モーニング・ツーの感想・レビュー234件<<678910>>戦争という極限状況で、何よりも大事な物資を手配する兵站を描いた作品大砲とスタンプ 速水螺旋人名無し学生の頃、友達の家にものすごいヨレヨレのエロ本の切れ端が置いてありました。あまりにも使用感丸出しで、若干引きながらも聞いてみると、「ひと夏の思い出なんだ」と彼は遠い目をしながら言うのでした。後からわかったのですが、それは山岳部の一月続く縦走の際に持っていたものとのこと。危険な山では、水と食料が最優先。一冊まるごとエロ本を持っていくことができないので、お気に入りのページを切り取って隙間に詰め込んでいたとのことです。なんだか、エロ本の切れ端が崇高なものにみえてくるではないですか!普段の生活で、我々はすぐ物が手に入る状況にいるのだなあと思い知った経験です。 戦争という極限状況で、何よりも大事な物資を手配する兵站を描いたのが『大砲とスタンプ』という作品です。この作品を読むと、補給線の大事さと、正論をタテに物事をうまく進める方法が同時に身につきます。 兵站軍は、輸送や補給を主な任務とし、直接戦闘に参加することはそう多くありません。ひたすらデスクワークの連続で他の部隊からは「紙の兵隊」と揶揄されています。 主人公はマルチナ・M・マヤコフスカヤ。アゲゾコ要塞補給廠管理部第二中隊に配属された女性少尉です。 戦場ではしばしば、現地の状況とかけ離れた命令を、少しの不正で上手く回らせていたりもしますが、彼女はそれを許しません。たとえ食糧が尽きた非常事態だろうが、奇襲をうけた戦闘状態だろうが「責任問題ですよ!」といってかき回していく四角四面の女。実際にいればかなりイヤなタイプです。 彼女のその並外れたクソ真面目さと融通のきかなさが騒動の素となり、時には武器になっていくのです。 あるとき、憲兵隊に睨まれた第二中隊は、ついに彼女に本気をださせることにします。「手を抜かず存分にやれ」といわれた彼女は、書類のつづりの間違い、書式の違い、ハンコの薄さなど、ありとあらゆる普通の人はどうでもいいことを指摘し伝票を突っ返し続けます。マルチナの言うことは言い返すことのできない正論。やがて憲兵隊の仕事はマヒしてしまうのです。ついに憲兵隊から「あの女は悪魔です!」と呼ばれるマルチナには悪意はなにもないのです。ただルールを守ることが彼女にとっての正しさなのです。 伝わっているいるはずの話が伝わってないとか、現場でいつのまにか独自ルールができていたりとか、やたら官僚的な人間によって引っ掻き回されてしまうとか、組織である以上、軍隊も会社となにもかわりません。ガタガタしながらもなんとなく組織が機能してしまうんですね。 戦場という極限状況でも、今の我々と変わらず命令ひとつで右往左往してしまう、そんな滑稽さがこの漫画にはあるのです。ありそうと思わせるのがうまいゴールデンゴールド 堀尾省太いい漫画読みまだ最初ですが、面白いです。 「アニメイトに行きたい〜」という普通の一般的な子供の目線から自然と不思議な現象に巻き込まれていく。 広い日本。辺鄙なところ、ましてや離島に行ったらこんなヘンテコなことが起きてもおかしくはない! 流れてきた木の何かを洗ってみたらフクノカミだったりしてもおかしくない。 違和感なく不思議な漫画の世界に引き込まれる。 劇的に何かが起こるというよりは、日常が知らないうちに何か別のものになっていく感じ、すごいと思います。 おすすめです予想外夜明けの旅団 片山ユキヲ大トロちょっとダークな感じかと思ったら結構グロかったり怖かったりでした! 続きが楽しみです!共感はするがドン引きが勝る、子供な大人の浮気ストーリー恋のツキ 新田章mampukuイマイチ共感はできないけどなんかリアル感ある浮気女の話です。 泡沫に夢見てうっかりみすみす手の内にあったはずの幸せを自らフイにしてしまい、転げ落ちる様子をせせら笑いながら楽しめる漫画です。ふとした瞬間の幸せを後先考えず全力で追いかけるあまり右往左往するさまや、彼氏への不満をさも言い訳がましく漏らすさまは、某大学アメフト監督や大学広報などと同レベルの危機管理能力だなと感じます。 純真無垢だった浮気相手の高校生、すごく可愛くて良いやつなんですが、ワコの毒牙にかかって汚されていくのがなんとも… この漫画のためだけにモーニング・ツーを購入していたエイス Aiming for the ace 伊図透starstarstarstarstarマンガトリツカレ男雑誌で読んで単行本で読んで今回久しぶりに読み直したが前回読んだ時よりも圧倒的に面白い。この読みかえすたびに前回よりも面白いと感じたのは坂口尚の「石の花」とか以来だ。 特に晴巻君の話は、内容が素晴らしすぎてなんと書いたらいいかわからないくらい好き。何がいいかって「読めばわかるよ」の一言しかない 罪を背負った臆病者エイス Aiming for the ace 伊図透ナベテツ年をとり、世間の垢にまみれ、世の中の汚さとか醜さを知ってしまった中年がいる。ただ、そんな男には、汚すことの出来ない、聖域とも言える無垢なる心の領域が、ある。 作者の伊図透さんが一貫して描くのは、そんな言葉にすることが難しい、魂の領域の話です。 薄汚れた中年であると自覚している自分はこの作品を読み返す度に、ああ、というため息が漏れます。 万人に受け入れられるような、間口の広い作品ではありません。作者にとっても、決して幸福な終わり方をした作品ではなかったのだろうな、とも感じられます。 それでもこの作品が持つ、暴力を孕んだ残酷な美しさは、読み手の心に深い点を穿ちます。川辺で語られた少年の日の言葉だけでも、広く読まれて欲しい。主人公のように皮肉な笑みを張り付けている中年は、いつか迷子の少年にそんな言葉をかけられるようになりたいと思ったりもします、捕食系ラブコメあの人の胃には僕が足りない チョモラン名無し何だこれは!エロい!! 食べるという行為は実はエロティックだなとは思います。国によってはご飯を食べる番組が日本は多すぎるとかそんなことをテレビで言っていたようないなかったような。 美味しそうな少年が化け物の先輩と一緒に住んでしまう、というトンデモ設定。 これは恋なのかそれとも「食欲」なのか。。。 好きだ〜と思っていたら次はガブッと行ってしまう。 「あらしのよるに」のような関係でしょうか。作者が楽しんで書いてるのがとてもいいです。ムシャムシャ。 早藤君がクズすぎて途中でやめたくなります先生の白い嘘 鳥飼茜やむちゃ110年ぶりに性犯罪が厳罰化されましたね。男性にも適用される法になりましたし、保護者からの性的虐待もしっかり裁けるというのは大きなポイントですよね。 というわけで「男女の不平等」がテーマのこちらを是非1度読んで欲しいなぁと思いました。 男性よりは女性が好みそうな、ドロドロした恋愛を男性誌で掲載したところにすごく意味があるし、とにかく勇気のある作者だなと思いました。ルポルタージュを通して描かれる様々な"愛"の物語ルポルタージュ‐追悼記事‐ 売野機子sogor25今作は元々、今はなき幻冬舎「コミックバーズ」で連載されており、そちらで打ち切りの憂き目に遭った後、現在の講談社「モーニング・ツー」に移籍して連載を再開したという少し特殊な経緯を持っています。幻冬舎版は「ルポルタージュ」というタイトルで全3巻、講談社は「ルポルタージュ‐追悼記事‐」というタイトルで現在も連載中で、物語自体は連続していますが、講談社版から読んでも問題ない作りにはなっています。 幻冬舎版から一貫しているのは、恋愛すること自体が時代遅れという価値観の世界とその中で発生したテロの被害者たちの人生を描くというテーマ。これらをルポルタージュ作成のための取材という形で炙り出し、恋愛はもちろん、家族愛や友愛など、広い意味での人の愛を描く物語になっています。 この一貫したテーマ自体が毎回読ませる内容で面白いのですが、幻冬舎版から読み続けていると、逆に幻冬舎から講談社に移籍して変わった部分も見えてきます。 まず1点、幻冬舎版は1話5~60ページ、講談社版は1話3~40ページで構成されており、その結果、幻冬舎版では1つ1つのエピソードが重厚に、講談社版は物語の展開がよりドラマチックに動くようになっているように感じます。その辺りの雰囲気の違いを読み比べてみても面白いかも知れません。 そしてもう1点。幻冬舎版は新聞記者の1人、絵野沢(幻冬舎版2巻の表紙の人物)の視点が中心となって展開していきます。非・恋愛系の両親を持ち、その価値観に多く触れてきた彼女の物語は、物語の設定に沿って"恋愛"というものにフォーカスして展開、彼女のモノローグもかなり私的に寄っている印象があります。 その物語が、打ち切りの影響もあるのか幻冬舎版で一旦の結末を見せ、その後の講談社版ではもう1人の新聞記者・青枝聖(同1巻表紙)と、その恋人・國村葉を中心として展開していきます。2人の物語は、世界観に反して"恋愛"をしているという観点から語られる部分もありますが、それにとどまらず、テロの被害者のエピソードも内包したもっと大きな愛の物語へと拡大しているように感じてなりません。言わば、幻冬舎版の3冊の物語を土台に、より包括的な、懐の深い物語になろうとしているのではないかと思うのです。 一度は打ち切られた作品ではありますが、皮肉にも次巻で「MAMA」の巻数に追いつき、作者最長の作品になりつつあります。それに適う作品であることは保証しますので、興味を持って頂けた方は、是非土台となる幻冬舎版「ルポルタージュ」から手に取ってみてください。 2巻まで読了1話がカラー扉絵で読めるぞ〜!!ご恩は一生忘れません 北郷海たか1・2話がウェブで読めちゃいます! しかも1話の頭はカラーなんです、やったぜ! http://morning.moae.jp/lineup/874 ナチス×ドイツ×メイド男子+復讐少女!!夜明けの旅団 片山ユキヲANAGUMA盛るよなァ〜〜〜要素をさァ〜〜〜。 しかしながらこのマンガが真に素晴らしいのは 異常な射撃の腕を持つメイド服の青年と親の仇への復讐に燃える少女のコンビが ゾンビやナチスとガチバトルを繰り広げるっていう キャッチーな要素の底の底に、血の通った人間のあったかさが しっかりと敷き詰められているところです。 食事のシーンとか、ちょっとしたふたりのやりとりとか、ゾンビを前にいがみ合っていた人間が手を取り合うとか…。 本格ゾンビ・アクション・ホラーの中に 片山ユキヲ先生の「やさしさ」の芯がきちんと通っているので ゾンビものの枠組みを超えて「人間ていいよね…」ってなっちゃうこと間違いなしの良作です。ただの吸血ものではないデビルズライン 花田陵バナ吸血鬼ものといえば、すでにイメージは完成されているが、恋愛や仕事や差別についてもじっくり描かれている。鬼も人なんだ、鬼は人と同じではないんだ、世論や政治も絡んでくるので大人が読んでも面白いと感じるはず。精緻な筆致で描かれるファンタジーとんがり帽子のアトリエ 白浜鴎ニワカ魔法使いを目指す少女たちのファンタジー成長譚。白濱鴎先生の特徴である精細な筆致が豊かな世界観を育んでいます。人々の機微や所作を美しく、時折不気味に表現しているのも見所。ファンタジー欲が満たされる漫画です! 才能がほしい神様の横顔 朔ユキ蔵名無し※ネタバレを含むクチコミです。残酷なまでの天才に、秀才は努力と執念で勝てるか?神様の横顔 朔ユキ蔵兎来栄寿才能を問い、芸術を問い、魂を焦がす美しき絶望と希望。 この物語の中には、こんなシーンがあります。 > 芸術と命の輝きは理屈を超越しとるんだ > それに触れただけで生きがいを感じ > すべての現実を忘れられるかのような瞬間を生む > > 空腹を忘れられる芸術を > あなたが感じたことがないのなら > そのことのほうが不幸だ この言葉は、作中では現実の飢えや貧困、それによる死を間近にしている者に「富める者の傲慢」と断じられはします。しかし、少なくとも理屈を超越し寝食を忘れて生きる歓びを与えてくれる芸術の存在を私は沢山知っています。むしろその為に、すべてを忘れて没頭し、胸を焦がされ脳を支配されるような体験と出逢うためにこそ生きていると断言できます。 食べた野菜や肉は身体を形成しますが、鑑賞した芸術は同様に心や魂の一部となります。そして、身体と違って物質的な制約がない分、幾千幾万幾億の世界や人生を味わうことができます。一回性の人生に与えられた、限りのない派生を可能にする階。俗世の理を超えた存在。それが芸術であり表現というものでしょう。 そして、この『神様の横顔』もまたそういった理を超えた所にあることを強く感じさせてくれる作品です。 ■秀才と天才の紡ぐ物語 人間は天才が大好きです。圧倒的なパフォーマンスで周囲を、常識を、世界までもをドラスティックに改変していく。そんな天才の姿に憧れます。願わくば、自分もそんな才気を発揮したい。自分も天才だったなら……。誰もが一度は思うことではないでしょうか。『神様の横顔』が描くのは、そんな天才と、才能を渇望する秀才の物語。 才能はどこから やってくるのか? 地からわき出すように 体の中に生まれるのか? 天から降るように 与えられるのか? 持つ者と持たざる者は すでに決まっているのか? > 嫌だ!! > 才能が生まれた時から決まってるなんて… > 俺は…信じない――!! 主人公・千鳥敬太郎のこんな独白から物語はスタートします。 そして、冒頭で敬太郎が祖父の創設した「青年劇団千鳥」の首席スターの華やかさに心奪われ、憧れるシーンが描かれます。「僕も真ん中に立ってあの人のようになりたい」という敬太郎の原体験は十分な説得力を持っており、物語の幕開け直後から入り込んでいけます。 成長した敬太郎は容姿・実力ともに申し分なく、千鳥で学年トップの座につき将来の千鳥のスターを嘱望されていました。しかし、理事長であり義母である千鳥藤子から「千鳥初の地方試験合格者である麦蒔摂(むぎまきせつ)に会って、あなたは真の首席スターではないと解った」と宣告されてしまいます。麦蒔こそは、秀才である敬太郎に立ちはだかる圧倒的天才。敬太郎は、同室で暮らすようになった麦蒔の才能を様々な局面で徐々に目の当たりにしていきます。 しかし、自分と掛け離れた圧倒的な才能を前にした敬太郎が陥ったのは絶望ではありませんでした。敬太郎は、麦蒔によって進むべき道を希望の光で照らされたと感じたのです。秀才の飽くなき野心にゾクゾクしつつ、滾ります。自らの凡庸さを自覚した上での戦い。それは、多くの人にとって少なからず共感できる所があるでしょう。 残酷なまでの天才と秀才の対比は、その後も切々と描かれ続けていきます。演技することを楽しむ麦蒔と、苦しみ悩みぬく敬太郎が同時に描かれる残酷なコントラストは特に印象的です。単行本の表紙においても、一巻の全てを覆うような黒の中で正面を向いて強く唇を結ぶ敬太郎と、二巻の純白の中で天使のような翼を生やして一人だけ神様の方へ向かっているかの如く横顔で柔らかく微笑む麦蒔という明暗の描かれ方。陰と光。月と太陽。果たして、敬太郎は自ら光輝き神様に正面から微笑んでもらえる日が来るのか。 演技での天才と秀才の激突というと『ガラスの仮面』を思い出さずにはいられないですが、『神様の横顔』はそこに留まらず彼らの間に生ずる感情も注目すべきポイントとなっていきます。ある意外な設定がもたらす関係性への波紋は、他の天才VS秀才の物語でもあまり見られない類のものです。又、1935年というのは第二次世界大戦の直前でもあります。藤子が「3年で次の主席スターを育てる」というセリフがありますが、もし育ったとしてその翌年、1939年からは大戦が開戦します。激動の時代の中で、彼らや千鳥はどんな運命を辿るのか。 ここで語った以外にも、本作には尽きぬ見所があります。特に十話は内容も、それを読んだ後に噛みしめる日本語/英語のサブタイトルも最高です。語りたくとも語れないその良さは、ぜひ読んで実感してみて下さい。 ラグビーマンガ界を牽引する本格ラグビーマンガの雄ALL OUT!! 雨瀬シオリ兎来栄寿『オールアウト!!』は、超王道スポ根。身長190cmの長身でラグビー経験者ながら気の弱い岩清水と、小さい体ながら持ち前の威勢の良さで未経験のラグビーに挑む祇園の二人を中心に、神奈川高校の面々が花園(野球でいう甲子園)を目指して闘っていく青春群像ラグビーマンガです。 ラグビーは一チーム十五人、敵味方合わせれば三十人。他のスポーツに比べると描かねばならないキャラクターが多く、ある意味マンガ化するのが大変な競技です。実際、登場する多くのキャラ全員を覚えるのは最初は困難に感じるかもしれません。 しかし、『オールアウト!!』の強みはそのキャラクター描写。読み進めるにつれて個性豊かなチームメイト一人一人のエピソードが丁寧に描かれ、自然と感情移入します。バカなヤツ、クールなヤツ、仲間思いなヤツ、食事シーンで真価を発揮するヤツ、重い事情を背負ってるヤツ……気付けば控えのメンバーも含めて自然と愛着が湧き、応援したくなります。敵となる相手校にも魅力的なキャラが沢山出てきて、今後の新キャラの活躍も楽しみです。 そんな中で私が最も惚れ込んでいるのは、キャプテンの赤山。チーム内でも最も剛健であり、外見も謎のメッシュで厳つい男ですが、その実とても情に厚く優しい頼れるキャプテン。誰よりも勝利に貪欲で、ストイックに上を目指し続ける姿勢にシビれます。厳しい練習に、 「もっムリ…」「死ぬ…」 と喘ぎ倒れ込みそうな部員への一喝。 「愚痴る力あるならっ 走れ! 今のっ 俺たちでも 出し切ることはできるっ」 と、気持ちを強く引っ張って行く姿は堪りません。そして、その「全てを出し切る」ということこそがタイトルでもある「オールアウト」。一度きりの人生。一秒も無駄にせず、今の自分を生かしてくれる周囲に感謝しつつ、オールアウトで行きたいものです。そんな熱量を『オールアウト!!』を読むと貰えます。 主人公たちを導いて行く大人もまた魅力的。熱い激闘の間に挟まれる、人生の年輪を感じさせる大人同士の呑みシーンの会話がとても良いメリハリを生んでいます。一人一人を叱咤激励し、チームをマネジメントしていく側の想いや葛藤、あるいは楽しさといったものも描かれ、こんな良い酒宴をしたいなと思わせてくれる稀有なスポーツマンガです。 キャラクターの良さに加えて、ラグビーという競技を知らなくても楽しめる丁寧な作りもポイント。細かいルールも、ラグビーを知らない主人公祇園と同じ目線で学びながら読み進めて行くことができます。『オールアウト!!』を読んでおけば、ラグビー観戦がより楽しくなること間違い無し! 2019年には、日本で9回目のラグビーワールドカップも開催されます。『オールアウト!!』のアニメ化も伴って、今後ますますラグビー旋風が吹くことでしょう。ぜひ今の内から『オールアウト!!』を読み、ラグビーの熱き世界に触れてみてはいかがでしょうか。 オシャレなSFロボ・サピエンス前史 島田虎之介名無し絵のテイストは手塚治虫で、コマ割りは現代。 キャラクターのやわらかな曲線と、大きな文字の描かれた建物のシュッとした直線。 画面が白と黒、直線と曲線で構成されている統一感が美しい。 ストーリーはとてもSFらしく、主人公の語りが雰囲気を出してる。 1話のコバヤシ(ロボット)との会話の「ヘイ、Siri」感が好き http://morning.moae.jp/lineup/1044 https://comic-days.com/episode/10834108156677473461人間の家賃とスマホ代を払ってあげる犬ご恩は一生忘れません 北郷海たか※ネタバレを含むクチコミです。新しくなったルポルタージュルポルタージュ‐追悼記事‐ 売野機子かしこ前のバーズ版に比べて親しみやすくなったと感じました。 掲載誌が変わったからなのか? 主人公が恋愛してるからなのか? 色々と考えてたら作者の売野機子先生がTwitterでペン先も変えたとおっしゃてて、そこもリーニューアルしたんだ!とハッとしました。 レンタル彼女のイメージをいい意味で一変させるレンタル彼女月田さん 時田時雨にわか子供のように無邪気なレンタル彼女の月田さんと奥手男子の主人公、星野のやり取りを描いたもの。横断歩道の白いとこだけ渡ったり、マンホールの蓋をぴょんぴょんと飛んだり、なんだか子供の頃やってたなーということを月田さんはしてくれる。主人公はそれに振り回されながらも楽しそうで、なんだか見ていると心休まる。こんな「レンタル彼女」はいないだろうけど、月田さんとなら街を歩いてみたいなんて思ってしまう。才能で蹂躙する(物理)な「響」(漫画ver狭い世界のアイデンティティー 押切蓮介にわか漫画力が、純粋な暴力となる世界で繰り広げられる熾烈な漫画家バトルロワイヤル。響を読んでいると感じる、才能を持っている人間ほど暴力的で理不尽という世界を突き詰めて、ギャグ化したような印象を受ける作品。 ぶっ飛んだギャグ的な面白さがある上に、この作品からは「あるコダワリ」を非常に深く感じる。それは実在の企画や人を用いて漫画界の実態の一部を描いていること、そして用いたものに対する深いコダワリである。 特に浅野いにおの回は衝撃的だった。というのは浅野いにおの能力で「自分の世界に引きずり込む」技があるのだが、まるで浅野いにお本人が書いたのではないかというほど精巧な街が描かれるのである。 作者の押切蓮介は個性的で良い絵を描くが、画力に優れているとはいい難い。であるがゆえにその精巧さには驚くしかない。そこには浅野いにおを使うからには、という強いリスペクトを感じるのである。 なにはともあれ、漫画に対する愛と熾烈さを強烈に感じながら物語を楽しめる、一癖あるが、素晴らしい作品だと思う『月と太陽の17歳』米代恭 モーニング・ツー9号(2017)月と太陽の17歳 米代恭名無し『あげくの果てのカノン』の米代恭の読み切り。 先生と付き合っている女の子の話。タブーに踏み込みつつ良い感じの話にまとまるかと思いきや、全てひっくり返してくる展開はさすがという感じだった。 後ろめたさのようなモノを殆ど感じさせずに、恋の純粋で綺麗なトコロと、汚れをうまく拾い上げているところが好き。 コメディックだが、本格的な「別式」漫画別式 TAGROにわか変態ゼミナールの作者TAGROによる女性剣士「別式」の漫画。 別式とは諸藩の奥向き(幕府でいう大奥)で活動した女性指南役を指す言葉で、江戸時代には実在していたもの。そんな、これまで見向きもされてこなかった題材をキャッチーな絵柄で上手く話に落とし込んだ作品。 変ゼミに見られる凄まじい変態感は絶妙な具合に抑えられていて、作中に上手く溶け込んでいる。また、時代が時代なだけあり、紹介などではコメディが強く押し出されているが、内容はかなりシリアス。全体としてみると重たい話となっている。また、重たいだけでなく、物語の筋がしっかりと面白いから引き込まれること間違いない。期待の作品 至高その「おこだわり」、俺にもくれよ!! 清野とおるおこ凡百ライフハック本よりよっぽど役に立つ<<678910>>
学生の頃、友達の家にものすごいヨレヨレのエロ本の切れ端が置いてありました。あまりにも使用感丸出しで、若干引きながらも聞いてみると、「ひと夏の思い出なんだ」と彼は遠い目をしながら言うのでした。後からわかったのですが、それは山岳部の一月続く縦走の際に持っていたものとのこと。危険な山では、水と食料が最優先。一冊まるごとエロ本を持っていくことができないので、お気に入りのページを切り取って隙間に詰め込んでいたとのことです。なんだか、エロ本の切れ端が崇高なものにみえてくるではないですか!普段の生活で、我々はすぐ物が手に入る状況にいるのだなあと思い知った経験です。 戦争という極限状況で、何よりも大事な物資を手配する兵站を描いたのが『大砲とスタンプ』という作品です。この作品を読むと、補給線の大事さと、正論をタテに物事をうまく進める方法が同時に身につきます。 兵站軍は、輸送や補給を主な任務とし、直接戦闘に参加することはそう多くありません。ひたすらデスクワークの連続で他の部隊からは「紙の兵隊」と揶揄されています。 主人公はマルチナ・M・マヤコフスカヤ。アゲゾコ要塞補給廠管理部第二中隊に配属された女性少尉です。 戦場ではしばしば、現地の状況とかけ離れた命令を、少しの不正で上手く回らせていたりもしますが、彼女はそれを許しません。たとえ食糧が尽きた非常事態だろうが、奇襲をうけた戦闘状態だろうが「責任問題ですよ!」といってかき回していく四角四面の女。実際にいればかなりイヤなタイプです。 彼女のその並外れたクソ真面目さと融通のきかなさが騒動の素となり、時には武器になっていくのです。 あるとき、憲兵隊に睨まれた第二中隊は、ついに彼女に本気をださせることにします。「手を抜かず存分にやれ」といわれた彼女は、書類のつづりの間違い、書式の違い、ハンコの薄さなど、ありとあらゆる普通の人はどうでもいいことを指摘し伝票を突っ返し続けます。マルチナの言うことは言い返すことのできない正論。やがて憲兵隊の仕事はマヒしてしまうのです。ついに憲兵隊から「あの女は悪魔です!」と呼ばれるマルチナには悪意はなにもないのです。ただルールを守ることが彼女にとっての正しさなのです。 伝わっているいるはずの話が伝わってないとか、現場でいつのまにか独自ルールができていたりとか、やたら官僚的な人間によって引っ掻き回されてしまうとか、組織である以上、軍隊も会社となにもかわりません。ガタガタしながらもなんとなく組織が機能してしまうんですね。 戦場という極限状況でも、今の我々と変わらず命令ひとつで右往左往してしまう、そんな滑稽さがこの漫画にはあるのです。