少年マンガの感想・レビュー7878件<<255256257258259>>鳥山明のエッセンスが詰まってるSAND LAND 鳥山明hysysk作者のMAD MAX趣味や(ドラゴンボールでも荒野や砂漠が印象に残っている)、バトルありギャグありちょっといい話ありで、子供の頃のようにこの世界に入り込んで楽しんだ。1冊の本としての完成度が高い。気弱なドラゴンのマイホーム探しドラゴン、家を買う。 絢薔子 多貫カヲ六文銭もうタイトルどおりです。 自堕落ゆえにハンターに卵をとられ、親から勘当されたドラゴン「レティ」が、自身の安心安全を求めて家を買うというお話。 ファンタジーならでは世界観や細かい設定をギャグテイストに巧みに使って「ドラゴンの家探し」をする展開が秀逸。 ダンジョンの如く罠だらけの神殿を紹介されたり 山頂に建てたことで逆に有名になって、勇者がひっきりなしにやってきたり、追い払ったら同族に慕われたり 「召喚獣」としてバイトしたり ゆっくり暮らしたいだけなのに、何かしら欠点がありうまくいきません。 気に入ったマイホームを探す大変さは、人間もドラゴンも変わらないですね。 ドラゴンという一見ごついフォルムですが、優しくて気弱なところが不思議と可愛くて、応援したくなります。 一緒に物件探しを手伝ってくれる、ちょいドSなエルフとのコンビもまた良いです。最初は真面目なテニスの王子様 許斐剛名無しアニメから入ったので最初はこんなに真面目なマンガだったのをしってびっくりした。地味だけど堅実な面白さのあるサッカー漫画イレブン 七三太朗 高橋広starstarstarstarstarひさぴよ80年代後半から90年代にかけて連載していたサッカー漫画。 古くはキャプ翼、最近ではアオアシと、数多のサッカーマンガが生み出されてきましたが、この作品は長期連載だったにも関わらず、あまり知られてない名作かと。 巻数が長い上に、お世辞にも絵はサッカー向きとはいえない絵柄(失礼!)なので、サッカー漫画好きの自分もなかなか手が出なかった覚えがあります。 しかし、ふとした機会に読んでみたら、これが読み進めるほどに面白い。 主人公・青葉茂の堅実でひたむきな努力と、熱い心に引っ張られるように、気付いたら夢中になって読んでました。 スポーツ漫画でよくある「海外挑戦編」的な展開が、このイレブンにもあるのですがこの章がとにかく熱い。 サッカーで海外挑戦といえば普通はヨーロッパか南米ですが、主人公は自分に足りないものを得るために、なんとアフリカの地を選びます。 何のサポートもなく、単身アフリカに赴き、ど田舎でどうやってサッカー修行をするというのか…? 一見無謀とも思える、泥臭い挑戦の連続がイレブンの面白さなのです。 進化した現代のサッカー界の状況と比べると、やってることが違いすぎる感があるのは確かです。 でも、サッカー初心者がプロにまで登りつめる成長物語として読むのであれば、まだまだ色褪せることのない名作だと思うのです。 もしもかつての勇者たちを"介護"することになったら…どうする?ファンタジー老人ホームばるはら荘 岡村アユムsogor25かつて魔王との死闘を繰り広げた歴戦の勇者たち。その死闘から数十年、彼らも加齢という敵には抗うことができず、平和になった世の中でひっそりと余生を過ごしていた。そんな余生を過ごす家、特別養護老人ホーム「ばるはら荘」。 そこに職員として紛れ込んだ魔王の孫娘・マリー。彼女の目的は祖父の復讐、つまり年老いた勇者たちに自らの手で仇を打つこと。しかし彼女は知らなかった。勇者たちは年齢を重ねても現役時代と同様の魔力・戦闘力を保っていること、そしてそれにも拘らず、すでにボケが始まっていて時折能力を不用意に暴走させてしまうことを… という、剣と魔法の世界×老人ホームという異色の組み合わせの作品。ファンタジーの雰囲気を保ちながら実際にやってることは老人介護というアンバランスさ、そして勇者たちを介護するために集められた超有能な職員たちと、その辺の事情を全く知らずにノコノコと介護の現場という"戦場"に足を踏み入れてしまったマリーの振り回されっぷりがクセになる。現段階でもすごく面白いけど、今後の展開の仕方、それとマンガ読みの間での認知のされ方次第では「ダンジョン飯」になるポテンシャルを秘めている、そんな作品だと思ってます。 …というのが、この作品をファンタジーもしくはコメディとして見たときの感想。それに加えて私個人としては"介護を描く作品"としても非常に注目しています。 作品全体としては介護の対象が勇者たちなだけあって"異世界モノ"特有のフィクション性の高い設定も数多く見られますが、入居者に対する個々の介護の様子を見てみると、現実の介護にも当てはめられるような描写も多く見受けられます。 現実世界では"介護"もしくは"介護士"というと非常に厳しい環境に置かれており、半ば社会問題となりつつあるように思います。そんな介護の現場をリアルに描こうとすると、社会性が高くなる他方でエンタメ性を保てなくなり、敷居の高い作品となってしまうのではないでしょうか。 そんな中でこの作品は、ファンタジーとして作品のエンタメ性を確保しつつ、いずれは誰もが接することになるであろう"介護"という存在をよりポップに読者に伝える、そんな意図も隠されてるのでは、というの深読みしすぎでしょうか? いずれにせよ、コメディとしての面白さもあり、介護というものに気軽に触れることもでき、読んでいていろんなものを得られる作品であることは間違いないです。 1巻まで読了手塚治虫の迷宮メトロポリス 手塚治虫影絵が趣味手塚治虫、本当に恐ろしいひとです。いちど迷い込んだがさいご、たぶん死ぬまでこの迷宮とお付き合いしなければならない。そもそも、手塚のライフワークだった『火の鳥』ひとつだけにしても壮大な迷宮なのに、周辺作品から辺境作品まで、なにしろ数が膨大すぎる。 私は『ブラック・ジャック』以降(劇画ブームに押されて人気を失っていた手塚がブラック・ジャックをきっかけに再評価される)の作品から手塚に入門したクチですけども、だいたい再評価とかそういうのは普通は本人が死んでから成されるものだと思いますが、手塚は稀有なことに生きているうちから古いものと見なされ、またしばらくして手塚はやっぱり凄かったと言われるわけです。その仕事ぶりから超人のように言われること数多ですが、じっさいに常人ではまず不可能なことに人生を二回転もしてしまっている。 私も後期の手塚からふらふらと迷宮に迷い込み、あるとき、ひょんな抜け穴から彼の初期作に触れたんですけども、まあ、腰を抜かすほど驚いた。それこそ人生を二回転して生まれ変わったような衝撃を受けたんです。まず『メトロポリス』もそうですけど、絵が驚くほど巧い。どのコマも一枚画として額に入れて飾りたくなるぐらい構図が精巧としていて、細部の曲線はペンの抜き差しひとつびとつに色気を感じるほどの。後期の手塚が物語の経済性と重層性を重視するためにやむなく捨てたものがここには宝石のように遺っていたんです。しかも、ただ巧いというだけではない。そこには苦渋の跡、困難の跡、混沌として不都合な現状をより良くして行こうとする軌跡がみられるんです。後期の手塚は自身の形作ったマンガの記号体系を経済的に活用して重層的な物語を量産していきましたが、初期の作品には新しい制度をイチから築いていこうとする、いままさに未知の何かが生まれようとするスリリングさがあります。それこそツルハシで洞窟を掘って探検していくかのような過酷さと冒険者的なロマンがある。 手塚治虫の迷宮に迷い込むことをオススメします。過酷で、それ故にやり甲斐があり、何よりめちゃくちゃ面白いのですから。 たのしくたくさん食べよう!てんむす 稲山覚也starstarstarstarstarひさぴよたまにテレビでやってる大食い番組。人間離れした競技としか思えません。ずっと観てると、驚きとワクワクと恐怖が入り混じった畏敬の念みたいな気持ちが起きてきます。特に小柄な女性選手に対しては。この漫画はそんな大食い競技で女子高生たちが奮闘するスポ根漫画です。 たくさん食べることが何より好きな女の子春風天子が主人公で、高校生になってからは大食いをやめようと決意したものの、大食い競技の部活「食い道部」の面々に出会ってしまい、最初は嫌々ながらも次第に大食いの道にのめり込んでいきます。 てんむす(漢字で書いて天娘)という言葉は、その昔、豊穣の神への祭祀として、巫女たちが大食いを競った歴史から、現代の大食い競技として続いている設定になってます。なので参加者は女子のみ。 大食い勝負は一対一だったり団体戦といった形式の試合で、単純にたくさん食べた方が勝ちなんですが、テクニックや基礎体力を必要とする、しっかりとしたスポーツ競技として描かれているので、大食いできる身体づくりも学べます。 かわいい絵柄なので最初はもっとゆるふわなテイストかと思ってましたが、勝負所では荒々しいタッチに変わり、手に汗握る迫真の試合が繰り広げられます。わりと王道のスポ根展開が多くて、少年マンガ好きにはたまらない熱さがあります。 特に、長野女子体育大学付属との試合などは、 多くの「大食いマンガ」の中でも屈指の名勝負になるんじゃないでしょうか?全国出場までの勝ち上がり方やライバルチームの描き方は見事です。 あと、名古屋弁がめっちゃ出てくるのもほっこりします。当然、大食いの料理には名古屋メシが出てきたり、対戦相手のご当地料理だったり地域の特色も楽しめました。 ラストに近づくにつれ話にまとまりがなくなってきて、終局を感じる雰囲気になってきますが、ここまで読んだらぜひ最後まで読んでみて下さいな。わんこそば戦での、天子の突き抜けた表情は忘れられない場面だと思うんですよね。「たのしく、たくさん食べる」って素晴らしい。 自分もわんこそばの大食いにチャレンジしてみたくなりましたよ。 日本返還前の沖縄を舞台にしたある悲劇オキナワ 中沢啓治マウナケア日本返還前の沖縄を舞台にしたある悲劇。米軍に対する親子の心情を通して、沖縄に存在する基地・米兵の問題を描いているのですが、とても40年以上も前の話とは思えず、現在でもありそうな内容です。確かに米軍の沖縄住民に対する意識は変わってきているのでしょう。しかしながら現在でもそれらの問題はあって、そんなニュースを耳にするにつけて思うことと同じものを、漫画からも感じてしまうのです。この理不尽さに逆らうことはできないのかと。米軍がらみのイザコザがあると、なぜ沖縄の人たちは、ああも被害者意識を持って敵意をむき出しにするのか。今でも薄れる事のないアメリカに対するアレルギーの理由が、この短編からは伝わってきます。ほか「冥土からの招待」「うじ虫の歌」というインパクトのあるタイトルの作品も収録。同様に沖縄と反戦をテーマにした話ですが、こちらは必ずしも反米だけではない視点で描かれているのが興味深いです。真島ヒロオールスター漫画がマガジンでスタート!Mashima HERO’S 真島ヒロ名無し10月16日(水)発売の「週刊少年マガジン」48号より、真島ヒロ3大作品『RAVE』『FAIRY TAIL』『EDENS ZERO』のキャラクターたちが、時空を越えて大集結‼ https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156698006351 【週刊少年マガジン公式サイト】 https://shonenmagazine.com/info/entry/20191016heros漫画の神の片鱗が垣間見える一作罪と罰 手塚治虫TKD@マンガの虫ドフトエフスキーの同名小説を手塚治虫が漫画化した作品ですが、まず驚くべきことは文庫本で約1000ページ以上ある原作を実験的なコマを使った省略方法や圧倒的な構成力でたった131ページにまとめ上げているという点です。 ストーリーや登場人物の役割などを一部アレンジはしていますがおおよその筋道は追えるようになっており、またストーリーを追うだけでなく登場人物たちの切迫感や物悲しさをあくまで子供に読んでもらうためのものなのでコミカルな描写も入れながら構図やセリフで見事に表現しています。 特にラストの見開きページでは、それまでの主人公ラスコルニコフの個人的な物語から視点が広がり世界全体の様子が描かれますが、これを絵の力のみで悲劇的にも喜劇的にも取れるように描いており、手塚治虫の表現者としての圧倒的な才能を垣間見ることができます。 私は先に原作を読んでから今作を読みましたが、未読の方でも全く問題はないと思います。また、原作を読んだという方にも手塚治虫が罪と罰をどのようにまとめあげたのかという点と原作とは違ったラストをどう読み解くかどういう点でも非常に興味深い作品になっています。 娯楽の中に含まれている道徳的なもの。エスパー魔美 藤子・F・不二雄アリクイ昔何度も読んだマンガ。あらためて読んでみると主人公魔美と仲が良い高畑さんが自分に超能力があると勘違いし、色々試行錯誤をした結果超能力を持っているのは魔美の方だと分かり涙を流す場面や、意地汚ない性格の女性が絵に描かれた風景を観て泣き「昔のあの日は買えやしない…」と語る場面など、時々人間の深い部分に見て触れることができるなと。ケストナーや赤川次郎の小説を読んだみたいな感覚がある。作品内の娯楽の中に道徳的なメッセージもあるような。その部分が著者からのおしつけ的なものではなく気持ちにスッと入ってくる感じ。超能力プラス人情のマンガかなと。少年向けマンガとしては異色ウィンドミル 橋口たかし名無し※ネタバレを含むクチコミです。ザ・ハードボイルド…それがクロちゃんという猫だ新装版 サイボーグクロちゃん 横内なおきANAGUMA大人になって『ブラックサッド』というバンドデシネを読みました。ハードボイルドな黒猫の探偵ブラックサッドが主人公。骨太でビターな物語…実に素晴らしい作品です。 しかし。しかしだ。 我々はハードボイルドな猫を…それも黒猫を…他にも知っているんじゃないか…? そう、それがサイボーグクロちゃんです! クロちゃんはちょっぴりひねくれ者の黒猫で、ついでに不死身で最強のサイボーグです。 かつての仲間グレーやマタタビとの絆、電気スタンドのガールフレンドナナちゃんへの愛、異世界サバイバル編での誇りを賭けた死闘(※このマンガには異世界編があります)、辛い境遇に置かれたゴローとチエ子ら子どもたちへの想い…。 語り尽くせるものではありませんが、クロちゃんはいつも大切な誰かへのアツい気持ちを胸に秘めて戦っています。 不平不満を言いながらも、誰かが困っていたら必ず手を差し伸べてニヒルな笑みを浮かべて助けるのです。猫なのに。カッコイイ。 だから周りにはいつも賑やかな仲間が集っています。本人がどれだけ孤高を気取っていても…。 思えばこのハードボイルドな黒猫の生き様にずっと憧れている気がします。 クロちゃんはいつまでも僕のヒーローです。 腹話術の妙技人形草紙あやつり左近 小畑健 写楽麿starstarstarstarstarひさぴよ人形遣いの少年・「橘左近」が、童人形「右近」と共に事件解決に挑む推理マンガ。 腹話術によって人形を操り出すと、性格が一変するという設定がなかなか面白く、只の人形であるはずの右近が、まるで本当に生きているかのようです。どういう仕組なんだとか、その辺は深く考えずに「右近」の存在を受け入れて読むのが吉でしょう。ちょっとオカルト的な雰囲気もある推理モノなので。 連載を開始した1995年は、「金田一少年の事件簿」(1992年)や、「名探偵コナン」(1994年)といった推理マンガブームが超盛り上がっていた時期で、このブームに続こうと少年ジャンプが送り出した推理マンガという印象が今もあります。残念ながら大ヒットとはならず、短期連載に終わってしまいました。 ただ、作画・小畑健、原作・写楽麿(しゃらくまーろー)※宮崎克という強力タッグが生み出した、独特の和風ミステリー世界は、とても記憶に残るものだったと思います。そういえばアニメ化もされてましたっけ。 全4巻。スッキリとした終わり方にはなってないので、なにかの拍子で続編企画がひょっとしてあるのではないか…と、いつまでも期待してしまう作品です。 ひと味違うサッカー漫画ORANGE 能田達規なかやま能田達規先生のサッカー漫画は我が家の本棚で10年以上スタメンを張っています。 氏の作品の特徴でもあるのですが「試合としてのサッカー」よりも「サッカーに係る人間のドラマ」に焦点を当てています。 この作品はまだ少年漫画でのサッカー漫画をしていますが、他の作品は中々振り切ったテーマになっています。 オーレ! サッカーチーム経営 サッカーの憂鬱 ~裏方イレブン~ 芝生の手入れから審判、広報のひとに ぺろり!スタグル旅 スタジアムのグルメ 本作のストーリーは 少年時代の約束を守るために、天才ストライカー ムサシが J2 の存続すら危ぶまれる南予オレンジに加入し J1 昇格を目指す J2 のチームが J1 に上がれるか?とマイナス方向にハラハラさせるのが読んでいて引き込まれます。 結構敵チームをいい味を出していて、どっちも負けてほしくない試合がチラホラと・・・ 以前、友人に勧めたら 「これ、ゴール決まったらすぐ試合終了になるじゃん・・・試合短いじゃん・・・」 と言われてしまったので、サッカー漫画好きには物足りないかもしれませんが、スポーツ漫画と言うよりも人間ドラマとしてみると凄い良き作品だと私は思います。鬼滅の刃鬼滅の刃 吾峠呼世晴ろみひータンジロウと仲間たちが死闘繰り広げていき強くなるのが面白い。鬼が死ぬときに自分の過去を振り返る描写が好き! リアル感とドリーミイ感を共存させている格闘漫画餓狼伝 板垣恵介 夢枕獏名無し最強の男は誰か、最強の格闘技は何か、を追求するなら 個々人の資質やセンスや体格や体力や修練度を 最高レベルで均一化したうえで、 打・投・極の全てをいかんなく発揮できるルールを作り、 身分や立場や金銭的なメリットデメリットなどのしがらみを 無くして平均化して、 多数が同時に心身ともにベストコンディションで 戦える場に選手一同を終結さけなければならない。 そんなことは現実には不可能だ。 だからこそ古今東西、漫画・小説・TV・映画という 夢を現実化できる世界で、数え切れないほどに テーマにされて作品化されている。 だがそれでいて、いまだに これが最高、これが究極、これこそがリアルだと 万人を納得させる作品は出現していない。 リアルとドリーミイのバランス取りが難しすぎるのだろう。 ある意味で作品化、描写が不可能レベルな難題で 「最強論漫画」は永遠の夢なのかもしれない。 その最強論漫画への挑戦・証明のための手法として、 リアリティとドリーミイをいい感じにミックスして 凄くいい感じに魅せてくれているのが 原作・夢枕獏、作画・板垣恵介の「餓狼伝」だと思う。 矛盾した言い方になるがリアリティとドリーミイが それぞれに充分に共存した漫画になっている。 空手・柔術・プロレス・ボクシングなどの 各種格闘技の(前記した条件を満たした)精鋭が 一同に会して闘うという 「現実にはありえんだろ」という世界を 小説(原作)や漫画だからドリーミイをある程度まで 魅せてくれている作品は他にも少なからずある。 「餓狼伝」もそういった、漫画だからこそ成立している ドリーミイな面はあるし、その面での描き方も凄く面白いのだが、 それだけではない板垣先生ならではの上手い描き方が 「餓狼伝」では、なされていると思う。 添付画像は第三巻からの抜粋だが、 夜の公園で闘っている二人の攻防のポイントを 的確に判りやすくコマ割りして絵にしている。 そしてそれだけでなく、 「電灯が揺れる」 シーンを間に挿入している。 たった一つのコマではあるが、 普通に格闘場面を描き、そこにリアリティを強調しようと だけ考えたら、なかなか揺れる電灯のコマなんて この流れの中に挿入出来ない、描かない。 だがこの一見、たいした意味のなさそうな一コマで 単純に技に入り決める動作を連続写真的に 絵にするだけの漫画よりも、 投げ、電灯、絶息、手のクラッチという流れにすることで リアルとドリーミイが判りやすく漫画として成立している。 こんな感じの、ただリアルを追求するだけの 絵やコマ割りだけではない、漫画手法としての ドリーミイがあちこちに描かれている。 それはもともとの夢枕獏先生の原作にそれだけの 要素が詰まっていたのだろうけれど それをまた板垣先生が上手く漫画化したんだな、 と感じている。 ビルドアップした飛雄馬新巨人の星 梶原一騎 川崎のぼるマウナケア筋肉に憧れます。20歳前後のころは、スタローンやレスラーの藤波、ケンシロウを夢みたものです。それで、じゃあいつ筋肉というものを意識したのかというと、この作品にたどり着くのですね。前作「巨人の星」は誰もが知っている名作中の名作。しかし残念ながらアニメで見た世代なもので、漫画で読んだのはこちらが先。読めば一目瞭然ですが、”新”の星飛雄馬は、小柄でともすればひ弱な感のあった前作から大きくイメチェンしています。盛り上がった腹筋と背筋、Tシャツ(このTシャツもサッカーのイタリア代表みたいなピチT)の袖からのぞく上腕二頭筋など、見事にビルドアップした身体を見せ付けてくれます。これだけでも「カッチョええ~」なんて思っていたわけなんですが、”ぐッ”と擬音の入るコマの力強いことといったらもう。今でこそ私はぶよぶよの体になってしまいましたが、美青年になった飛雄馬のしなやかで力強い肉体は永遠の憧れです。これほんとどうなるの…クワトロバッテリー 高嶋栄充名無しこれほんとどうなるのか気になる!続きが超楽しみ!なんで全員片想いになってしまうんだろう!? 同窓会の描き方がよかった。SEASONS ─なつのひかりの─ 高橋しん名無し高橋しんというと冬のイメージが強かったのだけど、本作もよかった。個人的には表題作「なつのひかりの」がよかった。10年越しに同級生と会って、タイムカプセルを探すという話なのだけれど、その空気感がいい。昔と変わっていることいないこと、顔を覚えてなかったり、一部のちょっと良かった人のことは覚えてたり、うまく言ってるように見えてどこかうまくいってなかったり、そういうひとつひとつの描き方に、センスを感じた。作者の得意な不思議な設定が、独特の読後感を用意していたのもよかった。今更全部一気読み!僕のヒーローアカデミア 堀越耕平名無し話題にはなっていたけどあらすじしか知らず、今更一気に全部読みました!!止まらない、どんどん読みたくなるし、続きが気になる。多様な人種と多様な個性があるんかで、悪とは何かを考えさせられます。百鬼夜行シリーズのスピンオフ&名探偵・榎木津が主役百器徒然袋 志水アキ 京極夏彦マウナケアこんなふうに描かれると、榎木津って漫画チックなキャラということがよくわかりますね。原作は京極堂が活躍する「百鬼夜行シリーズ」のスピンオフで、名探偵・榎木津が主役の短編シリーズ。「百鬼夜行」がどっしりとした本格推理ドラマなのに対し、こちらはライトテイスト。そしてこの漫画版はさらにコミカル度がパワーアップしていて肩ひじ張らずに楽しめます。元子爵の父親からの依頼で砧青磁を探すことに…ということで、瓶や壺の分類など小難しい話もあるにはありますが、メインキャラの個性が思っていた以上に強調されていて、それを見ていると細かい話はどうでもよくなります。しょっぱなから「このぐぶぐぶ魔人!!」と言い放ってる榎木津をはじめ、へらへらしている益田君、眼を合わせたら殴られそうな木場刑事、まるで置きものみたいな古物商の今川。そして京極堂は額にしわを寄せて口をひん曲げ、不機嫌さを絵に描いたような感じ。そんな連中がわいわいと事件を片づける。名探偵とその下僕による「これぞ探偵活劇」という雰囲気がたまらないです。 ぼうしゅうさんに憧れて哲也 -雀聖と呼ばれた男- 星野泰視 さいふうめいさいろく賽の目っていうのは狙って出せるもんで、燕返しっていうのは麻雀打つ人はみんな出来るものだと思ってしまっていた。 麻雀マンガが少年誌で長期連載してたっていうのも少し時代を感じる。 「坊や哲」が主人公のこの作品、どこまで本当かわからないけど実話を元にした実在の人物、阿佐田哲也の麻雀記を描いたもの。 阿佐田哲也さんに関しては別途ググるとよろしいかと思います。 麻雀といえば桜井章一がすぐ名前が挙がるんですが、阿佐田哲也は小説家でもありギャンブラー。 そのギャンブラー小説家が麻雀で成り上がっていく間に出会う様々なライバルたちは本当にインパクトがあるぶっ飛んだ奴らばかりで、バッドラックとダンスっちまう感じの(連載時期もちょうどその頃)漫画史に名前が残るぐらい印象的なので全部読んでおくと良い。 ※画像はガン牌で読者のハートを鷲掴みにした印南(いんなみ)あほな会話を楽しむ男子高校生の日常 山内泰延大トロ特に大きな出来事は起きないけれど、クスっと、笑える漫画です。 アニメ化もされています。<<255256257258259>>
作者のMAD MAX趣味や(ドラゴンボールでも荒野や砂漠が印象に残っている)、バトルありギャグありちょっといい話ありで、子供の頃のようにこの世界に入り込んで楽しんだ。1冊の本としての完成度が高い。