土曜日のランチメイト

「半ドン」の土曜午後、調理室で秘密のランチ #1巻応援

土曜日のランチメイト 高尾じんぐ
sogor25
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舞台は土曜日の午前中にも学校があった1990年代のとある中学校。 クラス委員長の2年生・高野真穂にはある秘密がありました。 それは、土曜日の授業が終わったあとのお昼に調理室にこっそり忍び込んで、そこでお昼ごはんを作って食べているということ。 しかしある日、いつものように調理室で1人お昼ごはんを食べているのを同じクラスの野球部の男子・宮森航太に見つかってしまいます。 それをきっかけに、毎週土曜に調理室にやってくるようになった航太と、彼と一緒にお昼を食べることになる真穂の様子を描いた作品です。 密かな楽しみであったお昼の時間を邪魔されたくない真穂と、ただ部活前においしいお昼が食べたい航太。 2人は最初はいがみ合っていましたが、真穂のマジメな性格と航太の無邪気さが予想外に噛み合い、次第にまるで夫婦のようなやりとりをし始める、そんな様子が微笑ましい作品です。 また、作中で描かれているのは一見すると現代と同じような中学校の風景なんですが、よく見てみると1990年代らしい描写がいろんな所にあって、読む人によってはどこか懐かしい、ノスタルジックな雰囲気を感じるかもしれない作品です。 1巻まで読了

ブス界へようこそ

今いちばん熱いバトル漫画

ブス界へようこそ 河野大樹
野愛
野愛

ある意味キャッチーなタイトルに騙された。 これほどまでに熱い漫画をわたしは知らない。 死んだブスが美人を食えば食うほど美しく強くなり、生まれ変わることができる世界。それがブス界。 自殺した主人公は強く美しく生まれ変わるべく、闘いに身を投じる。 でも、どうやって闘う? 何のために誰のために闘う? そもそも、一体何と闘う? 極限状態で主人公は闘いを見つけ、自分の輪郭と名前を知る。 その瞬間、心が震えた。 美人を食おうと群がる有象無象ではなく、自らの美しい心で闘い抜こうとする人間の物語なんだ、なんて熱くてかっこいい作品なんだ…!! 主人公の名前を知るまで、読者はかなりの時間を費やすことになる。 だからこそ、主人公が自分の名前と身体を手に入れた瞬間、もの凄いカタルシスを得るはず。 そして、強く美しい主人公が闘う姿に誰もが熱くなるはず。 絵柄が好みじゃないとか思ってたのと違ったとかそんな人もとりあえず、主人公の名前を知るところまでは見届けてほしい。そこまで読んだらもう夢中になるはず! ジャンプで連載されてるような王道のバトル漫画や少年漫画が好きなひともハマると思う。

そばかすの少年

20世紀初頭、アメリカの豊かな森で番人をする心美しい少年の物語 #完結応援

そばかすの少年 竹宮惠子
ぺそ
ぺそ

竹宮惠子先生の1巻完結の作品ということで読みやすそうだなと軽い気持ちで手にとったのですが、 若草物語や大草原の小さな家に通じるアメリカの古き良き時代と大自然を感じさせる本当に素敵なお話でした! 本当の名前すら持たない、片腕でアイルランド訛りの少年「そばかす」が、林業で賑わうアメリカはインディアナ・リンバロストの飯場で森の見回りとして働く物語。 自分を雇ってくれた支配人に恥じぬよう正直に一生懸命働き、リンバロストの森に棲む鳥や虫など様々な生き物を慈しむそばかすの姿に、周囲の人々はみな心を打たれ愛情をもって接します。 材木泥棒と鉢合わせ目をつぶれと持ちかけられたのを毅然と断り、殴りあったそばかすを、偶然居合わせ目撃した支配人などは 「なんてヤツだ! 美しい……神のみわざそのものだ」 と心のなかで讃えるほど。どれだけそばかすが素晴らしい少年なのかがわかると思います。(ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが本編を読めば全くそんなことないです) 「鳥のおばさん」と呼ばれる写真家のご婦人のために森で見つけた生き物や珍しい出来事を報告したり、賢く勇気と思いやりのある製材会社の令嬢・エンゼルに叶わぬ恋心を抱いたり(エンゼルが沼地を歩いたあとに残った足跡に、そっと板切れをかぶせて大切に残しておくなんていじらしすぎる)、材木の窃盗団に立ち向かったり…。 そばかすのリンバロストの森での生活は充実していて目が離せません。 最後には、そばかすの出生の秘密が明かされ物語はハッピーエンドで幕を閉じます。 この『そばかすの少年』は、アメリカの女性小説家ジーン・ポーターが1904年に書いた原作『Freckles』を、『赤毛のアン』でおなじみの村岡花子が翻訳した小説をもとに竹宮惠子先生が1982年に漫画化したもの。 この時代の少女漫画って言葉遣いが古風で上品で本当に素敵だなと思うのですが、海外小説が原作ということで台詞回しが輪をかけて魅力的で原作の小説も読んでみたくなりました。 【原作】 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309464077/

パーラー栄通り【合冊版】

連ちゃんパパ、先に読むか?後に読むか?

パーラー栄通り【合冊版】 ありま猛
野愛
野愛

兄の死をきっかけに実家のパチンコ屋を継いだ大吉が周囲の人達のためにあれやこれやと奮闘するほのぼのパチンコ漫画です。 怠惰なバイトや厄介なお客さん、訳ありな男女など…ちょっと危なげな人やハプニングは尽きないけれど、大吉のお節介によってめでたしめでたし。というストーリーがほとんどです。 お客さん目線でのサービスを常に考え、トラブルを起こす客には毅然とした対応をし、従業員の幸せも大切にする。 大吉は強引だったりお節介すぎるところはあるけれど、経営者としても人間としても素敵な人だなあと感じました。 しかし脳裏によぎる連ちゃんパパ。 ほのぼの絵柄なのに連ちゃんパパがよぎって笑顔を疑ってしまうし、嫁も子どもも幸せそうなのに裏切られるのではと思ってしまうし、何か事件が起こるたび今度こそダメだと思ってしまうのです。 パーラーさかえみたいな良心的なお店で打ってたら連ちゃんパパもあんなことにはならなかったのでしょうか。いやたぶん関係ないですね。 物事にはいろんな側面があるのだなあ、と改めて実感しました。 連ちゃんパパを履修してるかしてないかによって印象がだいぶ変わる漫画だと思います。 できればパーラー栄通りを読んでから連ちゃんパパを読んだ人の感想を知りたいです。