青年マンガの感想・レビュー15414件<<547548549550551>>関係性が変わる瞬間、脳天を撃ち抜かれる百合作品アタシのセンパイ【電子版特典付】 しおやてるこsogor25しおやさんの絵柄ってどちらかというとコメディ向きだと勝手に思っているのですが、その絵柄でかつ細かいギャグを挟みつつエロ含めてのドラマチックな百合展開、緩急の付き方が凄くて引き込まれる。最初、絵柄でちょっと油断させておいて唐突なイジメの過激シーン、そして後半になるにつれて関係性がどんどん変化して見える構成も素晴らしく、圧巻の約300ページ。 前作『アオとハル』と比較するとギャグ要素を少なめにして、登場人物の心情描写に重点を置いた内容。それだけに導入部分を越えたら読者に隙を作らせず、一気に怒涛の展開に引き込まれる。 『アオとハル』が好きな方ならもちろん、読後感だと『にいちゃん』も近い感覚があるので、そいうった作品が好きな方なら是非読んでみてほしい。 全1巻読了見事に「楽園 Le Paradis」色に染まった平方イコルスンテイストうなじ保険 平方イコルスンsogor25この世に存在しない日本語を応酬する高校生という、まさに平方イコルスン先生ワールドが全面に展開された1冊。 平方先生の作品って作風は共通なんだけど単行本ごとに明確に色があって、今作は間違いなく「楽園 Le Paradis」色の作品。平方イコルスン先生の作品は「スペシャル」も読んでるけど、今作のように恋愛がテーマになっていると登場人物たちの普通じゃない言動に何故かリアリティを感じられ、より面白みが増すように思う。まだまだ楽園で描き続けてほしい。15世紀、"優しい世界"を旅する2人の物語エーゲ海を渡る花たち 日之下あかめsogor2515世紀を舞台にある目的のためにフェラーラからクレタ島まで旅する女性2人の旅行記。物語自体は穏やかに進んでいくので、作画カロリーの高さもあって、この時代の雰囲気を存分に楽しめる1作。 世界史に疎いので私は詳しくわからないんだけど、ルネサンスや大航海時代等、定番の時代や地域からは微妙に外れてるそう。その設定のチョイスや、敢えて"優しい世界"で物語を進めている辺りから、作者が本当にこの時代、この地域が好きで描いてらっしゃるのが伝わってくる。やっぱり好きの力は強い。 1巻まで読了。会話劇主体でカルロ節フルスロットルな作品売国機関 品佳直 カルロ・ゼンsogor25相変わらずのカルロ・ゼン節全開の作品ではあるんだけど、「幼女戦記」と比較すると戦闘シーンはやや少なめで、会話劇のほうに重点を置いている感がある。冒頭に世界観の説明が全然ないのと残虐シーンがまあまああるのでサムネバイバイ感は否めないけど、その辺りに耐性があれば間違いなく楽しめる作品。初見時にはやっぱり「BLACK LAGOON」のような雰囲気を感じてたけど、1巻を通して読むとどちらかというと「ヨルムンガンド」のほうが近いような気がする。 しかしカルロ・ゼン同志の作品は「幼女戦記」「テロール教授の怪しい授業」そして今作とそれぞれの作風に合った方に作画を担当して頂けていて、脚本の魅力が最大限に引き出されているのですばらしい。 ただ今作に関しては戦闘の要素が少なめで会話の言い回しの比重が大きいので、もともとコミカライズを想定して描かれた作品ではないような印象を受けた。拷m…じゃなかった、『非暴力的』かつ『合法的』な『強度尋問』のシーン辺りが地の文で表現しようとするとエグくなってしまうのかなあ…いやマンガでも十分エグいけど 1巻まで読了。 なりたい本当の自分を押し殺している人へ着たい服がある 常喜寝太郎兎来栄寿テーマこそゴスロリになっていますが、これは自分の願望と周囲から期待されるものが相反することに悩むすべての人に刺さる作品です。 本当はかわいいものを着たいという主人公の心からの切実な欲求が、容姿という先天的な要素によって阻まれてしまう。その辛さに共感できる人は多いことでしょう。 主人公が縛られていた鎖を解き放った後も単純なカタルシスがある訳ではなく、改めて否定的な世界の声と対峙せねばならない辛さもリアルに描かれます。そして、その葛藤がこの作品を推したい理由にも繋がっています。 そんな主人公が教育実習をしてクラスから浮いてしまっている生徒と何とか関係性を作っていくシーン、そしてその決めシーンも非常にグッと来ました。 今後も楽しみな作品であり、作家さんです。高松美咲先生にハズレなし!スキップとローファー 高松美咲兎来栄寿『カナリアたちの舟』でファンになって以来、高松美咲先生を追い続けていますが一つたりとも外れた試しはありません。 待望の最新作、『スキップとローファー』もそれはそれは素晴らしいマンガです。 サスペンスSFであれだけの物が描ける一方で、こうした学園物の日常風景もこれだけ上手いというのはやはり卓越したマンガ力、人間を描く巧さを感じます。 主人公の不思議な魅力、そして軽妙洒脱な掛け合いに心が和みます。 『町田くんの世界』のような純朴な青春の物語が好きな人はきっと気に入るであろう作品です。 「趣深い」!日常と非日常ジャガーン 金城宗幸 にしだけんすけ名無し退屈な日常に飽きて、非日常を望むのだけれど、非日常が訪れたら訪れたで結局、日常を取り戻すために戦うというありがちなコンセプトなんだけど、新しいような気がするのは、怪人のネーミングセンスと現代社会の闇の部分を怪人化する、という形で書いてるからなのかね。 みんな可愛いばくおん!! おりもとみまな 蒔野靖弘名無し勝手にけい〇ん!のパクリかと思ってた漫画。美少女になんかやらせればたいてい面白いやろみたいな、みたいな風潮のパロディみたいなところあるのかな。 でも、きちんと漫画として面白い。「バイクは馬鹿にしか乗れん」は名言だと思う。実際登場人物ほとんどみんな馬鹿だし笑こういう人生を送ってみたかった ある意味で中退アフロ田中 のりつけ雅春名無し高校は中退する。特に将来の展望は特にない。彼女も出来ない。でもこんだけ友達から慕われて?、馬鹿できるのは本当に羨ましい。きちんと大人になっていく?上京アフロ田中 のりつけ雅春名無しずっーと馬鹿なことやっているように見えてふとした瞬間に大人になっていることを実感する田中がいい。 周りの人たちが、リアルかついい人が多いのも読んでて救われる。 さすらってはみたけれどさすらいアフロ田中 のりつけ雅春名無し※ネタバレを含むクチコミです。死なるものの体現いざなうもの 谷口ジロー影絵が趣味ひとの生とは、いちど限りのものである。この事実はあらためて言うまでもなく当たり前のことであるが、すべてあらゆる当然のことというのは、それがまさしく当然のことという途方もない事実性において、語るにあたいすべき言葉を持ちえない。ひとは当然のことを語る言葉を持ちえない、ひとが言葉で語ることができるのは、けっして当然のことではない、何かの"問題"についてだけなのです。 死とは、あらゆる生に必ずおとずれる当然のことでしょう。すなわち、ひとは死を語る言葉を持ってはいない。そんなことはない、死について語られたものはいくらでもある、と言う方々がいらっしゃるかもしれないが、それは死を何かの"問題"として副次的に扱っている場合にすぎず、死そのものについて語られたためしは終ぞありえないと言うほかないでしょう。死とは、私たちの多様な生が辿り着く唯一必然のものでありながら、それがいかなるものかをいっさい窺わせようとはせず、ひとたび窺ってしまえば最早語ることはいっさい許されない、そのような類のものでしょう。 そのようなわけで、ひとは、死について「彼岸」であるとか「向こう側」であるとか曖昧なことしか言うことができないのだが、ごく稀に、死を語らないまでも、いや、語るという以上に死そのものを体現してしまうという極めて特権的な作家がいる。そして谷口ジローという漫画家が、まさしくそのような特権的な作家に名を連ねることになりました。死とは、死の側から語ることがけっして許されぬのだから、自らそれを体現するほかないです。 内田百閒の短編小説集『冥途』を原作とした谷口ジローのこの絶筆の遺作は、病床のうちで死の直前まで描かれていたといいます。しかも、死につつある谷口ジローは、自身にとって新境地であるところの薄墨と鉛筆とホワイトのみで執筆するという新手法で、生と死の狭間で彼岸に吸い込まれつつある男の物語を描きつつこと切れたのです。死につつある者により絶筆の遺作として描かれつつあった『いざなうもの 花火』は、それ故なのか、いまだかつて見たことのない只ならぬ異彩を放っている。ひとの死は当然のことであり、またいっぽうで、死につつありながら当然のことのように自身の新境地を開こうとしつつ死という名の向こう側へ逝ってしまわれた谷口ジローは死の体現者としか言いようがない。死とは生ある万人にとって既知ではなく未知であり、その意味でまったく新境地ということに他ならない。心して読まれることをおすすめします。事件屋稼業について語ろう事件屋稼業 谷口ジロー 関川夏央なまこデラックス関川夏央・谷口ジローのコンビは坊ちゃんの時代もだけど事件屋稼業も面白い。 ハードボイルド貧乏探偵深町丈太郎も好きだけど、たまに出てくる娘も好き 絡まり解けて、服になる繭、纏う 原百合子にわか戦前のエスを思い起こさせる舞台設定に、艶やかで絡まり解ける、女性らしい「髪」という題材で紡がれる話。制服を髪でつくる習慣という設定が、肝になっていて新しい。これが既存の髪のイメージに息苦しいという印象を抱かせ、女性同士の関係性と上手くリンクさせている(気がする)。画力は高く、雰囲気もしっかりと作っている。あとは物語の筋がはっきりと見えてくるのか。様子を見ていきたい。ダークでファニーなお伽噺かわいそうなミーナ やまじえびね名無し18歳で死んじゃったミーナ。人生最後のピクニックで出会った見習い彫金師の青年への片思いを、死後も叶えようとする。つまりミーナは亡霊…。 やまじえびねさんだから肝が冷えるホラーな展開もありそうで、いろんな意味でドキドキします。「かわいそうな」だから悲しい話になるのかな。後半は面白かったCHASE TAG 久胡竣輝名無しパラパラ捲ってたらいきなりハイキュー!!が出てきてビックリしたくらい、パッと見の絵柄の印象が似てる。 序盤の野球部の練習着でゲーム買いに行くところは雑なリアリティに読む気が萎えたけど、後半の試合シーンはかっこよくて、コマ割りと動きの迫力に目が離せなくなった。 絵の表現は青年誌ヤンジャンらしい強さがあったけど、題材が鬼ごっこなのだからもっと対象年齢を下げた書き方をしてジャンプで出してもいいと思う。 すごい面白くなりそうなところで終わった...ギィルティ 狩撫麻礼 中村真理子starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男10年間無人島にこもって映画のシナリオを書いた男が都会に戻ってきたところから物語は始まる。物語の最初の方の技術に進歩/昔の友人の心の変化/無人島にこもる前の作成した映画がどれだけ周りに影響与えたかのエピソードがすごい良い。けど途中から話が壮大になりあれっと言う感じで終わってしまった。続きが読めるものなら読みたい。 ワルキューレといい「狩撫麻礼」の映画を題材にした漫画はすげー良いところで終わってしまうぜ... 知らない人に「説明」するのは難しいああちゃんに説明 増村十七名無し※ネタバレを含むクチコミです。スペリオールの推し作家の新作読切 #読切応援天国の貯金箱 じんのあいかしこ「人間の宇宙」を読んだのもつい最近のような気がするのにさっそく新作読切が!絵が上手くなってるなぁと思った。読みやすくなってる。前作もきょうだいのお話だったけど、じんのあいさんは色んな人間関係のエモさを描けそう。 背伸びして、前に、蚊とり線香 野村宗弘にわか※ネタバレを含むクチコミです。これはたしかに面白い。新感覚スポーツ「チェイスタグ」漫画CHASE TAG 久胡竣輝ニワカ近頃SNSなどで拡散されて、話題となったチェイスタグが漫画化。ルールは1:1の障害物をつかったエリアでの鬼ごっこのようなもの。いやぁ面白い。マイナースポーツ漫画を描く上で大事なのは、そのスポーツの躍動感と熱量をちゃんと描けるかどうかだと思うんだけど、これはバッチリ。キャラの性格やエピソードもうまく絡んでいる。ちょっとだけ気になることがあるとすると、主役級の二人のキャラが「ハイキュー」や「灼熱カバディ」とすこし被って見えるところ。でも普通に読む分にはそれほど気にならない。あとは連載用にしっかりと話を作り変えられるかどうか。 面白さ的には連載に十分適うと思うので、じっくり待ちたい。耽美でハチャメチャ!学園虫コメディ!!蟲籠奇譚 西塚emstarstarstarstarstarたか 表紙がよすぎる(語彙力) コミックDAYSで読後に表示される作品一覧にこのサムネを見つけ1巻を購入したところ、めちゃめちゃ面白くてすぐ2巻も買いました。 標本だらけの生物室 楽園のような温室 美しい模様とフォルムの虫たち 仲睦まじい少女たち エモい…!!エモすぎる!!! 何だこれは。天才か?? 表紙から「サブカルでしっとりしてお上品な趣深い作品」を想像する人もいるかもしれないが、基本的には「ハチャメチャ学園虫コメディ」。 その割合としては、「虫解説:4 コメディ:4 百合:1 お耽美:1」といった感じ。コメディがお耽美を、お耽美がコメディを引き立たせ、「早くお耽美シーンよ来い!!」と思わず待ち望んでしまう素晴らしいバランス。 この作品は、「3人集めないと背部の生物部に主人公が強引に勧誘される」という王道展開から始まる。 しかし、圧倒的に耽美な絵での百合、主人公のギャグっぽいリアクション、部長たちの倒錯的な生物愛・植物愛、これらがうまく噛み合って「耽美コメディ」になっているところに、他とは違う面白さがある。 主人公のリアクションの良さ、敵対する部にいる仲良しの幼馴染との百合も堪らない…! 間違いない面白さなので、気になっている人は惜しみなく財布の紐をゆるめてください。 ※画像はネタバレ(1巻19ページ) こんな感じの作品。ねねちゃんのクソでかリアクション好き 独特な滑稽さがクセになる貞操逆転世界 天原 万太郎ニワカヴァルキリーコミックス。前作は貞操逆転世界で男子がやりたい放題するエロ漫画だったが、今作は女子がメインで性描写も少ない。しかし天原ワールドのリアルさと独特な滑稽さは健在。むしろ世界観を中心に描いてるため深みがある。料理とともに「言葉では説明できない関係性」を描く物語甘々と稲妻 雨隠ギドsogor252013年に連載開始した本作、初登場時は5歳だったつむぎ、高校1年生だった小鳥が連載6年を掛けて少しずつ成長していき、つむぎが幼稚園を卒業した段階でもう感無量だったのに、最終巻で小鳥の卒業→つむぎが中学生まで一気に成長し、番外編に至るとつむぎが大学生に。長く追いかけてきた作品だけに、時間の流れを感じて感慨深くなってしまいます。 一般的にはグルメマンガに分類される作品だと思うのだけど、私は登場人物の「関係性」を描き続けた作品だと思っています。例えば11巻のホワイトデーのお話。(作中でもちよが言うように)犬塚先生に対する小鳥の感情は恋愛感情と呼ぶことができるかもしれない、でも小鳥はそれを恋愛ではなく、かといって父性とも少し違う、『もっと複雑な』感情として捉えています。男女間にある好意なのだから恋愛感情に近似してしまうと、いうのは簡単ですが、あえてこの「一言では説明できない感情」を言葉では言い表さずににマンガという表現の中でで描いている、そこに私は一番の魅力を感じていました。 これ以外にも、小鳥としのぶやちよ、しのぶと八木ちゃん、犬塚先生と兄、つむぎと祖母等々、思い返せばキリがありませんが、この様々な「言葉では説明できない感関係性」を表現してきた作品がこの『甘々と稲妻』という作品だと思うのです。 2016年にはアニメ化もされた人気作ではありますが、完結を機にもっと多くの方々に読んでもらいたいと思う、私にとってとても大切な作品となりました。 全12巻読了。<<547548549550551>>
しおやさんの絵柄ってどちらかというとコメディ向きだと勝手に思っているのですが、その絵柄でかつ細かいギャグを挟みつつエロ含めてのドラマチックな百合展開、緩急の付き方が凄くて引き込まれる。最初、絵柄でちょっと油断させておいて唐突なイジメの過激シーン、そして後半になるにつれて関係性がどんどん変化して見える構成も素晴らしく、圧巻の約300ページ。 前作『アオとハル』と比較するとギャグ要素を少なめにして、登場人物の心情描写に重点を置いた内容。それだけに導入部分を越えたら読者に隙を作らせず、一気に怒涛の展開に引き込まれる。 『アオとハル』が好きな方ならもちろん、読後感だと『にいちゃん』も近い感覚があるので、そいうった作品が好きな方なら是非読んでみてほしい。 全1巻読了