hysysk2021/09/16ドラゴンボール好きならこれも人間嫌いの博士のところに地球を危機から救うためにやってきた宇宙人が不時着、壊れた宇宙船を直している間にさまざまな出来事が起こるコメディ。勘の良い人は出てくる固有名詞などで世界設定に気付いたりするかもしれない。 最終話はオマケとして書かれたらしいが、ちょっと盛り込み過ぎな気がする。それまでの日常っぽい話で充分面白い。 読切として悟空が地球に送られた時の話も載っていて、ドラゴンボール好きには是非読んで欲しい一冊。銀河パトロール ジャコ鳥山明
hysysk2021/09/02初期のサッカー人生を支えてくれた(今思えば)迷作連載開始は1991年、まだJリーグが発足する前で、当時サッカーはマイナースポーツだった。地域にはスポーツ少年団があり、小学生だった私は野球部に入りたかったのだが、親に「小さい頃から野球をすると肩を悪くするから駄目」と言われサッカー部に入れさせられた。 しかしやってみたらサッカーは楽しく、さらに割とうまい方だったので、結局その後高校までサッカーは続けることになった。この作品も最初から読んでいて、初期のサッカー人生を支えてくれたと言っても過言ではない。 が、あくまでギャグ漫画であり、まともなサッカーではない異能バトルである(風を操ってボールを弾き返す双子とかが出てくる)。今になってみれば分かるが、当時はインターネットもなく、放送もされず、故に読者に知識もなかったので、本格的な戦術をストーリーに反映するにはまだまだ時間が必要だった。 いまやリベロなんてポジションは存在せず、ブラジルは強いけどサッカー選手として成長する本場はヨーロッパで、日本のW杯出場は夢ではなくなり、スーパーゴールとは呼ばずゴラッソと呼ぶ時代。もはやこんな作品は思いつきすらしないだろうから、逆説的にサッカー界の進化を教えてくれている。 埼玉やカバディを知ったのもこの作品だし、「ニガくてなんぼのコーヒー豆」というギャグで爆笑していた頃が懐かしい。第1話のテンションは改めて読んでもすごい。超機動暴発蹴球野郎 リベロの武田にわのまこと1わかる
hysysk2021/08/28鳥山明が一番好きな作品らしいそれも分かる。彼らしいギャグ、ファンタジー、バトル、冒険、すべてが詰め込まれているから(『SAND LAND』でも同じようなことを書いた気がする…)。 風邪が流行って村が大変なことになるというストーリーは、どうしても今の状況と重ねて読んでしまうが、皆で協力して困難に立ち向かおうという気持ちにさせてくれる。序盤の日常ぽいところだけでももっと読みたいし、アニメ化されてもいいくらい魅力的な設定。夜と昼、善と悪が逆転してるところも好き。COWA!鳥山明
hysysk2021/08/2290年代後半~00年代前半の空気感ストーリーはシンプルで、主人公であるバンビが誘拐した子供を「ジジィ達」に届けるため、追ってくる刺客とひたすら戦う。「ジジィ達」は何者なのか、何故この子供を取り合っているのか、その謎が明らかになるにつれ、どんどんスケールが大きくなっていく。 当時活躍していたミュージシャン達がこぞってコメントを寄せているように、あの頃は音楽の影響力が強くて、ファッションやマンガ、映画などのカルチャーも彼らが牽引していた。その中でもカネコアツシ作品は「お洒落マンガ」と呼ばれ、気になる存在だった(私はお洒落じゃないので読んでなかった)。 リモデル版には作者本人の解説が載っていて、この作品でやろうとしていたことやインスパイア元が明かされている。当時を知っている人間ならすごく共感できるし、知らない人はここを頼りに色んなものを辿っていくと発見があるんじゃないかと思う。BAMBi remodeledカネコアツシ
hysysk2021/08/20多感な10代に多大な影響を与えた高校生の頃、音楽やファッションが好きで流行に敏感、世間で一般的に人気があるものとはちょっと違った趣味の人達(大抵は兄姉がいる)は、ちょっとした落書きで絶対こんな感じの絵を描いていた。後になってあれは全部松本大洋の影響だったんだなと気付いた。 序盤は話の全貌が見えず、抽象的で詩的な会話や戦いが続く。世界観や語り口に2000年代前半の空気感が凝縮されていて、懐かしいような恥ずかしいような不思議な気持ちになる。何度も読み返さないと内容が入ってこないのだが、それが苦ではなく、むしろもっと理解したいと思える。こういう作品が描けて、『Sunny』や『東京ヒゴロ』みたいな作品も描けるのがすごい(『ピンポン』はまだ読んでない)。吾 ナンバーファイブ松本大洋1わかる
hysysk2021/08/02人生について考えさせられる漫画喫茶での生活や伊豆での生活を面白おかしく漫画にしているのだが、読んでるうちにだんだん自分がどう老いと向き合っていくかについて考えさせられる。 歳を取っても連載を続けている漫画家は沢山いらっしゃるが、回想でもなく、子育てや病気などテーマのある体験談でもなく、ただ生きている様を描いたものはそんなに多くないのではないだろうか?何というか少し先の自分を見ているようで、楽しみながらもふと真顔になってしまう瞬間がある。日々我人間桜玉吉
hysysk2021/07/29異世界転生?異世界ものにも古典文学にも詳しくないのでこんな例えが乱暴なのは百も承知なのだが、あまりにもそれっぽくて驚いた。 ダンテは生きたまま死後の世界を見に行く。ゲームや他の漫画などで何となく知っている神話の登場人物や怪物、偉人が出てくるのが面白い。辺獄、地獄、煉獄なども聞いたことはあったが、どういう違いがあるのかは知らなかった。天国って具体的にどういうもの?とか。そういうキリスト教的な世界観についてもイメージが掴める。 話としては納得いかない部分も多いが、想像力は刺激されるし、ダークツーリズム的な旅行気分も楽しめた。自分は煉獄でダッシュさせられそう。神曲 -まんがで読破-バラエティ・アートワークス ダンテ
hysysk2021/07/08父親がフィリピンでブローカーだった話はその父親の葬式から始まる。参列してるフィリピン人もいることから、彼が悪いことだけしてた訳ではなかったんだろうなと推測するが、リベラルな日本人としてはなかなか向き合いたくない内容もありそう。特にこの話の中心となるバブル期の日本なんて碌なもんじゃない。 しかし一方で、当時のフィリピンは「アジアの病人」と呼ばれるほどの低成長だった頃。きれいごとだけではやっていけない事情もあったと思う。なぜ父親は突然家を出てフィリピンでブローカーになったのか?やがて「商品」として日本に渡る女の子と恋愛しちゃったりするのか?90%実話というのも気になる、色んな意味で楽しみな連載。ココ・ロングバケーション近藤令1わかる
hysysk2021/07/05なるほどそういうこと原作は読んでいないが、どんな話かくらいは知っておこうと思って読んでみた。なるほど傑作と呼ばれる理由が分かるというか、驚くほど現代でも通用する人間の姿が描かれている。読んでいて『僕たちがやりました』を思い出した。罪と罰 -まんがで読破-ドストエフスキー バラエティ・アートワークス
hysysk2021/06/28分数の割り算、三角形の内角の和、ちゃんと説明できる?分数の割り算は何故ひっくり返してかけるのか?三角形の内角の和が180°であることの証明は?公式まる覚えや、誰かの受け売りでなく、自分の言葉で正しく説明ができるか…私はできなかった。 小学校レベルであれば、「なぜそうなるか」を理解しなくても解法さえ覚えてしまえばある程度は対応できてしまうが、ずっとそのままだと必ずどこかでつまづく。分数の割り算は3通り、三角形の内角の和は中学校で習う直観に頼らない証明も載っていて、予想以上にじっくり読めた。 単純な足し算・引き算だけでも、自分が小学校で習ったものとは違う手法が紹介されているので、発見がある。教科書は(おそらく)こんなにカジュアルな語り口で解説してくれないし、色んな考え方に触れることで、より理解が深まると思う。小学校6年間の算数がマンガでざっと学べるほしのゆみ 小杉拓也
hysysk2021/06/24なぜこれがアニメ化され、国民的人気作になったのか子供の頃アニメを観ていたが、決して好きではなかった。「好きじゃないなら観るなよ」というのは今だから言えることで、当時はそれほど娯楽の選択肢が多くなく、暇を潰すにはテレビを観ているのが一番だった。 父親は暴力的で賭け事大好き、母親は別居中というのが、子供の頃の自分には恐怖でしかなかった。お父さんがああなったらどうしよう、お母さんが出て行ってしまったらどうしよう…。父親がパチンコに行くことで夫婦喧嘩になった時など、不安になったものだ。 しかし大人になって読み返すと、それぞれ口は悪いがお互いに思い合っているし、保守的な価値観に対する疑問や清濁併せ呑む態度など、生きる上で大切なことがたくさん描かれている。一般的なアニメや漫画に出てくる「普通の幸せな家庭」ではないことも、近い境遇の人達には勇気になったかも知れない。 舞台は大阪の西成区周辺をモデルにしていると思われるが、それも大人になるまでは分からなかった。今なら何故当時の大人たち(アニメの監督は高畑勲)がこの作品を子供達に観せたかったのかというのがすごくよく分かる。そしてジェントリフィケーションや格差の拡大、ポリティカルコレクトネスや自己責任論が吹き荒れる今、また読まれて欲しい作品だと思う。じゃりン子チエ【新訂版】はるき悦巳1わかる
hysysk2021/06/21AI・IoT時代に読みたい流石の想像力気付けば毎日色んなものを充電し続ける生活を送っている。昔に比べれば確実に便利にはなってるのだけど、色んなSFとかで夢見た世界ってこんなんだっけ?という気持ちにもなる。 しかし何というかそういう、若干の残念さを持った機械は愛おしい。 どうしても使ってもらいたいウォシュレット、モグラを守りたいモグラ叩き、スキューバダイビング中にウナギのにおいをかがせてくれる潜水具、オーブントースターみたいにマヨネーズを塗って焼けないことを申し訳なく思うトースター(一番好き)…擬人化や機械の暴走みたいなものは手垢のついたテーマだが、流石に独特過ぎる想像力が発揮されていて感動した。 脱・人間中心主義という言葉が声高に叫ばれる昨今、大いにインスピレーションを与えてくれる作品。一生懸命機械吉田戦車
hysysk2021/06/18あと10歳若ければ(1週間ぶり2度目)…『フィリピンではしゃぐ』の続編で、ワーキングホリデーを利用してニュージーランドで暮らす話。写植によって読みやすさが格段に上がっている。 語学学校には1ヶ月通っただけで、あとは日本の仕事をしながら生活するというリモートワークの手本みたいなスタイルで、とても羨ましい。自然も豊かでご飯もおいしそう。観光的な情報だけじゃなくて、現地の人がどんなものを食べ、どんな風に生活しているか、というところが分かるのも良い。 ワーキングホリデーが使えるのは30歳までなので、これももっと若い時に知っておきたかったな。ニュージーランドではしゃぐ。はしゃ1わかる
hysysk2021/06/14あと10歳若ければ行きたかった最近オンライン英会話を始めたのだが、フィリピン人の先生が多く、みんな若くて発音も綺麗。それでフィリピン自体に興味を持った。平均年齢は24歳、義務教育は13年で、2025〜30年には日本の人口を上回る勢いだそう。データや事実だけでなく、ストーリーでフィリピンのことが分かるものはないかなと探して辿り着いたのがこの作品。 著者はTOEICスコア350点の状態から留学し、半年間である程度の力がついたようだが、その様子を細かくレポートしてくれていて、かなりフィリピン留学の雰囲気が分かる内容になっている(正直もっと胡散臭いプログラムだと思っていた)。持って行ったもの、かかった費用、授業の仕組みや余暇の過ごし方など、説明的でなく彼女の青春の一部みたいな感じで描かれているのが好ましい。イラストレーターとしても活躍されているだけあって、絵が綺麗で図解が上手い。続編や他の作品も読んでみたくなった。 日本でも小学生から英語教育が始まってるし、自分ももっと英語を頑張りたい。安く学べるうちに何とかしないとな(訛りが気になるとか言ってる場合じゃなくて、確実にお前より上手いから!)。フィリピンではしゃぐ。はしゃ5わかる
hysysk2021/06/10先が読めない展開の連続ある日突然出現した巨大なバケモノに食べられる状況から生き延びるために、力を合わせたり足を引っ張ったりする人間模様が面白い。最初の印象からは予想できなかった方向に話が進んでいるし、お約束を裏切る展開が気持ちいい。そして何より主人公がせこいのがいい。明日のエサ キミだから若杉公徳2わかる
hysysk2021/06/03本物のものづくり漫画亡くなった父の鉄工所を継いだ娘が奮闘する話、と聞くと「貧しくても人情味に溢れた町工場が舞台で、実はすごい技術を持っていて一流企業にも認められて大成功!」みたいな展開が浮かぶ。大枠では間違っていないが、それではこの作品の素晴らしさを説明しきれない。 作者の実家は鉄工所で、家業を継いだ弟がアイディアを提供し、自身も工学部出身という圧倒的なリアリティ。あとがきで「『モノづくりの楽しさ』を描きたかった」と述べているように、精度の高い職人技、難しい課題を解決するアイディアが、細かく具体的に描かれている。登場人物の台詞で「モノづくりって楽しい!」と言わせるのでなく、読んだ側が自然に「これすっげ〜面白そう」と思ってしまう説得力がある。 とある美大のプロダクトデザイン学科の学生は皆この作品を読んでいたという話も聞くし、産業界に与えた影響はかなり大きいだろう。ナッちゃんたなかじゅん3わかる
hysysk2021/05/28梨泰院クラスの原作をローカライズいじめを咎めたところから外食産業の権力争いにまで発展する壮大な復讐劇。話としては至極単純だが、登場人物や起こる事件が今の社会を反映しているので、皆が普段感じている理不尽さや不満をスカッと解消してくれる。もともとは韓国の話であるため、細かいところで日本的な行動や台詞とは違っていて、新鮮味があった。「ディフェンス」は名シーン。 ドラマ版と比べると、原作は良くも悪くもあっさりしていて、どんどん話が進む(ドラマ版は原作者も脚本に参加していて、マンガ版の設定や展開的に物足りないところを補完して説得力を与えている)。また、ローカライズで人物名や土地が日本に置き換えられている。韓国ファンとしては原作のままが良かったと思うし、個人的に東京や六本木に持っているイメージとも整合しないが、大半の人には気にならないだろう。六本木クラスKwang jin1わかる
hysysk2021/05/24パワーワードだらけ14歳で男が喜ぶ術を知り尽くしたキャバ嬢が、生き別れた兄を探すためキャバクラを渡り歩く。テクニックを駆使して人の心の隙間を埋め、手にしたお金は困っている人のために使う。 主人公や構成は『ブラックジャック』や『ザ・シェフ』を思い起こさせる1話完結型のダークヒーローもの。演出には『ミナミの帝王』ぽさも感じる(キャラも特別出演する)し、とにかく気持ちいいくらい無茶苦茶なので読んでいて楽しい。キャバ嬢ナガレ郷力也 かわさき健
hysysk2021/05/17大人になってからもう1回読んでみな、飛ぶぞ都市伝説やオカルト的な現象を扱った1話完結のSF。そういうのはまとめて「『世にも奇妙な物語』みたい」と言われがちだが、実際はタイトルが示す通りアメリカのテレビ番組『アウターリミッツ』『トワイライトゾーン』の影響下にある。 自分は当時ジャンプ本誌や友達が持っていた単行本で読んでいたはずだが、1話しか覚えていなかった。しかし、こんなに面白かったっけ?というくらい面白い。子供の頃はバッドエンドやブラックユーモア、良し悪しが簡単に判別できない結末が好きではなかったというのもある(あと微妙にエロい)。もちろん突っ込みどころは沢山あるのだが、大人になった今読んでも、いや今だからこそ刺さる話があり、昔読んだことがある人には是非再読をおすすめしたい。特に巻末の解説。アウターゾーン光原伸2わかる
hysysk2021/05/05少年ジャンプで体当たりの政治を扱った意欲作自身が参議院選挙に立候補してその様子を漫画にするという企画で、「選挙活動を漫画化するのは事前運動にならないか」「漫画界のハジ」など集英社のみならず業界を巻き込んだ一大プロジェクトになっていく(有名漫画家達からの応援、批判コメントも見どころ)。 担当編集になった堀内さんは後に集英社の社長になっていること(2020年から会長)、当時の政治家達のインタビュー、最後の作者の台詞など、非常に考えさせられるものがある。 終盤は文字が多く漫画としては読みにくいが、少年誌だからといって手加減せず、難しい内容もそのまま載せている。当時の作者の限界だったのだろうけども、そこをごまかさないところに好感を持った。大人にこそ読んで欲しい作品。やぶれかぶれ本宮ひろ志1わかる
hysysk2021/04/19歳を取るのも悪くない歳を取ると、若い頃に漠然と抱いていた成功や名誉への欲がなくなってくる。それはある程度の達成感だったり、今更どうしようもないという諦めだったりするが、自分の手でどうすることもできないことに対して苦しむよりは、手の届く範囲でいかに楽しむかという方向にシフトするという感覚が大きい。つまり自己満。 もともと漫画家になるくらいなのだから凝るタイプなのだと思うが、最初の全くこだわりがなかった状態から始まり、いろいろ試してあるスタイルに落ち着く、みたいなプロセスや思想が描かれているのがいい。ガイドブックやカタログでは得られない知見だし、何よりめちゃくちゃ楽しそう。40歳を超えて自分なりの楽しみ方を見つける方法や着眼点が参考になった。じこまん~自己漫~玉井雪雄1わかる
hysysk2021/04/02生きる元気が湧いてくる思い詰めて悩んだり、逆境を跳ね返そうと力んでやっぱりうまくいかなくて落ち込んでしまうよりは、坦々とその状況を受け入れてただ「生きる」のがいいのかも知れない。大きなべっこうの置物がもらえる可能性もある。生きる 増強版 生々流転根本敬1わかる
hysysk2021/03/29何重にも楽しめる名人芸これを読んでから落語の動画を観ると、情景が想像できて楽しい。さらに演目にまつわる歴史や形式の違い、噺家のことを調べているとどんどん沼にはまっていく。浅草周辺の土地勘もあるとより感慨深いと思う(吉原に向かう人たちが追剝に遭う辺りに住んでいたことがある)。昔話というほど遠い昔でなく、今も少し感じられるくらいの距離感が良い。 『青菜』がとても面白く、風情もあって好き。滝田ゆう落語劇場滝田ゆう1わかる
hysysk2021/03/20まずタイトルがかっこいい暗い話が多い短編集ではあるが、通底して投げかけられているのは人間や愛とは何なのかという問いである。 白人と黒人の臓器が入れ替わったら何人になる?意識はそのままで姿形が動物になったら?血の繋がりってそんなに重要か?妄想の幸せも幸せか? この短さで十分にその物語を成り立たせている世界観を構築する力量はさすが。しかしそれはステレオタイプだったり、皆が共有している価値観を利用する(というかそれを作ったのは手塚自身とも言える)ことと表裏一体であり、現代的な感覚からすると少し物足りない原因でもある。空気の底手塚治虫1わかる