ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~

「異世界」や「グルメ」など、一言では括れない!

ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ 瀬野反人
さいろく
さいろく

かつてファンタジー漫画なんてものは今ほど潤沢ではなく(いっても私が知ってるのはせいぜい30年ぐらいだけど)スニーカー文庫のロードス島戦記やフォーチュン・クエストを読みながら、出てくるモンスターやそれぞれの場面を想像で補っていた。 何十ページかに1枚あるかないかの挿絵だけでは世界観などわからないし、あくまで参考みたいなものでしかないため、リザードマンが硬いだなんて言われてみないとわからないものであった。 今はファンタジー漫画も超増えてるし、漫画雑誌を手に取ればわかりやすいRPG風世界が割と簡単に見られる。いい時代(たぶん)である。 なにしろ「ダンジョン飯」のような想像で補っていた部分に切り込む作品が徐々に頭角を現してきている。「葬送のフリーレン」なんかも角度は違えどそうだろう。 これらにより私達はより「ファンタジー(RPG風)世界ってきっとこう」という理解が深まり(実際に無いものへの理解は深まるとは違うかもしれないが)より一層ちょっと美しい視点で世界を覗くことが出来るようになってくるはずなのだ。 すごい例えが斜めに飛んでいくけど、FFとDQばっかりやってた人がワンダと巨像を初めてプレイした時、本当はこうなんだと衝撃を受けたはずだ。こんなに世界は広くって、遺跡はこんなに大きくて、人間はちっぽけだーと感動したはずなのだ。 それと同じように「気付かされる感動」がこの『ヘテロゲニア リンギスティコ』にはある。 なにせ言語だ!そこはきっと具現化して伝えるのがめちゃくちゃ難しい分野だろうよ、と思えるがあえてそこに切り込んでいき、見事に「なるほど…!」と読み手を唸らせているのだ。 ダンジョン飯やら異世界モノやらが好きな人たちにはもちろんのこと、若い世代・ガンダムより年上の世代がそれぞれこれを読んでどう感じてどう思うのか。 ぜひ時間のある時に、極力大きめの画面で読んで欲しい。 スマホではしっかり読むのにはあんまり適していないですから。

一色さんはうまぶりたいっ!

本格麻雀マンガとラブコメのハイブリッドな作品 #1巻応援

一色さんはうまぶりたいっ! 草下シンヤ マルヤマ 白鳥翔
sogor25
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舞台は都立文永高校の麻雀部。 高校生プロ雀士である白鳥正宗は、後輩の一色麗花の打ち方を見て彼女がかなりの実力者だと感じていて、部活で麻雀を打っている最中も彼女のプレーの意図や思考について色々と尋ねてきます。 しかし、一色さんの麻雀の実力は白鳥が思うほど高いわけではありません。 というのも、彼女はテレビ対局で見た白鳥に憧れて麻雀を始め、プロの対局から学んだ麻雀中の所作は上級者そのものなのですが、肝心の麻雀のほうはまだまだ練習不足。 そのため、白鳥先輩の質問に対しても、本当は偶然いい結果が出ただけなのに、あたかも自分が意図して打牌したような"うまぶり"の答え方をしてしまいます。 この作品はそんな"うまぶり"で必死に自分の実力を隠しつつ、白鳥先輩に興味を持ってもらおうとする一色さんを描くラブコメ作品です。 高校生プロ雀士である白鳥先輩の麻雀に対する思考は非常に深く、一見違和感のある一色さんの打牌に対しても合理的な理屈を見つけてきます。 なので作中の麻雀の描写はラブコメマンガとは思えないほど高度なものになっています。 しかし一色さんは白鳥先輩が考えるような高度な思考ができておらず、いろいろ考えているフリをしてなんとか"うまぶろう"とします。 この「偶然起こった展開をさも自分の意図したものだと振る舞う」という表現はマインドスポーツの中でも偶然の要素の強い麻雀ならではのもので、一色さんの実力を過大評価する白鳥先輩と"うまぶる"ことでなんとかごまかそうとする一色さんの様子を2人の関係性として見事にラブコメに昇華している作品です。 この作品は これまでの麻雀マンガで表現されていた高度な戦術論をラブコメという形に落とし込んだ、まさに"ハイブリッドな作品"と言えるのではないでしょうか。 1巻まで読了

美木さん、大好きです!

「美木さん、大好きです!」が僕も大好きです

美木さん、大好きです! 小畑つねちか
ANAGUMA
ANAGUMA

全く正反対に見える二人が互いを素直にリスペクトしているの、尊いですよね。あるときギャルの美木さんに一目惚れをした地味キャラの香坂くん、彼女に釣り合う人間になるべくガラッとイメチェンをして告白をしたところその気合を認めて美木さんも即お付き合いを了承。すべての展開が早い! 香坂くんが大人しそうに見えて相当な勇気と行動力の持ち主なのもギャップがあっていいです。付き合った翌日いきなり家に朝食を作りに来たり距離感バグってるところとめちゃくちゃピュアなところの差が激しくて愛おしい。おもしろい男……!! そんな感じで香坂くんが予想のつかない男なので美木さんも常に優位を取ってるわけじゃないのが妙味。パワーバランスが常にぐらぐらで、それが美木さんにとっても楽しいのが伝わってくるのがなんだか素敵です。ただ陰キャくんをギャル様が全肯定するという単純な構図じゃあないのです。 とにかくふたりのキャラがあればどんなシチュエーションでも最高に光り輝いたものになるので信頼して読み進めていただきたい次第です。自販機で飲み物買ってるの見るだけで悶えたの初めて!

私の拳をうけとめて!

ライバル百合ままならぬ交際 #完結応援

私の拳をうけとめて! murata
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

元ヤンの武部がふと再会してしまった、高校時代の喧嘩相手・空森。あの時つかなかった決着つけるか!と公園で決闘。でも空森は条件を突き付ける。 「私が勝ったら、付き合って!」 ○●○●○ あっさり負けた武部は空森と、形ばかりの交際を始める。しかし付き合うって何すりゃいいんだ? 恋心が分からず、周囲の結婚ラッシュに焦る武部。それに付き合う空森も、アパレル店員だがお洒落以外はからっきし。かくして二人集まっては、とても恋人同士とは思えない、しょうもない事に興じる。いい大人の二人が戸惑う姿が常に可笑しい。 空森は武部のそばにいられれば幸せだし、それに付き合う武部も次第に空森といるのが心地良くなる。何をしてもつい白熱して、勝負になだれ込むお約束も含めて、怖い顔の武部と呆け顔の空森が軽いタッチの絵柄で割と平熱に描かれて、そこはかとなく笑えるコメディ。 それにしても互いの心が全く掴めない二人。理解り合う為にはやはり拳を……?いやいや、そこからが本番。二人の笑顔を確かめる為に……最終4巻、「4巻」まで読むべ! (すみません3巻が出た時、これで終わりなのかと一瞬思ってしまったのです……)