ケッコーなお手前です。

茶道の楽しみ方を米国人と学ぼう!

ケッコーなお手前です。 みよしふるまち
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

部員一人の廃れた茶道部に、米国留学生男子と茶道の家元の息子が共に訪れることから始まる、高校茶道部の活動物語。茶道という日本伝統文化の楽しみ方について、色々教えられる作品です。 日本文化を格闘術としか認識していなかった留学生。家元の息子の手前に触れ、何かを感じるものの、その心を理解するのには、幾らか時間がかかります。 喧騒を離れ、客に寛いで欲しいという茶の湯の心を理解するのに、邪魔になるのは「無駄を省く」欧米流ビジネス的な効率主義。そこから離れ、茶道の楽しみを覚えた留学生を苦しめることになるのは、一流ビジネスマンの父親という悲しみ。 一方、家元の息子は、茶道は一流だが人と和することが苦手。こちらも父親と、仲は悪くないが微妙な距離感。グイッと距離を詰めて来る留学生や、部員達との交流で彼は、茶の湯と父との、新たな向き合い方を見つけられるか。 茶道というと作法や道具に目が行きますが、本作ではそこよりも、茶席の回し方や設えの意味、意外な場面での茶道部の活躍など、多面的に茶道の「実践」が示されています。ノスタルジーや儀礼ではない、現代においても変わらない茶道の有効性が、ここにはあります。 日々の生活にゆとりを取り戻すために、誰かに茶席に招待されたいな……と、思わず考えてしまいました。

さんさん桜

異文化の熱が伝統文化に風を起こす

さんさん桜 くらの
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

日本舞踊を学びに来た外国人と、そのにわか師匠のやり取りで、日本舞踊を美しく・カワイク紹介する漫画『さんさん桜』。内容については、たかさんが先に書かれたクチコミが、日舞の経験者の視点から興味深い紹介をされていました。 https://manba.co.jp/topics/24511 私はこの作品から「外国人が日本文化に携わる意義」について考えました。 たかさんも書いてらっしゃいますが、この作品では外国から学びに来た子が、とても「楽しそう」で、それがいいんですよね。その楽しみ方、夢中になる目に、一度日舞を捨てた青年は魅せられ、苦しみながらも再び日舞に向き合い始める。 熱烈な外国人の「日本文化の楽しみ方」は、例えば陶芸を描いた『へちもん~信楽陶芸日記~』や、茶道の作品『ケッコーなお手前です。』にも描かれていて、伝統の本質を知り・学びつつも屈託のない、それでいて熱心な楽しみ方が、どこか鬱屈としている「伝統の継承者」を救う。 伝統芸能の内部にいた時に、なかなかその美しさに気付けなかった、というたかさんの告白は、結構重要な事を指摘しておられると感じます。 伝統文化を生きる伝承者達が、見失ってしまう「伝統文化=自分の良さ」を、外部の人から教わる事がある。外から熱気を帯びて、その文化が好きだ!と飛び込んでくる人に、かき混ぜられて再び吹く風がある。そんな爽やかさが、この『さんさん桜』、そして例に挙げた『へちもん~信楽陶芸日記~』『ケッコーなお手前です。』などにも、確かにある。 異文化からの熱と、それに救われた伝統文化、という形を描いた3作品。そこから日本人の私も、自分達の文化の継承について……本質的な楽しさを知り、誰かに伝えることの大切さを、色々考えさせられました。

私はただものじゃない

只者の証明

私はただものじゃない 桐島いつみ
野愛
野愛

ただものかただものじゃないかって、なんの差なんでしょう。ただものだって誰かにとってはただものじゃないのかもしれません。 ごく普通の女の子・川田は転校先の学校で、生徒会長・澤田に「君はただもんじゃないね」と言われます。 その一言がきっかけで川田は「ただものではない」と学校中の噂になります。 スポーツも勉強もそんなに得意じゃない川田なのに、天才少女に違いないという周囲の思い込みからドタバタトラブルが起こり出します。 某芸人さんのすれ違いコントとかズレ漫才みたいに本来の意味とは違う捉えられ方をして、天才少女どころか宇宙人だの忍者だのと話が膨らんでいくのがめちゃくちゃ面白いです。噂が事実として膨れ上がっていく様が滑稽だけど怖さもあって、それがまたシュールな笑いに繋がってるのかもしれません。 とは言え、平和な事件しか起きない&オモシロの権化桐島先生だからこういう仕上がりになってるだけで結構怖い話よね…とは思います。 噂ってすぐ広まるけど払拭するのはめちゃくちゃ難しいですからね、ということで川田がただものであることを証明するためにとった行動にも注目です。 結局青春してんじゃねえか!っていうオチも含めてよかったです!

気づいてないね。【吉野裕行直筆あとがき&ボーナスコミック 菊乃杏『パーフェクトスキャンダル』付き】【マイクロ】

声優・吉野裕行原作の読み切り漫画!

気づいてないね。【吉野裕行直筆あとがき&ボーナスコミック 菊乃杏『パーフェクトスキャンダル』付き】【マイクロ】 朝田とも 菊乃杏 吉野裕行
名無し

新刊ページ見てたら吉野裕行という名前が目に飛び込んできて二度見したら、どうやら同姓同名の漫画家さんではなく、自分が知っている方の声優さんだとわかり購入ました! 読んでみるとかなり予想外の内容でありきたりな内容じゃないという点ではかなり面白かったです。 率直な自分の感想はというと主人公の男がウザくてホントマジ無理です笑 よくユキちゃん1年も付き合ったな…。 あとがきによると「人はすれ違う生き物」ということを書きたかったそうで、その言葉どおり完璧にすれ違って破局するお話でした。 なので一般的な少女漫画のように危機を乗り越え仲直りできてよかったねという展開を想像していると、読み終わって「は!??」ってなるのも当然ですね。 「どちらかだけに非があるとは思えずどちらかだけを攻めることなどできないのでは…」という吉野さんの言葉どおり、ユキちゃんはもっと早く主人公に「何でも私に合わせてくるのホント無理なんだけど」と伝えるべきだったなと思います。「言葉にしなくても私の気持ちをわかってほしい」というのは子供っぽい甘ったれた考えで、ここは確かにユキちゃんの非ですね。 最後に秋田まで飛行機で追いかけていった主人公には驚いてしまいました。自分の主人公に対する好感度が低すぎるため、この行動には「うわー…」となってしまったのですが、これってこのあと2人で話し合って仲直りしてハッピーエンドになることを示唆してるんでしょうか? 他の人の感想が気になります!

東京エイリアンズ

「青春×機関銃」NAOEさんの新作スペースファンタジー #1巻応援

東京エイリアンズ NAOE
sogor25
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普通の高校生・郡司晃(ぐんじ あきら)は下校途中、なぜかフードをかぶった青年と杖をついたおばあさんの二人しか乗っていないガラガラの電車に乗り込みます。すると次の瞬間、おばあさんは背中から何本も触手のようなものを伸ばし、それに対して青年は 刀のような武器で応戦するという、およそ現実とは思えないような戦闘が始まってしまいます。 突然の出来事に呆然とする晃でしたが、戦闘の隙を突いて逃走を図るおばあさんに触手で捕まり、そのまま拉致されてしまいます。おばあさんの家まで連れてこられた晃は、そのおばあさんから彼女が宇宙人であること、地球には一般人に紛れて宇宙人が普通に生活していること、そしてそんな宇宙人を管理している「Arien Management Organization」通称「AMO」という組織が存在することを知ります。 この物語は こんな経緯で宇宙人の存在を知った彼が AMO の一員となり戦いに巻き込まれていくという話です。 実は地球には人間に紛れて宇宙人が住んでいたという設定は ファンタジーとしてよく見られる設定ではあると思いますが、迫力のある戦闘シーン、主人公の晃が宇宙人の側にいきなりさらわれてしまうという導入、そしてその後の晃がAMOに所属するまでの一連の展開が面白くてつい物語に見入ってしまいます。 また、普通の高校生だと思われていた晃にも、本人すら知らない秘密があり、実はその伏線が一番から隠されているという構成の上手さもあり、とにかく先へ先へと引き込まれる作品になっています。 1巻まで読了

海猫荘days

"居場所"を見つける物語 #完結応援

海猫荘days コダマナオコ
nyae
nyae

ここに居たい、とかここに居ても良いんだと思える場所があると、人は自分を肯定できるし、幸福を感じるんだなと思います。 親友に裏切られ、傷つき、癒やしを求めて田舎へやってきた主人公の真由美は、常に「これでよかったのか」と思い悩みながら、必死に自分が居るべき場所を探します。 「東京から来た女性と、田舎に住む女性が出逢って、恋をしました。」という単純な話ではないところが非常に面白いのです。内容からすると、3巻では足りないのでは?と思ってしまうほど複雑な人間関係が描かれているのですが、そこはしっかり3巻で美しくまとめてくださってます。 さらに主人公2人以外に、もう一組のカップルが描かれています。妾の子として親からの愛を受けられず、家の中に居場所がない少女・阿島と、その異母姉妹のさくらです。 言ってしまうと、私は阿島とさくらの関係性のほうが読んでいてドキドキしました。この2人が主人公のスピンオフ、待ってます…!笑 それぞれが、何かから逃げた自分も、何かを受け入れられない自分も、全部肯定してあげたうえで、居場所を見つけていく姿を最後まで見守るような物語です。

勇者の嫁になりたくて( ̄∇ ̄)ゞ

異世界転生して"勇者の追っかけ"はじめました #1巻応援

勇者の嫁になりたくて( ̄∇ ̄)ゞ 山朋洸 鐘森千花伊
sogor25
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この作品の主人公は18歳の冒険者ベルリナ・ラコット、みんなからベルと呼ばれている女の子。実は彼女は前世の記憶を持ったまま転生したいわゆる異世界転生者で、孤児院の6歳の子供に転生した彼女は前世の記憶を駆使して大きな不自由をすることなく都会で暮らしてきました。 そんな彼女が15歳の時、たまたま彼女が住む街を訪れた勇者クライスに一目惚れ。その瞬間からベルはクライスの"追っかけ"として勇者一行の旅路を追いかける生活が始まります。 この作品、いわゆる"なろう小説"が原作のコミックなんですが、小説原作のコミックとしては珍しく小説版のイラスト担当の方がそのままコミカライズも担当しているという作品です。 また、導入こそ異世界転生という形をとっていますが、この世界では冒険者の能力やステータスがパラメーターとして認識できるようになっており、転生自体よりもむしろ主人公ベルが転生後に習得した特殊スキルを駆使して活躍していきます。 この作品の面白いところは勇者の追っかけであるベルの存在がすでに勇者一行に思いっきり認識されている、というところにあります。 それどころか、勇者一行に物資を提供したり時にはダンジョン探検に同行したりと、ほぼパーティーの一員のような立ち位置にいます。ですが、あくまでベルは勇者クライスの一途な思いを胸に彼の追っかけとして一定の距離感を保とうとする、まるでアイドルとそのファンのような絶妙な距離感を保ったままクライスたちに付いてきます。そしてそのことに対して勇者一行も疑問に思いつつもそのまま冒険を進めていきます。 この不思議な関係性のまま、行く先々で様々な事件が発生し、その度にベルとクライスの距離が近づいたり近づかなかったり…?というコメディ作品です。 1巻まで読了

僕のソルシエール

ある"秘密"を抱える双子と出会った少年の物語 #1巻応援

僕のソルシエール 夕希実久
sogor25
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4兄弟の末っ子、上阪和飛は長期休みになると毎年家族で祖父母の家に遊びに行っていました。 和飛が小学生に上がる年のある日、おじいさんと一緒に近くの神社にお参りに行ったのですが、そこで遼と遥という双子の兄弟と出会います。3人はすぐに意気投合し、次の長期休みにまた会う約束をして別れるんですが、それから祖父母の家に行くたびに神社に足を運んだ和飛が2人に会うことはありませんでした。 その後、和飛が小学校を卒業するという時期におじいさんが亡くなり、家族揃って祖母が残る家に引っ越すことになりました。引越し後、買い物ついでに何気なくその神社に寄った和飛でしたが、その時、偶然にもあの頃の双子・遼と遥と再会します。お互いすぐに相手のことがわかり再会を喜び合う3人。 数日後、中学校の入学式後のクラス分けで、同じクラスに遥の名前を見つけとても喜んだ和飛でしたが、神社で会った時とは違ってなぜか遥さんがそっけなく、遼のほうは何組なのか聞いても答えてくれません。 それもそのはず、本来であれば一緒に入学しているはずの兄・遼は実はある理由があって中学校に入学することができていなかったのです…という物語です。 この作品、小さい頃に出会った和飛と遼・遥の双子、この3人が育む友情と、もしかしたらそれ以上の関係も…?というのを描いている作品で、そこに双子の兄妹がもつある秘密が1話の最後に明かされてストーリーに関わってきます。 実はこの作品、1話だけで100ページ近くページ数を割かれていて、このことからもわかる通り、物語が進むにつれて揺れ動く3人の心情描写や表情の変化を優しい絵柄でゆっくりと丁寧に描いている作品です。 作中の時間の経過はまだ短いですが、特に双子の秘密を共有した主人公・和飛の心境はビビットに変化していくので、多感な時期に運命に翻弄される和飛たちの心の変化を濃いリアリティを持って追っていける作品だと思います。 1巻まで読了