着たい服がある

「多様性」っていうけど「自分らしさ」ってなにさ?という話

着たい服がある 常喜寝太郎
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 これだ!!!と叫びたくなる漫画。 「強い女性像!!ガラスの靴を叩き割れ!YEAH!!」ってな感じでハリウッドやディズニーを中心に流行っている欧米型の歪んだフェミニズムに「それって結局マチズモの焼き直しなのでは?」とモヤモヤしている人も男女問わず多いことだと思います。男ウケの悪いオルチャンメイクを「お前ら(男)のためにやってるんじゃないし」と堂々やるところまでは素晴らしい傾向だと思うのですが、だったらフリフリで可愛いスカートを自分の為に穿いてもいいじゃない!というのがこの漫画のテーマの出発点。  そして本題は、周囲に奇異の目を向けられながらも奇抜なファッションで出勤してくる同僚・小澤くんのこの言葉。 「何着てどこ行くかは自分で決めます」  常に周囲の目を気にして自身を持てず、小さな願望をひた隠しにしてきたマミは衝撃に打たれます。ひそかに憧れを抱いていたロリータファッションに恐る恐る身を包み、そしてここから自分の臆病さ、周囲の同調圧力、偏見などとの戦いが始まります。  私はずっと進学校でその手の圧力とは無縁だったのであまり共感はできませんが、マミの周囲の偏見社会には憤りを覚えます。日本の学校教育はおりこうさんを作る洗脳教育みたいなとこがあると言われてますが、偏差値が上がれば上がるほど自由になるともいわれていますね。とはいえ難しい顔して常識とやらを押し付けてくる人というのはどこへ行ってもいるものです。  経験上、小澤くんのように堂々としていれば周囲は黙ります。俗世のマウント合戦から解脱して、心の在りようによって世界が変わる、そんな「スッキリする話」がもっと増えたら素敵だなと思います。

売国機関

「幼女戦記」「テロール教授」のカルロ・ゼンが原作を務める新作

売国機関 品佳直 カルロ・ゼン
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 さすが同志カルロ節が今回も爆裂しています。そして作画もまた、「幼女」などに劣らぬ濃ゆ~い且つ美しい素晴らしいものになっています。同志カルロ・ゼンの作品にはやはり激シブいオッサンは不可欠であります。 https://kuragebunch.com/episode/10834108156630826048  煙草モクモク、人間至上主義、資本主義経済の急速な発展に伴う「人権」の空洞化──近代を近代としてちゃんと描いてる作品は安心して読めます。中世と謳ってるけど全然中世じゃないマンガ多すぎるし…  主人公は幼女とも教授とも違う、クールで美人な将校のおねいさん。紫煙の似合う凍てついた眼差しと裏腹に、オシャレ且つ清潔にまとまったシニヨンがめっちゃいい匂いしそう。売国奴の誹りを受けながら暗躍し、陰で国の平和を守る部隊「売国機関」を率います。  初めのうちは「幼女」や「教授」と比べるといささか冗長なので若干読みにくさを感じるものの、そういう感想が多く寄せられたのか途中から持って回ったセリフ回しが減って読みやすくなります。特殊な言い回しまみれなのに面白すぎて読むのが止まらなくなる「幼女戦記」や「ブラックラグーン」ははっきり言って筆力が異常なのだな、と気づかされましたw  読みにくいながら端々に彼女らの宗教観や社会的背景などが読み取れるので、考察しながらじっくり読むのが理想。という点で、「くらげバンチ」連載とはいえスマホで流し読みするより書籍化を待ちたい作品ではありますね。