まんが親

漫画家夫婦(揃って大酒のみで不条理系)の育児漫画

まんが親 吉田戦車
名無し

吉田戦車先生の漫画は好きだった。 「戦え!軍人君」「伝染るんです。」とか連載時に リアルタイムで読んでいたし。 そのころに勤務していた会社での 営業車のキーには、かわうそ君キーホルダーをつけていたし。 好きだった、と過去形で書いたがべつにそのあとに 嫌いになったわけではない。 なんとなく手にする雑誌や本に吉田戦車先生の連載がなかった、 みたいな感じで気が付いたらずいぶん読んでいないなあ、 と思う感じになっていた。 そんな感じで何十年もたって、そしたら あの不条理漫画のパイオニアの吉田先生が なんと「育児漫画」を描いている、と知り、 驚いて読んでみた。 想像していたよりもかなり良いお父さん、 楽しい育児日記、で面白かった。 現実には育児は凄く大変だったりしたのだろうけれど。 それでもなお、あの不条理テイストも時々混じった 独特な育児漫画で、ああ吉田先生、健在だな、 とチャンと楽しめてホットした(笑) 他にも、 ・奥様の伊藤理佐先生も相当に個性的な人であり、  なおかつ夫婦ともに大酒飲みなのに、とりあえず  飲むときは飲む飲まないときは飲まない、という  育児優先での生活をしたのは立派。 ・ところどころで親交のある漫画家の先生が  ゲスト参加みたいに登場してきて面白かった。 などとも感じました。 まだ第一巻しか読んでいませんが、結構ハイペースで 第一巻で妊娠・出産・新生児から一人歩きするところまで 行っています。 全5巻だから小学校に通うくらいまで漫画になっているのかな? この先も読むのが楽しみです。

ステイション

「HOTEL」から「築地魚河岸~」への乗り継ぎ駅

ステイション はしもとみつお 大石賢一
名無し

「築地魚河岸三代目」 作・大石賢一他、画・はしもとみつお、 が好きだったので、同じ作画コンビの作品と知り読んでみた。 予想以上に築地魚河岸テイストで、 さらに、なんか石ノ森章太郎先生の「HOTEL」とも 雰囲気が似ているなと思って確認してみたら、あちらも 原作が大石賢一先生だった。 まさにHOTELと築地~の間の作品で、 この作品を習作として築地~が出来たのではないか、と思った。 大都会の巨大駅に勤務する駅員・中村は 駅を通過する様々な人々と関わり、 人を導き人に導かれ、様々なドラマを経験し成長していく。 この構図はそのまんまHOTELや築地~と同じ。 舞台がホテル・駅・魚河岸と違うだけ、という感じ。 そしていずれもがビジネスの現場を舞台にしながら ビジネスの利益や効率を重視する面から 少々、人情の側に偏っている面を感じるのも。 中村の行動は従業員マニュアルから逸脱することが多いし、 その理由が人情溢れる感覚からであることが この漫画をヒューマンドラマにしている。 しかし中村の行動には乗客に配慮しすぎな印象も受ける。 ぶっちゃけ「そんなことするより本来の仕事をしろよ」 と感じてしまうシーンも多々ある。 だからこの漫画はビジネス漫画としてはけしてリアルではない。 「こんな駅員さんがいてくれたらいいな」 と思わせるドリーミイな人情漫画だ。 それを好むかどう評価するかは読み手次第だと思うが、 この漫画を習作として、 人情に偏りすぎないというか、 丁度いいくらいに人情と仕事を結びつけたのが 「築地魚河岸三代目」なんじゃないかな、と感じた。

メメント飛日常

SFではなく、文字通り「少し不思議」な短編集

メメント飛日常 カラシユニコ
名無し

全9編。不思議な状況に対する説明がなくても自然に読めるのがよかった。特に「ザ・人間チャレンジ」と「孤塔にて」が好き。 「ザ・人間チャレンジ」 2週間オフィスで人間の仕事を体験することになった猫の話 「BAR 俺のドッグフード」 雷の日に逃げ出した飼い犬と久々に再会したらBARのオーナーになっていた話 「笑うゴリラと未亡人」 災害で亡くなった夫に似ているゴリラに会う為に動物園に通う未亡人の話 「ロケットおばさんの献身」 家出少年の「僕はあの星からやって来た…」というウソ話を親身になって聞いてくれるおばさんには訳があったという話 「孤塔にて」 出口のない高層ビルの屋上に閉じ込められた殺し屋と掃除のおばちゃんが恋する話 「窓際の僕」 誰からも好かれていない窓際族のおじさんサラリーマンの家庭での幸せなひとときの話 「夢売り人の恋」 キャラクター遊園地の着ぐるみの中の人として働いていることは大好きな彼女にも言えない決まりになっていて苦悩する青年の話 「メメント飛日常」 時空を循環する不思議なバスに乗った少女と少年の話 「ぼくちんに罪はない」 繭になって蝶になった書けない小説家の帰りを待つ恋人と飼い猫の話