hysysk
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2021/09/02
初期のサッカー人生を支えてくれた(今思えば)迷作
連載開始は1991年、まだJリーグが発足する前で、当時サッカーはマイナースポーツだった。地域にはスポーツ少年団があり、小学生だった私は野球部に入りたかったのだが、親に「小さい頃から野球をすると肩を悪くするから駄目」と言われサッカー部に入れさせられた。 しかしやってみたらサッカーは楽しく、さらに割とうまい方だったので、結局その後高校までサッカーは続けることになった。この作品も最初から読んでいて、初期のサッカー人生を支えてくれたと言っても過言ではない。 が、あくまでギャグ漫画であり、まともなサッカーではない異能バトルである(風を操ってボールを弾き返す双子とかが出てくる)。今になってみれば分かるが、当時はインターネットもなく、放送もされず、故に読者に知識もなかったので、本格的な戦術をストーリーに反映するにはまだまだ時間が必要だった。 いまやリベロなんてポジションは存在せず、ブラジルは強いけどサッカー選手として成長する本場はヨーロッパで、日本のW杯出場は夢ではなくなり、スーパーゴールとは呼ばずゴラッソと呼ぶ時代。もはやこんな作品は思いつきすらしないだろうから、逆説的にサッカー界の進化を教えてくれている。 埼玉やカバディを知ったのもこの作品だし、「ニガくてなんぼのコーヒー豆」というギャグで爆笑していた頃が懐かしい。第1話のテンションは改めて読んでもすごい。
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2021/06/24
なぜこれがアニメ化され、国民的人気作になったのか
子供の頃アニメを観ていたが、決して好きではなかった。「好きじゃないなら観るなよ」というのは今だから言えることで、当時はそれほど娯楽の選択肢が多くなく、暇を潰すにはテレビを観ているのが一番だった。 父親は暴力的で賭け事大好き、母親は別居中というのが、子供の頃の自分には恐怖でしかなかった。お父さんがああなったらどうしよう、お母さんが出て行ってしまったらどうしよう…。父親がパチンコに行くことで夫婦喧嘩になった時など、不安になったものだ。 しかし大人になって読み返すと、それぞれ口は悪いがお互いに思い合っているし、保守的な価値観に対する疑問や清濁併せ呑む態度など、生きる上で大切なことがたくさん描かれている。一般的なアニメや漫画に出てくる「普通の幸せな家庭」ではないことも、近い境遇の人達には勇気になったかも知れない。 舞台は大阪の西成区周辺をモデルにしていると思われるが、それも大人になるまでは分からなかった。今なら何故当時の大人たち(アニメの監督は高畑勲)がこの作品を子供達に観せたかったのかというのがすごくよく分かる。そしてジェントリフィケーションや格差の拡大、ポリティカルコレクトネスや自己責任論が吹き荒れる今、また読まれて欲しい作品だと思う。
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2021/06/14
あと10歳若ければ行きたかった
最近オンライン英会話を始めたのだが、フィリピン人の先生が多く、みんな若くて発音も綺麗。それでフィリピン自体に興味を持った。平均年齢は24歳、義務教育は13年で、2025〜30年には日本の人口を上回る勢いだそう。データや事実だけでなく、ストーリーでフィリピンのことが分かるものはないかなと探して辿り着いたのがこの作品。 著者はTOEICスコア350点の状態から留学し、半年間である程度の力がついたようだが、その様子を細かくレポートしてくれていて、かなりフィリピン留学の雰囲気が分かる内容になっている(正直もっと胡散臭いプログラムだと思っていた)。持って行ったもの、かかった費用、授業の仕組みや余暇の過ごし方など、説明的でなく彼女の青春の一部みたいな感じで描かれているのが好ましい。イラストレーターとしても活躍されているだけあって、絵が綺麗で図解が上手い。続編や他の作品も読んでみたくなった。 日本でも小学生から英語教育が始まってるし、自分ももっと英語を頑張りたい。安く学べるうちに何とかしないとな(訛りが気になるとか言ってる場合じゃなくて、確実にお前より上手いから!)。