ビッグコミックスペリオールの感想・レビュー438件<<1314151617>>新人キャリアウーマンは見た!会社deごっこ 高良百名無し新入社員の女の子が残業終わりに主任のとある行動を目撃する。誰もいないオフィスで椅子に腹ばいになり滑って遊ぶ主任。「デュワ」って言ってる…小学生か!いつも無口な主任のストレス解消法のお茶目さに癒されるマンガでした。音楽に賭ける夢Blow Up! 細野不二彦マウナケア主人公はミュージシャン。サックスで身を立てようとする青年のお話です。主人公を含めた音楽に携わる者たちの置かれた状況をうまくとらえて、彼らの音楽に対するスタンスの違いでストーリーを構成。うまいだけのスタジオミュージシャン、最後のチャンスに賭けるベーシスト、親の七光りのアイドル…。埋もれるのかのし上がるのか、それは技術だけじゃないし心意気だけでもない。自分の才能を信じて道を進むその悲喜こもごもが伝わってきます。それで、夢の途中というより苦労の途中、で終わってしまうのが何とも切ない。このラスト、決してHAPPYじゃないと思うのですが…。苦労してる知り合いを見ているせいで、深読みしすぎてますかね。行け!と背中を押したくなるさよならも言えない 鍬形ゆり名無しこんな純粋な気持ちで主人公の背中を押したくなったのはいつぶりだろう…というほど美しい話だったな〜女の子同士の話だったからかな。 始めは大人と子供くらいの年の差があるのかと思ってたら同じ大学の同学年だった。笑 いじわるな見方をすると、けっきょく向こうはずっと主人公のことは眼中にはなかったんだね。新たな女流棋士マンガの登場!!永世乙女の戦い方 くずしろ 香川愛生女流三段名無し主人公は女子高生棋士。 可愛いけど絶対タダ者じゃない…! 対局中は蛇のような目つきをしてる。 ライバルの乙女達も普通じゃなさそう。 やっぱりスペリオールの新連載には期待してしまう!筆とあいつがいればいい。 中田アミノstarstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)主人公の女の子がかわいくてこじらせてていい感じに意地が悪いのが良い!! 人から良く見られちやほやされることを生きがいにしている女子高生の瓦木叶(かわらぎかのう)ちゃん。 クラスメイトに乗せられうっかり絵が上手い発言をしてしまうが、実際はクソど下手な叶ちゃんのもとに現れた他の人には見えない手のひらサイズの小さなじじい。 寝てる間に身体を乗っ取り凄まじい絵を描くそのじじいの正体は葛飾北斎!? 葛飾北斎は満足するまで絵を描きたい。 叶ちゃんは完璧でありたい。 互いに利害が一致し利用し合うことに! 他人にはいい具合に無害な女の子の小ズルさというか、本質は置いておいて良く見られたいという浅ましさが出ていてとてもいいし、たまに出すかわいくない顔芸も素晴らしいし、じじいがちょうどちょっとキモくて絵が凄くて生活に小波乱を起こしそうないいバディ感を醸し出している。 女の子は良く見られたいという理由で頑張っている基本的にはちょっとアホで残念な女の子なので必然的に幽霊であるじじいがいいツッコミ役になっていて、誰がツッコミやってんだよ感はあるものの、何も知らないアホな小娘よりすべて知り尽くして無茶苦茶やるじじいのほうがまともだわなと納得。 2話目で早速葛飾北斎が大いにやらかしているので、叶ちゃんのその場しのぎのカバー力が試されていて面白かった。 今後、絵画の素材や技法がたくさん出てきそうなので単純に面白くなりそう。 ブルーピリオドなどと合わせて読みたい。 もしも葛飾北斎が人生の続きを現代で生きたらという妄想はロマンがあってとても好き。 シオリエクスペリエンスのジミヘンや、少し違うけど刃牙道での宮本武蔵然り。 現代で無双するのか、どこの時点で成仏するのか、いやそもそも絵に終わりははいから満足しないでしょ?とか、ヒカルの碁的に叶ちゃん自身も成長するのか、どう展開するのか楽しみ! 少し気になるとしたらタイトルが葛飾北斎目線っぽいところ。 いや、どっちとも取れるか・・。ストレスに比例して霊が視える #読切応援それが視えたら 安彦晴名無しこの設定が面白い。実際にこんなオカルト現代病ありえそう!主要なキャラの可愛いさと、霊のホラーな描写のギャップもいい。主人公が視えちゃう女の子なんだけど、ストレスの理由も共感できる。タイトルがポップになったら連載もあり得そう。ポップでキュートでコミカルな童貞3人組! #読切応援五月に隕石、六月には京都 安彦晴starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)毎日昼休みに校庭に出てバレーボールで遊ぶ日常系四コママンガのように和やかな女子高生3人組、を見る野暮ったいクラスの端っこにいるような3人組がこの話の主人公。 漫研でもないのに生身の女子3人組の二次創作漫画をそれぞれノートに描いてきては交換するというキモ日課を送っていた。 彼女らのことはずっと見守るだけでいい、と距離を取っているが、その中の一人今井君は違う感情を抱いていた。それは・・・。 めちゃくちゃいい! まずページをめくってパッと目に入ったときの絵の印象が最高で、キャラのデフォルメ具合がたまらなくて見やすい。 イケてない彼らでさえとってもキュートだ。 キュートな絵柄なのに、女の子の描写はたまにエロくも見える色気がある。 団子っ鼻でメガネで白目でニヒルな女の子もいい味出してる。 これでいいのかと自問自答し大いなる一歩を踏み出す今井くんが素晴らしい。 いつまでもそのままずっと、ぬるま湯に見える薄めの硫酸風呂に入り続けることもできたのに。 「眺めるだけで本当にいいんですか!?」「小さな決断があとあと効いてくるんです!!」は自分たち自身に問いかけ続け毎日小さい後悔を積み重ね続けた言葉だろう。 沁みる。 最終的にもなんだかポップでかわいらしい結末が待っている。 ここで、なるほどそうだったのかと腑に落ちる。 そしてもう一度読み返すと、あーほんとだ、と。 とても好きな読切だった。 コンプレックスやダークサイドの描き方も傷心も全部ポップ! 全くエグくならず、コミカルで楽しい読み味が続く。 自分の中で早く連載を読みたい作家さんの一人になった。 響について語ろう響~小説家になる方法~ 柳本光晴名無し※ネタバレを含むクチコミです。素直にビックリした次の授業サボっちゃおうよ ちひ名無しビックリした。ラブコメって油断してると百に一つくらいで、こういうのあるよね。いやぁ攻めるなぁ……将棋で殺り合う女たちが見たいあなたへ永世乙女の戦い方 くずしろ 香川愛生女流三段兎来栄寿最近また一気に将棋マンガが増えてきていて、小学生の頃に囲碁・将棋クラブに入ってNHK将棋講座を日曜午前の楽しみにしていた身としては嬉しいです(とはいえ、カバー下おまけの詰将棋を5分考えて解けなかったレベルです)。 作中で詳しく解説されますが、棋士と女流棋士には大きな違いがあり、それでも敢えてとある理由から女流棋士として強くなろうとする女子高生・香を中心に物語は展開していきます。 様々な百合マンガを手掛けてきたくずしろさんらしい人物造形と関係性が随所で見られ、エクストリーム百合痴話喧嘩マンガの『ラブデス。』を将棋でやっているかのような対局は特に見所です。 将棋指しは常軌を逸した人が多いので、そういう意味ではくずしろさんが描く女性として意外と相性が良い題材だなと感じました。 将棋が全く解らない人でも問題なく楽しめるであろう演出の派手さと構成となっています。個人的に、香の母親が「将棋のことなら止めない」と全力で(基本ルールも解らないのに娘の全棋譜を取るくらいに)応援してくれているというエピソードが好きです。 ちなみに、推しは勿論塔子さんです。 スペリオールに強力なニューヒロイン誕生!永世乙女の戦い方 くずしろ 香川愛生女流三段mampuku 超好きな感じの新連載が始まったので(出遅れたけど)クチコまずにはいられなかった! 作者はこれまで数々の上質な百合漫画を世に送り出してきたくずしろ先生。「女子」特有の価値観や関係性などを下敷きにしつつ、将棋というジャンル、そして香という強烈なヒロインものとして極上エンタメに仕上がっています。 ヒロインのぶっ壊れたカッコよさや脇役たちの人間味など、同じスペリオールで連載中の「響」と共通する魅力を感じます。しかし「永世乙女」はそれだけでなく、とにかく絵が良いんです! 誌上で随一の華があります。線が美しく、構図やキャラの表情に力がある。 ちょうど最近「響」に登場した天才漫画家が曰く 「漫画の命はキャラクターでしょ。とにかくキャラがあってそいつらが次々に何かする。」 「キャラも作れない描きたいイベントも特にない。でも漫画に関わりたい。そんなアホがゴロゴロいる。そんな才能のない新人や枯れたじじいが行きつく先が情景描写に心理描写。」 「死がどうとか性がどうとかにいちいち葛藤するなんの内容もない話に背景だけ描きこんでうすら寒いポエムのっけて」 ……両手をあげて賛同はできないものの一理あるなと思いました。そして数週間後に始まった「永世乙女」を読んで「そうそうそれが読みたかったんだよ!」と笑。キャラが動き、絵が語る、これぞ漫画。ううーーーGIGANT 奥浩哉さいろく※ネタバレを含むクチコミです。これは浅野いにお本人の話だと思おう零落 浅野いにおstarstarstarstarstar_borderさいろく思って読むと好きになるとこもあるし同情してしまうとこもあるし、でもカリスマだもんねーと思っちゃうとこもある。 風俗の使い方とか、離婚の話とか、諸々リアルなんだけどこれに何も感じない人はきっと幸福な人生だと思う。 だがそれは「まだ」「ここまでは」だ。必ずいつか苦難が来るのでその後も一度読むといい。 喪失感に取り残された人を描いた力作ガラパゴス諸島にて 山口元気名無し「喪失」の出口。とても上手いことを言うなと思う。 大事な人を喪った時に、実感が訪れずに悲しめないというのは、度々、漫画の題材となっている。本作はそれをガラパゴス携帯を使って、上手く表現している。主人公は母から送られてきた過去のメールを見ることで、母のいた世界に取り残されていたのだろう。そうすることで母の死の実感を薄めていた。 だからこそ未送信のまま送られなかった下らないメールに初めて涙を流す。悲しめない人の抱える「喪失の出口」をうまく描いた。とてもいい作品だったと思う期待の新人咲宮センパイの弓日(読切) 天野茶玖starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)スペリオールの読切。 高校の弓道部で百発百中ゆえに羨望の眼差しを一身に集める咲宮先輩。 そんな憧れのかっこいい先輩に声をかけられ休日に渋谷の道案内を買ってでる後輩たち。 そこで目撃するのは切符すら買えず改札すらまともに通れない、普段の部活中の凛々しい姿からはかけ離れた非常識で天然なおとぼけ姿だった。 そして彼女の渋谷での目的地とは・・・。 雲の上の人だった先輩の意外な一面を目撃した後輩たちは、さらに辿り着いた目的地から幻滅し、そしてその姿すらも実際は想像からかけ離れたものであったという内容をコミカルに描いている。 読んでいる側に構えさせないゆるさとコミカルさ、ふとした瞬間に垣間見えるシリアスさなどは石黒正数先生や小田扉先生にどこか通ずるものがある面白さだ。 これからの作品にどうしても期待してしまう。御飯時に読むべからず銀平飯科帳 河合単む江戸タイムスリップ料理! 江戸じゃ現代料理の方が明らかに美味しいだろうと想像するんですが、そうじゃなさそう。色々料理漫画ありますが、お腹が減ってきて帰ったら真似して作ってみようとまで思う漫画はこれが初めてかもしれない。 出汁ベースで身近に手に入るものを材料にしてるからでしょうか。 出汁が美味しい料理はたまらーん! それとも表紙が調理後の写真だから? まず火消し飯から実践してみたい。 これはめちゃくちゃいいですね。ガラパゴス諸島にて 山口元気名無し自分は中学生の時に母親を亡くしたのだけど、その時の気分にとても近くて、救われた感じがした。悲しいのは当然だけど、くだらないことも考えるし息抜きだってしたい(感情の浮き沈みが激しく、色んなことを考えるので1週間の長さが平常時とは違う)。 悲劇が単に悲劇としか描かれなかったり、「逆境」を「跳ね返す」みたいな話を読むたびに、「そういう感じでもないんだけどな」と軽い絶望を覚える。この作品は複雑な感情を複雑なまま表現していて、初めてに近い共感があった。噛みしめるほどに味わい深い #読切応援前後左右へ 光用千春starstarstarstarstarかしこ※ネタバレを含むクチコミです。異色のサバイバルグルメ漫画僕は君を太らせたい! 横山ひろと 茸本朗starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)スペリオールで始まったこのグルメ漫画『僕は君を太らせたい!』は、まさかのバイオテロから始まる。 原因不明の感染症が人々の間に蔓延し、次々に倒れていく人、そして停止する首都機能。 主人公とヒロインは同じ会社で働く部下と上司だ。 上司の都田さんはフランス帰りのエリートで日本の食事が合わなくて激やせし、フランスから取り寄せた食材でお昼を済ませるのに対して、部下である主人公は白飯に幼虫をねじ込むハードコアなゲテモノ弁当を美味しそうに食す。 そんな二人が会社に取り残され、なんとか家に帰るために協力し帰り道で取れる一見ゲテモノに見える食材を調理しサバイバルする。 そして実は主人公の目的はかつて惚れた太っていた部長の姿を取り戻すことにこそあった。 好きですねー。 河原で取ってきたミドリガメを高級食材のように使うとか、野草の知識とか、実は首都圏で地震や大災害にあったときってこういう知識必要なんじゃない?とか思わされる。 コメディ色が強いので読みやすい。 今後の展開によっては家に置いておきたい漫画になるかもしれない。 史上最強の医療"マンガ"を挙げるとするなら敢えてこれを推したい医龍 乃木坂太郎 永井明mampuku 「医療」をテーマにした小説、ドラマ、漫画には数々の名作が存在し、また現在進行系で面白い作品が生まれ続けています。しかし、こと「医療マンガ」において『これは医龍超えたやろ!!』と思える作品ってぱっと思いつかなくないですか? 小説や実写ドラマでは追求しきれないであろう面白さという点で完成されてるんですよね。 ひとくちに医療モノと言っても、①「外科医・救命医を主人公にしたヒロイックな作品」 ②「ドロドロ院内政治」 ③「病院内人間ドラマ」 ④「社会派」などなどさらに細分化できるかと思います。『医龍』はほぼ全域を網羅しつつも①と②に特化した漫画として最高クラスの名作ですね。連載中のものだとフラジャイルやコウノドリなども文句なしに超面白いではありますが、医龍とはジャンル違いな感じです。 凄腕外科医が主人公の漫画って少年漫画のような熱さ・ワクワク感が魅力なので、そういう少年漫画、そろそろ登場してほしいです(ゴッドハンド輝みたいな)コミカルに心えぐる傑作! #読切応援僕の彼女は原風景 冨手優夢starstarstarstarstar_borderかしこ友達の彼女がめちゃくちゃ可愛くて大好きだったはずの自分の彼女に冷めてしまう…という男にとっても女にとってもあるあるだけどフラれる側からすると受け入れがたい残酷さのある話だった。今までは全く気にならなかった肌のカサつきや髪のパサつきが見えてきたり、彼女の笑顔にも嫌悪を感じるようになってしまった主人公。夢から覚めるように現実が見えてきた様子はまるでホラーだった。恋の空虚さと喪失を辿る青春読切‼と言いながら実はホラーなんじゃないか?「僕の彼女は原風景」というタイトルも諸星大二郎の作品っぽくないか?とか思い始めるくらい笑。とはいえ彼らは高校生なので恋に恋する年頃なのだろう。人との付き合いは色々あるから薄目で見ることも大人になると時には必要ですね。優しくなりたいです。想像しうる未来を描いた宇宙開拓史MOONLIGHT MILE 太田垣康男名無し周期的にどこか遠くへ行きたくなります。ギアナ高地かゴビ砂漠かヒマラヤか…。想像は膨らみますが、実際にはせいぜい飯能で僕の冒険心は終了です。ただ、もし僕が頑健な体と知性(と美しさと財力)があれば、宇宙に行ってみたいと思い、たまに空を見上げるることがあります。 この「MOONLIGHT MILE」も二人の男がヒマラヤの頂上から月を見上げるシーンより、物語がはじまります。世界中の極地に立った二人は、さらなる頂を目指すために宇宙を目指すのです。 二人の内の一人、猿渡五郎は日本の建築会社に就職しありとあらゆる重機の資格を取得し、宇宙空間での建設業務に従事するビルディング・スペシャリストを目指し、もう一人の“ロストマン”と呼ばれるウッドブリッジはアメリカ空軍に入隊し、そこからパイロットとして宇宙を目指します。 紆余曲折を経て、二人がISS(国際宇宙ステーション)で再会するのは7年後。しかしこれはまだ物語の序盤、1巻の出来事でしかありません。そこから、宇宙開発の表舞台を吾郎、軍の陰謀うずまく裏舞台をロストマンが主人公となって、宇宙開拓史が描かれて行きます。 「MOONLIGHT MILE」の凄いところは、この宇宙開拓史が事細かに、もしかしたら本当にこうなるかもしれないというリアリティをもって描かれているところです。ビルディング・スペシャリストとなった吾郎は、次世代エネルギー開発“ネクサス計画”のため、様々な任務をこなします。月面上の作業用機械の開発を手伝い、月往還船の建造を行い、そして第一次月遠征隊の一人として月面のエネルギー開発の最前線基地を建設します。 一方、ロストマンは宇宙における軍事的な覇権を推し進めるアメリカ軍のパイロットとなり、表舞台で宇宙開発が世界の注目を集める中、中国とアメリカの高高度戦闘が行われます。「表舞台か… 軍事利用こそ宇宙開発の真の姿だぜ 悪夢に染まらなきゃ、一番遠い場所には立てねえさ…」そう言いながら確実に任務をこなし続けるウッドブリッジは、やがてアメリカ宇宙軍の要人となります。 ふたたび吾郎とロストマンの道が交差するのは、表舞台と裏舞台がひっくり返るタイミングになるのですが、そこまでいたる夢の様に壮大な開発現場の個人の思いと、人類社会を左右する各国の思惑がからみ、壮大な物語になっているのです。 現在の世界状況の延長線上にある、想像しうる未来を描いた第一部が終わり、想像を越えたディストピアを描く第二部は現在も進行中。「MOONLIGHT MILE」が描ききるのはどのような人類の未来なのか、興味は尽きません。 至高で究極のツンデレキャラ 芹沢達也ラーメン発見伝 久部緑郎 河合単名無しツンデレって言葉があります。これは、そっけない態度をとる美少女が、好意をもった相手につい、いじわるをしてしまうような、大体そんな意味で使われる言葉です(べ、別にあなたのために解説したわけじゃないんだからね)。ツンが相手へのいじわる、デレは相手への好意ですね僕も御多分にもれず、ツンデレには色々とうるさいのです。さまざま、古今東西のツンデレキャラを思い浮かべ、何が至高で究極のツンデレかと考えると、やはりこれは『ラーメン発見伝』の芹沢達也(42)を挙げざるをえない。 『ラーメン発見伝』はラーメンが趣味の普通のサラリーマン・藤本が、様々なラーメンと出会い、自分自身のオリジナルのラーメンを完成させ独立する、そんな物語です。2000~2009年のラーメントレンドから、ラーメン経営の難しさにまで言及しているので、0年代ラーメン文化の通史ともいえる作品です。主人公・藤本のライバルになるのが、至高のツンデレ芹沢達也(42)。名前からもわかる通り、男。それもスキンヘッドです。芹沢はフードコーディネーターとしても有名ラーメン店の店長としても有名な、ラーメン界のトップ。自分にとって有用な人間には人当たりはよく、無用な人間に対してはとてつもなく冷徹です。多くの客を「舌バカな人間」と馬鹿にし芹沢は邪悪な笑顔と共に名言を吐きまくります。「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ。」この芹沢が、巨大な壁として藤本の前に立ちふさがり続けるのです。それも、26巻にわたって!昨今の、すぐに負け、すぐに味方になってしまう安いライバルに見習ってほしいくらい、骨太です。芹沢は藤本のことを認めながらも、それをおくびにも出さず、「所詮、優秀なラーメン・マニアでしかない」と挑発しつづけます。お前は経営者の苦しみも知らない、ただのマニアでしかないと。芹沢とそれを追う藤本の戦いも、はるばる26巻をかけてようやく終わります。これでついにデレるか?と思ったらそれでもまだデレない。芹沢達也しぶとい!まだデレない。そして最終回。独り立ちをする藤本についに芹沢達也はデレるのです。26巻ずーと藤本のライバルでいつづけた男(42歳)の至高のデレを、是非みなさんにも味わっていただきたいですね。医局の政治と変革医龍 乃木坂太郎 永井明名無し『シグルイ』の冒頭にはこのような言葉があります。「封建社会の完成形は 少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」。『医龍』を読んでいて、この言葉を思い出しました。民主主義な現代日本を舞台にしていながら、『医龍』に描かれる医局はまさに封建社会そのものなのです。 『医龍』で描かれるのは医局の政治。医局の中は完全なる上下関係で、大多数の人間は上から押さえつけられ、自身の弱さにあえぐことになります。この作品内において、絶対的な強者が二名います。一人は胸部心臓外科を支配する医局長の野口。そしてもう一人、圧倒的な腕をもつが故に、組織に属さずにいられる天才外科医・朝田。 そして、最も大事なキャラクターが、医局内で最も地位の低い、研修医の伊集院です。物語は、医局で大過なく過ごすことしか考えていなかった伊集院が、天才・朝田との出会いによってどのように成長していくのかがポイントになっていきます。平凡な伊集院が、どんな道を選びのか…それが医局の変革になっていくのです。 伊集院が朝田というスターを見ながら自分自身の道を探していく過程はとでも面白いのですが、私は彼らの周りにいる弱者に興味が移ってしまいます。 とくに木原と霧島の二人が好きです。伊集院のかつての指導医・木原は、上に媚び、下に強くあたる人間です。医局から追い出されるのを恐れ、よるべき大樹を常にさがしています。そこに野口の推す教授候補として現れたのが霧島。霧島はかつて、朝田に罪をなすりつけ当時いた大学から追い出したことがあります。朝田の天才的な技術に羨望と同時にコンプレックスを感じているのです。 木原は当初、野口の推薦ということで霧島に取り行っていましたが、だんだんと霧島に共感していくのです。14~15巻のエピソードにそれが描かれています。手術中、霧島のミスをかばい、自身が医局から追い出されるかもしれない時、木原は全てを野口に言おうかと思います。けれど木原はそれをしませんでした。あの弱い木原がなぜそうしなかったのか…ここは屈指の名シーンです。その言葉に、霧島は朝田へのコンプレックスから解放され、自分だけの道を見つけることとなります。 ただ、霧島と木原の関係が、これで終わらないのもこの漫画の面白いところ。紆余曲折を越えた最終エピソードでも一番の輝きを放っていたのが、この木原と霧島。平凡で、ずるくて、弱いけれども、それでも前にむかおうとする普通の人々が美しく思える漫画なのです。<<1314151617>>
新入社員の女の子が残業終わりに主任のとある行動を目撃する。誰もいないオフィスで椅子に腹ばいになり滑って遊ぶ主任。「デュワ」って言ってる…小学生か!いつも無口な主任のストレス解消法のお茶目さに癒されるマンガでした。