理想のヒモ生活

いわゆる異世界転移の内政物

理想のヒモ生活 渡辺恒彦 日月ネコ 文倉十
名無し
主人公山井善治郎は昔異世界に駆け落ちした異世界の王族の子孫だが、そんなこと知らずに大卒後ブラック企業の残業でつかれた日々を送る毎日。 そして大戦で女性王族一人だけとなった大国の女王アウラは、その血に時空魔法の魔力を宿していて、血統魔法の為にも出産は絶対の義務とはいえ、男尊女卑傾向の強い文化から下手な婿候補を迎えると、戦争を終えて間もない国が更に荒廃することを憂い、最低限「国内貴族と関係の無い婿」理想を言えば「毎日後宮で女遊びに耽り政治に興味を持たない婿」、要はヒモ男を求めて駆け落ちした王族の子孫を異世界から召喚するのだが、 主人公は「ブラック企業で疲れて積極的に働く気無し」「女性の好みは巨乳の美人」「でも無駄飯ぐらいと言われない程度には仕事したい」そして「現代人レベルの男女同権思想」という 「時空魔法の血統」「現代人知識」が、おまけでしかないレベルの超優良物件で、電化製品をお供に婿入りして最高の夫婦となり国家運営の様々な困難を乗り越え、時には異世界の発想や知識から国の文化や発展に影響を及ぼしていくという物。 web版も書籍版も基本はこの流れで、途中からは大きく流れが異なるが漫画版は書籍版を基にしたストーリーを展開、取捨選択はされているが概ね忠実なストーリーであり、作画上の漫画版最大の特徴は「キャラデザにおける目の重要性」である。 書籍版の挿絵は「戦乱の最中における大国の舵取りを行い、勝者の席に付き、時には戦士たちに舐められない程度に鍛えている」女性としてはデザインは正解なのだが「現代人の若者が一目惚れして異世界で結婚しようとする」とするには目つきが厳しく、説得力が薄いというか、「女戦士」「女王」という部分が前面に出ていた物で、巻が進む毎に目から険が取れていったのだが、 この漫画版のデザインは、「国の為、時に厳しく処断を下すこともあるが、優秀で多くの部下や国民から敬愛される女王」という感じで、書籍版の挿絵と違い、最初から目が優しくなっていて「一目ぼれするほどの巨乳美人」という部分が前面に出ている。 このため小説と漫画という違い以上に物語にとっつきやすくなっている。 しかし当たり前だが小説で挿絵は限定的に使われるが、漫画ではそういうわけにもいかず、異文化の風景を描くのが大変なのが見て取れる。 南大陸と北大陸では南大陸は魔法中心国家という設定で、主人公が召喚されたのは南大陸だが、いわゆる我々の想像するヨーロッパ世界の風景に近いのは北大陸で、南大陸は科学が遅れている(ガラスが存在せず灯火も油皿中心等)ので背景や小物一つとってもそういう文化を意識した物を描かねばならず、苦労が察せられる。 描かれる内政で主人公の知識チート的な場面は有るには有るが、実際の所主人公もそこまで専門的知識は無いし、異なる世界からの視点や発想、社会人経験がブレイクスルーとなる場面の方が多く、長い目での確かな発展が感じられたり内政物としても中々見応えがある。
年上エリート女騎士が僕の前でだけ可愛い

ベタだけどたまに読みたくなるジャンル

年上エリート女騎士が僕の前でだけ可愛い たかた 吉野宗助 あるぷ
六文銭
六文銭
女性ながら騎士団の隊長をつとめるエリート女騎士を、そこに入団したばかりの主人公がからかう話。 年上女性 ✕ 主人公 の構図が、「めぞん一刻」以降、私の遺伝子レベルで刷り込まれているので、この手のジャンルが定期的に読みたくなるんですよね。 中でも本作は久しぶりに良かったです。 まず、女騎士というところで強く気高い雰囲気をまとっていること。 結果としてシモのほうに奥手であること。 何より、主人公と自分が釣り合っていないと控えなところ。 全部コテコテなんですけど、全部あわさると凄くいいです。 普段は威厳たっぷりですけど、 ヤりたいです(剣の稽古を) のセリフだけで、勘違いして赤面する。 小学生バリの貞操観念。 また、主人公に他の女性がくっつきそう(親しい様子)になるともやもやしたりするのですが、自分よりも彼女ふさわしいだろうと簡単にひいてしまうあたりが、大人の女性ですね。 決して、余裕があるわけではないのですが。 なんにせよ、主人公が一直線に思いを向けているので、からかいながらもどう進展していくのか楽しみです。 主人公がチート級に強いので、それで見直すとかだと格好いいすね。
魔女ノ結婚

きっとあなたも百合好きドラゴンになってしまうことでしょう #1巻応援

魔女ノ結婚 studio HEADLINE
異世界スキー
魔女同士が親密になると魔力が向上する→じゃあふたりで同居したらいいじゃんそういう仕組みを作ればいいじゃん名前は「魔女ノ結婚」で!という「あ、これ天才の方が考えましたよね?」と言わざるを得ない設定が魅力の本作。 クールでデキ女のメリッサと頑張り屋の見習いターニャのふたりの魔女が「結婚」して日夜絆を育むようすに頬がゆるみっぱなしです。 ふたりのようすがいかに微笑ましいかは読んでいただければ“瞬”でわかると思うので今回は個人的に一番好きだった魔女の試練を司るドラゴンの話をしたいと思います。 魔女ふたりに互いの秘密を告白させてそれでも相手のことが好きかどうかを試すという試練。を司ってるドラゴンなんですけど、魔女ふたりが秘密をもじもじ打ち明けあうようすを拝むのが趣味ってマジでいいご身分のドラゴンじゃないですか? このドラゴン、披露する秘密の規模が小さいと「真実の絆炎(イグニス)の前でそんな子供だましが通用するとでも?」つってそれっぽく圧をかけてくるんですけど内実は「そういうんじゃないんだよな〜。もうちょいキュンな感じのエピソードあるでしょ?もっとちょうだいよ!」ってことじゃん!バラエティ番組のディレクターか!?っていうかどんだけ威厳がある感じを出してもお前は所詮もじもじする女と女を見たいだけのトカゲやろがい!!!!! ハァ…ハァ…すみません、熱くなりました。でも私という存在も突き詰めればこのドラゴンと同じようなものなのかもしれませんね…ただ尊い百合が見たいだけの……『魔女ノ結婚』を読めばあなたもきっと百合スキードラゴン(勝手にそのように名付けた)になってしまうはずです。みんなもドラゴンになっちゃおうよ。
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

ラノベ然としたラブコメ

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 ぶーた しめさば 足立いまる
六文銭
六文銭
文字通り、家出中の女子高生を夜中に拾い、 同居することになったサラリーマンの話。 主人公は女子校生に対して、文字通り何もしないし、むしろそういうことに嫌悪感があるタイプで、家事をする以外無条件で寝泊まりさせてやっている。 今までの男たちと異なるその様に女子高生はグッときて、どうやら惚れている様子。 一方主人公は、上司の女性に惚れているが「彼氏がいる」と言われ、フラれてしまう。 が、それは実は嘘で、「時期がダメ」とかワケわからん理由で上記の嘘をついたらしく、実際は主人公に好意を寄せている。 また、会社の後輩ちゃんからも矢印をむけられている。 もう、なんすかねコレ(憤怒) ラノベ系主人公の図式 「手をださない」→「安易に体の関係を求めない=やさしい」 「恋愛だけ鈍感」→「女子たちをやきもきさせる」 きれいにおさまってます。 手を出さなければ優しいんですかね? 優しいというか、都合が良いだけなような気がしますが。 そこは、まぁ、大人として処理するしかないです。(何を?) でもこれがいいんです。 時々、こういう無条件に好かれるハーレム系を読みたくなるんですよね。 なんというか、気楽な気分になれるんです。 色んな人間関係が少しずつわかってきましたが、コミック6巻までは女子高生の家出の理由はまだ明確にでてきておらず、ここらへんが気になりますね。家の都合か、友人関係かな? また、主人公を中心にむいている矢印をどう処理していくのか、 この手のハーレム系の醍醐味はむしろこっちなので、楽しみだったりします。
ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~

「異世界」や「グルメ」など、一言では括れない!

ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ 瀬野反人
さいろく
さいろく
かつてファンタジー漫画なんてものは今ほど潤沢ではなく(いっても私が知ってるのはせいぜい30年ぐらいだけど)スニーカー文庫のロードス島戦記やフォーチュン・クエストを読みながら、出てくるモンスターやそれぞれの場面を想像で補っていた。 何十ページかに1枚あるかないかの挿絵だけでは世界観などわからないし、あくまで参考みたいなものでしかないため、リザードマンが硬いだなんて言われてみないとわからないものであった。 今はファンタジー漫画も超増えてるし、漫画雑誌を手に取ればわかりやすいRPG風世界が割と簡単に見られる。いい時代(たぶん)である。 なにしろ「ダンジョン飯」のような想像で補っていた部分に切り込む作品が徐々に頭角を現してきている。「葬送のフリーレン」なんかも角度は違えどそうだろう。 これらにより私達はより「ファンタジー(RPG風)世界ってきっとこう」という理解が深まり(実際に無いものへの理解は深まるとは違うかもしれないが)より一層ちょっと美しい視点で世界を覗くことが出来るようになってくるはずなのだ。 すごい例えが斜めに飛んでいくけど、FFとDQばっかりやってた人がワンダと巨像を初めてプレイした時、本当はこうなんだと衝撃を受けたはずだ。こんなに世界は広くって、遺跡はこんなに大きくて、人間はちっぽけだーと感動したはずなのだ。 それと同じように「気付かされる感動」がこの『ヘテロゲニア リンギスティコ』にはある。 なにせ言語だ!そこはきっと具現化して伝えるのがめちゃくちゃ難しい分野だろうよ、と思えるがあえてそこに切り込んでいき、見事に「なるほど…!」と読み手を唸らせているのだ。 ダンジョン飯やら異世界モノやらが好きな人たちにはもちろんのこと、若い世代・ガンダムより年上の世代がそれぞれこれを読んでどう感じてどう思うのか。 ぜひ時間のある時に、極力大きめの画面で読んで欲しい。 スマホではしっかり読むのにはあんまり適していないですから。