3.8
star
star
star
star_half
star_border
人間は「差異」に敏感な生き物です。「同じ」であることで仲間を形成することもあれば、「違う」ことで排斥することもあります。
本作の主軸となるヒロインは、顔に大きな太田母斑がある女子高生。小さい頃からその容姿によって多くの人がしない苦労を背負ってきた少女です。人に色々と言われることにも慣れて表向きしたたかに生きてはいますが、思春期の女の子として本心では悩んでいない訳がありません。
そんなヒロインの心を動かすのは、一人の男性教師。実は彼もまたとある大半の人とは違う性質を持っていることで子供の頃からいじめを受けるなど辛い想いを味わってきた青年です。
彼らと形は違えど「普通」であることを求められたり「普通」でないことを咎められ傷ついたことのある人であれば、共感できる所は多いでしょう。
一方で、そんな「普通」でない自分をそのままで受け入れてくれる稀有な相手が現れた時の喜びは一入。人生での苦労がなくなることはないでしょうが、それでも優しき理解者と共に過ごす幸せな時間が増えることを祈りながら読んでしまいます。
考え、感じる所の多い良質な作品です。