青年マンガの感想・レビュー15403件<<449450451452453>>衝撃的だったラスト代紋<エンブレム>TAKE2 渡辺潤 木内一雅名無し出世とは無縁でいい年してチンピラのままの主人公阿久津丈二は、ある日組の鉄砲玉に指名され命を落としてしまう。気がつくと何故か過去にタイムスリップしているところから物語は始まる。要するにヤクザが人生をやり直してあれよあれよという間に出世していく物語です。単行本で62冊にも及ぶ長期連載でしたが、読者の予想をはるかに裏切るラストは衝撃的でした。あンた、背中が煤けてるぜ哭きの竜 能條純一さいろく麻雀を打つ人はきっと「哭きの竜」という名前ぐらいは聞いたことあるでしょう。 麻雀打ちにとって神のような無敵の麻雀打ちの代名詞のようなものです。 でも意外と読んだことある人は多くないのかも? 著者の能條純一先生は今現在は「昭和天皇物語」を描いておられますが、「月下の棋士」も超有名な作品です。絵柄や間の使い方が独特で、読者を魅了する作品を残しています。 本作の主人公は「哭きの竜」と呼ばれる雀ゴロ。 竜自身はめちゃくちゃ口数が少なく、たまに喋ったと思うとヤクザの親分達相手にも怯まずズバッとコケにしちゃうという恐れ知らずにも程がある性分。 ただ、ヤクザの親分になる器が私にはないのだと思うのですが、親分さん達には「神のヒキ」と言わんばかりの竜の持つ「強運」が魅力的に映るようで、テッペンを目指す親分がたは、こぞって竜の強運を欲しがります。 しかし彼らに対して竜は 「あンた、背中が煤けてるぜ」と言います。 背中が煤けてるってどういう意味?という議論が割とあったようなのだけど私の解釈だと「死相が出てる」ってことかと思ってます。 死相が出ている、今やろうとしてるソレはやめときなよ、と言ってあげているのではないかと。 事実、それを言われた人たちはその後大体死んじゃうんですよね。 死神ってわけじゃないんだけど。 触るもの皆傷つける的な、ギザギザハートの子守唄のような存在。 竜は最初こそヤクザの代打ちで稼いでいたものの、気づけば各方面の組長達からのラブコールで引っ張りだこ。 で、仕方ないからついてって麻雀打てというから打ってあげて、勝ったら相手が激おこで死ぬ。 そりゃー竜も嫌になりますわ。 「ふっ」って嘲笑に近い感じでよく笑うんですが、親分からすりゃ「いい度胸だ」と思われて逆に気に入られちゃうっていう悪循環。 竜本人は根無し草をヨシとしているとこもあるんですが、最初の"甲斐の正三"親分から充てがわれた女をしっかり家で待たせてたりと、人情っぽいものも無くはない。ミステリアスというと安っぽいですが、不思議な魅力の持ち主。 漫画としてはどうなのかというと、抽象的な表現が多く、ヤクザ屋さん達の意地や任侠の在り方がわからない私には少し難しかったですが、逆に麻雀を打つシーンはあるものの麻雀のルールを知らなくても全く問題ない感じです。 詰まるところ、竜を囲う周囲の成り上がりたいヤクザ達の物語、と言っても過言ではない。 というかほとんど甲斐組の話ですが、京都の大親分なんかですら竜に魅了されちゃってるわけで… 竜は「ファブル」の"山岡"のような恐怖を知らないタイプの男かもしれません。 読後感はとても良く、新装版では全5巻っぽいので(1冊380Pとかあるけど)一気に読むのには最適ではないかと思われます。 麻雀打ちなら嗜みとしてマスト、そうでない人でも話のネタにはもってこいの作品でしょう。今なら無理であろう軍艦島に潜入してみたルポ漫画ザ・タブー! ~軍艦島潜入記~ ひぐらしカンナstarstarstarstarstarひさぴよ廃墟ファンの聖地である長崎の軍艦島に潜入するルポ漫画。 通常では立ち入れない場所に潜入すべく、グレーな手段を使って禁止区域にへと潜入していきます。 ※漫画だからセーフかもしれないけど、よい子は絶対真似しちゃダメな手段を使用 昼とは異なる夜の軍艦島はなかなかに恐怖でしたが、そこまで詳細なレポートが描かれるわけでもなく、どちらかというと主人公の記者魂を見せつける展開がメインでした。 とはいえルポ漫画として結構面白かったので、続きがあれば読んでみたい。 「ザ・タブー」とシリーズ物っぽいタイトルが付いてますが続きがないんですよねコレ。。 収録内容は軍艦島ルポのみで、全48ページと短めの漫画です。 寄生獣寄生獣 岩明均名無しミギーと共に、人間を襲う謎の寄生獣と戦う。 最初は気味が悪かったミギーが次第に好きになる。 ストーリー展開が面白くて読む手が止まらない。 静止しているかのような絵柄なのに、演出や心理描写に胸を打たれる。 他人を思いやることができる余裕のある生物、それが人間。素晴らしい! この作品はつまり、生命への賛歌だ。 読むとIQが下がると言われている超名作新 男!日本海 玄太郎名無し読んでためになるマンガとためにならないマンガがあるとしたら間違いなく後者になる超名作「男!日本海」の新しい単行本がついに出ました。 この単行本が発売することは全く知らず何気なく新刊をチェックしてたらひときわ目立つ表紙で発見しました。 「令和」の時代にあえてこれを発売しようとすることを俺は断固支持をします。目次をみた感じだと今まで発売した全10巻以降の回を収録してあるようです。 そのためか全く説明がない状態でいつもの「男!日本海」のノリで話が進むため新規読者には理解できないと思いますが、1話を読めば全てが理解できるので問題はないです。「男!日本海」は単行本未収録回が多く全部単行本が出ていれば全30巻ぐらいにもなる長編になり、もしこれが3巻以降も発売されつ続け、20巻ほど発売した場合、昔の「男!日本海」と「新 男!日本海」で「男!日本海」の1992年から1998年までの連載時の内容を全て読むことができることになります。 これを「令和」の時代に読めることを奇跡と言わずしてなんというべきでしょうか?不寛容な社会と言われますがこのような内容のマンガを発売し続けることができる寛容な社会であって欲しいと願います。 自転車版釣りバカ!? 怖い上司と休日サイクリング!サイクリーマン 原田尚 原田尚たかモーニング2018年44号に掲載された読切版「サイクリーマン」が連載化! んも〜メチャクチャ面白い!! 読切より面白くなってる…!! かつて自転車選手を目指していた主人公の竹繁。倉庫から出してきた愛車で久々に走ったところ、自転車友達ができて「タケさん」「ケンさん」と呼び合う仲に。休み明け会社に行ってみると、新しくやってきた上司はなんとケンさんで…!? 出会いが完全に釣りバカでスタイルでワクワクしました! サイクリングのときは鼻水垂らしながら走り、会社のベンチではサラリーマンらしく頭を下げ合う。まさにタイトル通り「サイクリーマン」な物語。も〜今から続きが楽しみです…! https://comic-days.com/episode/10834108156670265085ドラマと原作の違いテセウスの船 東元俊也 東元俊哉chikaドラマにハマって漫画も拝読しました。 「毒」「呪われた運命」などの、心さん家族を取り巻く悲劇にかかわるメタファーが印象的で、ドラマでのエンタメ感とはまた違った文学的な印象を受けます。 それと、村の人達の北海道訛り「したっけ」「だべ」「しばれる」などの会話がドラマより味わい深く、平成元年という時代の空気をより感じました。 それぞれの登場人物の印象もドラマと漫画では大分違いますね。 もちろん、結末も違う(というか、こっちが真のエンディング)ので、ドラマにハマった方も見逃した方も必見です。 金融業界のウラについて詳しくなれるナニワ金融道 青木雄二名無し金融業界のウラについて詳しくなれます。お金を借りるということがいかに怖ろしいことか。自分とは無縁の世界でしたので勉強になりました。ずっと読み続けてると気が滅入ってきますが、絵柄がギャグっぽいのでそこは救い。泣ける恋愛系でオススメといえば…最終兵器彼女 高橋しん名無し泣ける恋愛系でオススメといえば、この作品です。 友達と過ごしたり恋したり、少しずつ大人になろうとしているのに… 平和な日常が少しずつ消えていく哀しさ切なさと、それでもぎこちなく恋するちせとシュウジが哀しく美しいです。繊細で可憐なイラストも大好きです。エッチなシーンもありますが、苦手で無いならぜひ恋愛ものが好きな女性にも読んでいただきたい作品です。切なくて、少しの間動けなくなります(泣)真実かどうかはさておき漫画として面白い信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~ 藤堂裕 明智憲三郎名無し信長を殺したのは明智光秀である。 当たり前の事として歴史で習っていましたが、この漫画では信長を殺すに至った背景に何があったのかを明智光秀側から丹念に描いています。 タイトル中に「真実」と書いてありますが、実際の所どうだったのかは確証がないわけでありまして、信じるかどうかはアナタ次第・・・という感じでしょうか。 漫画としては作画もテンポも良く勢いがあります。歴史ものとしてはかなり読みやすい方だと思います。 清野先生の好奇心がいちばんこわい。でもかわいい東京怪奇酒 清野とおる野愛東京都北区赤羽を読んで、清野先生の好奇心ハンパねぇなあと思いましたがハンパねえどころじゃないですね。 心霊スポットを酒のつまみにするなんて狂気の沙汰。好奇心バグってる!! 心霊エピソードを取材し、そこに赴くというのは実録・検証系の漫画や雑誌でもやっていることだと思うのですが、清野先生は全部興味本位というか「ほんとにそんなことあるんだー!すごーい!」みたいな無邪気さで突撃していくので思わず笑ってしまう。 好奇心が止められないんだろうなあ、と不思議なことに不謹慎さも感じない。あまりにも無邪気で楽しそうで微笑ましくてうっかりやってみたいなんて思ってしまったり…絶対やらないけど。 とは言え掲載されている心霊写真めちゃくちゃこわいです。ワンカップに写る顔めちゃくちゃこわい…。 ツレヅレハナコ先生の料理美味しそう。ボルサリーノ関さんの料理も美味しそう。ミステリーとしてもヒューマンドラマとしても楽しめるテセウスの船 東元俊也 東元俊哉六文銭小生、僕だけがいない街とか、タイムスリップ✕ミステリー・サスペンスが好きなんすよね。 事件を理解しているから修正していく要素も、結果として現代に影響を及ぼしてしまうのも、ほんのりロジカルな感じがいいんです。 本作も1巻読んで、これ超好き!と思っていたので、完結まで待ってました。 「待っている」理由は、至極単純で、ミステリー・サスペンスものは読み始めたら最後まで一気に読みたいんですよね。 じゃないと、毎回先が気になって発狂してしまう恐れがあるので。 (こういう方、多いと思います) テセウスの船も同様に、寝かせて楽しみの熟成をしていました。 まさか完結して速攻ドラマ放映とはね、やられました。 そんなの両方気になってみてしまいますよ。 そして、そのドラマの出来のいいこと。 (あんまりドラマ見ない勢だから、目が肥えてないだけかもですが。) 原作と犯人をかえるとかいう噂もあって、 結局、先が気になって発狂してしまう運命は避けられなかったです。 両方みているものとして、違いとしては原作のほうが犯人わかりやすかったなと感じました。 ドラマよりも怪しい雰囲気の人物が他にいなかったし、真犯人に関しても想像ができてしまいました。 そういう意味での驚きは少なかったのですが、とはいえ、最後にどういう終わり方するのかは予想もできなかったし、結末に関してはある種のカタルシスを得られました。 爽快感とは違うのですが、納得感というか満足感というか。 テセウスの船というパラドックスを使う意味も、最終話で再度納得した始末。(彼が、違う人になったのかどうかの疑問も含めて示唆してますね。) また、ミステリー要素だけでなく、本作は家族の描き方もいいですね。 こちらもドラマの影響が大きいのですが、家族が思い支え合っている姿に何度も心救われました。 犯人を追い詰めるハラハラする面も、家族の絆を描いたヒューマンドラマでほっこりする面も、両面で十分に楽しめる内容だったなと思います。 メディアミックスで相乗効果を得られた好例の作品ですね。面白い、全巻読まねばならなくなっちまったアルキメデスの大戦 三田紀房名無し映画化されたこの「アルキメデスの大戦」ですが、原作を読んでいなかったので映画を観るのを見送ってしまいました。しかし、今回無料キャンペーンで1~3巻を読ませて貰い、単なる数学者がその知能を以って大型戦艦(大和)建造を阻止する物語ではなく、海軍内部事情(派閥問題)や国際情勢も踏まえた、私の様な爺さんにも読むに堪えられる漫画であると知りました。この無料の試読にまんまと嵌められ、全巻大人買いをしたくなった事を正直に認めます。 ほっこりパパと親父のウチご飯 豊田悠名無しシングルファザー同士の共同生活を描いた作品で、正反対な性格のお父さん2人と子どもたちの成長が読んでいてほっこりします。とにかく出てくる料理が美味しそうで、読んでいるとお腹がすいてしまいます笑。読みやすいので、色んな人におすすめしたくなるような作品です。甘味+和雑貨、究極の癒しスポット。 #1巻応援雑貨店とある 上村五十鈴あうしぃ@カワイイマンガああ、心がささくれ立っている。気が滅入る。心を手っ取り早く立て直したい、口角を上げて笑いたい……私はそんな時に、甘味が食べたくなる。 まずは一口、ほんの少しでいい、甘味を口に入れた瞬間の、脳がすうっとして、幸せな気持ちになるあの瞬間。 形は可愛く。目でも楽しんでから、少しずつ形を崩して、口の中に運んでいく。 そして食べる場所も、素敵な方がいい。あのいい感じの店に行く、という高揚感が、甘味の浪漫を倍増させる。 そんな素敵な甘味処を夢見る私の理想郷が、この作品にはあった。 ★★★★★ 場所は東京、「雑貨店とある」と看板が出ているお店。中には和雑貨が並び、落ち着いた雰囲気。店内には飲食スペースが設けられ、店主の手による飲料や甘味が提供される。 その店には何かに躓いたり、落ち込んだりする人が引き寄せられる。彼らは店の雰囲気と、何よりも提供される甘味に驚き、癒されていく。 季節のメニューが響いたり、懐かしの味に感涙したり、食材の意味に感動したり……という「メニューの小粋さ」も素晴らしい。しかしそれ以上に、どのメニューも甘さが脳天に響きそう! 店主の甘味は、自分のこだわりよりも食材や食べるお客の事を考えて作られていて、甘味好きのツボを徹底して突いてくる。お客と甘味の話をする、どこか呑気な店主は楽しそうだ。 そんな「雑貨店とある」は素晴らしい癒しスポットなのだが……店主もバイト君も暇そうなのが、ちょっと心配。 お客を立てて損をする店主と、店を心配するバイト君、そして大量の柚子の行方は……次巻も、大切な癒しスポットがつぶれてしまわない様に祈りながら、出てくる甘味の味を空想して愉しみたい。み、みじかい…胃食・道源 土山しげる野愛2話しかない!とにかく短い! お供物を勝手に食べては寝てばっかいる道源が料理で人を救う…のはいいけどせっかくの土山作品なのでもっとむちゃくちゃな感じが見たかった! でも料理は美味しそうです。牡蠣のうどん美味しそう。 ウブな少年の反応が可…あいだにはたち さおとめやぎaicoウブな少年の反応が可愛すぎて、30代女子には妄想するとたまらなく可愛く感じます笑みなさん光用千春を読みましょう。たまご他5篇 光用千春作品集 光用千春nyae簡略化した人物作画、最低限の背景描き込み、単調なコマ割り。にも関わらずストーリーに引き込んで読ませる力。そしてユーモアの部分でも抜群のセンスを発揮する。一篇読み終わるたびに脳に新鮮な風が吹く感じ。 圧倒的な台詞を放つやけに大人びた子ども。何も分かってない大人。自分のことすら分からないのに、他人のことなんて分かるはずがなかった。 この先の人生、自分の身に何が起きるのかが楽しみになってくる。 判型はA5。表紙と本文の紙も柔らかくてとても読みやすい。カバーの盛り上がった加工に注目!久々にワクワクする新連載きたわ…亜童 天野雀名無し自分、天野雀さんという方をよく知らないのだけれど明らかに大友克洋リスペクトの匂いがする!! でも現代らしい絵柄で懐かしいやら新しいやら。 SFアクションでこんだけの画力、楽しみしかない。 仕事帰りは一人、ビールでOFF! #1巻応援出没!ビール女子 猫原ねんずあうしぃ@カワイイマンガビールは解放のお酒、と言ってしまいたい。 仕事帰り、飲み屋でソワソワビールを待つ。本当にもう仕事終わりにしていいの?と思いながら、やって来たビールを口に含み、苦味を感じる前にグイグイ喉に流し込み……クハァー!の瞬間、スイッチがONからOFFに切り替わる、そんな気がする。 おひとりさま女子の主人公は、仕事帰りや面倒な飲み会の後、一人色々な店でビールと、こってり目の料理を堪能する。 ビールを飲んでクハァー!で対外モードから一人モードにスイッチを入れ替える。そして回想で、様々なビールと人との縁を思い出す。 一人で飲むという行為で、大切な人の存在をしみじみ確認する……そういう自分の保ち方、いいなぁと思う。 様々な地域や国の食文化が入り乱れる日本の都市では、共に提供されるビールもバラエティ豊かになる。分かる人ならこの作品の目次を見ているだけでも楽しいだろう。 海外勢はドイツ、ベルギー、イタリア、メキシコ、アメリカ、中国。日本からもメジャー会社のお馴染みの奴からクラフトビールと、幅広い。ビールの蘊蓄は最小限に、料理との取り合わせを魅力いっぱいに取り上げており、読んでいて喉が鳴る。というか、一緒にクハァー!をやりたくなる。 読み終わった後、取り敢えず身近でどんなビールが飲めるかな……という基準で飲食店を探したくなる、そんな漫画だ。僕の小規模な失敗も!僕の小規模な生活 福満しげゆき影絵が趣味最近、"妻"がツイッターにハマっているらしく、福満しげゆきのアカウントから過去作の切り抜きがたびたびアップされているのを目にする。一世を風靡している100日のワニほどではないにしても数百から数千、ときには万単位のいいねがついている。アックスは青林工藝舎時代からの読者としては真に感慨深いものがある。 (ちなみにマンバさん、福満しげゆきの青林工藝舎から出ているタイトルがすべて載っていないので、何卒載せてあげて下さい) とくに『僕の小規模な生活』のもとになった、というより、小規模な生活がそれの続編にあたる『僕の小規模な失敗』(青林工藝舎)はいったい何度読み返したことだろう。そればかりではなく、家に何冊も備蓄しておいて、遊びにきた友人知人に「これめっちゃオモシロイから読んでくれ!」と半ば強制的に持ち帰らせていた。反応はまずまずだったと思う。 小規模な失敗はとにかく気合いが凄かった。最近の漫画はコマを縦に三段で割るくらいが一般的だが、手塚時代でもせいぜい四段で割るくらいだったが、福満しげゆきは五段とか六段とかまでいっちゃう。コマが豆粒みたいになって読みにくいんだけど、たぶん本人にもその自覚があって、始めのほうは大きくコマを取っているんだけど、だんだん描きたいことと残りのページとの釣り合いがとれなくなってコマが小さくなっていく。それでも加速度的に熱が籠もっているからなのか、小さなコマを追っていってしまう。 気合いの入った熱い漫画家であるいっぽう、大変なひねくれ者でもあるようなので、自身の漫画を自分のツイッターで宣伝するなんてできなさそうなところを妻がナイスアシストでツイートしている。いやあ、なんだか羨ましいですなあ。イタリア発アポカリプス美少女アクションSFファンタジー!AEON―アエオン― アンジェラ・ヴィアネッロ 山根緑書肆喫茶mori店主イタリアのアンジェラ・ヴィアネッロさんの代表作! カラテ少年ダビデと翡翠の名を持つ少女ジャーダ。 世界に違和感を感じつつもどこにでもいる平凡な二人は出会い互いに惹かれ合う。 時を遡ること紀元前3000年。 「神」と呼ばれる超人的存在が世界を管理していた。彼の組織から離反した管理人サムたちは神との戦いに敗れる。 心を通わせ合う現代のダビデとジャーダの前に現れた謎のモンスター。二人にしか見えないモンスターが人々を襲う! 二人の運命は…!? そして神と管理人らとの戦いの行方は…!? 最初は新海誠好きにはたまらないようなボーイミーツガールのラブストーリーかと思いきや、アポカリプス美少女アクションSFファンタジーという、いろいろてんこ盛りの作品です! 先の読めないストーリー。美しいビジュアル。愛嬌のあるキャラクターたち…ほんとに完結まで翻訳してくださってありがとうございます! 紙で読みたい派としては電子書籍なのが残念ですが、このクオリティの作品がフルカラーでかなりリーズナブルな価格で読めるのはホントに素晴らしいです! 圧巻の生き様 一気読みが良い闇金ウシジマくん 真鍋昌平六文銭完結したと聞いて、一気読みした。 46巻と長編の部類だが、海外ドラマのようにたえず気になる終わり方をするのと、〇〇編のように1エピーソドが約1巻程度の構成なので、飽きることもダレることもなく一気に読めてしまった。 物語も最初のほうは、債務者を中心にウシジマくんが取り立てる形で描いていたが、後半はヤクザとの抗争(物理的・政治的)にウシジマくんが追いまわされる形で進む。 追う側から追われる側へ。 この因果応報的な流れに、こと最終話は発表当時、賛否があったようだが、一気読みした自分はこの終わりに納得したしキレイに終わったと感じる。 最後のほうで、追われる生活に「疲れた」と、ウシジマくんがぼやくシーンが今となっては印象的だ。 闇金業者という決して真っ当な職業ではないが、相手が誰であろうと引かない姿勢やビタ一文まけない信念は、間違いなく平成を代表するダークヒーローだったと思う。 悪には悪の理由がある。しかし、言い訳はない。 この生き様、男の自分も惚れました。 一気読みをおすすめします。「好き」を大切にする、食の短編集午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】 木村いこあうしぃ@カワイイマンガ【「ごはん日和」作品ピックアップ③】 例えば目玉焼きに醤油をかけるかソースをかけるか、という話題になった時に、少数派だったソース派の人が明日から醤油にしよう、と思ってもなかなかそうはいかないですよね。昨日まで好きだったソース味を今日から味わえない違和感、物足りなさに耐えられなくなって、翌日にはまた、ソースに手を伸ばすのではないでしょうか。 人の好みとか、習慣というのは簡単には変えられない。それはその人の歴史とDNAに刻まれたものだから、どうしようも無いものです。しかし人は、そんな他人の趣味嗜好を、割と簡単に断罪してしまいがちです。 私への配慮に欠ける外部から、いかに私の日常を、好きという気持ちを、大切に守るか。そんな営みを、食を通じて綴った短編集がこの『午前4時の白パン』です。 物凄く凝ったメニューとかではなく、ごく身近な「食」に関するルーティン、毎日の活力の素、止められない変わった食べ方、人に内緒の行きつけのお店などが描かれ、共感ポイントが多いです。 さらには自分だけの大事な時間、好きな誰かと共にある喜び、大切な人の好みや故郷を共有するなど……自分を大切にし、他人に心を寄せる優しい物語が綴られ、地味だけれどじんわりと心に染みます。 イラストレーターでもある著者の木村いこ先生の、朴訥な絵柄も物語の優しさを増幅。出てくるお店の庶民的な感じも絵柄によって質感が出ていて、小洒落たお店を探すのに疲れた人、自分だけの隠れ家を探したい人などは、この作品を読むとホッとするでしょう。 ----- 【「ごはん日和」作品ピックアップ】として、以下の作品を取り上げています。 ①14歳の里山レシピ 東吉野で、いただきます。 ② 笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん ③ 午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】<<449450451452453>>
出世とは無縁でいい年してチンピラのままの主人公阿久津丈二は、ある日組の鉄砲玉に指名され命を落としてしまう。気がつくと何故か過去にタイムスリップしているところから物語は始まる。要するにヤクザが人生をやり直してあれよあれよという間に出世していく物語です。単行本で62冊にも及ぶ長期連載でしたが、読者の予想をはるかに裏切るラストは衝撃的でした。