハイジと、そんな彼女が好きな北町さらら。ハイジのために「運命の人」探しを手伝うと宣言したのに、さららはハイジを諦めきれない。15万人の対象者から「運命の人」を探すのが先か、その前に二人は結ばれるのか......。 ♡♡♡♡♡ 序盤から驚かされるのは、「運命の人」探しが、割とあっさり成功しそうなところ。ハイジは庇護欲を唆るモテ体質。あっという間に周囲の注目を浴びる。 ......とは言ってもそう簡単にはいかず、とある理由から、ハイジとさららと、SNSでバズりたい陰キャの沼丘ていの、三人ぼっち行動が多くなる。 女の子を見てはキラキラしているハイジ、彼女のためにあたふた奔走するさらら、雑に扱われるていのコメディはテンポが良く、情緒のブレとツッコミのキレが強烈。「例のプール」「女子の情報を書き込んだノートの名前」など、細かなネタを随所にブチ込んできて、つい笑ってしまう。 ハイジも実はさららを大切に想っていることは随所に描かれていて、その度に「さっさとくっつけばいいのに......」と思いつつ「尊い!尊い!」とふぁぼを押したくなる自分がいる。 これは定期的に摂取したくなる百合コメディ!
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2020/09/23
不登校と強すぎる個性への応援歌 #完結応援
自分の歌声で人を失神させた事を気に病み、不登校になった中学生女子。優しい転校生に歌を認められた事をきっかけに、彼女は少しずつ元気になる。しかし、彼女の歌声には秘密があり、転校生の男子にも秘密があった……。 ♫♫♫♫♫ 歌をきっかけに広がる世界、イケメン男子二人から迫られるドキドキ、歌声の秘密を巡る謎の勢力etc...少女漫画としての楽しさ一杯に進行しながらも、核となるテーマは重く、真剣に没入して読んでしまう。 メインテーマの一つに「不登校」がある。当事者の内面描写が切なくて、同じような苦しみを抱える人……精神的なしんどさを抱える人ほど、思い入れてしまうだろう。 精神的に苦しむ人が、優しい人達によってどの様に救われていくかを描き、寄り添い方について、我が事のように考えさせられる。(精神状態が身体症状に現れることなど、広く知られて欲しい) 「強すぎる個性」とどう折り合いをつけるか、というのも大きなテーマだ。主人公・キセは特殊な歌声で、人を感動させる一方で、思いがけず人を傷つけてしまう……その苦しみを理解する人は、実はあらゆる所にいるだろう。 そして裏テーマとして「学校教育の肯定」もあるだろうか。 作中でキセが歌う歌は、唱歌、クラシック、ポップスまで、学校の音楽や英語の授業に登場するものが多い。これらの曲を「ガッコーでやってた、ダサいやつ」と斜に構えて見る人も多いかもしれないが、本当は心の奥底で、胸を掴まれていないだろうか? 作中では、これらの曲をキセが楽しそうに・心を込めて歌い、多くの人が心動かされる。そんな様子を見ていると、これらの曲を、もう一度素直に聴いてみたくなる。 心の奥では肯定したい美しさ・楽しさを、中2の感性のまま拒絶する心。キセの歌う姿には、そんな私達の頑なさを解きほぐす力がある……そんな気がする。 大きな苦しみを抱える人から、小さな引っ掛かりを残したまま暮らす人まで、苦しみを知る人々の心を癒し、支えてくれる作品だ……そしてそれは結局、今を生きる全ての人への応援歌として、優しく響く。
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2020/09/18
仲良くケンカする二卵性コメディ! #1巻応援
あらすじには「イチャつきすぎ」と書かれていますが、イチャつくと言うよりは、「じゃれ合っている」と言う方がしっくり来るかと……。 二卵性双生児の高校生、元気な女の子モモと、しっかり男の子アオ。二人は双子ではありますが二卵性なので、容姿も性格もそんなに似ていない。 生まれた時からずっと一緒にいる二人の関係は……「競争相手」かな?どちらが姉か兄かを巡って意地を張り合うのですが、主導権を握りたいモモの行動はどこか抜けていて、それをアオがフォローしたり突っ込んだり……という構図が最初から定着していて、謎の安定感があって可笑しいです。 そんな二人のドタバタコメディの中に、時々お互いを自然に思い合い、心配し、助け合う様子が見えると、ああ、きょうだいっていいなぁと思わされます。 恋愛のドキドキではない、二人の「当たり前な」信頼関係が物凄く尊い!ズケズケと言い合いつつも互いを気にする、究極の安定した関係性コメディを、安心して楽しむべし! (欄外のカワイイ生き物と一緒にね!) 2巻は2020年10月14日発売! (追記:紙書籍はこの日に発売されていますが、電子書籍はこの1ヶ月後になるとのことです)
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2020/09/17
上司と部下のドタバタ二人生活! #1巻応援
女性二人の同居を描く本作ですが、この二人の関係は、職場の「上司と部下」。しかも立場にかなり隔たりがあります。 ●三十代にして部長を任される、頼れるけれど真面目で堅い東(あずま)さん ●新入社員の明るくゆるふわな西さん どう見ても性格が正反対の二人が、たまたま同居する事に。険悪にならないの?と心配になりますが、実はこの二人、共通点があります。それは…… 生活力が、無い。 驚く程何もできない二人が一緒に住むと、0からじゃなくてマイナスからのスタートになるんですね。最初は結構、酷い日々。 でもそこから、協力しながら生活を共にし、上司の東さんが引っ張るようでいて部下の西さんがいろいろ教えたり、そのうち二人には連帯感が生まれ……。失敗ばかりの日々も、冒険じみていて楽しそう! 西さんのキャラクターが本当に素敵です。普通「部長」に、あんなにフレンドリーに出来ませんよ……「ぶちょー♡」って甘える女子新しいな……。その明るさで、ちょっとぼっちを拗らせ気味の東さんは救われている。 笑いも温かさも沢山の、二人のドタバタ生活は始まったばかり!
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2020/09/12
JK声優、喧嘩しつつ高み目指す! #1巻応援
お仕事漫画でライバル同士が、火花散らしながら高みを目指す物語は、昂るものがあります。アニメの現場はプロ意識の塊のような場所だと思いますが、声優さんも、プロ意識高いですよね。 声優さんの意識が垣間見られる場所として「声優ラジオ」があります。フワフワ喋っているようで、時々生々しい本音でトークをする声優さんが好きです。そんな「声優ラジオ」に、女子高生で、しかも同じ学校・同じクラスの二人が起用される……というのが、このお話。 声優ラジオというと、ふんわりした仲良しトークが普通です。この二人のラジオも表面的には仲良しキャピキャピトークですが、実際の二人は物凄く険悪。方やギャルの陽キャ、方やぼっちの陰キャ。何かというと喧嘩ばかり……ちょっと引く位の刺々しさ、荒み具合。 しかし「アイドル声優」として、可愛さを売りにする為に素の自分を隠しているのは一緒。そして仕事人としての意識が高いのも、共通している。 その上で、ラジオの収録・公録、作品の現場を成功させる為に、互いの意思をぶつけ、苦手なところを支え、相手に負けまいと高みを目指す二人は、次第に互いを理解していく……その過程を追う程に胸高鳴り、のめり込んで読んでしまいます。 陰キャのツンっぷりが物凄くて正直怖いのですが、徹底的なツンの後にポロっと出るデレが、威力抜群!陽キャと一緒に心グラグラ揺れまくりです! こんな二人をアニメ化したら、誰に声を当ててもらおうか……と、かなり真剣にメタな事を考えながら読みました。
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2020/09/11
博愛の「学食JK」に癒される… #1巻応援
転校生男子は、同じ学校の女子に「学食の食券」を貰う。学食に行ってみると、そこには働く彼女がいた……そんな始まりのこの作品。全体的に「美味しさ」と「小さな博愛」に溢れた物語となっています。 学食というと、安くて味はまぁゴニョゴニョ……みたいに言われがちですが、この学校の学食はとても美味しくて激混み。評判の学食を切り盛りする、まだ高校生なのにしっかりした彼女に驚かされます。 何故か姉と二人暮らし?の転校生男子。元気がなさそうだったのを、学食女子と学食でも、それ以外でも共に過ごすうち……少し活き活きし始めた?私達も一緒に元気を貰っている気持ちになれます。 学食女子は本当に優しいのですが、それはこの男子にだけではなく、親友から迷子まで、一人ひとりに気を配っている。目の前の人をよく見て、少しの優しさで相手を支える、そんな「博愛」を持った女子。 べったりとした愛情ではなく、小さくても細やかな気遣いに救われる、そんな優しさがある学食……とても良い! 何故学食で働くのか、という理由は語られますが、まだまだ何かありそうな予感。その辺も気にしつつ、再び優しさをもらう為に次巻も読みます!
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2020/09/10
「明日に続く」物語に力を貰う #1巻応援
『あの娘にキスと白百合を』の著者・缶乃先生の短編集。新連載作『合格のための! やさしい三角関係入門』との同時刊行です。 表題作『無職とJK』は、電撃コミックの百合アンソロジー『エクレア』シリーズにて〈連載〉。金持ちJK(素直ないい子)が、「ヒモ稼業」のお姉さんを養いたくて、グイグイ迫って行くけど……というお話。 コミカルなやり取りと、「金」というドライで生臭い物を介しても尚、お嬢様の強い恋情と、子供を思い遣るお姉さんの真摯さは、胸に迫るものがあります。 その他、一迅社・双葉社のアンソロジーと『百合ドリル』、同人誌掲載の小品が集められていますが、缶乃先生の一貫したカラーは、昏さも明るさも「しなやかに」描く、という感じでしょうか。 明るい絵柄で描かれる女子達のコミカルなやり取りから、不意に昏さが立ち現れて来る。それを明るさが救うか、昏さが飲み込むか、という物語の、どの終局からも「終わり」という声は聞こえない。聞こえるのは「続く」という声。 昏い感情も切なさも、生きている限り明日も続く。抱えて進むか、立ち直るか……いずれの物語も、へこたれなさ・次に繋げること・生きる力を表現していて、それ故に本質的に明るく、しなやか。読んでいて打ちのめされない、自然と力を貰えるような作品達だと思いました。
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2020/09/09
誰か一人を選べぬ苦しみを知る #1巻応援
タイトルはコメディ調なのに、読み進めるごとに切なくなる物語。登場人物皆が心の奥底に何かを隠し、その感情が昂る瞬間に、胸が苦しくなる。 登場人物は ●憧れの先輩を追って難関校受験を目指す中3女子・真幸 ●真幸の家庭教師になる高1の凛 ●真幸の憧れの先輩で、凛の親友でもあるあきら 主人公は真幸のように描かれるが、物語のキーマンは、家庭教師の凛。 彼女は実は「複数の人を愛する女」。そのことは誰にも理解されず、ずっと仲良しだと思ってきた大切な仲間も、傷つけ失ってしまう。その過去話も、辛い話だ。 〈倫理にもとる〉本能を持つ人の、絶望的な感情……傷つけたい訳ではないのに、存在するだけで誰かを傷つける、という凛の苦しみは、とてつもなく切ない。救われて欲しいと思うが、そのために越えるべき〈倫理〉の壁は高い。 そんな過去故に、もう友人は作るまいと思って来た凛だが、思いがけずあきらという親友を得て、さらに生徒の真幸に自分を肯定される。 意図せず新たに生まれた、大切な「三人の」関係。1巻にしてもう、波乱の予感しかない。凛と真幸の危なすぎる距離、親友としての凛とあきらの関係のおぼつかなさ、そして凛の生徒が後輩の真幸である事を、あきらが知る時は来るのか……この困難、この複雑さと切なさ、2、3巻程度で「やさしく」完結する筈がない……のか?
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2020/09/07
ふたなりだけど百合じゃないなら無問題! #1巻応援
「ふたなり」は百合にとって、最大の禁忌の一つ。それ故にこの作品を試し読みした百合好きは、嫌悪の眼差しを向けるかもしれません。 また、そういう禁忌を超えた、新たな百合(?)が待っているのかも、という期待も、ラストに軽く打ち砕かれます。 そう、この作品は、百合ではありません! ……だとしたら、ふたなりでも問題なしですね!物凄く生々しくお下品な下ネタギャグを、心置きなく堪能していただきたい。 (補足すると、百合的な部分はネタとして笑いに昇華されていくので、百合ギャグ作品として捉えても全然アリだと思います。百合と捉えるかどうかは読む人次第という事で、ひとつ) とてつもなく古い一族の男系継承を守るため、亡き兄のイチモツを移植された女子高生と、彼女の為にあたふたする親友のお話……もうこの時点でどうかしている……。 ふたなりの秘密も命を狙われる危険も、とにかくあっけらかんと描き、イチモツのグロさも「グロい、グロいよ!」とギャアギャア笑いにしてしまいます。これが可笑しいんだ……。 女子高生の言葉と共に動くイチモツが、段々可愛く思えて来ます。横山まさみち先生のオットセイを思わせる、生きているみたいな?イチモツ表現は、意外とBL読者に親和性が高いかもしれません。あとは『寄生獣』が好きな方とか。
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2020/09/06
工業高校がカワイイ…だと…?
こちらの作品、工業高校が舞台なのだが、男子がほぼ出てこない。汗臭くもなければ、あんまり油臭くもない……工業高校を舞台にした、カワイイ学校生活物。 意外とリアルだな、と思うのは、工業高校に入る人が皆、物作り大好き!とかではないところ。 ●物作りガチ勢の若乃は技術はあるが、物作りが好きすぎて暴走。余計なことをする。 ●強い吹奏楽部に入るために学校を選んだやなぎは、部活以外はポンコツ。 ●就職に有利そうだと学校を選んだ朱莉は実は男子が苦手。どうしてここを選んだ…… ●ふんわりお嬢様のサヤは機械大好き。そして朱莉との距離が近い百合担当。 一年生の四人は、実習からPCまで工業のエッセンスを広く浅く学ぶ。マニアックな事は出てこないが、色々な事が出来そうな夢が広がるのが楽しい。 一方部活については、四人は様々。熱心に吹奏楽部に打ち込むやなぎ。水泳部を作ろうとする朱莉と、彼女を支えるサヤ。部活はいいやと物作りの事ばかり考える若乃。それぞれの方向に頑張りながら、互いを応援し合う四人はとてもいい感じ。 一年生の終わりで、それぞれの進路選択をするまでの全二巻。工業高校らしさもカワイさに変換し、何とな〜く工業高校が楽しげに見えてくる作品として、男女問わずおすすめしたい。
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2020/09/04
大人の物作り部活で、ウブな恋模様。
趣味友と恋愛、と聞いて ①「話が合って楽しそう!」 ②「別れたら趣味友が減るのか…」 どちらを考えるかが、その人の恋愛への「前向き度」を示しているように思う。 ②を恐れつつ、恋は①から始まりがち。 避けられない、趣味友との恋愛。 □□□□□ 歯科技工士の藍川寛乃は、武器のミニチュア作りが趣味。ずっと一人で楽しんでいたが、偶然の出会いから大人の物作りサークル「アトム会」に入会する。 鉄道ジオラマ男子、ミニチュア店舗男子、デコスイーツ女子……初めて出来た趣味友と、部室に集まって個々に制作したり、道具を共有したりと、すごく楽しそう! そんなサークルは、誰にも趣味を打ち明けられなかった藍川にとって、居心地の良い空間。大切にしたいのに…… それを邪魔するのは「恋愛」。 それぞれの思惑がすれ違い、さらには藍川の同僚も喰い込んで……時にギクシャクしてしまうサークル。しかし面倒はあるものの、それぞれが誰かを傷付けまいという優しさで動くので、そこまでドロドロしない。 それでも傷つきたくなくて、恋を諦め趣味に逃げがちな藍川。気持ちは痛い程分かるが、それで本当に幸せになれるのか?……人間関係を避けてきた彼女に訪れた、遅い初恋の行方は……? 舞台は湘南地方だが、オシャレスポットよりも、武器模型の聖地・山海堂が何回も出てきて、登場人物がみんなビックリしているのがまた可笑しい(ただのお土産屋じゃないんですよ、知ってました?)。
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2020/09/02
クリエイターの拘り→極上ギャグに!#1巻応援
こちら、フィギュア原型師が集まる工房を舞台にした四コマ漫画なのですが、これが物凄く笑える!ページを進めるごとに積み上がった設定が生きてきて、ぐんぐん面白くなっていく、最近まれに見る爆笑ギャグ漫画です。 △▽ △▽ △▽ オタク語りが止まらなくなる故に普段無口な、フリー原型師の半藤は、尊敬する原型師・桐山a.k.a.滝館おこめ先生が代表を務める工房のメンバーに。 見た目も精神年齢も子供の桐山代表、彼女をうまいこと操る萌え系原型師・斎藤(デブ)、超人見知りな性格と裏腹にマッチョ&クリーチャー系を得意とする女性原型師・羽喰に、メンバー行きつけの喫茶店の店員・実方せっちゃんを加えた面々の、日々のあーだこーだで進むのですが……。 創作愛故の歯止めの効かなさ、顧客からの無茶振りへの対応、メンバー達の濃すぎるキャラクターとそれを普通に受け止めるせっちゃん……そして無口だが心の声の多い半藤のツッコミ!特にオタク心を解する人には、共感と笑いのポイントが多いです。 納期にまーにーあーわーなーいー!の苦しみからワンフェス的なイベント、原型師の3DCG事情等々、楽しい事も大変そうな事も全部笑いに昇華していて、この業界への愛すら感じさせてくれる作品だと思います。そして女性陣がみんな可愛い! フィギュア業界にちょっとでも興味がある人なら、絶対笑えて「愛せる」作品だと思います。 ●試し読み https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/48728
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2020/08/28
制作過程が詳細なコスプレ事始 #1巻応援
そういえばコスプレで、ライダーや戦隊もののスーツを着ている人って、あんまり見た事ないなぁ、というのが最初の感想でした。そういう顔の見えないコスプレを「ガワコス」と言うのを、この作品で初めて知りました。 とある特撮ヒーローのコスプレをしたい女子高生が、知り合いの美大生に制作の手伝いをお願いしに行くお話。美大生のお姉さんは全く乗り気でない割には「ガワコス」という言葉を知っていたり、制作にとても詳しかったり……。 いざ制作に入れば真剣で、めんどくせぇと言いつつ極力手間を省きながらも、正確に手際良く作る過程が為になるし、女子高生の少ない予算でそれらしく作る、お姉さんの創意工夫に感心してしまう。材料の解説も詳しく、分かりやすい。 物作りの面白さがたっぷり詰まっている一方、お姉さんが当初、助力を渋っていた理由や、周囲から見て愛らしい容姿の女子高生が何故、顔を隠す「ガワコス」をするのか、といった内面描写も面白い。さらにお姉さんにとても懐いている女子高生と、色々ツッコミつつ可愛がっているお姉さん……ほのか〜な百合の予感! あと特撮ヒーローの愛知県推しにも注目!
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2020/08/26
海辺で宝探し女子高生! #1巻応援
この作品は「ビーチコーミング」という趣味を取り上げています。ビーチコーミングとは、海辺で漂着物を拾ったり、観察したりする趣味のこと。私はこの趣味をマンバ通信の記事で知り、作品に興味を持ちました。 https://manba.co.jp/manba_magazines/11307 そんな趣味を楽しむ女子高生達。 ●ビーチコーミングが好きな旅館の娘・硝子 ●スイスから越してきた碧眼娘・シエル ●硝子の幼馴染で科学部所属・さざれ 今まで一人で浜を探索していた硝子は、シエルにぐいぐい押され、二人をくっつけようとするさざれと三人で海岸に繰り出します。 キラキラした物、不思議な自然の造形が沢山出てきて飽きさせません。地面に視線を這わせて宝を発見するのは、例えば山菜やきのこ、鉱物や化石趣味と似た楽しみでしょうか。 面白い物を見つけて、感じたことを共有し、互いにツッコみ笑い合うのは楽しそう。自ら孤独を選んできた硝子がシエルに明るく迫られながら、人と関わり始める物語は優しく愉快! 恐らく2巻以降、さらに面白くなると思うんですよね。その鍵となるのは、途中参加の ●ちょっと怖い手芸部のすさみん ずっと海岸で拾うばかりだった三人に、すさみんは「加工」という概念をもたらします。そのショックは、素敵すぎて硝子が涙するほど。1巻でも少し出てきますが、2巻以降、拾った物を「加工」する「物作り漫画」に化けていくのか……という観点でも、注目していきたいと思います。 和歌山・白浜(2巻以降、串本も)ご当地漫画としても、注目!
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2020/08/23
鳥撮影のカメラ話 #1巻応援
『カメラ、はじめてもいいですか?』に続き、本格的カメラ漫画が来ましたねぇ〜。 本作のテーマは鳥撮影!作者の津田七節先生はかなりガッツリ鳥撮影されているようで、内容が本格的なのが嬉しいので、ここでは本作に出てくる機材を推測したいと思います(私は花&きのこ専門なので間違ってたらスミマセン)。鳥の専門性やストーリーについては、どなたかお願いします。 ●カメラについて 主人公の初心者・秋山さんと、彼女の部下で師匠・高崎君のカメラは、いずれもNIKONのDXフォーマット。所謂APS-Cという、センサーが少し小さめのもの。小さいとはいえ、コンパクトデジカメのセンサーよりは全然大きく画質が良いので、軽さと画質を両立させたい場合は、こちらを選ぶと良いでしょう。 因みに上司の秋山さんのカメラD7000番台は、高崎君のD5000番台の上位機種。 ●レンズと望遠について 鳥撮影はいかに焦点距離を稼ぐかの戦い。ズームで500〜600mmの廉価なサードパーティー製品はありますが、それだって10万円台前半はします。秋山さんが思い切って買ったレンズは、200-500mmf5.6とのことで、こちらもニコン製品「NIKKORレンズ」の模様。ズーム全域f5.6という明るさ故に若干高価。やっぱり純正は良いのかなぁ……(遠い目)。 ちなみにDXフォーマットは、センサーサイズの大きいFXフォーマットより焦点距離を1.5倍稼げる特性があります。500mmと書いてあるレンズなら750mmになるのです。こういう点でも、鳥撮影する人はDX(APS-C)を選ぶメリットがあります。 そして高崎君のレンズは、BORGという望遠鏡ブランドから出ているレンズ。マニアック〜!絞り・オートフォーカス(AF)といった基本的機能すらなく、その代わり望遠鏡技術を取り入れた極上の写りと軽さを実現。独特なマニュアルフォーカス(MF)については本編を。あと5話で高崎君が買い足したレンズは小ささと、広角から望遠までカバーしていることから、NIKKORのDX専用高倍率ズーム18-300mmと想像します。のびるのびる! ●撮影について 鳥撮影の独特さが全編にわたって描かれていて、本当にマニアックだし、望遠のコツとか色々勉強になりました。初心者のステップアップとして「MFに挑戦するか」という点に1巻にして踏み込んでおり、秋山さんの向上心と好奇心が見てとれ、今後の成長が楽しみ。 鳥撮影の機材は珍しいものも多く、例えばコンパクトデジカメとフィールドスコープを組み合わせて、安価でそれなりの高画質を得る「デジスコ」というシステムもあり、次巻以降その辺にも触れないかな……とか、カメラの話題的にも今後、期待したいです。 以上、TAMRON150-600mmを持ってるけど一回しか使っていない、あうしぃでした。 NIKONラブ!