女性マンガの感想・レビュー3218件<<118119120121122>>人と人との繋がりを再認識できる短編集グッド・バイ・プロミネンス ひの宙子nyae誰もが持つ人生のドラマを描くオムニバス短編集。 ある話では脇役だったキャラが主役になったりと、すべての話が繋がってます。 考えてみれば当たり前だけど、あの時のこの台詞にはこういう背景があったのか、というのが違う話で判明したり、友達・親兄弟など辿れば無限に広がる人と人との繋がりを改めて認識できる構成になってます。 かなり内容を練ったうえで描かれてる印象があって、完成度も画力もかなり高いのでこれがデビューコミックスだとあとがきに書いてあるのをみて驚きました。 次の作品を読めるのが待ち遠しいです。男女の性差は定期的に投下したいテーマ瞳 多田基生名無し世の中の女性全員が主人公の瞳のような考えではないだろうけど、AVでやってるから君もできる、好きならやれるでしょ、という認識は改めたい。 定期的にこうして世間に発信しないとつい忘れてしまいそうになるテーマだと思う。 娯楽としての漫画というより、啓蒙に近いものを感じた。 これを読んで、自らの行動を改める人もいれば、そんなことないだろと流してしまう人もいるかも知れないけど、個人的には瞳が出した結論を尊重できる人が増えればいいなと思いました。官能的でもあり純愛でもある吸血鬼と少年の物語牙無し吸血鬼と食用人間奴隷 極楽鳥sogor25主人公のソルがいきなり人攫いに遭い、人身売買のオークションにかけられるところから始まる今作。 この世界は人間と吸血鬼が共存、というよりは吸血鬼に統治されており、統治が行き届いている地域では上手く両種が共存しているが、そうでない地域では….ということらしい。 そんな中でソルを落札したのは、自ら牙を落とし血液を吸うことを禁じた吸血鬼のアウロラ。血液を吸わない代わりに人間の"体液"を食糧とするため、ソルを"食用人間奴隷"としてその手にしたのであった。 "体液"を食糧にするという辺りからも察せるように、序盤からかなり際どいシーンが続くが、不思議と下品さがなくて官能的という言葉が相応しく見える。そこから中盤にかけては日常的な場面が続くが、終盤に入った所から怒涛の展開が始まり、導入からは予想できないような美しい幕引きへと繋がっていく。 個人的にこの作品の核心となる部分は、主人公の1人、ソルが序盤から徹底して"少年"であることのような気がしている。官能的な雰囲気にはともすれば不釣り合いのようにも思うソルの少年性は(人によってはそれ自体が性癖にぶっ刺さるのかもしれないけど)、序盤こそアウロラに対する抵抗心として描かれるが、中盤の日常シーンで徐々に2人が心を通わす布石として、そして終盤に物語が大きく動くそのトリガーとして、非常に効果的に作用している。 ストーリー自体が妖艶な雰囲気な上にかなりクセのある絵柄なので人を選ぶ作品なのは間違いないと思うけど、1話を試し読んでみて何か引っかかった人なら最後まで読んできっと満足してもらえると思う。 全1巻読了感想死ぬときはまばゆく 小鳥游ミズキ名無し※ネタバレを含むクチコミです。 「モンプチ」の嫁・カレンさんの物語!!私はカレン、日本に恋したフランス人 じゃんぽ~る西たかFEEL YOUNG 2018年3月号より連載している、じゃんぽ~る西先生の奥様でジャーナリストのカレンさん視点で描かれるエッセイ漫画。 ▼西先生のTwitter https://twitter.com/JP_NISHI/status/963802145672724480?s=20 第1話は、1996年、当時26歳だったカレンさんがどうして「リュウイチ・サカモトの国」日本に来ることになったのか。どんな少女時代を過ごしていたのかが語られるのですが、これが最高に面白い…! **「フランスのど田舎の生まれで自然に囲まれて育ち、中学生の頃からラジオ局でバイト。高校生のときには友達とイギリスに1カ月留学しパンクファッションを楽しみまくり、大学時代はボロアパート暮らし」と、エッセイ漫画なのに生い立ちがまるで漫画!!** このように育ったことで「全身真っ黒な服に黒いアイライン、真空パックのご飯を食べて、自分でオーディオを組んだり、スマートウォッチなど最新のガジェットを愛好する(モンプチ1話より)」女性ができあがったんだなと納得。 日本の田舎に生まれた自分にとって、「高層ビルがバンバン建っている大都市へバカンスへ行きたい」というカレンさんの気持ちはすごく共感できました! 毎月楽しみにしている連載もついに2019年8月号で18話目。モンプチは1巻15話ほど収録されているので、そろそろ単行本が出るのではと期待しています。 どっから読んでも面白いので、気になった方はぜひ…!! ▼KarynさんのTwitter https://twitter.com/karyn_nishi読めばちょっと楽になるロックな本禁断の果実 女性の身体と性のタブー リーヴ・ストロームクヴィスト 相川千尋たか「女性器や生理のために『気まずい思いをする』のは当たり前?そんなわけないっしょ!!」と、この本は教えてくれる。 この漫画には、**本来大っぴらに語られることがないもの**が、初めから終わりまでアクセル全開でバンバン登場する。(**まず最初に扱うテーマが「女性の割礼」**と初っ端からヤバイ) その他魔女狩りと「魔女の印」(※「女なら3歳のときにその存在に気づいている体の部位」という表現が作中でされている)、墓に眠る女王の体の秘密、古代文明の像などなど…女性器にまつわる知られざる歴史が次々に登場する。 **常日頃、聞き手も語り手も羞恥と嫌悪から繊細に取り扱う話題がストレートに語られる衝撃はものすごい。** 正直読み始める前は、テーマがテーマだけに読むのキツいな…と思っていた。しかし、心の中で「うわぁ…うわぁ…!!」と抵抗を覚えつつ、最後まで読み通すと晴れやかな気分だった。 現在、わたしたちは当たり前のように女性器や生理の話題を忌避していて、それらのために「気まずい思いをする」ことは少なくない。 だがそれは普遍の真理ではない。 **「気まずい思いをする必要がない」社会もかつては存在していた。** なんだ、これは気まずいことじゃなかったのか…!! でも考えてみればそうだ。 古今東西たくさんの文明社会があって、そこには今の私達とは違う、ポジティブな考え方をしていた人たちだってはずなのだ。 読んでいて一番おもしろかったのが、ある文明では生理は神秘的なものだと考えられていた。その理由は、**「絶えず出血しているのにも関わらず、死ぬことがないから」**。 そんな考え方もあるのかと驚くとともに、なぜか少しうれしくなった。 **開けっぴろげでなかなか衝撃的な本だけど、読めば固定観念が覆されてちょっと楽になる本。**生理ちゃんを読んだ人は次はこっちも読んでもっと楽になってほしい。 https://www.gqjapan.jp/culture/column/20190215/modern-woman-2 https://twitter.com/fantagraphics/status/1069680212445675520?s=20色彩と感傷の美しい共演おともだち 高野文子名無し日本のお友達――春ノ波止場デウマレタ鳥ハ やりたい劇の役になれなかったことを独白する場面から、しばらく目が離せなくなった。初版の淡いカラーページと少女的な感傷の組み合わせがあまりに美しすぎる。 物語も、嫉妬から、チルチル役の笛子さんの境遇を知り、手を差し伸べる、成長譚として完成されている。とにかく美しい漫画だった。 漫画の会話ってこれでいいんだ!絶対安全剃刀 高野文子名無しどの短編も見れば見るほどに発見がある。とりわけ私は「あぜ道ロードにセクシー姉ちゃん」に衝撃を受けた。 主人公は田舎に暮らす普通の女の子。田舎に対しての「うんざり感」が見て取れ、都会に思いを馳せている。スゴイのはこれを「語らずに」表現しているところだ。 田舎っぽい話題で話しかけてくる母親に、主人公はまともに返事をしない。その聞き流す態度で、その心情を表しているのだ。たしかに会話は、言外の態度で、本心などがバレる。そのリアルさをそのまま漫画に持ってきたのだ。この時代にこの作品に出会った人は面食らっただろうな~ ライバルは花屋に居着く幽霊夏雪ランデブー 河内遙お茶花屋でアルバイトをしている青年・葉月くんは店長の六花に片思い中。 あるとき彼女の家に訪れると、知らない男が居た。 突然の失恋にショックを受けるが、その男は六花の亡くなった夫・篤であることが判明。しかもその姿は葉月にしか見えない。 夫の死後、恋愛から遠ざかっていた六花と、葉月を六花に近づけまいとここぞとばかりに邪魔をしてくる篤。篤の存在を尊重しながらもどうにか六花を振り向かせたい葉月くんとの少しオカルトな三角関係! 最初の方はわりとコミカルに話が進んでゆくけれど、篤が葉月の体を乗っ取ったり、もしかしてこの恋って命がけ?というような展開に。 というコミカルとシリアスが絶妙なさじ加減で描かれてます。4巻で終わるのでぜひこの夏に読んで欲しい… 自分は河内遙先生の描く三白眼男子が大好物なので、それだけでも読む価値があると思いました。青に、ふれる青に、ふれる。 鈴木望starstarstarstarstar干し芋『青に、ふれる』意味深なタイトルに惹かれました。 女の子の顔にある青あざ・・・。 高校2年生という多感に時期に目立つアザがあって、それを隠すことなく笑顔で生きているなんて、・・・。 とっても心が強い子だと思います。 そして、今までも、人と違うことで差別や、イジメにあってきたであろう娘を前向きに育ててきたご両親も凄い! これから、色々な人に出会い、人生を切り開いていくであろう主人公を見守りたい。 まずは、新任で主人公の担任となった相貌失認症の神田。 人の顔が認識できない病気があるなんて初めて知りました。 実家で年越しするのが怖い女の話年越しオバケ ペップルなつき※ネタバレを含むクチコミです。斬新だけどリアルヒヤマケンタロウの妊娠 坂井恵理nyaeありえない設定だけど、こういう風になってもいいなと思えるどこかリアルな描写が印象的。 「男の妊娠」をテーマに各話の主人公が変わるオムニバス形式で、このヒヤマケンタロウが妊娠したことで、いかに妊婦・子どもを持つ親に優しくない社会であるかを身を持って知り、社会を変えるために考え、動くというところがすべての話の軸になってます。 ヒヤマケンタロウ、思いやりのあるしっかり者かと思いきや、妊娠前は結婚する気もなく妊婦や子連れに優しくしてこなかった人間で、しかも子供の母親が誰かもわからない(遊び程度の女性が複数人いる)。中絶手術の入院のために仕事を休めないので仕方なく生むことにしたしょうもない奴です。 それでも、こうすべきと思った方向へ主体的に動ける人は強いですね。 今度BELOVEで育児編の連載が始まるとのことで、気になって読んでみましたが、もっと話題になってもいいと思います。色んな人に読んでほしい。勉強になる〜青に、ふれる。 鈴木望大トロ相貌喪失って初めて聞きました! 2人の過去が気になりますね。 おじさんと少年の不思議な絆YISKA ワカ名無し殺し屋のタイラーは仕事仲間を裏切って大金を持って逃亡。人目につかず国境を超えるためダントンという少年に道案内を頼むところから始まる。 お互い適度な距離感をもっていたが、ダントンはタイラーに対し徐々に信頼感が生まれ自信の過去の話をするように。 一方タイラーは仲間に見つかり、ダントンの身にも危険が迫るが… ガラクタを拾って売ることで生活していたダントンが、タイラーと出会うことで今までになかった希望を見出す話。 とにかく画力の高さがえげつない。 連載が始まったマイブロークンマリコは現代の話ですが、作風の幅の広さもすごい。傑作なのでヘルタースケルター 岡崎京子いい漫画読みまず読んでほしい! 岡崎京子どれから…と迷う人にはまずヘルタースケルターから読んでほしい 巻末に「著者がこの後交通事故にあってしまい…」というショッキングな後書きがあった気がするが、できるならこの世界もっと読みたいと思わせる。 読み終わると、鈍器で顔面を殴られるような衝撃を覚える。 煌びやかな世界の裏側には必ず混沌とした苦しみとか嘘とかがあって、人間一人を書き表すとしたらそういった部分も避けては通れない。 むしろ剥き出しにして描かれてる気がして衝撃を受ける。 この一巻は永久保存…33歳と21歳という歳の差漫画きょうは会社休みます。 藤村真理む33歳独身で彼氏なしの地味目女性が21歳の大学生にコロッと惚れてしまう漫画です。 21歳の大学生からも好かれるし、会社の別の階のエリートからも好かれるしという超絶いきなりきたモテ期! 花笑がメガネ外したら美女という漫画的チート要素もありますが、ピュアさで他の女性とは違う魅力を持っていたということでしょう! シチュエーション的にも、設定的にも胸キュン的にも100点の漫画なのでオススメです〜 30歳独身男、6歳の叔母?を引き取る。新装版 うさぎドロップ 宇仁田ゆみnyae主人公の大吉は祖父の訃報を受け訪れた祖父の家で出会った少女・りんが祖父の子どもであり、母親はりんを置いて失踪しているという事実を知り、半ば勢いでりんを引き取るところから独身男と6歳少女の同居生活が始まる。 りんはまわりに比べ比較的大人しいものの、独身一人暮らしの30男がいきなり子育てをすることになり生活が180度変わってしまう。しかし、大吉の表には出さないけど広い心と大きな優しさで、りんはすくすく育ってゆく。 小学生編まではあくまでも「りんの成長と家庭問題」にフォーカスしているが、中学生編・高校生編では、りんの思春期を中心に描かれ、恋愛パートがぐっと増える。 高校生にもなるとりんは大吉のことをひとりの男性として、一生添い遂げたいと思うようになり、その気持をストレートに伝えるが、はたしてその気持に大吉はどう答えるのか…。 大吉のだんだんオッサンになっていく姿、りんが美少女になっていく姿も見ものですが、りんの幼馴染のコウキがイケメンになっていく姿がいちばん「おお…」となります。ただのギャグ漫画じゃなかった本橋兄弟 RENAnyae兄の貴也と弟の智也は二人暮らしの高校生。 同級生のメグは運動神経も抜群(ボイパもお手のもの)の美青年ですが、魔法少女アニメのヒロインが恋人の重度のオタク。 そんなメグと智也はとにかく貴也をいじりたおす毎日を送っている。 また、みんなから一目置かれる美女のトミちゃんは実は腐女子で、智也たちがまいにちワチャワチャしている風景を見て尊みを得ている。 さらに、貴也とメグ、トミちゃんがバイトするカフェのオーナー(男)は貴也のストーカーだが、迷惑がられている自覚が全く無く、常軌を逸した行動を智也が容認しているので貴也の被害は加速する一方。 といったキャラたちの日常ギャグ漫画なのだけど、 ・なぜ高校生が二人暮しをしているのか ・なぜ兄の貴也は留年しているのか(なので智也と同級生) ・オーナーの知られざる過去 など、それぞれのキャラにはわりとセンシティブな背景があることが読み取れ、兄弟が祖母と三人ぐらしだったときのエピソードを挟んできたり、お墓参りをする回があったり、オーナーが家族揃って食事をすることに強いこだわりがあるのがわかる描写があったりと、 これただのギャグ漫画じゃないじゃん!たまに泣かせてくるじゃん!!なのである。 まだ1巻しか読んでないので貴也が留年した理由はわかりません。 巻末に雷神とリーマンのコラボ漫画が載っててまんまと読みたくなりました。恋に落ちない(落ちないとは言ってない)恋に落ちない 増岡たか※ネタバレを含むクチコミです。 世界観の作り込まれた上質な王道ファンタジーアザミの城の魔女 たらちねジョンsogor25主人公のマリーはエディンバラに住む魔女。魔法の能力においては天才的ではあるが、とある理由によりロンドン教会からは疎まれており、また魔法を忌み嫌う人間も多いことから必要以上に他人と関わらないよう暮らしている。そんなマリーと暮らすことになった少年、テオ。彼は「義憤の血」と呼ばれる強力な魔力の持ち主で、それ故精霊たちを無闇に引き寄せてしまうため教会で長らく軟禁されていたが、半ば厄介者を押し付けるような形でマリーの元へ送られてくる。そんな異なる孤独を抱えた2人が「弟子と師匠」という形で共同生活を送る物語。 1話を読んだだけでもキャラクターや絵の魅力は伝わってくるが、精霊との"交渉"という魔法の設定もしっかりしており、ストーリーも王道のファンタジーの様相。さらに物語の舞台はエディンバラやロンドン、パリなど異国情緒があり、作品全体の雰囲気としても抜群に良い。 「魔法使いの嫁」や「とつくにの少女」など、ファンタジーの中にバディものの要素が織り込まれた作品が好きな方にはオススメしたい作品。ただ、そういった作品では割と"師匠"側のキャラは表情に乏しかったり妙に大人びたキャラクターだったりすることが多いが、この作品の場合、軟禁生活が長く外界の全てに新鮮なリアクションを魅せるテオは勿論、マリーのほうもテオや周囲の人々の一挙手一投足に対して表情豊かな反応を見せる。特にテオのマリーを慕うような言動を受けたときの表情には初々しさすら感じられる。なので他の作品と比べるとボーイミーツガール的な要素を感じるのは私だけだろうか。 (魔女だし年齢不詳だからガールじゃないんじゃね?とかいう指摘は一切受け付けません) 1巻まで読了。想像よりもしっかりと心に残る青に、ふれる。 鈴木望名無し太田母斑と相貌喪失 どっちもよく知らない病気?症状?で読み始めました。 知らなかった〜〜〜 でもこの漫画で知ることができたってことですね、うん。 誰にでもコンプレックスはあるけれど実際に悩んでいることが書かれててううむ…と唸る感じ。 コンプレックスを気遣う方も、気遣われる方も実はすごく疲れる。 人間の弱い部分を真摯に描いた作品で好感がもてます。重い!たそがれたかこ 入江喜和名無しタイトル聞いたことあるな…程度のノリで手に取り、1巻を読みました。 中年の独身女性が高齢の母と2人で住んでいるっていう設定自体やばいなと。なにがやばいってすごく刺さりそうだってことです、自分に。 たかこが、馬が合わない母に心の中で罵ったり怒ったりする感情がなんか若いんですが、それに比べてたかこの外見のやつれ感。つら… でもたかこの気持ち、わかる。「わかる!!!」って人、日本中にたくさんいる。 毒親とまではいかないけど、うまくいかないこのもやっとした空気。 母が天然ぽくてふわふわしてるから、険悪にはならないんだけど、、娘がどれだけ疲労してることか。 2巻目以降どんな展開で、どんなたかこになっていくの?続きが楽しみすぎる。どうか幸せになってくれ。 四十路のあれやこれやあした死ぬには、 雁須磨子兎来栄寿アラサー女性を主人公にしたマンガは沢山あれど、四十代以降の女性を主人公に据えたマンガとなると途端に少なくなります。そんな中、雁須磨子さんが素晴らしいアラフォーマンガを生み出して下さいました。 現代日本の平均寿命が八十四歳程だそうなので、まさに人生の折り返し地点であり、「残り時間」について意識させられてくる四十代。幾人かの様々なアラフォー女性を通して、二十代・三十代からの様々な変化、不安や傷つくこと、苛立つことが出てくる様子がリアルに細やかに描かれます。筆者が実際に四十代になって体験し感じたことを描いている部分もあるようで、納得です。 加齢は当然良いことばかりではありません。が、そこまで悪いことばかりでもないとも思わされる、豊かな味わい深さのある物語です。たとえネガティブな事柄でも過剰に悲痛になることがない雁須磨子さんの絶妙な軽やかさがとても利いています。 一回り以上歳が下なものの仕事ができて考え方もしっかりしている女の子や、その子とは正反対にまったく仕事ができない困った上司など脇を固めるキャラも人間臭く魅力的です。 同年代の人にはあるあるとして、下の年代の人には近い将来に自分にも訪れるかもしれないこととして、普遍的な仕事や家庭、健康等の問題への共感として、それぞれに楽しめるでしょう。歳を重ねてから再読するとまた感想も変わる作品かもしれません。 単行本2巻以降掲載部分では内容的にもより広がりを見せてくれています。こういった作品がもっと増えていって欲しいなと思います。「普通」じゃないことの苦労と、喜びと青に、ふれる。 鈴木望兎来栄寿人間は「差異」に敏感な生き物です。「同じ」であることで仲間を形成することもあれば、「違う」ことで排斥することもあります。 本作の主軸となるヒロインは、顔に大きな太田母斑がある女子高生。小さい頃からその容姿によって多くの人がしない苦労を背負ってきた少女です。人に色々と言われることにも慣れて表向きしたたかに生きてはいますが、思春期の女の子として本心では悩んでいない訳がありません。 そんなヒロインの心を動かすのは、一人の男性教師。実は彼もまたとある大半の人とは違う性質を持っていることで子供の頃からいじめを受けるなど辛い想いを味わってきた青年です。 彼らと形は違えど「普通」であることを求められたり「普通」でないことを咎められ傷ついたことのある人であれば、共感できる所は多いでしょう。 一方で、そんな「普通」でない自分をそのままで受け入れてくれる稀有な相手が現れた時の喜びは一入。人生での苦労がなくなることはないでしょうが、それでも優しき理解者と共に過ごす幸せな時間が増えることを祈りながら読んでしまいます。 考え、感じる所の多い良質な作品です。<<118119120121122>>
誰もが持つ人生のドラマを描くオムニバス短編集。 ある話では脇役だったキャラが主役になったりと、すべての話が繋がってます。 考えてみれば当たり前だけど、あの時のこの台詞にはこういう背景があったのか、というのが違う話で判明したり、友達・親兄弟など辿れば無限に広がる人と人との繋がりを改めて認識できる構成になってます。 かなり内容を練ったうえで描かれてる印象があって、完成度も画力もかなり高いのでこれがデビューコミックスだとあとがきに書いてあるのをみて驚きました。 次の作品を読めるのが待ち遠しいです。