青年マンガの感想・レビュー15398件<<390391392393394>>山姥とコンピュータ対決闇の鶯 諸星大二郎hysysk幻想的な短編集。表題にもなっている『闇の鶯』は作者が「パソコンに疎かったからあまりうまくいかなかった」的な反省を述べているけど、面白かった。まず妖怪みたいな存在が現代的な技術を身に付けているのが珍しい。民話などで妖怪とされているのは実は人間で、生活習慣やコミュニティが異なる他者をそう呼んでいただけではないか?という説を思い出す。 神話や宗教、呪術に支配されていた時代があったように、現代は科学技術に支配されている。仕組みを理解していないものにとって、技術も一種の呪術のようなものだし、人間が使っているようで、実は技術に使われているケースも往々にしてある。 一度全てをフラットに並べてみて、何が自分にとってこの世界に生きている実感をもたらしてくれるのかは考えてみても良いだろう。科学的な事実であれ、論理的な正しさであれ、それらと幸福は直結しないのだから。 『涸れ川』も面白かった。説教めいた要素もなく、ただただ迷い込んだ異世界のルールを読み解く感じが良い。最高!知り合い以上友達未満 森田賢吾名無し早すぎないテンポがちょうど良い 。笑った! リアルタイムで読んでた旅マン ほりのぶゆきマンガトリツカレ男謎の組織によってマスク改造を受け、記憶を消されてしまった男・旅マンが以下の条件を守りつつ旅をしていく ・週1で旅 ・新幹線などの高速移動は禁止(途中で解除されたけど) ・日帰り ・目的を果たす ・組織の詮索はしない おまけに前回より遠くに行くというルールがあるため、最初は大手町だが、途中から川越/熱海/松本、最終的には神戸まで行く事になる。 徐々に旅マンの謎がとけていく本編もいいけど、マイナーな観光情報や旅のひとくちメモもおすすめです。 鬼頭莫宏原作、世界の法則を「改変」する新連載ヨリシロトランク 鬼頭莫宏 カエデミノル名無し娘をストーカーに殺された男の前に突如(あまりにも突如)現れた“改変者”と名乗る少女の手によって、「殺人者を殺せば、被害者が生き返る」世界に改変された第1話。 そして男は娘を殺した犯人を追うことになるのですが…サスペンスなのかどうなのか。 https://comic-days.com/blog/entry/yorisirotrunk この対談のなかで “ある話の後から、この作品の狙いがなんとなくわかってくると思います。” という鬼頭先生のコメント…気になりすぎる。 ぽんこつと言いつつちゃんと部活してる手芸部の日常ぽんこつ手芸部 宇仁田ゆみ名無しあまり見かけない手芸部の漫画です。部長のワタコちゃんが手芸よりスポーツが得意という設定なので、手芸が苦手な人が読んでも共感できる話になってます。完成品の出来はとやかく何かを作るって楽しいですよね。私も不器用なのですが読んでいたら縫い物をしたくなってきました。ミシンは登場せず手縫いオンリーです。でも編み物に関しては得意な方が読んだらより楽しいと思います。宇仁田ゆみ先生は手芸がお好きなんだなぁと思ってたら服飾系の学校を卒業されていたんですね。先生の作品を見てみたいです。穏やかにラブラブな歳の差大人百合ふたりはだいたいこんなかんじ いけだたかし兎来栄寿『ささめきこと』、『34歳無職さん』のいけだたかしさんの最新作で、年の差10歳のルームシェア社会人百合です。32歳脚本家の佐久間エリーと、22歳駆け出し声優の犬塚わこの日常が描かれます。 1話6ページの掌編が連なる形で、コメディ色とシリアス色が良い具合に溶け合っており充足感を得られます。長所も短所も描かれた等身大の二人に、読み進めるごとに愛着が湧いてきます。 心温まる出来事があれば、仕事での多大なストレスに呪詛を吐く時もあり。日常のさまざまな細部やイベントが描写される中で、さらりと深い相思相愛である様子が見られたり、二人の関係性が構築されるにいたる過去が少しずつ垣間見えていったりする構成も絶妙。 エリーが初めてわこに出逢った時、わこに惚れたであろう瞬間の描写が個人的に大好きです。そして、互いにクリエイティブな仕事だからこそできる絡みもまた良いものです。 脇役たちもとても良い味を出しており、この安定感は流石ベテランのいけださん。彼女たちの自然体の同居生活を穏やかに眺め続けたいです。純愛投資学編ミナミの帝王 天王寺大 郷力也名無しいまのところ普通の投資詐欺っぽいけど。。 流れが予定調和にならないか心配 純愛と投資学、最終的にどっちをとるかみたいな話なんだろうか 『鬼灯の冷徹』作者の新作読切!ぬえはどうみえる? 江口夏実nyae※ネタバレを含むクチコミです。女の一生5時まで待てない 艶々野愛艶々先生の描く女性の生き様が好きだ。 性別うんぬんではなく人間ですもの、強いだけでも弱いだけでも生きてはいけない。善も悪も可愛いもかっこいいも真面目もふしだらも全部含めて人間ですもの。 この作品の主人公・雫もそういう人間で、仕事は時間内にバリバリこなしてその後はエロいことばっかりして、二面性のある女…と見せかけて二面どころじゃないんですね。 しっかりしてるのにダメ男に引っかかってしまう愚かさも、引っかかっているように見せて自分の欲望を発散させるしたたかさも持っているんです。二面じゃなくてなだらかに一続きになっているんです。 女だもんね、いや、人間だもんね。他人が感情移入したり現状を噛み締めたりする間もなく雫の人生は展開していきます。 漫画として長い方ではないから故、ストーリーを重視すると雫の変化に戸惑うひともいるでしょう。でも、素直なだけ。感情も現状も常にアップデートされて変わっていく、それこそがリアル。 いっちばん最初に提示された「5時まで待てない」と最後に提示された「5時まで待てない」の意味合いの変わりようが凄いです。 このラストを予定してタイトルをつけてオープニングを描いたのならば、艶々先生は大大大大大大天才です。 描いてるうちにたどり着いたとしても、大大大大大大大大天才です。クセ強キャラだらけの葬儀屋コメディ大安仏滅 石川チカnyae葬式は何のためにやるのか?形式どおりにやればそれでいいのか?を、クセ強キャラたちと一緒に面白おかしく、時に涙しながら考える漫画でした。基本ずっと笑えます。主人公・青木くんの泣き顔のブスさがお気に入りポイント。 葬儀屋のスタッフこそ、やり甲斐とプロ意識を持って仕事していてほしい。現実の依頼はもっと拗れたり面倒な場合もあるんでしょうけど、やっぱり興味深いな〜葬儀屋のお仕事。 結婚式はキャンセルあるけど、葬式はないから良い、というセリフが一番印象に残ってます。 キャンピングカーで愛犬とおいしいコーヒーと渡り鳥とカタツムリ 高津マコト兎来栄寿ワニブックスによる新レーベル「Chrunch Comics」レーベルの初単行本です。 青い空と海、白い砂浜をバックに笑顔を浮かべる男女と犬。白+青を基調にし、帯までオシャレにデザインされて夏の爽やかさを演出する外装に心が踊ります。 ただ、軽やかな表紙に反して物語の始まりは少しだけ重いです。表紙に書かれた青年・雲平はややブラックな会社で働いていることに疑問を覚え、退社したいと思いながらも親には止められているという状況。そんな時に、彼を自殺志願者かと思った絵本作家のつぐみと出逢います。 つぐみはアルビレオ号と名付けたキャンピングカーに乗り、愛犬のうめまよと共に全国を旅する絵本作家の女性。その自由奔放な生き方に雲平は刺激を受け、彼も行脚に繰り出すこととなります。 自分だけの秘密基地で移動しながら愛犬と戯れる豊かな時間。行きたいと思ったところに行けて、各地の温泉に入ったり美味しいものを食べたりする日々。これに憧れを持たない人がいるでしょうか! 読んでいたら、ミルで豆から挽いたコーヒーの香りを楽しみながら、ポップアップルーフで満天の星空を眺める豊かな時間を過ごしたくなります。 まったく手が届かないことではないものの、今の生活があるためにその選択肢を取れないという人も多いでしょう。しかし、一歩踏み出せばこういう世界で生きることもできるのだと教えてくれます。 旅先で出逢うさまざまな人との交流模様も面白く、各地の美味しそうな名物なども登場し、旅の醍醐味を疑似体験できます。実際の旅と同じように良いことも悪いことも起きますが、それがいい。読んでいて心が晴れやかになっていく物語です。まさかの宝暦治水漫画だった霧の柩 中島徳博マンガトリツカレ男薩摩藩士が行った宝暦の治水工事を扱った漫画は平田弘史の「薩摩義士伝」とみなもと太郎の「宝暦治水伝」ぐらいしか知らなかったがまさかの中島徳博版があったの今日知った。基本の流れは他のマンガと同じだったが他のに比べて少年誌向けなのか色々わかりやすくに書いてあったりしてよかった。 宝暦治水漫画の「霧の柩」以外のも面白いただのエロマンガ…なのか?田舎 山本直樹名無し”『レッド』完結から2年、山本直樹の辿り着いた、結論にして新境地。”という帯のふれこみに期待して、ストーリー漫画+エロくらいの気持ちで買ったのだが、最初から最後までガチガチのエロマンガだった。山本直樹の本を買ったつもりが、蓋を開けてみたら森山塔のマンガだったのだ。新境地=ロリってことなのだろうか?まあ、川端康成だってロリ小説書いてたのだから同じようなものかもしれない。 よほどレッドの執筆でストレスが貯まってたのか、エロが描きたくて仕方ないんだっていう気持ちが抑えきれず、吹き出しているかの如し。60代にしてこれほどのリビドーがまだまだある山本直樹、恐るべしといった感じだ。 繰り返しになるが、このマンガの大部分はエロだ。しかし単なる性表現に留まらないノスタルジックで儚げな描写も多い。だけど真面目に官能的な表現を分析をするのも何だか気恥ずかしい。山本直樹氏も、『ただのエロマンガです』とコメントを残してるし、それ以上の何かを見出そうとするのも野暮かもしれない。 https://cdnx.natalie.mu/media/news/comic/2018/0515/inaka_0002_fixw_640_hq.jpg すごいハンデを背負って生きている二口(ふたくち)さんの話二口さん 山本亜季名無し※ネタバレを含むクチコミです。残念だが君は…百合だ…!悪いが私は百合じゃない もちオーレ百合スキー憧れの男性教師に惚れ薬を仕込むつもりがクセの強い女子生徒に飲まれてガンガン惚れられて毎話望まぬ強制百合状態に陥るというアホ百合ギャグマンガ。襲われるたびに主人公のいつみちゃんはこう叫ぶしかありません。 「私は百合じゃない!」 いや…百合だよ!! ギャグのテンポも心地よくていつみちゃんが毎回ドキドキしちゃうのがカワイイ。途中から先生の顔とか忘れちゃってますしね。ちょっとエッチなノリもご愛嬌でしょう。 1巻の時点ですでに4人と関係を持っているんですがまだまだ新キャラ出てきてほしいですね。わたしの推しは美人学級委員長の四方塚まことさんです。強いからです。博愛の「学食JK」に癒される… #1巻応援学食「ハナ」のしあわせごはん poteあうしぃ@カワイイマンガ転校生男子は、同じ学校の女子に「学食の食券」を貰う。学食に行ってみると、そこには働く彼女がいた……そんな始まりのこの作品。全体的に「美味しさ」と「小さな博愛」に溢れた物語となっています。 学食というと、安くて味はまぁゴニョゴニョ……みたいに言われがちですが、この学校の学食はとても美味しくて激混み。評判の学食を切り盛りする、まだ高校生なのにしっかりした彼女に驚かされます。 何故か姉と二人暮らし?の転校生男子。元気がなさそうだったのを、学食女子と学食でも、それ以外でも共に過ごすうち……少し活き活きし始めた?私達も一緒に元気を貰っている気持ちになれます。 学食女子は本当に優しいのですが、それはこの男子にだけではなく、親友から迷子まで、一人ひとりに気を配っている。目の前の人をよく見て、少しの優しさで相手を支える、そんな「博愛」を持った女子。 べったりとした愛情ではなく、小さくても細やかな気遣いに救われる、そんな優しさがある学食……とても良い! 何故学食で働くのか、という理由は語られますが、まだまだ何かありそうな予感。その辺も気にしつつ、再び優しさをもらう為に次巻も読みます! いい味ペン画の食いしん坊漫画 #1巻応援メイドさんは食べるだけ 前屋進あうしぃ@カワイイマンガタイトルから、コメディタッチで萌えっぽい画風を想像していたのですが、大分違いました。 ペンのガサガサしたタッチを残した陰影、直線をフリーハンドで描く、細やかで味のある絵。コミックDAYS連載とのことですが、絵柄的にはハルタっぽい感じで、雰囲気のある背景の中でメイドさんが何が食べている絵が、とてもいい感じです。 そしてこの絵柄、食べ物が美味しそう!コンビニおにぎりがここまで艶やかに……。食べるメイドさんの頬張る顔も可愛く、食べ物漫画として最高に楽しい!『東京黄昏買い食い部』に匹敵するかも。 食べる物の情報も面白く、お馴染みの食べ物の知らなかった話が新鮮。え、信玄餅ってそうやって……? 明るく真っ直ぐでちょっとぼんやりした、食べるの大好きメイドのスズメちゃん。周囲の人との交流、英国のお勤め先の謎など、次巻以降の注目ポイントも豊富です!可愛くて胸が締め付けられる妖怪人情物語怪より始めよ。 佐藤智一ぺそ※ネタバレを含むクチコミです。1年前に読むのと、いま読むのとでは大違いしののめ高校美術部日記 二階の窓名無し原因は不明だけど、何かが起きて人類がどんどん減少している世界が舞台。 学校も美術部仲よし3人組と、先生がひとりだけ。 ほぼ廃校と化した校内で、3人の日常が続いている様子が描かれます。 図らずも、とあるのでコロナがあったから描かれたマンガではないのかもしれません。1年前に読んでいたら「終末ものね」で終わっていたかもですが、今だと、こうして地球が終わる日が来るかもな、そんなときどんなふうに過ごそうかな、と考えます。 あと、コマ割りとかが独特です。光と影を表現するトーン使いも印象的でした。 ナポレオンのことが知りたければこのマンガナポレオン ―獅子の時代― 長谷川哲也クロキナポレオンを描いた長谷川哲也先生の歴史マンガ。優れた画力で絵が綺麗であり、戦争シーンでは多くの説明があり歴史的知識を多く得られる。 ナポレオンの知識とその時代の考証を知りたいと思ったら、ぜひ読んで欲しい漫画です。良すぎた。 #読切応援知り合い以上友達未満 森田賢吾名無しなんだよもーこいつら(^_^) こういうのを平和と呼ぶんだろうな… クラスのカースト上位の子がガチオタ男子と対等に接してるの好き。なるほど赤裸々mon*mon シモダアサミさいろくマンバで教えてもらって読んだ作品。 エロティクスFの作品だけあって割とストレートなんだけど、女性視点で展開していくのが面白かった。 コンセプトを統一した短編集的なものかなと思っていたがちゃんと繋がってきたりして、自分がこういうの好きなんだなと実感。 最終的なまとめ方も非常に良かった、締め括りというか。 学生編もあって、当然そっちも繋がっていてあそこで出てきたあの子の話だ!ってなる。 こちらを読み終わったら学生編もどうぞ。 ファンタジーなのに現実かのような気持ちになるウンナ母斑 sacco名無し※ネタバレを含むクチコミです。「夜泳ぐ」について歩くひと 谷口ジロー名無し※ネタバレを含むクチコミです。<<390391392393394>>
幻想的な短編集。表題にもなっている『闇の鶯』は作者が「パソコンに疎かったからあまりうまくいかなかった」的な反省を述べているけど、面白かった。まず妖怪みたいな存在が現代的な技術を身に付けているのが珍しい。民話などで妖怪とされているのは実は人間で、生活習慣やコミュニティが異なる他者をそう呼んでいただけではないか?という説を思い出す。 神話や宗教、呪術に支配されていた時代があったように、現代は科学技術に支配されている。仕組みを理解していないものにとって、技術も一種の呪術のようなものだし、人間が使っているようで、実は技術に使われているケースも往々にしてある。 一度全てをフラットに並べてみて、何が自分にとってこの世界に生きている実感をもたらしてくれるのかは考えてみても良いだろう。科学的な事実であれ、論理的な正しさであれ、それらと幸福は直結しないのだから。 『涸れ川』も面白かった。説教めいた要素もなく、ただただ迷い込んだ異世界のルールを読み解く感じが良い。